2012年8月29日水曜日

韓国はなぜ頑張るのか

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 韓国大統領の日本人には「解せない」行動の
 背景を分析する。

ねらい:
 冷静かつ正当な日本政府の対応を期待する。

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なぜ、韓国の大統領は、
常軌を逸するほどの反日行動をするのでしょう?
きちがい沙汰だと思っている日本人も多いでしょう。

選挙があるので、国民の人気取りをしようとしている、
と言われていますが、それだけではないようです。

ご承知のように、韓国という国は
歴史的に大陸からの侵略・支配を受け続けてきました。
したがって、
中国に対する警戒心は並々ならぬものがあります。

韓国は歴史的背景から
周りの顔色を窺うということに関して長けています。

これまで日韓が手を組んできたのは、
中国の脅威に対抗するためです。

ところが力のバランスが崩れてきました。
片やで中国の隆盛・強大化があります。
世界第2位の経済大国で、
第1位も視野に入ってきているでしょう。

韓国が、
「中国に対抗するのは容易ではない。
アメリカと組んでも絶対ではない」
と思ったとしても不思議はありません。

それに対して、日本は経済面でも政治面でも力を失っていて
頼りにならなくなってきています。

電機・自動車などの組み立て型製造業では、
韓国が日本を追い抜いたと思っているでしょうし。

政治の世界では「決められない状態」が続いています。
米国の信頼も厚いとはいえなくなってきています。
(この点は鳩山由紀夫の責任が重大です)

ということは、日本と組んで中国と対抗するよりも、
中国の機嫌を取った方が良い、
という判断があっておかしくありません。

そこへ、韓国自身の自信も加わってきます。
経済面での世界の一部市場制覇に続き、
オリンピックでも金メダル数で日本を抜く成績です。


日本は義を重んじ裏切らない
という精神理念を持っています。
ですから、これまで固い握手をしていたのに何だ?
とポカンとしてしまいます。

これに対して、
韓国は利を重んじ利に従う、
という精神構造を持っているのでしょう。
利は経済面だけでなく、安全面も含みます。

義は変わりませんが、
利はその時の状況で変化します。

ですから、堅い握手を反故にしても
何も感じないのではないでしょうか。
価値観が違うのです。

状況が変われば利が変わり、
日本に対する態度も変わるかもしれません。

それには、
日本がそれだけの実績を上げなければなりませんね。

今回の本題そのものではありませんが、
大統領が、日本に何らかの対応をもとめている
「慰安婦問題」はまったくの事実無根であることは
2011年12月の「慰安婦問題の虚構」で、
その根拠をご紹介しました。
謝罪なんてとんでもないのです。

言うべきことはどんどん言うべきです。
脱「遠慮」方針の政府の今後の対応に期待しましょう。



ロンドンオリンピックからビジネス原理を学ぶ?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 ロンドンオリンピックから
 ビジネスとして学ぶべき点を知っていただく。
 
 中国の脅威をあらためて考えていただく。

ねらい:
 このネタをどこかで使っていただく。

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日経新聞の「経営の視点」というコラムで
8月13日に森一夫特別編集委員が、
「五輪に学ぶ7つのヒント」として
ロンドンオリンピックの結果から,
ビジネスとして学ぶべき点を挙げておられます。

たいへん良く分析されていると思います。

1.女子の活用すべき
 
  五輪での実績:金メダル4個

2.異能人材の活用すべき
  実績:柔道の松本薫選手、体操の内村選手

3.グローバル人材の活用すべき
  実績:男子サッカーの欧クラブチーム選手の活躍

4.絶えざる革新を行うべき
  実績:3連覇の女子レスリングの伊調選手、吉田選手は
  相手に研究される以上に技を変えた。

5.敗因のとことん分析をすべき
  実績:柔道は構造的問題があるのではないか。
  (上野則男のブログ「ロンドンオリンピックの成果はーー」
   でも述べました)

6.小成に安んじてはいかん
  実績:メダル数最高などと浮かれるな。
  日本より人口少国なのに
  韓国の金、英独も金・総数とも日本より多い。
  

7.信賞必罰の実現 
  実績:柔道など成績不振の種目の監督など。

ところが、私のブログ
「ロンドンオリンピックの成果は立派なものだったのでしょうか」
でコメントして、森さんが挙げていないものが
次の3点です。

  メダル獲得の競技数が増えた。
  男子は団体競技のメダルが皆無
  中国の脅威

これがどういうことになるかを以下に開陳いたします。

【メダル獲得の競技数が増えた】
価値観が多様化した市場では、
製品等も多様化が必要です。

誰しもが目指すマスの市場を対象にするのではなく、
自分の得意分野を見つけて、そこで戦うという戦略、
これを「ブルーオーシャン戦略」と言うようですが、
それができるのは素晴らしいことです。


【男子は団体競技のメダルが皆無】
女子が団体競技で4個のメダルを取ったのに対して
(サッカー、バレーボール、卓球、バドミントン)、
男子はサッカーの4位だけです。

なぜなのでしょう。

女性はお友達好きですね。
仲間で「つるむ」のも得意ですし。
卓球やバレーボールの試合ぶりを見ていると、
その共通性を感じます。

60代・70代の「女子会」も盛んなようですが
(わが家族の一員もその口です)、
その年代の男子はゴルフくらいで、
しかも、目的が違いそうです。

男子では、
団体競技を目指すような協調性のあるスポーツ人間は
みんなサッカーに向かってしまっているのではないでしょうか。
サッカーが独り占めしているのです。

その次が野球ですが、
野球人口はかなり減ったでしょう。

考えてみますと、企業活動でも、
他者との連携や協調は必要ですが、
チームワーク作業は少ないですね。
企業活動で本当のチームワークをするのは、
プロジェクト活動だけです。

プロジェクトマネジメントのガイドとして、
必要な技法と並んで、
チームワークの重要性がさかんに強調されます。

ということは、多くの人がチームワークがうまくできない、
ということの裏返しです。
努力しないとチームワークの維持ができないのです。
少なくとも男性はそうなのでしょう。

ということは、
プロジェクトは女性に任せたらどうでしょうか。


以上、男性はそもそも「団体競技」が苦手
と言って差し支えないようです。

ですが、この理屈だけでは不十分です。
国際間の比較が必要です。
なぜ男子団体競技の強い国があるのか、
を解明しなければなりません。

今後の検討課題です。

【中国の脅威】
中国人は、もともと中華思想があって、
「日本は属国であって当然」と思っているのです。

中国が弱小で日本が経済大国を謳歌していた時には
おとなしくしていましたが、
今や軍事力でも日本を抜こうとしています。
中華思想は復活してきています。

日本は中国を単に巨大市場と見て
安易に出て行くのは考えものです。

尖閣問題を見てください。
次から次と同様の圧力が加わってくるのですよ。
先のことを考えて行動してほしい、と思います。

いじめ問題の対策は何か?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 いじめの対策を考えていただく。
 「チェックリスト」の使用法について考えていただく。

ねらい:
 少しでも、陰惨ないじめがなくなってほしい。
 いじめ削減に多くの方が動いていただきたい。

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大津の中学校の2年生の
いじめによる自殺事件が問題になっています。

その中学校や市の教育委員会では、
初めはいじめを否定していました。

そこから、非難ごうごうとなり、
学校は日本中から集中砲火を浴びることと
なってしまいました。

自殺した本人が一番つらかったでしょうが、
ご両親の悲しみ・口惜しさは並大抵ではないでしょう。
「なんで気がついて上げられなかったのだろう」と。

いじめから自殺にまでに至った原因は
どこにあったのでしょうか。

私なりに分析してみました。

いじめ対策その1 加害生徒出席停止

これは品川区での対応です。

品川区の教育委員会はこれまでも制度としては存在していた
「学校の秩序維持などの目的で、
問題のある児童・生徒の出席を停止することができる」
制度を積極的に適用することにした。

30ページのいじめの判定手引書を作り
1000人の教員に説明するそうです(8月24日日経新聞夕刊)

私の住んでいる品川区は、
教育制度でも先端的な対策に積極的に取り組んでいます。
小中一貫校、学区外の公立学校を選択できる、とかです。

私が要望していてまだ実現してくれていない対応は、
「犬を公園に入れないでください」の掲示を止めてください、です。
2年ほど前のこのブログでずい分ご報告しましたが、
未だ実現してくれていません。

そういう掲示があるのに大人が無視しているのは、
子どもの教育上よくないから、現実的な掲示に変更してくれ、
ということです。

これも教育問題なのですが、
優先順位が低いのでしょうね。

しかし、この品川区のいじめ対策は、
いじめだと思わなかったら「始まらない」のです。
今回の学校側の認識は、いじめがあるとは思わなかった、
となっているのですから。

中学生くらいの生徒は、
子供から少年少女への転換期で
精神的にも不安定で、
いじめ、準いじめをまったく発生させないことは無理でしょう。
いじめは中学1年が最も多いのです。

そのいじめを、
周りの人間が早い時期に気がついてあげることが必要です。

難しいのは、いじめとふざけ、遊び、じゃれあいとの区別を
付けられるか、という点です。

「怪しい。これはいじめではないか」
と思うセンスがあるかということです。
若干古い言葉ですが「KY人間」はダメです。
(KYは、「空気読めない」の隠語で鈍い人のことを指します)

いじめの対策その2 チェックリストの整備

そこで、KYを補う必要があります。

その対策は、
ビジネスで一般に使用されている
「チェックリスト」の活用です。

品川区の手引書にチェックリストが
入っているのかどうかは分かりません。

いじめを見抜くチェック項目には、
仲間外れとか、ケータイでの誹謗等
のあいまいなものは除き、
今回行われたという以下のような項目を入れます。

  動物の死骸を食べさせられている。
  お金を取られている。
  給食に異物・汚物を入れられている。
  頻繁に下半身の衣服を下げさせられている。
  死んだ人間の社員を見せて「こうなりたいか」と言う。
  自殺の練習をさせられている。
  けがをする暴行を加えられている。

今回はこのすべてが実行されたようですが、
この一つでも行われていれば、完全ないじめです。

該当があった場合の行動(アクション)も
MUST事項としてガイドします。
これをしない場合は、職務怠慢で評価の対象とします。

  直ちに、指導主任(又は校長)に相談する。
  被害者本人に確認する。
  加害者に確認する。
  被害者の家族に報告し相談する。
  その上で「加害者」の家族に相談する。
  (出席停止がありうることを伝える)

  
そして、それらのいじめまたはその兆候を見つけるための
行動指針も示します。
  定期的に(1か月)全員と面談する、など。

1か月のいじめで自殺には至らないでしょうから、
教師の負担も考えると1か月サイクルが妥当でしょう。

面談の時の質問項目もガイドします。
  「最近、いじめのようなことを見ない?」など。

いじめ対策その3 中学の女性教師の比率増加

そこまで教員を指導しても
基本的にKYやずぼら人間はダメでしょう。
KYは女性よりも男性に多いのです。

女性は、オシャベリで、
(私のブログ「女性はなぜおしゃべりか」?をご参照ください)
相手の立場や気持ちを考えることが得意です。
(同じく「賢い女性が2人いると会社は伸びる」?)

女性の方がコミュニケーションが得意だということです。
コミュニケーションをしていれば、脱「KY」となります。

申し訳ないですけれど、問題の中学校の校長は
どう見ても気が利く人間とは思えません。
こういう人が校長になるのか、という感じでした。

担任の先生は、2チャンネルで見ると普通の男性でした。
でもKYだったのでしょうね。

中学では男性教師が6割です。
 
以下は少し古いですが2007年の文部科学省のデータです。

               男     女
幼稚園教員      7%    93%
小学校教員      38%   62%
中学校教員      60%   40%
高等学校教員     73%   27%

その他の文科省管轄の学校を含めた合計は
102万人で男女比は48対52です。

この中学校の男性比率を下げるのです。

ただ、美人の先生が多くなると、
別の問題が起きるかもしれません。

この対策は「要検討」ですね。

2012年8月27日月曜日

「1分仮眠法」って本当ですか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
  1分仮眠法を知っていただく。
  睡眠の謎のいくつかを解いていただく。

ねらい:
  仮眠法を実践していただく。
  夜の睡眠を改善していただく。

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「1分仮眠法」は、坪田聡さんという
生涯学習財団認定コーチとして睡眠コーチングを
しておられるお医者さんの書かれた本です。














私は、
最近会社でも自宅でも仮眠をすることが多くなって、
できれば改善したい、と思っていましたので、
たまたま広告が目に留まって早速入手したものです。

最近は眠くなるとどんなに抵抗してもダメで
結局仕事の成果が上がらない、
ところが30分から1時間仮眠すると、
仮眠前にまとまらなかった構想がスイスイとできる、
ということで、
可能な限り眠くなったら仮眠することにしていました。
(これまでの私は横になって寝ていました)

本書でこういうことが分かりました。

1.仮眠は脳を休めるのが目的である。
  我々にとってはそうですね。

2.仮眠は30分以上してはいけない。
  本当の睡眠の方に移行して中途半端になるからで、
  かえって頭がボーッとしてしまうのです。
  そうは思いませんでしたが。

3.昼型人間の眠気がピークを迎えるのは
  14時-16時と、2時-4時
  

4.30分を超える仮眠は身体に悪い。
  スペインやアルゼンチンなど「シエスタ」で
  毎日90分の仮眠をとっている人は
  30分以下の仮眠をとっている人に比べて病気になりやすい。
 
 
 

  毎日1時間以上の仮眠をとっている人は
  取っていない人に比べて約2倍認知症になる確率が高まる。

  そういうデータがあるそうです。

5.好ましい仮眠は20分。
  
  目をつぶって寝つくまでの時間 5分
  ノンレム睡眠の第1段階 5分
  ノンレム睡眠の第2段階 9分
  若い方が短く、50代以降はもう少しかかる。

6.1分でも目を閉じれば仮眠と同じ効果が得られる。
  仮眠の目的は脳を休めることですが、 
  目を閉じれば目から入る大量の情報を1時期遮断して
  脳が休まるから。

7.仮眠の時は、横になってはいけない。
  脳が本眠の方に移行するから。
   
  椅子に腰かけ、机にうつぶせでもよい。
  「20分で起きるぞ」「5分で起きるぞ」と言って寝る。

8.睡眠が恒常的に足りない場合は、
  1週間に1度1時間半(1サイクル)の昼寝をするとよい。
  

  実は、この習慣を私は30年くらい継続しています。

  
  わが子達が小学生低学年かその下の頃のことです。
  私が昼寝をしていると、
  彼らが日曜しか顔を合わさない私なので
  遊んでもらおうと思って
  「お父さん起きてよ」と私をゆすりました。

  そうすると私が鬼のような顔をして
  「こら、起すな!!」と怒りました。
  2回ほどそういうことがあって、
  彼らは私を起こすのを諦めた、という、
  今から思えば子供たちに可哀そうなことがありました。
  その頃から続いている習慣だということになります。

  因みに、「企業戦士」だった私は、
  日曜を除いて帰宅時間が23時半以降でした。
  ですが、日曜だけは昼寝の1時間半を除いては
  家族(主に子供ですが)のために
  すべての時間を使っていました。

9.人間の体温は、朝方に最も低くなり(身体活動が低調)
  次第に上がって夕方から夜にかけて1番高くなる。
  夜は下がっていく。
  したがって、夕方の運動は好成績が実現する、のだそうな。

10.体温(体の中の深部体温)が下がると睡眠中枢が働く。
  
11.深部体温を下げるには、風呂にゆっくり入って
  身体をしっかり温めた後、熱を放出する(冷やす)と
  深部体温が下がる。
  温めたまま寝るのではなく、いったんさますのだそうです。

12.安眠のポイント
  その1.決まった時間に起きる。 
       そうすると眠る方も規則的になる。
  その2.眠くなってから布団に入る。
       そうでないと、「寝なければ」という気がストレスになる。

13.アルコールは安眠の敵
  アルコールが分解されたアセトアルデヒドは覚醒を高める。
  

  また、通常眠っているときは、脳下垂体から
  「バソプレシン」という抗利尿ホルモンが分泌され
  起きている時よりも尿が作られにくくなる。
  ところがアルコールを飲むと、
  このホルモンの働きがブロックされてトイレが近くなる。

  これは新発見であり、
  飲んだときにトイレで目が覚めることの納得がいきました。

  しかし、すべて「敵」ではなく、
  気分がほぐれる程度の寝酒ならいいのではないか、
  というのが上野意見です。

さあ仮眠の達人になりましょう!!


旧来型百貨店の行き詰まりから何を学ぶ?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
    百貨店業界の不振はアウトソーシングにあることを
    確認していただく。
    事業のコア機能は、アウトソーシングしてはいけない
    ことを再確認していただく。
    システム業界のアウトソーシングは正当化されるのかを
    お考えいただく。
    システムの保守はアウトソーシングすべきではない
    という説を知っていただく。

ねらい:
    保守のアウトソーシングについて再検討いただく。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
百貨店業界は、平成18年から7年連続減収です。
百貨店のビジネスモデルは、
売り場スペースを販売業者に提供して使用料や口銭を稼ぐ
アウトソーシングモデルでした。

アウトソーシングは、
自らの事業遂行上の必要作業を外部に任せるのですから、
内部要員は、内部でなければならない必須業務に集中でき、
あるいは、外部の専門的技能を活用できる、
という面では、非常に有効なビジネスモデルです。

しかし、
外部に依存する部分がその事業に取ってコアである場合は、
内部はコアを掌握できない「空洞化」現象が起きてきます。

コアであるかどうかは、その時代によって異なります。
百貨店の場合、店を構えてモノを売ればよかった時代には、
何が売れるかの多少の目利きができれば
その目利きでテナントを選んでいればよかったので、
商品企画あるいはサービス企画はコアではなかったのです。

ところが、時代が変わって、
消費者が望むものを把握することは現場でないとできない
難しい時代になってきました。

そうすると、販売の機能がコアになり、
それを外部に依存していたのではダメになってきたのです。

百貨店業界は、
お客様を引き寄せる魅力をどうすれば持つことができるかと、
数年以上前から商品企画機能の強化に取り組み出しています。

一部の百貨店では、非物販の充実など、
自営化が成功しつつあります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アウトソーシングのマイナス面は、
システムの世界にも起きているのです。

システムがコアでない事業では、
どんどん子会社化や別会社へのアウトソーシングを進めました。
システムがコアの事業でもアウトソーシングは行われました。

システム機能がコアでないならそれもよいでしょう。
しかし、信じられない話ですが
10数年前に米国のJPモルガンはIBM社にシステム機能を
全面アウトソーシングしました。
システムコストの1割以上の削減が目的でした。

ところが、ビジネスニーズに機動的に対応できないということで、
次の経営陣はアウトソーシングの2年後くらいに、
キャンセル料を支払ってIBM社から取り返しました。
JPモルガンは金融業ですからね。
コアでないわけがないのです。

現在も多くの企業で、
システム機能を子会社に、子会社からさらに外部企業にと
アウトソーシングが行われています。

システム機能がコアでないビジネスではそれもよいでしょう。
しかし、金融、流通、通信、一部のサービス業では、
システムはコア機能です。

コア機能を外部依存していて
ビジネスがうまくいくわけがありません。
三菱東京UFJ銀行のシステム統合プロジェクトは
当時頭取の畔柳信雄氏が陣頭指揮をして成功させました。

片や、みずほ銀行はCIOが機能せずに、
システム統合も子会社任せにしたために、
ご承知の「システム障害はなぜ2度起きたか」
と書かれる始末を招きました。

これまでのシステム機能は開発が中心でした。
開発業務は大きな波があるために、
作業の外部依存は一面の正当性を持っています。

ところが、今や新規開発業務はほとんどないのです。
経営のあらゆる機能のシステムを
一通り作ってしまったからです。

今は、
作ったシステムを維持補強していく「保守」の時代です。

「保守」には大きな波はありません。
その代り、経営の変化に合わせて
機動的にシステムを成長させていかなければなりません。
これを外部に依存していたのでは間尺に合いません。

保守は内部で対応するのが筋です。
内部の要員・組織は、そのような機敏な動きができるように、
編成されていなければなりません。

この内部の「変身」には時間がかかりますが、
まずは「そういう方向で行く」ということで
入れ物を作る必要があります。

その先例は、カシオ計算機殿にあります。
同社は2002年に情報子会社を実質的に併合して
システム部門としての一体運営を行っています。

そしてほとんどのシステム業務を「内作」しています。
その結果、あれだけの事業規模を支えるシステムを
僅か130人強で運営されているのです。

ほぼ同じ規模の事業会社の情報子会社社長が
「うちの3分の1の人員だ」と舌を巻いておられました。

私は、こう主張しています。

保守業務は、
担当(2名ペアが好ましい)が、
各部門からの要望受付から始まって、
要件決定、プログラム追加・修正、テスト、移行までの
すべての作業を一貫して受け持つべきだ。

そうすると、保守の担当は、
システム屋として必要なあらゆる機能を知ることができますし、
機動的対応も可能になります。

「保守の外部依存はやめて、自社で一貫生産しなさい!!」

ただし、システムがコア機能である企業では、です。

外部の企業は、システムユーザ企業の要員の一員として
お手伝いされればよいのです。
保守業務の委託は請負である必要はありません。

当事者の方は、ご一考いただければと思います。

2012年8月18日土曜日

ロンドンオリンピックの成果は立派なものだったのでしょうか!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 ロンドンオリンピックの日本の成績を総括していただく。
 ロンドンオリンピックの日本の良い結果を確認していただく。
 メダル数が多かった割に、嬉しくなかった理由を確認していただく。
 本当のメダル奨励策は何かをかんがえていただく。

ねらい:
 
 オリンピック、スポーツ振興策を考えていただく。
 スポーツ振興のために自分ができることを考えていただく。
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1.実績の評価
先ずは、ロンドンオリンピックの成績を確認してみましょう。
(1)メダルの総数 過去最高

メダル総数は過去最高です。
 

過去のメダル総数ランキングは以下のとおりです。
 1位 38個 2012ロンドン
 2位 37個 2004アテネ
 3位 32個 1984ロサンゼルス
 4位 29個 1972ミュンヘン 
 5位 29個 1964東京
 6位 25個 1968メキシコ
 7位 25個 1976モントリオール
 7位 25個 2008北京
 9位 22個 1992バルセロナ

国を挙げて取り組んだ東京オリンピックよりも多いのです。
非常に立派なことです。
途中はどうなることかと心配しましたが、
最後に盛り返しましたね。

(2)メダル獲得の競技数が増えた
今回の大会では26競技が行われました。
その内、日本は、以下の13競技でメダルを取りました。
 
アテネの合計37メダルの時は、
今大会ではなくなった野球とソフトボールを含んで12競技でしたから、
今大会との比較では10競技が13競技になったことになります。

その広がりは大きな称賛に値します。
 
 
 
以下の〇がアテネではなかったメダル獲得競技です。
どれも大きな感激を与えてくれましたね。

(金あり)
 柔道
 レスリング
 体操
〇ボクシング

(銀あり)
 重量挙げ
〇バドミントン
〇卓球
〇サッカー
 アーチェリー
 競泳
〇フェンシング

(銅のみ)
〇バレーボール
 
 ハンマー投げ

参考までに、
アテネでメダルがあって今回はメダルがなくなった競技は
 マラソン、自転車競技、セーリング、
 ソフトボール、野球、です。

(3)女子の方が活躍した?
そういう印象はありますが、以下のようにデータでみると、
男子の方が上です。

      金   銀   銅   合計
男子   3    8   10   21

女子   4    6    7   17

メダル獲得率を参加選手数に対して算出すると
以下のようになります。
補正メダル獲得率は、
金=3、銀=2、銅=1の重み付けをしたものです。

    参加選手数  メダル獲得率 補正メダル獲得率
男子 137人      16%              26%

女子 156人      11%          20%

女性活躍の印象は
バレーボール、卓球、バドミントンなどの盛り上がった競技、
レスリング金の3女傑、
などからの影響だということになります。

(4)日本男子は団体競技がダメ?
メダルの内容を分析すると、
男子は団体競技にはメダルがありません。
体操や競泳など団体種目でのメダルはありますが、
これらの種目は、基本的には個人技の集合でしかありません。

それに対して、女子は、
サッカー、卓球、バドミントン、バレーボール
とチームワークを必要とする競技が4種目もあります。

なぜ男子はダメなのかの詮索はぐっとこらえて、
男の子はもっとサッカーや野球で鍛えられてほしいですね。

(5)メダルが多かったのは国内経済事情の影響

私は、2004年のアテネオリンピックの後で、
「上野則男のブログ」の前身のMIND-REPORTの
「なぜ、メダルがこんなに増えたのか」で
以下のような分析をしました。

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メダルが増えた原因は、
主力選手(20代前半)が10歳の頃の経済情勢が
影響している。





すなわち、1990年にバブルの壊があり、
「就職をしても期待できる人生が送れそうにもない」と
スポーツに力を入れる若者が増えたのであろう。

アテネの前4回の時は、日本は好景気に酔っていたので
サラリーマン指向者が多かった。
メダルの数が極端に少ない。
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その論理からしますと、
北京と今回のロンドンはどうなるでしょう。

1990年過ぎにITバブル崩壊はありましたが、
1997年までは安定成長が続きました。
北京年次はその影響を受けて落ちています。

1998年からはマイナス成長時代です。
今回はそのおかげでスポーツ指向者が多かった
ということになります。

この推論はどうでしょうかね。

2.すなおに喜べない原因
メダルの数はとりましたが、
何となく「最高」の気分になれないのではないでしょうか。
その原因を整理してみます。

(1)金が少ない

その原因の一番目は、金メダルの少なさです。
金メダルが少なく銀メダルが多いということは、
決勝戦で負けを見せられて
「残念」「口惜しい」思いをするのです。

金メダルのランキングだとこうなります。
 1位 16個 2004アテネ
 2位 16個 1964東京
 3位 13個 1972ミュンヘン
 4位 11個 1968メキシコ
 5位 10個 1984ロサンゼルス
 6位  9個 1976モントリオール
 6位  9個 2008北京
 8位  7個 2012ロンドン


(2)期待との差

「問題は目標と現状の差」という定義からしますと、
期待がどうだったのか、期待に応えたのか、
期待外れだったのか、ということが問題になります。

予想の代表として、
アメリカのスポーツイラストレーテッド誌の予想を確認しましょう。

これによると、
金12個、銀14個、銅13個、合計39個でした。
合計はほぼ当たりですが、構成が大きく異なります。

金の予想は、
体操が、男子団体、個人総合
柔道は、男子1、女子3
レスリングは、女子3
水泳は、北島の2、女子の1

このうち当たりは、ご承知のように、
体操個人総合内村航平、柔道女子松本薫、
レスリング女子の3、の合計5個、

これに予想外の男子レスリング米満選手と
男子ボクシング村田選手の終盤での金が加わって
実績は合計7個でした。

レスリングの女子3人(伊調馨、小原日登美、吉田沙保里)
ともが予想どおり金メダルというのは、
信じられないくらい素晴らしいことです。

柔道の松本薫さんはあまり話題にならなかったようですが、
凄いですね、
日本の柔道でただ一つの金メダルを
予想どおりで取ったのですから。
素晴らしいことはありましたが、
予想12に対して実績7は、期待外れでがっかりの方です。

(3)柔道が不振

序盤で柔道が不成績だったことも、
嬉しくない原因です。

先ほど見た予想との差でも、4対1です。
国内での期待はもっと大きかったでしょう。

アテネの金8個、銀2個、銅0と比較しても
今回の金1、銀3、銅3は大きく見劣りがします。
国技と言われた柔道がなぜ不振か、ですが、
理由はいくつか挙げられています。

アテネオリンピックの鈴木圭治さんは
テレビでこう言っていました。

外国選手の取組みは、
反則にならない限り何でもあり、だ。
たとえば、腕の取り方、
日本の柔道は伝統もありきちんと腕と襟首などを掴む、
ところが外国人は柔道着だけを掴んで絞る、
などを行う。

日本は柔道という「道」の中で戦おうとするのに対して、
彼らは「勝つ」という目的で技を考えて闘う、
というのです。

日本は、「伝統の技を守る」のか、「勝つに転ずる」のか、
考えどころです。

以下余談
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それで思い出すことがあります。
私は学生時代に空手をして全日本のベスト8になりました。

私たちが学生の時に、
ルールを決めた試合制度が始まりました。

それまでの稽古は、当ればダメージを受けますから
一応「寸止め」といって、当る直前で止めるという決まりで
やっていました。

それでもうまく止まる保証はありませんから、
稽古は恐ろしいものでした。
「強い」者が勝つのです。

試合制度も、寸止めを前提にしていました。
稽古だと、寸止めしますが終りになりませんから、
入れられても稽古は続き、
弱い者は最終的に痛い目に遭います。

ところが、試合制度は審判がいて、
技が決まれば、1本か技ありです。
審判の判断があって、1本なら終りです。
1本になっていなければ、試合継続です。
今の柔道の試合と同じです。

稽古の時と違うのは、寸止めしないで当ててしまうと
反則負けになることです。

寸止めでも稽古着には当り「ばさっ」と音がします。
止まっているか、体に当ってしまったかは審判の判断です。
柔道の判定よりはるかに難しいものです。

審判の判断で1本勝ちが反則負けになるかです。
どうしても審判の先入観が入り込む余地があります。

それはともかく、
私は「目的思考」で、勝つためにどうするかを考え
試合用の技を練りました。

他校の猛者達に比べて
日頃の稽古では強くありませんでしたが、
「1発決めればよい」ということから考えました。

それは、
相手が突いてくる時、あるいは蹴ってくる時に、
一瞬早く突きを相手の胸か腹にぶち込むのです。
カウンター技ですね。

稽古の時なら、
そんなことをしても突き飛ばされてしまいます。

この作戦で、「強くない」私が
全日本学生空手道選手権大会の個人戦で
ベスト8になりました。

試合制度で勝つことは、
本来の「強さ」の実現からいうと邪道かもしれません。

日本の柔道はどうしますかね。
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日本の柔道が強くなくなったのには、
もっと本質的な原因があります。

それは柔道人口が減っていることです。

街の道場は最盛期に比べて半減、
柔道の選手を生み出す若者人口も
200万人から100万人に半減、
競技人口はフランス以下、なのだそうです。

これは、テレビ出演者の発言で未確認です。

今の子供たちは、皆、サッカーですものね。
この流れは
ちょっとやそっとでは変えられそうにありません。

(4)水泳と体操も「不振」

水泳はアテネで、金3、銀1、銅3、合計8
      今回が、金0、銀3、銅8、合計11です。
数は増えていますが、質が落ちています。

体操はアテネで、金1、銀1、銅2、合計4
      今回が、金1、銀2、銅0、合計3ですから、
善戦ですが期待はもう少し上でしたでしょう。

これらの得意種目が負けるのは口惜しいのです。

(5)中国と韓国に負けた

もう一つ口惜しい思いの原因は、
中国と韓国に負けることです。

正直のところ、
この両国に負けたくないという国民感情があると思います。

中国は、今やトップのアメリカにも迫ろうという
メダル大国ですから、
「負けても仕方がないか」という気持ちも芽生えてきていますが、
「韓国には負けたくない」気持ちは強いでしょう。

竹島や慰安婦問題で「難くせ」を付けられていますし。

韓国との対戦成績はどうだったのでしょう。
ご存じのとおり、女子バレーボールと男子サッカーの3位決定戦は
1勝1敗でした。
男子サッカーはけんか状態でしたね。
これが負けたのは口惜しいです。

他に、柔道、レスリング、卓球、アーチェリーなどで負けています。
因みに韓国の金メダルは以下の種目です。
 
 射撃       3
 アーチェリー  3
 フェンシング  2
 柔道      2
 レスリング   1
 テコンドー   1
 体操       1

体操を除くと武闘系で、国情を表しているのでしょう。
柔道、レスリング、体操など日本の得意とする競技が多いのも
対抗感情に影響しています。


2.国際比較

(1)国別成績

次は日本の成績は他国と比較してどうかという点です。
これは、金メダルの取得順です。
メダル総数だと、日本は6位です。
矢印はアテネオリンピックとの増減です。
ほぼ同数は、→としています。



この表の「1個当たり人口」とは、
国民何万人でメダル1個を取っているかを示したものです。
国民が多い国がメダルをたくさん取るのは当たり前だからです。

こうして見ると、成績優秀なのは、
ハンガリー、豪州などです。

ハンガリーは、カヌーを中心に、体操、競泳、フェンシングなど、
いろいろこなしています。
豪州は、セーリング、カヌー、ボート、競泳など水周りが得意です。
日本も海洋国家なのに、競泳以外はダメですね。

英国は「主催国特需」です。
カザフスタンも成績優秀です。
重量挙げ、レスリング、ボクシングなど力技が得意です。

ヨーロッパ諸国は200万人に1個前後です。
韓国はその仲間ですが、
日本は米国と並んで成績不良です。

アテネオリンピックの分析の際にも書きましたが、
中国は、かなり低い取得率ですが、
大きく改善進行中です。
中国が欧米並みの取得率になったら、
全メダルを取ってしまう勘定です。
まさに脅威です。

ところで、世界第3位の人口大国のインドが、
銀メダル2個、銅メダル3個しか取っていません。
どなたか、その事情をご存じの方教えてください。

(2)メダル取得への報奨

国別のメダル競争になると、
話題になるのが、メダル取得者への報奨金です。

日本は、
金300万円、銀200万円、銅100万円が
日本オリンピック委員会から出ます。

総額は1億4200万円で、偶然予想どおりだそうです。
偶然というのは、金を15個から18個取る前提の金額だったようで、
その点は予想外なのですから。

この報奨金以外に
企業や競技団体から報奨金が出るようです。

韓国では、男子が金メダルを取れば兵役が免除されることは有名です。
その他にも、メダリストにはポイント計算の上、
ポイントに応じた年金も支給されます。

国際大会の成績がポイントとしてカウントされ、
例えば五輪で金メダルなら90点、銀30点、銅20点。110点以上なら、
メダル獲得の翌月から100万ウォン(約7万円)が生涯に亘ってもらえる
のだそうです。

中国は、金メダル450万円といわれていますから、
それほど大きな金額ではありません。
でも職業の当てのない者にとっては魅力的なのかもしれません。

中国などではメダリストも使い捨て発想のようです。
新興国はそれでも何だらドリームでよいのでしょう。

アテネの女子マラソンの金メダリスト野口みずきさんが
会社から5000万円の報奨金をもらったといって話題になりました。

5000万円なら、何年かは持つかもしれませんが、
多少の金額ではすぐなくなってしまいます。
それよりも、選手生活を終えた後の生活の設計の方が重要です。

スポーツ選手にとっては、
地域でスポーツ振興に貢献できるとか、
スポーツの経験が活かせる生活を保証することが魅力になるでしょう。

そのためには、スポーツの鍛錬だけでなく、
そのような働きができるような教育をしておくことも必要です。
スポーツバカでは困るのです。

そのような対策を準備して初めて、
日本は長期的にメダル大国のモデルになれるのでしょう。

たかがスポーツ、
たかがオリンピック、ではないのです。
観戦、応援を通じて日本国民の気持ちが一つになれる
大きなチャンスです。

因みに、テレビの視聴率ランキングは以下のとおりでした。
1.サッカー1次リーグ 女子日本×スウェーデン 30.8%
2.サッカー決勝 女子日本×米国          29.1%
3.サッカー1次リーグ男子日本×スぺイン     26.0%
4.開会式                        24.9%
5.男子マラソン                     24.3%
6.サッカー準々決勝男子日本×エジプト      23.9%
7.女子マラソン                     22.5%
8.バレーボール3位決定戦女子日本×韓国    21.7%
9.レスリング予選ー準決勝女子55キロ72キロ級 21.2%
9.体操種目別決勝・男子床・女子跳馬       21.2%

1.を除いては深夜なのに、皆さんよく見ました。
日本中の20%から30%の人が同じ時間に同じものを見て
「日本頑張れ!!」と声援していたのです。

明るい日本のために、
スポーツ奨励策をみんなで考えましょう!!