2013年6月30日日曜日

日本は居眠り大国?

【このテーマの目的・ねらい】
目的 
  睡眠や居眠りについて考えていただく。
  睡眠の実態は、
   あまり研究されていない領域であることを知っていただく。

ねらい 
  睡眠について研究して見ようかと考えていただく。

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面白いテーマの本が出ましたので
読んでみました。

「世界が認めたニッポンの居眠り}です。
ケンブリッジ大学のブリギッテ・シテーガさんという
文化人類学者が書いた本です。

日本人はよく居眠りをすることで
世界的に有名なのだそうです。

これは、出版社の発言のようで、
著者は多くの国を歩いて日本が特別だ
とは言っていますが、世界が認めたなどとは言っていません。

この本の日本人の居眠りに関する主張は、
以下につきます。

  日本人はよく居眠りをする。
  電車の中でも、受講中でも、国会でも、----
  欧米ではお居眠りはほとんど見かけない。

人文科学系ですから
事実を多数聞き取りや自らの在日見聞で集めています。
残念ながら
私好みの明確な分析や統計的な検証はあまりありません。

この本は英語で書かれた初めから「INEMURI」という
タイトルが付いていたようですが、
内容からすると「日本の睡眠、世界の睡眠」とすべきものです。

睡眠という生命維持にとって極めて重要な機能の実態について
着眼したのは感心します。

源氏物語や枕草子などの古典を当っても
睡眠のコトは明確に書かれていない、
などの調査までおこなっています。

居眠りの記述は本書の一部でしかありません。

居眠りの定義は、
本来の寝場所でないところに「居て」「眠っている」こと
としています。

当たり前のようですが、なるほどです。

そこに居ることに第1義があり、
したがって眠ってもかまわないという解釈です。

電車に乗っている時は、目的地に着くことが目的で
眠っていても着くのです。

受講中の居眠りは出席することが第1目的、
国会議員は
出席して決をとるときに意思表示をすることが第1目的
だということで、これは納得がいきます。

しかしこういう記述もあります。
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第3の睡眠タイプ多相睡眠は、
(注:第1の睡眠タイプは単相睡眠で1日1度寝る。
第2の睡眠タイプは二相睡眠で1日2回寝る)
好きな時間に勝手に昼寝するというもので、
確かに日本人の間で広まっているが、
日本でだけ一般的というわけではない。

個性的な多相睡眠文化は、
シェスタ(二相睡眠)文化圏同様、
世界中に広まっている。

特定の寄稿条件や社会形態の地域だけに
好まれているわけでもなく
特定の時代に限定されているわけでもない。
うたた寝はヨーロッパでも意外なほど広まっている。
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日本人だけが居眠りをするのではないのです!!
「世界が認めたニッポンの居眠り」は、
出版社の歪曲です。

本書はそんなセンセーショナルな内容ではなく、
地道に居眠りを含めた睡眠について研究しているものです!!

なぜ日本人が居眠りをするのかについて
原因探求の紹介もしています。

勤勉で夜も仕事をしていて睡眠時間が短い。
武士は、
いつでも敵の襲来に備えるために夜も熟睡していなかった。
(動物の睡眠は常時その状態なのだそうです)
日本は安全なので、公衆の面前でも寝られる。

などですが、どうも説得力に欠けます。

定量的なデータという点では、
睡眠時間の長さについての統計データが紹介されています。
NHKが1995年に作成とありますが、
調査方法等の詳細は不明です。

NHKが睡眠に関する調査をしているのは、
有効な放送時間を決めるためなのだそうです。

大人の1日の睡眠時間
             女性     男性
日本       7.20    7.47
カナダ      8.14    8.03
アメリカ      8.23    8.07
イギリス     8.30    8.32
オランダ     8.03    7.42
デンマーク   8.17    8.06
フィンランド   8.22     8.10
欧米の平均  8.18     8.07

これによれば、たしかに日本人の睡眠時間は最短です。
ですからそれを補うために居眠りをしているのではないか、
という推論を誘導しますが、
著者はそういう主張はしていません。
証明できませんものね。

これとは別に,ヨーロッパの委員会が調査したデータも
紹介されています。
これによるとフランスが、女性8時間55分、男性8時間45分で、
男女とも最長です。

これについて著者は
「フランス人の性生活が濃厚だということか」
とジョークを言っています。

いずれの調査でも性生活の時間は独立の区分がなく、
睡眠の定義が以下の内容であることからすると、
睡眠に含まれていることを示唆したものです。

 昼夜の睡眠および、病気でベッドに横になっている時間、
 あるいは就寝して眠りを待っている時間


結局、肝心のこと、つまり日本人だけが居眠りをよくするのか、
なぜそうなのか、についてはよく分からずじまいでした。

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そこで少し考えてみました。
自分達が実施している研修の中での居眠りは
どうなっているのか、と。

当社の研修は、
出席すれば単位が取れるというようなことはありません。
ごく少数の場合に自分は受講したくないけれと
上司の指示で参加しているという場合があります。
この場合は第1義が出席ですから、「居眠り」はありえます。

それ以外の場合は、眠ってはいけません。
「居る」目的が達成できませんから。

受講生は学ぶ目的で参加しているのですから
眠るのは研修の内容に問題があります。
演習中に眠る人は滅多にいません。
徹夜明けで参加したというようなごくごく少数の場合です。

居眠りが起きるのは解説中です。
講師の説明内容が関心を惹かない、
あるいは説明が冗長である、単調である、という場合です。

「単調である」のは、大学の先生には多かったですが、
テキスト読み上げ調、抑揚・メリハリがない、
の場合です。

抑揚は迫力にも通じます。

受講生側の意欲も居眠り発生に関係する要因でしょう。

私自身の場合、多くの場合は講師ですが、
ときに受講生になることもあります。
私は関心のあるテーマを選んで参加しているのですから、
意欲は十分です。

それでもいつの間にか、
そうですね、どんなに頑張っても長くて1時間もすると
一旦睡眠状態になってしまいます。

ですから、研修中の居眠りは受講生側の責任ではなく、
講師側の責任だと思っています。

単調を避け、眠らせない最も有効な対策は、
ときどき質問を行いながら進めることです。
こうなると受講生は眠っていたり、
ボウッとしているわけにいきません。

結果として研修の習得度が高まります。

こうして考えてみると、居眠りには2種類あって
居ることが第1義の居眠りは、何も問題がなく、
大いに実践すべきでしょう。
短い時間で眠りに入れることは一つの才能です。

これに対して、居ることが第1義ではなく
そこに参加しなければならない場合の居眠りは
しない対策を断固とるべきでしょう。

会議なら、
居眠りしかけている人に議長が発言を求めるなどです。
「みんな仲良くしよう」などという指導原理は
これからのビジネス社会では通用しないでしょう。

どこかの会社の社長が、
「役員会で2回続けて発言しなかった役員は下ろす」
と言ったそうですが、そういうプレッシャを与えるべきです。

電車の中やプライベートな時間での居眠りと
目的を持って集まっている場合の居眠りとを
いっしょくたにして考えてはいけないのです。

これが、当書を読んでの収穫でした。

ぼやき:人文科学系の本は疲れます。

2013年6月29日土曜日

米中首脳会談から何を考える?

【このテーマの目的・ねらい】
目的
 中国政策について考えていただく。
 排除政策や封じ込め政策はムリということを認識いただく。
 中国同化政策について考えていただく。

ねらい
 
 
 
 
 今後、中国政策についてもっと考えていただく。

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2013年6月最大の歴史的事件は
ご承知のように6月7日・8日に行われた米中首脳会談です。

この「事件」は当ブログでも無視するわけにはいきません。
以下に私の見解を述べさせていただきます。

この会談は非公式ですべての内容は分かっておりません。

この会談を働きかけたのは米国側で、
台頭してくる中国の強引な膨張に対して釘を刺そう
という意図です。

中国習金平氏は昨年から
「広大な太平洋には中米両大国を受け入れる十分な余地がある」
と発言して、
暗に太平洋分割統治をほのめかしているのです。

中国の勢力圏を拡大することについて、
西側には多くの欧州諸国・ロシア支配圏があり
当面無理です。

南側へもインドや
今のところ自由主義圏の東南アジア各国があり、
簡単ではありません。

その点、東側は比較的容易と踏んでいるのです。
尖閣諸島を、日本を脅かして巻き上げるくらいは
そのほんの入り口程度にしか考えていないでしょう。

その本音が見え見えでしたから、
オバマ大統領が米国に呼びつけて釘を刺したのです。

上述の習金平発言の内容は、、
今回の会談でも冒頭に習氏が述べたそうです。

オバマ大統領は、それを聞いて「やはりそうか」と
おそらく予定以上の時間とエネルギをかけて
あらゆる問題について腹を探ったのだろうと思います。

尖閣問題については公式見解の
「米国は領有権については特定の立場をとらない。
事態の悪化を避け対話で解決することを望む」
を再確認しました。

が、もう一歩踏み込んで
「同盟国である日本が
中国に脅迫されることは見過ごすことはできない」
と発言したと報じられています。

日本にとって心強い発言ですが、
米国の真意は日本を守るということよりも、
中国の勢力圏の膨張を押さえたいということでしょう。

中国側から見ればこういう脅しは、
相手が自分よりも強いから従おうかなと思うのであって、
脅しにかからないためにも
中国は軍事力を強化するでしょう。

ここからが私の見解ですが、
この先、世界の勢力図はどうなっていくのか、
中国に対してどういう対応をしたらよいのか、です。

国力とは何かですが、
軍事力、経済力、それらを基礎にした政治力です。

軍事力は経済力がなければ実現できませんから、
以上の3力の中では経済力が基礎です。

この経済力はどこから来るかですが、
短中期的には、
共産主義か資本主義・自由主義かの差だったようです。

しかし長期的には、
経済力したがって総合的国力の源泉は
人口だと思われます。

人口の大きな国が強くなるのです。

この前提は人間の潜在能力は、
人種や国によって差はないということです。

環境や歴史によって
現時点での顕在化能力には差があるかもしれません。

しかし、同じ先祖から分かれてきているのですから、
国民の平均的な潜在能力は同じで、
機会が与えられれば
能力を発揮するようになると考えられるのです。

その観点から見ると、
ご承知のように人口世界一は中国で13億人です。
米国はその4分の1以下の3億人です。

この両国の国力が逆転するのは,
残念ながら時間の問題でしょう。

EUは、
小国が連合して大国として行動できるようにしようとしていますが、
現時点では27国合計で5億人です。
米国を上回りますが、中国の半分以下です。

その点からして中国に対抗できるのは12億人のインドです。

ところが、
インドは現在のところ経済強国への道を歩んでいません。
その要因は、
ヒンズー教とそれに由来するカースト制度にあるようですから
強国への道は遅々でしょう。

中国はすでに、インドを抱え込もうと
他国に先駆けて経済連携を強めています。
このままいくと、中国の対抗勢力になることが期待できません。

これらの点については、上野則男のブログ2012年9月の
「インドはなぜオリンピックが弱いのか」
 http://uenorio.blogspot.jp/2012/09/blog-post_4648.html
をご参照ください。

中国の世界一大国への道は止められないし、
対抗勢力の台頭も無理とすると、
日本または世界の周辺国家としては
どういう戦略をとるべきでしょうか。

今のところは米国のようなけん制が効くでしょうが、
間もなくダメになります。

封じ込め等により強国への道をふさぐことは
多少強国化を遅らせることはできるでしょうが
人口に基づく基礎力があるのですから
阻止は無理です。

となれば、仲間に引き入れる方法しかありません。
中国が大国になって嬉しくないのは、
各国に異なる価値観や制度を持ちこまれることです。

したがって、逆に積極的に自由主義の価値観・制度が
中国に浸透するようにすればよいのです。

中国でも国民1人1人は、
自分が満足のいく生活ができればよいのであって、
世界を制覇しなくてもよいのではないでしょうか。

現時点で仲間に引き入れる最も早道なのは、
TPPへ参加させることです。
中国も仲間外れを恐れて参加を希望しているようですから、
絶好のチャンスです。

TPPの枠組みは、日本社会でも壊されるかもしれない程の
徹底した自由競争主義です。、
これが中国に浸透できれば、
共産党一党独裁制度も危ういでしょう。

ですから、これまでは中国としてTPP参加は
望んでいませんでした。

今でも、TPP参加は真意ではなく、
TPPをかき回して壊すか弱体化させよう
という意図かもしれません。

TPP参加はともかく、
本論での結論は以下のとおりです。

安易な中国市場への進出や、
中国政府の政策への迎合は謹んでほしいのですが、
中国の排除や封じ込めは無理です。

封じ込めではなく、
積極的にこちらの土俵に乗ってくるような
同化政策をとるしかありません。

そういう戦略の下に、
尖閣問題など個別の案件では、
中国の膨張政策には断固として正論を通すべきです。

中国の中華思想的価値観を
認めることがあってはなりません。
向こうの価値観を認めれば、
同化政策がますます困難になります。

中国同化政策は難しい道ですが、
道はそれしかないでしょう。

2013年6月27日木曜日

橋下徹さんは正しい!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的
 橋下透大阪市長の「発言」を擁護する意見
  を知っていただく。
 慰安婦問題について再考していただく。
 マスコミ・世論の偏りについて考えていただく。

 
 
ねらい
 あらためて以下のブログを読んでいただく。
 http://uenorio.blogspot.jp/2011/12/blog-post.html
 (「慰安婦」問題の虚構)
 日本の「正論」を主張しましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
6月23日に行われた東京都議会選挙で、
日本維新の会は惨敗しました。
34人の候補者を立てながら、
現有議席3以下の2人しか当選できなかったのです。
自民・公明が全員当選したのと対照的でした。

惨敗の理由は橋下さんの慰安婦関連発言が影響した
とみられています。

橋下たたきは、例によって一部マスコミと
それに踊らされた「世論」の所業です。

「失礼な言い方をした点についてはお詫びするが、
言っていることは間違いではない」

私は橋下さんのこの発言の
「言っていることは間違いではない」は
そのとおりであり、筋を通して立派だと思います。

以下、橋下さんの言う
「言っていることは間違いではない」を検証します。

ことの発端はこうです。
5月13日に記者会見でこう語りました。

 
 「慰安婦制度は必要だったということです。
 それが意に反するかどうかにかかわらず、
 軍の規律を維持するためには、
 そういうことが当時は必要だったのでしょうね」

 「沖縄の普天間に行った時に、
 司令官のほうに「もっと風俗嬢を活用してほしい」
 と言ったんですよ」

当然、この発言には流れとか背景があると思われますが、
この部分かもっと縮められて報道されたのでしょう。
この二つを繋げると、米軍に慰安婦制度の活用を勧めたと
取れなくありません。

米軍司令官としては、
「夜間外出禁止令とか対策をとっているのに、
横合いから余計な意見を言うな」
と自分の責任遂行不備を指摘されたということで
怒るでしょうね。

それが発言に至らない点があったと謝罪する部分でしょう。

しかし、軍の規律・士気維持には
慰安婦制度の活用が必要だという点に関しては正論だ
と言っているのだと思います。

軍と慰安婦制度との関連についての事実を、
「史実を世界に広める会」の事務局長茂木弘道氏の
「慰安婦の素顔」(歴史通2012年1月号)から
ご紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
世界各国の外政軍は兵士の性処理対策を
それぞれの国内の売春関連法に基づいて行っていた。
日本は公娼が認められていたので、
その戦地での営業として慰安所が設けられた。

アメリカでは売春が合法ではないので、
現地調達方式をとった。

(朝鮮戦争はおろかそれより現在に近い)
ベトナム戦争では、以下の形で運営されていた。

「軍基地の軍事売春宿は師団長の承認で作られ、
運営は大佐級の師団長の管轄とされた。
明らかにベトナムにおける軍売春宿は
(途中省略)ペンタゴンの支持で存在していたのである」
(スーザンブラウンミラーの著書からの引用)

朝鮮戦争の際の韓国の米軍は、
韓国政府が用意した「慰安施設」を利用していた。

売春婦の管理を世界で最初に行ったのは
1798年のパリであった。

その後
植民地政策で海外に兵を多く出していたイギリスでは
性病予防法を制定して軍に管理させた。

幕末イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国から
性病管理の考え方が日本に導入され、
日本は民間でもまた軍においても
売春管理と性病管理に真剣に取り組んだのである。
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ということで、米国も慰安婦を利用してきているのに、
そういうことはまったくないようなキレイごとで
橋下発言を非難するのは、無知な米国民ですね。

間接調達方式のために、
アメリカ一般人は、そういうことを知らないで
「慰安婦方式などとんでもない」
という意見を述べているのだと思います。
噴飯ものです。

あるいは、
いまだに日本たたきをしたい人種がいるのでしょうか。

私の想定では、橋下発言をあげつらったのは
米国にもある「朝日新聞型」マスコミでしょう。
米国民全体が怒っているような伝え方をしました。
 

それが米国に「ヨワイ」日本にUターンしてきて、 
アメリカが怒っていると伝えられて大騒ぎになったのです。

そんな一部アメリカ「世論」をとりあげるのは、
日本のマスコミに偏見があるとしか思えません。

橋下さんへのネタミがあるか、
強いものを叩くと大衆が喜ぶという
マスコミの「大衆」迎合主義です。

 
そもそも、この問題の背景には
韓国の「慰安婦」問題があります。

大騒ぎになっている
日本軍が韓国女性を強制連行して慰安婦にしたという話は
まったくの虚構であることはほぼ完全に実証されています。

この点については、
前掲の茂木さんのレポートに記述されていますが、
当ブログでは、2011年12月の「慰安婦問題の虚構」で
その内容を紹介しています。

橋下さんの5月13日の発言の全文を
把握できていませんので確認できませんが、
「間違ったことは言っていない」については、
「韓国慰安婦問題はなかった」
ということも含んでいるような気がします。

橋下さん、めげないで今後とも筋を通してください。
でも国政よりも
大阪市政に力を入れた方がよいのではないでしょうか。

2013年6月18日火曜日

悪法「個人情報保護法」を早く改正せよ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 餓死事件などの悲惨死には個人情報保護法が
 原因のひとつとなっていることを知っていただく。
 個人情報保護法の問題点を知っていただく。
 その改正上野案を知っていただく。

ねらい:
 個人情報保護法の早期の改正を実現したい。

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既報の大阪母子「餓死」事件は未だに謎が解けていません。

その後、母親は昨年12月まで2月ほど北新地の飲食店で働いていて
月収30-40万円稼いでいた。
12月には無断欠勤していた。
その12月分の給与は1月に取りに来なかった。
解剖で胃の中は空だったが、腸には残留物があったので、
餓死ではなさそう。
飲食店の仲間の話では「ボーイフレンドができたと言っていた」

などが判明しているようですが、
ますます謎が深まるばかりで決定的なことは何もわかっていません。

この事件には関心がある人が多いようで
「大阪母子餓死」でGoogle検索すると
10万件が該当すると出てきました。

その中に私のブログの
「大阪で母子が餓死 そんなことがあっていいのか!!」は
55番目位に出てきました。

何か分かったことがあるのか、と探求する中で
あることが分かりました。

それは、
「『日本』で餓死が頻発 調べて分かった意外な事実」という
NAVERさんの記事です。

NHKの調べでは平成12年以降餓死者は712人(年間60人前後)
という前置きの後で、以下の事実が挙げられています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2012年2月 埼玉の親子3人が死亡した事件
 
 最後に訪れた水道の検針員が使用料が倍のため
 漏水の疑いがあるとしてアパートの管理会社に連絡したが、
 個人情報を理由に電話番号などを教えてもらえなかった、という。

日本政府は餓死者を出さないよう、
料金滞納でガスや電気を止める場合は事業者と自治体が連携し、
生活保護の需給を勧めるなどの対応を取るよう通知しているが、
個人情報を理由に事業者が情報提供を拒んでいる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昨今の風潮は個人情報は「錦の御旗」で、
何にもまして絶対に尊重しなければならないものであるかのように
扱われています。

「学級名簿・卒業アルバムが作れない」
「医療機関への個人情報の提供を拒む」
「鉄道事故が起きたのに鉄道会社が家族の安否確認に応じてくれない」
などの例が国民生活センターに報告されている。
(Wikipedia「プライバシー」の項)

私は、「上野則男のブログ」の前身である弊社の情報誌
MIND-REPORT 2006年4月号で
「個人情報保護への適切な対応はこうだ!!
ーー「過剰反応」をやめて「有用性の認識強化」へーー
という主張をしています。
  http://www.newspt.co.jp/data/info/mr/mr73/mr7308.pdf
  

  http://www.newspt.co.jp/data/info/mr/mr72/mr7203.pdf

この時は同法施行1年時点ですが、
すでにかなりの弊害が発生しているのを受けて
書いたものでした。

その後も同じ傾向が続き、
すでに人の命に関わるところまで来てしまったということです。

個人情報は尊重されるべきものです。
本来、個人情報はプライバシーの保護の観点から
保護されるべきものですが、
プライバシー保護法のような法律がないため
一般人が誤って、
個人情報保護に過大な期待をしてしまっているのです。

そもそも、個人情報保護法は以下の目的で制定されたものです。
第1条
 前略 個人情報の適正な取り扱いに関し、
 基本理念および政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する
 施策の基本となる事項を定め、
 国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、
 個人情報を取り扱う事業者の順守すべき義務等を定めることにより
 個人情報の有益性に配慮しつつ
 個人の権利利益を保護することを目的とする。

個人情報を取り扱う事業者順守すべき義務」を定めていますので、
それ以外の事業者や個人の義務を定めているものではありません。

法の対象としている事業者は
「5000人以上の個人情報を保有する企業」です。

それ以外の事業者や個人は
個人情報を尊重する精神は共有してよいのですが、
事業者や個人の具体的行為が法に縛られるわけではありません。

さらに、「個人情報とは何か」ですが、

第2条 生存する個人に関する情報であって、
当該情報に含まれる氏名、生年月日、
その他の記述により特定の個人を識別できるもの
(他の情報と容易に照合することができ、
それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)
をいう。

とありますのですべての個人に関する情報が対象となります。

前掲の寄稿の前段で経済産業省の担当課長補佐に確認したところ、
氏名だけでも個人情報であるという見解でした。

個人情報に対する事業者の義務は何かですが、要約すると以下の3点です。
 正確性の確保(誤った情報を保持しないようにする)
 安全管理措置(漏えいしないようにする)
 
 第3者提供の制限(本人の同意なしに第3者に提供しない)

 
このほか、保有する個人データについての規制もあります。
(省略)
--------------------------------------------------------------------------------------------

以上前置きが長くなりましたが、
本稿で問題とするのは以下の点です。

餓死事件でも問題になったのは
第3者提供の制限です。

この制限があるために関係者が機動的に動くことができずに、
みすみす本人達を死に追いやった一因となっている
ということです。

これは、個人情報保護法の目的である
「個人の権利利益を保護する」とある一番基本的な権利利益である
生存を損なってしまったということなのです。

どこかおかしいではありませんか!!

小中学校の連絡網も作れず
災害の時にもお互いの安否確認に支障をきたす
などおかしいですね。

一部の父母が「個人情報だから」と
あたかも個人情報保護法で保護されているような言い方をするのに
学校側が適切な対応ができていないのです。

先ほど述べましたように、
この法は限定した事業者の責任を規定したものにすぎないのであって、
個人の権利を定義したものではありません。

それでも、このような拡大解釈・誤解が流布されますので、
この悪法を以下のように改正すべきであることを主張いたします。
----------------------------------------------------------------------------------------

「個人の情報ではなく個人の利益を保護せよ!」

法の「目的」は個人情報の保護ですが、
その「ねらい」は個人の権利利益の保護です。

今のように形式的目的優先で、個人情報を保護すると
事件のように本人の利益にならないことが発生します。

個人情報の保護を目的にして、
個人の利益が損なわれることがあっては
本末転倒ではないですか!!
本人の利益を優先して考えるべきです。

そこでまず1点目の改正点は、
 保護すべき個人情報の範囲の変更で、
 氏名・住所・電話番号のみの場合は保護の対象から外す
 のです。

こうすれば、連絡網の名簿は作成できます。
前掲の事件の場合も問題なく情報入手できるようになります。

この範囲の情報が他人に伝わると、
本人の不利益になるのは、通常はDMや勧誘が来ることです。
DMは無視(廃棄)をすればよいのですが、
電話の勧誘は迷惑です。

それにj対しては、
勧誘用の情報を収集して販売する業者を取り締まる法
を制定すればよいのです。
漏えいしないように規制するより
この方が即効性があるでしょう。

ストーカーなどの被害が発生することも想定されます。
ストーカーは犯罪行為で軽犯罪法で取り締まれます。

その被害の可能性よりも、
連絡網がないことの不便さ・不具合の解消、
今回の事件のようなことが起きないことの方が
価値があるのではないでしょうか。

2点目の改正点は、
規制対象を原則禁止規定から限定禁止規定にすることです。

現在の法は形式的な原則禁止規定です。
前述の事業者の3責任
 正確性の確保
 安全管理措置
 
 第3者提供の制限
に関して遺漏があると、
結果が対象個人の不利益になるかどうかに関わりなく糾弾されます。

漏えいが発生したら指導処罰を受けるのではなく、
そのことによって本人の不利益になることが発生した場合にのみ、
指導処罰を受けるようにするのです。

そうすれば、事業者の裁量の余地が広がって無駄な投資や
かたくなな対応をしないでよくなります。

いずれも、現行法が
「個人の権利利益を保護する」としながら、
形式的な規制に終始してしまっている状況に対して、
本来の法の「ねらい」である「個人の権利利益の保護」
を第1義にしようということです。

当然のことではないでしょうか。

実は、2点目の改正を行えば、
1点目はそれに包含されるとも言えます。

しかし、現在のように無理解の人が問題を広げますので
単純に
「住所氏名電話番号は保護される個人情報ではない」
とした方が分かりやすいでしょうから、
あえて第1の改正点として残します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現時点の個人情報保護が形式主義であるという例ですが、
先日ある人から私が注意を受けました。

本人の事前許可なしに私がある人Aさんを
私が知っている人Bさんに紹介するために
Aさんへの「Bさんをよろしくお願いします」というメールに
Bさんにccを入れたのです。
結果的にAさんのメールアドレスが
Bさんに知られることになります。

そのことをAさんの会社のCさんが知って
Aさん本人ではなく、
Cさんが、その行為は個人情報の保護上問題ではないか
と言ってきたのです。

この場合,
AさんのメールアドレスがBさんに知られることになることが、
Aさんにとって利益があることかどうかが重要であって
個人情報の一部であるメールアドレスを本人の許可なく
第3者に知らせたことに目くじらを立てることではないでしょう。
そう思いませんか?
現行法はこういう形式主義を助長しているのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そもそも、こんなに個人情報保護法が前面に出ているのは、
「プライバシー保護法」がないからなのです。
個人情報を保護したい最大の目的はプライバシーの保護でしょう?

個人情報の保護は、形式論で先進国事例も見習い、
比較的容易に立法化ができました。

ところが、プライバシー保護は、未だに法制化ができないのです。
プライバシーとは何かの定義がなかなかできないからでしょう。
プライバシーに関しては日本の法律での規定はなく
判例が規定をしているのみなのです。

「宴のあと」事件の判例では、

「個人の私生活に関する事柄やそれが他から隠されており
干渉されない状態を要求する権利をいう」
より具体的に言えば
「私生活上の事実または事実らしく受け取られるおそれのあること」
「一般人の感受性を基準にして
当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうとみとめられること」
「一般の人々に未だ知られていない事柄であることを必要とし、
このような公開によって当該私人が実際に不快不安の念を覚えたこと」

をプライバシー権に関わることとしてあげているようです。

これを一般化して実効性ある法律にするのは至難ででしょうね。

とにかく、早く個人情報保護法を改正して欲しいものです。

論点が一部錯綜していますので
いずれ再寄稿いたします。

2013年6月1日土曜日

頭がイイワルイってどういうこと?


【このテーマの目的・ねらい】
目的
 頭脳の働きの特性についてどういう種類があるかを知っていただく。
 頭がイイワルイといっても
  いろいろあるのだということを再整理していただく。

ねらい
 そういう目でヒトを見ましょう。
 特に、良いところを見つけて評価しましょう。

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先日の【「7日間で突然頭がよくなる本」ですって?】に対して
kuamgorowさんが以下のようなコメントをくださいました。

 論理思考から、時代はイメージ思考に変化しつつあります。
 前者は、演繹と帰納法ですが、後者は、具象化と抽象化です。
 今の時代は、この具象化と抽象化を身に着ける人が、
 「頭がいい」のだと思います。

おそらくそのとおりだと思います。
それはそれとして、
頭のヨイワルイにいろいろな種類があることは間違いありません。

20年くらい前に
私がその点について整理したものをご紹介します。



上の図で「気質」とある部分は今風に言えば「地頭」で
外側の青い部分は後天的な頭の働きということになります。
以下に簡単に説明します。

左脳・右脳特性
 左脳は論理脳、右脳は感性脳とか言われています。
 芸術家の脳は右脳型です。
 kumagorowさんのご意見は、
 これからは「左脳より右脳だよ」ということになります。
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 その後、思いついた仮説があります。2013.6.18追記
 時間間隔は左脳,場所間隔は右脳ではないか
 時間の観念のない人と論理性の弱い人、
 方向音痴と左脳型人間は一致していませんか?
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男の脳・女の脳特性
 女性の脳は右脳と左脳を連携する脳梁がたしか3割くらい太いのです。
 左脳は1+Ⅰは2とか計算するのに対して、
 右脳は直感で2と答えを出すので、
 圧倒的に情報処理能力が高いのです。

 したがって、ものごとを判断する時に右脳優位(直観型)となります。
 「ワルイこと」をした夫が四の五の言い訳を言っている時に
 それは聞かずに直感で「これは怪しい」と判断する、という類です。

判断力・記憶力特性
 この違いはお分かりでしょう。
 学校時代は記憶力の良い人が好成績で「頭がいい」と言われます。
 
 

 ところが社会人になると必要なのは判断力です。
 学生時代に頭がよかった人が「サッパリ」になることが多いのは
 このためです。

 地頭論の時には、記憶力のことではなく、
 判断力のことを言う場合が多いようです。

知・情・意特性
 
 
 この3つは独立の特性です。
 知は大脳前頭葉の働き、情は大脳のどこか(忘れました)
 意は本能的な部分で小脳の働きと考えられています。
 知がすぐれているけれども獰猛な人もいるのです。

性能特性
 判断力は優れているけれども、早い会話について行けない人、
 記憶力が優れているけれどもすぐにぱっぱっと出てこない人
 とかいますでしょう?
 そういう人は脳の中を動く電流のスピードが遅いのです。
 

 逆に、早い会話で適当なことを言うけれども、
 ときどき間違っている人もいます。
 こういう人は、
 性能特性はいいけれども、判断力が今一なのです。

血液型特性
 私は、以上の特性と並んで、その効き方は分かりませんが、
 血液型によっても思考特性の差があると思っています。
 関心ある方は、こちらをどうぞ。
http://www.ni.bekkoame.ne.jp/uenonorio/nou/ketuekigata_2.htm

http://www.ni.bekkoame.ne.jp/uenonorio/nou/ketuekigata_1.htm