2018年9月28日金曜日

これからの日本をどうする!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 これからの高齢化社会・超IT化時代を見据えて
 モデル生活圏を考えてみましょう。
ねらい:
 そういうことを早く実現してほしいものです。
 夢でしょうかね??
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別項の「日本の戦後の世代交代はこうではないですか?」
の続きで考えてみました。


2017年初頭に出版された
「マッキンゼーが予測する未来、こんなにも激しく破壊的だ」では、
「近未来のビジネスは4つの力に支配されている」として
以下の4点を挙げています。


1.異次元の都市化のパワー
2.さらに加速する技術進化のスピード
3.地球規模の高齢社会の課題に対処する
4.音速・光速で強く結び付く世界


1、は、都市はビジネスにも生活にも便利なので、
放っておけば都市化が進展するというものです。
他は自明のことです。


私は、2,3,4を前提にして、
現在の都市のイメージではない新しい町づくりをすべきだと思い至りました。


今の都市ではないビジネスにも生活にも便利な町を作るのです。
そこでは高齢者が子・孫と同居する3世代ないし4世代住居が中心です。
高齢者が子・孫と同居することは、
高齢者の生きがい・健康のためにも、
子・孫たちが生活指導を受けられる面でも、非常に有効なはずです。


ビジネスや生活は、
ネットワーク時代の恩恵をフルに受ける形とします。


より具体的にはこういうことです。


今の都市ではない生活が便利な町を今の農地に作ります。
その中核として、
1家族100坪の土地に3ないし4世代が同居する住居群を据えます。
基本的には個人の資金ですが、国も補助してよいと思います。
農業をするのではないので、この広さで十分快適な住環境が作れます。


そうすると一町歩に30家族、少なくとも100人が収容できます。
100町歩で1万人となります。
100町歩は僅か12キロ四方です。


区画整理が整然としていた、昔の札幌市の市街区域でいえば、
北20条から南20条の東西10丁目で、100町歩が8区画できます。


モデルの標準だと、2.4万世帯、8万人ということになりますが、
戦後間もなくの昭和25年~30年当時の札幌市は、
世帯数が7万~9万世帯、人口が30万~40万人でしたから、
モデルの4~5倍の人口密度だったということになります。
私が住んでいた時の記憶ではそんな感じでした。


100町歩で1万人の人口があれば、
学校や行政の組織の設置が可能となります。
充実した生活にとって重要なコミュニティの場も設置できるでしょう。


因みに、市の基準である5万人は500町歩で可能です。


学校は2校作ります。
1校だと独占の弊害で進歩しなくなるからです。
3000家族なら、未成年者が3000人はいます。
1学年150人の計算になりますから十分2校作れます。


仕事は、どうなるかですが、
これからは,IT化の進展で在宅で可能な仕事が増えます。
ときどき、遠くの事務所に出社します。
現在は毎日通勤している距離です。


建設業は、地域内で仕事があります。
製造業は、地域で特化した業種が立地します。
ロボットが発達しますので、残念ながら今より少人数です。


農業も同じです。
農園に働きに行く形になります。
おそらく、自転車で通える距離に存在できるでしょう。


どうしても、人間がしなければならない仕事は、
対人関係の仕事です。


介護がその筆頭です。
地域で自給自足です。
3世代生活であれば、今よりも要介護者は減ると思われます。


医療はほとんどが遠隔診断で可能となるでしょうが、
手術はやはり人間です。
そのような医院が地域に立地できるでしょう。


小売業は、大型店がいくつかでき、そこで働く人もいます。
趣味に直結するような専門店は
各自の家で開くことになるでしょう。


地元のスーパーにないような商品の配達の一部は、
ドローンが活用されるようになります。


日本の現在の職業構成を見ると、。
異なる資料からの合成なので、正確でない面がありますが、
慨ね以下のようになっています。


日本の職業別人口 各種資料から合成



職業

就業者数

構成比

就業者総数

6500.0 万人

100%

事務従事者

1295.0

 19.9

専門的技術的職業従事者

1111.0

 17.1

生産工程従事者 

889.0 

13.7

輸送・機械運転従事者

219.0

 3.4

販売従事者

 862.0

 13.3

運輸清掃包装等従事者

464.0

 7.1

公務員

340.8

 5.2

農業

226.6

 3.5 

漁業

  17.3

  0.3

建設・採掘従事者

 302.0

  4.6

小学校教師

 41.9

 0.6

中学校教師

 25.4

 0.4 

高校教師

 22.7

 0.3

医師

 30.3

 0.5

看護師

101.6

 1.6

薬剤師

 28.0

 0.4

警察職員

 29.4

 0.5

弁護士

   3.6

  0.06

美容師

 48.8

 0.8 

理容師

  23.4

  0.4

一級建築士

  35.6

  0.5

自衛官

 22.6

 0.3

検察官

  0.3

  -

検察事務官

  0.9          

  -

販売従事者から一級建築士までの合計

2603.4

 40.1%
この職業を、地域内で地産地消するもの
(販売従事者から一級建築士まで、太字で表示)と、
他の地域に働きに行くものとを大ざっぱに分類してみました。


販売従事者は必ずしも地域内ではなく、
地域の外に働きに出る人もいるでしょう。
逆に事務職は、全てが地域外ではなく地域内にもあるはずです。
そのあたりは計算上割り切りました。


そうすると、地域内の人間が従事する職業は約4割です。
6割は地域外に勤務することになります。


おそらく、
オフィスワークのかなりの部分が在宅で可能となるでしょうから、
通勤は多くて半分程度でしょう。
ということは、7割は地域で仕事ができるということです。


高齢者や、高齢者でなくてもその気がある人たちは、
地域のコミュニケーションセンターで
様々な「クラブ」活動に参加できます。
住民は活性化します。


お祭り行事も盛んにします。
ということは神社も必要ですね。
伝統的な日本の社会生活のスタイルです。


こんな町ができれば、
高齢者が元気になり、医療費の削減も可能です。


どうでしょうか。
どこかで、早急に国家戦略特区でモデルを作り
その有効性を実証すべきです。
国家戦略特区はそれくらいの大仕事をしてほしいですね。


それにしても効果が明確になるまで時間がかかりそうです。
どうしたものでしょうか??

日本の戦後社会の世代交代はこうではないですか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 今の日本社会の後進性・停滞感から
         早く脱却できないものかと考えます。
 いつ頃それが可能になるかを考えてみます。
ねらい:
 そうなることを期待しましょう。

 これの続きは、「これからの日本をどうする!!」で述べます。
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検討の前提
人材の世代交代には30年かかります。
ビジネス従事者は20代から50代まで30年間活躍します。
若い時の成功者が、その成功体験を基に後半生で
支配力を持ちます。


したがって、
世代は、がらっと世代交代してしまうのではなく、
次の世代の半ばくらいまで影響力があります。
しかし、後半では当世代人が主流になります。


そういう目で、戦後の日本社会を見てみます。


1945-1960 戦後復興・成長期 
 15年で30年分の変革を成し遂げました。
 15年で急速展開できたのは、旧世代人がいなかったからです。
 消滅しかけた国が生き返りました。


 需要主導型経済で 「作れば売れる」時代でした。
 生活必需品がゼロスタートしているので、
 需要が想定される対象に投資すれば報われました。
 
 需要は生活需要なので想定は容易でした。
 中心は農業、石炭産業、繊維産業(綿糸)、建設業、です。


1960-1990 高度成長期
 この時代は、戦後復興・成長期の成功者が仕切っています。
 付和雷同型・モノマネ時代で、自分の頭をあまり使っていません。
 
 生きるための需要は一巡し、
 生活を豊かにするための需要が勃興しました。 
 鉄鋼、化学、合繊、電機、自動車などの産業です。
 
 旧松下電器は「マネシタ」と揶揄されました。
 他社が良い製品を出すと、生産技術・生産力にものを言わせて、
 市場を席巻しました。
 他の企業も似たようなものです。


 スーパーマーケットダイエーは1959年誕生、
 ジャスコは1970年誕生、
 セブンイレブンは1973年誕生、
 ヤマト運輸の宅急便は1976年誕生です。


 攻め型・積極派が勝ちの時代でした。
 エズラ・ヴォーゲルによるJAPAN アズ ナンバー1は
 1979年の著書です。


 最後は不動産バブルです。
 不動産担保融資では、融資者はこれまた頭を使っていないのです。
 
 当時、商品先物業界の私の友人社長は、
 「従業員数百人が汗水たらして稼いでいる利益よりも、
 2-3人でやっている不動産事業の利益の方が大きい」
 と嘆いていました。


 我が社の親会社が購入して利用していた
 7千万円の赤坂のマンションは3億5千万円で売れました。
 そんな時代です。


1990-2020 停滞期 (よく言えば成熟期) 
 今現在です。
 この時代の前半は、高度成長期の成功者が仕切っています。
 全般的には、停滞ムードです。

 1990年にバブル崩壊です。
 前半はまだら模様で、IT産業などはまだ伸びていました。
 ITバブル崩壊は2001年です。


 次第に日本中が、
 自信喪失・自信の持てない派、 閉じこもり型になり、
 企業は積極的投資をせずに資金を貯め込みました。
 バブル崩壊に懲りて、動けないでいるのです。


 以下の図の出典は、財務省財務総合政策研究所の
 「フィナンシャル・レビュー2017年10月号の
 「日本企業の資金余剰とキャッシュフロー使途」です。
 1996年からずっと企業は投資よりも貯蓄に資金を回しています。
 

 右肩上がりの経験しかない「できない部長」が、
 この時代の象徴的な存在です。


 右肩上がりの時は、
 「みんながやっていることをやっていればよかった」ので、
 そうでなくなった時に「手も足もでない」状態となったのです。


 社長も「できない社長」です。
  この後ろ向き姿勢のほころびが出てきています。
 「え――っ」というような不正事件が多発しているのです。
  製造業の品質不正 
  東芝の不正会計 業績の糊塗
  スルガ銀行の不正
  官庁の不正
 
 組織が変革・超競争社会に対応できずに、
 単なる組織延命のために不正をしているのです。
 「世も末」の状態です。


 このダメ世代は、
 世代計算からすると、2020年で主流から下ります。


こういう中でも、積極派は存在し後半で活躍しています。
 日本電産の永守社長、
 ソフトバンクの孫社長、
 ユーグレナの2005年創業時の出雲充社長の企業家魂は
                           素晴らしいものです。
 ZOZOTOWN、メルカリもユニークな新事業を展開しています。


 ホリエモンは残念ながら挫折してしまいましたが。企業家でした。
 その創業は1996年です。




次の世代は、こういう積極派が主流になるのです。
それを期待したいです。


2020-2050  IT大革命時代
 ITが生活を変える、全てのビジネスを変える、
 おそらく想像を絶する時代となります。


 前半はIT暴走期で おそらく人類の破滅も予見されるようになります。
 後半はその反省が起きることを期待したいものです。
 人間がロボット(IT)と共存する時代となります。
 至福到来でしょうか。


 この時代は、
 新ビジネス投資をしなければ、直ちに市場から見放されます。
 いわゆるデジタルフォーメーション(DX)の動きは急速です。


 日本企業は、DXで武装して世界規模で戦うか、
 純ローカルで戦うか(人力依存サービス、マッサージ、理容・美容、
 介護、など)の決断を迫られます。


 日本人はゆでガエル民族ですから、
 緩やかな変化には鈍いですが、急速な変化には素早く対応するはずです。
 単なるノロマではないのです。


 この変革期をリードするのは、
 先見性があり、決断力のあるトップに率いられる企業群です。
 合議制の会社はおいていかれます。
 社員の甘えは許されません。


 停滞期に誕生した前掲先進企業たちが日本を引っ張ってくれるでしょうか。
 強いゆでガエルに期待したいです。


以上とは別の世代交代論もありますのでご紹介します。
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垂直磁気記録方式を発明された東北大学名誉教授の岩崎俊一氏は、
學士會会報2018-Ⅴ号の寄稿「豊かな社会のために」で
以下のような「技術革新の40年則」を唱えておられます。

例1
磁気記録方式は次の発展をしている。
1898年 デンマークのポールセンが磁気記録方式を発明
1935年頃 ドイツで磁気テープを用いる面状の記録方式発明
1977年 岩崎氏が垂直磁気記録方式を発明


例2
真空管 1906年
トランジスタ 1949年
超LSI 1980年代


例3
マルコーニの無線通信 1901年
マイクロ波通信 1940年代
光通信 1980年代


この事実は、
研究者の世代交代も重なる普遍的な経験則のように思う、
と考えておられます。
技術者の世代交代が40年だというのです。


さらにこうも述べておられます。
興味深いことに、「技術革新の40年則」の40年周期は、
近代日本の転機としてもしばしば表れている。
1867年の大政奉還
1905年の日本海海戦の勝利
1945年の太平洋戦争敗戦
1985年の技術・経済大国の実現
(上野意見、これは少しムリがありそうです。
85年にイベントがあったわけではありません)


日本の次の転機は2025年になるが、
それは第4次産業革命の情報技術が作る
新たな価値を持つ社会が確立する時期である。


科学・技術に携わる者は、「個人」を「社会」に広げた
Quality of Society(QoS)の視点に立つことが
必要だと考えている。


それは正に、IoT(Internet of Things)による
新たな「ものづくり」の時代であり、
古来「草木にも魂が宿る」とした日本人の自然観に近く、
日本人の特性を十分発揮できるような時代になると予想される。
(上野注、なるほど!!)


したがって、そのような日本の社会の在り方が、
世界の規範となることも夢ではないと思われる。
これは私たちの次の世代の人たちによる実現を期待したい。


日本人の個性を評価したたいへん良いことを言っておられます。

現金大国コスト2兆円 なんでそんなことになるの??


【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 2兆円ものコストを、
 日本人はATM利用のために支払っているのです。
 なんでそんなことになっているのか検討してみます。
ねらい:
 日本社会は、そろそろ戦闘態勢に切り替えないと、
 完全に世界の後進国になってしまいそうです。
 どうしたものでしょうか。


 この続きは「日本の戦後の世代交代はこうではないですか?」
 で述べます。
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年間2兆円もATMの維持にかかるのだそうです。
2016年9月末で13万7千台の銀行ATMがあります。
これ以外にコンビニに5万5千台あります。
ATMは1台300万円、それに維持費が月間30万円かかります。

(2兆円の計算根拠は不明です。維持費だけなら年間約7千億円です

日本のATM機器メーカーは5社くらいあるのですが、
各メーカーが、入出金・振込・通帳記入の基本機能以外に、
個人認証方式を含め、多くの機能を開発し競争しています。

通帳の共通化ができないためにATMの共通化ができないのが
機器のコストがかかる一因です。
初めにどこかの銀行が記帳機能を持たせたら
他行も競争上記帳機能は避けられない、となります。


新生銀行は通帳がなかったので自前のATMをやめ
セブン銀行のに変更できたのです。


ご存じのように
現金の入出金だけをするのはどこのATMでもできるのです。
コンビニのはそれです。


コンビニのATMはセブンイレブンが始めました。
コンビニへのATMの導入は、やはり初めは抵抗があったようです。


ATMが現金収支機ならば記帳機能は要らない、と割り切りました。


因みに、
日本の現金決済比率は65%で世界各国で突出しています。
先進国の平均(32%)の2倍です。


逆に、キャッシュレス決済の比率はこうなっています。
 韓国 96%
 中国 60%
 米国 46%
本題から外れますのでこれ以上は言及しませんが、
なぜ日本は現金主義なのでしょうか。


日本のカイゼン重視が自前主義・部分最適の悪弊を後押ししている、


という概ね以下のような指摘がありました
(日経コンピュータ2016.9.1「焦点を読む」木村岳史氏)。


日本のカイゼンは自前主義・部分最適を助長している。
本来、改善の目的は、優れた良い方法を実現することのはずなのに、
良くても悪くても「自分でカイゼンした」方法を導入することに
なってしまっている。
カイゼンは日本の競争力強化の阻害要因になっている。


この自前主義は、
私も変更管理業務の営業をしていて痛感します。


そこでこれを機に
日本の自前主義またはオリジナリティ重視は
なぜ強いのかを分析してみました。


1.研究者はオリジナリティが重要である。
  これは各国共通の条件です。  
  オリジナリティがなければ
  発明にも特許にも、ましてノーベル賞にはなりません。
  研究業務にとっての第1の評価基準はオリジナリティです。


2.QC活動に代表されるカイゼン活動も、
  表彰対象になるのは
  創意工夫が込められたオリジナリティが必要条件です。
  
  その次の評価基準が改善成果の有効性・大きさです。
  ビジネスであるなら、この評価基準は順序が逆だと思います。
  前掲の木村氏の主張です。
  
3.成熟した市場で激しい競争にさらされるので
  他社と差異化するために、 創意工夫をします。 
  テレビやATMがその例です。
  
  部分最適思考・カイゼン型思考です。
  差異化が最優先で、
  コスト効果は二の次になっているのではないでしょうか。


  だから、
  日本の労働生産性は先進国中低位に甘んずることになるのです。


4.人間は人から言われるのは嫌いです。
  誰しもプライドがあります。自分の意思で行動したいのです。
  自分で考えたものでないことを拒否するのは、
  英語でもNIH(Not Invented Here)と言って人間共通のことです。
  プライドの高い人ほど、人の言うことを聞きません。


5.誰しも慣れた方法で仕事をするのが楽です。
  そこで、新しい方法は生産性が高くても「自分のところに合わない」
  とかの理屈をつけて自前主義を主張し拒絶します。


  私はこの状況を「変わりたくない症候群」と称しています。


こうして見ると、1.研究業務を除くと、
それを許している日本社会の環境・風土が諸悪の根源だ
ということになります。


言い方を変えると、
研究者的思考をビジネス全般に持ち込んでしまっている、
ということになります。


会社が潰れるとなったら、我ままを言っている余裕はなくなります。


日本の伝統的産業である農業は、個人個人が自営の経営者でした。
生産性が高まる方法を知ったら、
NIHだとか言わずにすぐに取り入れようとしたでしょう。


つまり結果に責任を持っていれば、
好きとか嫌いとか言わずに有効な方法を選択するのです。


昔は、情報の流通が限られていましたから、
そういう進歩のチャンスは多くなかったでしょうが。


近代の勤め人社会になって、
個人個人は、直接的には結果に責任を持たなくなりました。
したがって、「無責任」なのです。


「成果主義の評価制度にせよ」との主張はありますが、
現実的には一部の職業を除いては個人の成果の評価が困難です。
そのために、「我がまま・いい加減」を許す状態になっています。


結果を求められている上位管理者が
部下の成果を適正に評価すればよいのですが、そうなっていません。


その原因は、そういう能力がない上司が多いのと、
「和」を重んずる価値判断が利いてしまうからです。
「なあなあ」になってしまっているのです。


この場合は、「和」の重視が日本の大きな弱点になっています。
これでは日本は勝てません。


「上司さん、自信を持って厳しく部下を指導してください!」
と言いたいです。



「段取り」工事 結び

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 鉄筋コンクリートの建物の取り壊し工事の方法を研究します。
 段取りがよくない事例です。


ねらい:
 残念ながら、目に見える研究成果がありませんでした。
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9/2 2台がフル回転で頑張りだしました。

9/7 まだ入り口の1階コンクリートが残っています。 

9/9 残りの1階コンクリートが無くなりました。

9/11 ほぼ片付いてきました。

9/12 最後の始末です。 

9/13 これで終りですが、地表はでこぼこのままです。
どうせ作る時は掘り返すのでこれでいいと思っているのでしょうが、
日本人の美的感覚には合いません。



この工事は、当初計画では7月14日から2週間の予定でした。
それが、9月13日までかかったのです。
当初の計画は、
役所への届け上の建前でそのつもりはなかったのかもしれません。
そうでないとすると、とんでもない赤字案件ということになります。
単に期間で見れば、2週間のつもりが10週間かかっています。
これは見積り誤差とは言えません。

あまりにもおかし過ぎます。
2週間というと、木造3階建てでもそのくらいの期間がかかりそうです。

そこで、単に段取りが悪い事例の研究ということではなく、
TOC(制約理論)の理論で研究してみることにします。
TOCで検討し、工程の制約プロセスを見つけて、
その改善を行うと、全体の生産性が目覚ましく改善されるという
実証科学です。

コストでみても期間でみても、
人件費よりも、大きなブルドーザの機器コストが
最大の制約(ネック)でしょう。
そこで、どういう段取りで工事を進めれば、
この大きなブルドーザの使用期間が少なくて済むかを検討します。

この解体工事は、
1)大きなブルドーザによるコンクリートの取り壊し
2)大きなブルドーザによる取り壊し瓦礫の一時置き
3)小さなブルドーザ(ショベルカー)による瓦礫の移動
4)ショベルカーによる瓦礫のトラックへの積み込み
から構成されています。

この4作業を、どの場所からどういう順序で進めれば、
大きなブルドーザの使用日数を最短にできるかを検討します。
大きなブルドーザにしかできないことのみを
それにさせるようにするのです。

おそらく、その解は、
1)と2)を順次実施する瓦礫をどこに置いていくか、
それを3)と4)でいかに集中的にトラックに積み込むか、
という段取りだと思われます。

少し頭を使えば、
納期・コストが半分になるかもしれないのです。

「そういうことをしていないので、無駄なコストがかかっている」
というのがTOCの実践者からのレポートです。

一芸に秀づる者‐文章作成講座‐阿部紘久さん

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 私の知人が日本一の文章術の先生になったことをご報告します。
 その阿部紘久さんの本を読もうかなと思っていただきます。
ねらい:
 よろしければ、勉強をなさってください。
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元帝人㈱社員の阿部紘久さんが9年前に出版した「文章力の基本」は、
46刷30万部の大ロングセラーになったそうです。
すごいことですね!!


私も帝人でしたので、多少のご縁があります。


阿部さんは2005年から10年間、
昭和女子大学で文章術の指導をされました。


十数年間、この道一筋に取り組んでこられた結果で、
今や日本一の文章術指導者です。


文章術の指導書は多いのですが、
阿部さんの著書は、
まずい文章とそれを添削した良い文章の事例が豊富なことで
たいへん分かりやすく説得力のあるものになっています。
大学教師の指導過程での成果が生きていると思われます。


この度、この7月に開かれた楽天エキスポでの講演の「テキスト」を
送っていただきました。


早速読ませていただきました。
素晴らしい内容で、文章術の簡潔なエッセンスになっています。
私もまだまだ学ぶべき点がありました。


以下に、その冒頭の数ページをご紹介しますので、
ご関心がありましたら
阿部さんご推薦の、「文章力を伸ばす」(日本実業出版社、2017)
をご研究ください。
以下の文章のレイアウトは私が行っています。
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201891

 「文章力UP 一口メモ」
                                   阿部紘久

       第1部 ウォーミングアップ

1 ある相談

「私は文章力に大きな課題があると自覚しています」と言って、
ある人が文章を添削(てんさく)して欲しいと送って来ました。
その中に次のような文がありました。(◆は原文、は改善案) 

◆働くということは、ただ単に収入を得たり
労働に対する対価を得るという
物理的理由だけの目的で行うのではない。(54字)


私が提案した改善案は、次のようにシンプルなものでした。
人は、お金のためだけに働く訳ではない。(19字) 

これ以上のことを原文で述べていますか? 

原文では、「収入を得る」と「対価を得る」、
「理由」と「目的」が重複しています。
「物理的」というような、ことさら難しい言葉も使われています。
 書くことに自信のない人ほど不必要な重複を重ね、
 難しい言葉を使い、言葉を飾り、
 長く複雑に書いてしまいがちです。


無駄な言葉を削り、言葉を飾らないようにするだけで、
あなたの文章はとても良くなります。
言いたいことが浮き彫りになるからです。
(拙著『文章力を伸ばす』)


 2「いい文章」とは?
 社会人や学生が書くことを求められる「いい文章」とは、
 「事実関係や自分の考えを簡潔・明瞭に伝えて、
 読み手の理解と共感を得る」ことのできる文章だと思います。
 
 それが書ければ、あなたの活躍の場は大きく広がります。
 それ以外のこと、たとえば、
 「モノを知らないと思われたくない」(教養の一端を示そう)
 「考えが浅いと思われたくない」
 (さまざまな点を考えていることを示そう)
 「語彙が乏しいと思われたくない」
 (難しい言葉も使えることを示そう)
 
 などと無意識に考えて、
 肝心の理解と共感の得にくい文章を書いている人が 沢山います。

ましてや
「気が利いた、技巧的な、文学的な文章」を目指すと、
鼻持ちならない文章になりがちです。
 
 近著の「おわりに」で、
 私はいい文章を書くための原則を22点に要約しました。
 それを読んで、
 「こんな基本的なことだけでいいのですか?」と言う人がいます。


 しかし、基本的な原則を知ったとしても、
 実際にそれを踏まえて新しい文章を書くのは、
 簡単ではありません。
 多くの文例を吟味しながら、
 原則を「使いこなす」稽古をしてください。
 
 いい文章を書くために、それ以上に深遠な秘訣はありません。


3 文章を書く3つの喜び

文章を書くことには、少なくとも次の3つの喜びがあります。
「表現する喜び」
「理解と共感を得る喜び」
「相手や組織や、時には自分自身にも変化をもたらす喜び」です。

書きながら自己理解が進むと、進むべき方向も見えて来るのです。
 ですから明快な文章は、読む人に歓迎されるばかりでなく、
 書く人にとっても快いものなのです。


 この3つの喜びを知っていただくための「一口メモ」を、
 今回91話準備しました。
 1つの話は、1分くらいで読めると思います。


 毎朝1つずつに目を通し、
 その日1日その点に注意を向けていただけると、
 3ヵ月ほどで総合的な文章力を一通り身に付けることができます。
 
  私は60歳まで国際ビジネスの世界にいました。
 海外での生産・販売活動に20年以上関わり、
 内10年間は、タイ、韓国、イタリアで合弁会社を経営しました。
 最後は日本にある米国系企業の代表を務めました。


 国際ビジネスで最も必要とされた力は、前項に書いた、
 「事実関係や自分の考えを簡潔・明瞭に伝えて、
 読み手の理解と共感を得る」力でした。
 まずは最も得意な日本語で、その力を磨くことが求められました。


 その後10年間、大学で文章指導に携わり、
 社会人に対する添削指導は今も続けています。
 その間に文章術の本を8冊著しました。


 この「一口メモ」は、
 最新刊の『文章力を伸ばす』のサワリの部分を紹介すると同時に、
 『文章力の基本』(30万部)、『文章力の基本の基本』
 (以上は日本実業出版社)
 『文章力の基本100題』(光文社)、『シンプルに書く!』(飛鳥新社)
  などからも素材を拾い、最近の考察も加えてまとめてみました。


 肩の凝るような難しい話は一切ありませんので、
 気楽にお付き合いください。


 4 文章力の7つの要素


「文章力」は、単に「言葉を巧みに操る力」ではありません。
次の7つの要素からなる、総合的な力です。


(1) よいテーマを見つける「着想力」
(2) テーマに関わるさまざまな事柄に連想を広げる「連想力」
(3) その中で書くべきことを見極める「優先順位の判断力」
(4) 書くべきことを「構造的に把握する力」
(因果関係などの論理的構造、
 時間的・地理的関係などをつかむこと)
(5) そこに自分独自の考えを加える「創造性、独自性」
(6) 読み手の立場、心情、知識レベルなどを理解する「人間理解力」
(7) 読み手に伝わる簡潔・明瞭な言葉で表現する「言語表現力」


 頭を使って仕事をしている人にとっては、
 この7つの要素は、
 業務遂行能力とほとんど重なり合っていると思います。


 最近は、
「爆速でたちまち10倍速く書ける!」などとうたった本が人気ですが、
 本を1冊読んだら上の7つの要素がたちまち10倍速くなる
 などということは、ちょっと考えにくいですね。

仕事のスピードは、
問題の本質、勘所をいかにつかむか
ということと大いに関係しています。
若いうちは時間をかけて、
上記の7つの要素を巡ってあれこれ試行錯誤しているうちに、
だんだんに迷路に迷い込む回数が減ってきます。

そして、
ある時思いがけないほど仕事のスピードが上がっていることに
気づくと思います。(『文章力の基本』他)


 5「書く力」は「考える力」

文章の「内容を考えること」と「表現すること」は、
同時に行われています。

そもそも「考える」というのは、
自分の内にある思いとピッタリする言葉を探すこと
ではないでしょうか。
人間は、生まれて以来のさまざまな体験や見聞を通じて、
たくさんの思いを胸の内に秘めていますが、
その多くは潜在意識の中にあります。

ある日、その中のどれかにピッタリする言葉を見つけた時、
「あっ、そういうことなのだ!」
 と、考えがまとまるのです。


 ですから文章の「内容」と「表現」とは、
 まさに表裏一体の関係にあります。
 そう考えると、書く力は、考える力そのものなのです。


昨今、教育改革の方向として、
「知識の量だけでなく、
 自分の頭で考えられるかどうかが問われる」
 としきりに言われていますが、
 私は母語の文章力を磨けば、
 しっかり考え、それを的確に表現できるようになると思います。
 (『文章力を伸ばす』)