2013年4月25日木曜日

選挙制度の抜本改革は可能か???

【このテーマの目的・ねらい】
目的
 0増5減問題を考えていただく。
 現在の選挙制度成立の背景を知っていただく。
 選挙制度の抜本改革はありうるのか考えていただく。
 

ねらい
 今の選挙制度は変えられないという前提で行動しましょう。

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最高裁が前回衆議院選挙の無効判決を下しました。

昨年12月の衆議院選挙について
大阪高裁東京高裁それぞれ違憲判決下し
広島高裁広島1区2区選挙無効とし、
岡山支部岡山2区選挙無効としました。

これらを含めて全国で「選挙無効」が2件、
憲法違反」は14件に上ります

いくら違憲という判断が出されても、
自分達の利害がからみますから、
手を付けられず先送りしてきたのです。

でも今回は違憲だけでなく、選挙の無効まで踏み込んでいます。
格差の是正対応の期限を半年後
と設定した判決もありましたから
このまま7月まで行くと、
何人かは衆議院議員の資格を失うことになります。

そこでようやくしぶしぶ「一票の格差是正」に
取り組むことになりました。
しかし、ご承知のようにもめているのです。

少し、現在の衆議院の選挙制度について
確認をしておきましょう。

「小選挙区比例代表並立制」と言われる
現在の衆議院の選挙区制度は、
中選挙区と小選挙区の併用制度です。

小選挙区は。1区から1人しか選出されませんから、
その選挙区で最大得票を得た者が当選し、
その他の候補者に投票した国民の意思はムダ玉となります。
ムダ玉を「死票」というようですが53%もありました。

今回選挙の小選挙区では、
自民党は、得票率では43%しかなかったのに、
当選者数の比率では79%になったのです。

したがって、2大政党が覇を争い、
どちらがよいかを国民が選抜する
という状況に向いています。

少数派政党はよほどの人気候補者でもなければ、
当選できません。
ですから、少数政党は、小選挙区制度に反対です。

国民の平均的な意向を反映させる選挙制度なら、
大選挙区制度です。
参議院の全国区がその例です。

では、なぜ小選挙区制があるかというと
地元の状況や意向を国政に反映させようという意図です。

そのため、地元=都道府県ということから、
現在の区割りはどんなに小さな県にでも1区(=1人)は与えよう、
ということで、これが1票の格差を生む原因の一つとなっています。

その点を踏襲して、
複数人数を与えている県への割り当てを減らそうという
「0増5減」案ですから格差是正にも限界があります。

基本的には小選挙区制度の踏襲ですから、
少数派政党は反対で、抜本改革を主張するのです。

従来の中選挙区制度は、
大選挙区と小選挙区の妥協の産物で
日本らしい制度です。
4-5人の選挙区なら少数政党も多少は潜りこむことができます。

選挙制度の改革は、選挙で選ばれている議員たちは
利害が相反しますから、決定できるわけがないのです。
お手盛り方式です。

0増5減のような微調整でももめるのですから、
抜本改革などできようはずがありません。

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中選挙区制度から
小選挙区制と
比例代表制としては若干中途半端な全国11ブロックの
比例代表制部分を設けたのは、妥協の産物です。

全面的な中選挙区制度から、
1994年1月末に成立した「政治改革関連法案」に基づく
現在の制度に変更(改革)ができたかというと、
細川内閣のどさくさだったのです。

細川内閣の参謀役をしていた田中秀征氏が
「さきがけと政権交代」(1994年4月発行)
の中でこう語っています。

(それまで、反自民を政権の最大方針としていたのに)
「細川政権は会期末の土壇場で、
自民党と妥協して政治改革法案の成立を図った」

私は直接彼からこう聞いています。
もう時効でしょう。
田中氏は大学時代の空手部の後輩です。
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あれは細川内閣の最大の失政だ。
「政治改革で自民党と妥協してはいけない。
中選挙区制を残すことは絶対にしてはなりませんよ」
と細川さんに厳しく釘をさしていた。

ところが自分が参加していない場で、
細川さんが一晩で自民党と決めてしまった。
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こういうことだったのですね。

田中秀征氏としては、
小選挙区と全国区またはブロック単位の比例代表
の併用を考えていたようです。

自分達の利害が相反する問題を
自分達の合意で解決できるわけがないではありませんか。

では、誰だったら、あるいはどういう方法だったら
変えることができるのでしょうか????


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