2015年4月30日木曜日

フォワード・コンソーシアムがスタートします

【このテーマの目的・ねらい】

目的:
 フォワード・コンソーシアムがいよいよスタートする
  ことを知っていただきます。
 当会の活動内容を知っていただきます。
 当会への参加条件を知っていただきます。

ねらい:
 ぜひ、当会の活動にご参画ください。

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このブログでも何度かご紹介してきましたが、
「フォワード・コンソーシアム」が
5月7日に設立総会を開催する運びとなりました。

発起人の12社が集まります。
  • コニカミノルタ情報システム株式会社
  • サンネット株式会社
  • 株式会社 ジェーエムエーシステムズ
  • 情報技術開発株式会社
  • 双日システムズ株式会社
  • 株式会社 データ総研
  • 株式会社 DNP情報システム
  • 東洋ビジネスシステムサービス株式会社
  • ヤマハモーターソリューション株式会社
  • 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(未定)
  • システム企画研修株式会社
少し脱線。
実はエンハンス業務の名づけの親、
エンハンス業務改善の元祖のN社殿にも
当会役員のお願いをしました。

ところが、会社の内規で、
公的な機関以外の外部の機関の役職にはつけない
ことになっているとお断りをいただきました。

その後、判明したところでは、
こういう背景があったようでした。

「昔」その親会社の役員が
依頼されてゴルフクラブの理事になった際に、
その信用でかなりの会員が増えたが、
そのクラブが破たんして道義的責任を追求された、、
などがあって厳しい内規ができた。

本題にもどります。
フォワード・コンソーシアム(以下当会)の目的は、
当会の定款にこう記されています。

(ねらい)当会は、
志を同じくする情報サービス事業者が共同して、
エンハンス業務および参加企業の社会的ステータスを高める
ことをねらいとする。



(目的)そのねらいを、
参加企業における人材の活性化と業務の改革を行うことによる
お客様満足度の向上と売上の増大によって達成する。

 

つまり、みんなで力を合わせて
エンハンス業務および担当の社会的ステータスを高めましょう、
ということです。

そのために、以下の活動を行います。

 


研修は、以下の内容を、
受けたい時に市価の半額で受けられるようにします。

  •  受け身でなく積極的に提案を行えるようにする研修
  •  身の回りの改善を実施する手法の研修
  •  当会の研究会での成果を周知するための研修
  •  単発で実施する「受けたい」研修
研究会は、参加者の自主運営ですが、
 業務プロセス、見積り手法、要件定義手法、
 ドキュメント整備方法、影響調査手法、テスト手法、
などを予定しています。

改善等の成果発表会や
技術者ランキング(認定・公表)なども行います。

 


もう一つの目玉は、業務に必要な情報のガイド提供です。
改善事例等の登録も行います。

 

これだけのサービスを、
法人登録料10万円(終身)と
活動に参加する個人1人当たり年間1万円の会費
で利用可能なのです。

法人会員外の個人での参加も可能です。

フォワード・コンソーシアムのホームページ
をご覧ください。





「SEは死滅する」ですって???

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「SEは死滅する」とは何ごとかを知っていただきます。
 IT部門・IT業界の宿痾(長い間治らない病気)
  を知っていただきます。

 論陣を張れば「叩かれる」ことを知っていただきます。
 私が「叩くこと」を知っていただきます。
 エンハンス(保守)業務を多くのIT関係者がよく知らない
  ことを知っていただきます。

ねらい:
 何かに活かしていただきます。

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「SEは死滅する」は、日経コンピュータ誌の編集長もされた
木村岳史さんの著書です。



私も、ときどき日経コンピュータの「極論暴論」を読んで、
なかなか面白い、思い切った切り口で問題提起する方だと
感心していました。

そういう極論暴論をまとめて出版されたのです。
木村さんの強みは記者という立場で、
多くの方と直接会って、その意見を聞かれている点です。
説得力があります。

本書の主張の目玉は、本書の帯にこう書かれています。

人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒
 社長から「君たちは要らない」と宣告されたIT部門の4年後

「SIガラパゴス」を育んだIT部門の罪
 (特注ソフトをいい加減な仕様で無理を押しつけて作らせてきた。
 こんなビジネスモデルは世界で通用しない)

 このテーマに関連して本文中に
 [IT部門が没落すればIT業界の大概の問題は片付く」 
 というタイトルでの見解提示をされています。
 
人手不足を騒ぐITベンダー、もういい加減にしなさい!
 (今は特需ブーム、これが過ぎた時どうするの?)

感動するバカ、怒るアホウ―客とベンダーの悲喜劇
 (ITベンダ―の立場が分かっていないIT部門)

寿命が尽きるIT部門に「終活」のススメ
 (ITを活用したビジネスを創ることが主体になるこれから。
 IT部門は解体し、運用とアプリ保守を分離 
 運用はクラウド活用も。
 アプリ保守と事業部のシャドーITを一体化する)
 
法外な開発料金の見積り根拠、「客には絶対に言えません」
 (発注仕様が信用できないから、リスクを乗せるしかない)

多くのシステム部門や情報サービス企業殿と関わってきた
私としてもほとんどが賛同できる内容です。

肝心の「死滅するSE」とはこういうことです。
ただし、本文中には[死滅する]という言葉は出てきません。
これまた出版社の「作戦」です。

「SE」を中途半端な何でも屋だと解説しています。

システム開発における「総合職」だ。
アーキテクトもやるし、プログラマーも、プロマネもやる。
運用・保守担当をやったりもする。
プロマネは技術職ではないはずだが。

そんな異種の業務をまともにこなすことなんか、
できるはずがない。

このSE職種は、
これまでのウォーターフォール型基幹システム開発で
成り立ったもので、
これからは、その職種が主役になることはない。

これからの花形職種は別の面での「何でも屋」だ。
それはゼネラリストではなくバーサタイリスト(多能の人)である。

この職種は、
アジャイル方式等で開発する小回りのきくビジネスシステムを
業務部門の人と一緒になって試行錯誤をしながら
仕上げていく人である。
そこでは業務プロセス設計力よりも
顧客との接点の設計(カスタマーエクスペリエンス)が重要。

ビジネスが分からなければならないし、
その後の開発も移行もこなさなければならない。

ITを活用するビジネスモデル作りは
経営が求めていることである。
IT部門はその期待に応えなければならないし、
バーサタイリストがこの役割を担うのである。


木村氏の論調を実感していただくため、
以下に本書の一部を転載いたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

中途半端な丸投げで墓穴を掘る
 
こうしたIT部門がシステム開発を外注する際には、
当然ITベンダーへの丸投げだ。

言葉のイメージは悪いが、
もちろん丸投げ=悪とは限らない。

だが劣化したIT部門は"丸投げの作法"すら守れない。

事業部門やITベンダーの担当者なども含め皆を
開発プロジェクトの地獄の一丁目へ誘ってしまう。

一般に丸投げと言っても、二通りのパターンがある。
一つは、要件定義まではIT部門がしっかりと行い、
実際の開発だけをプロジェクトマネジメントも
含めて丸投げするケースだ。

この場合、プロジェクトの進捗確認など
最低限のベンダーマネジメントや、
要件を満たすシステムが出來上がったことを
確認する検収をしっかりと行えば、問題なくシステムは完成する。

そもそも要件に漏れがあったり、揺らいだり、
膨らんだりしなければ、
システム開発のプロであるITベンダーに任せておけば、
よほどのことがない限り失敗しようがないのだ。

もう一つは、要件定義などの上流工程も含めて全てを
ITベンダーに丸投げするケースだ。

実は、これもそれ自体は悪いことではない。

これをユーザー企業の事業部門の観点で言うと、
上流工程も含めて
ITベンダーに丸投げすることにほかならない
(参照ITベンダーが狙うIT部門飛ばしの極意)。

だが、IT部門はそれを認めると自身の存在意義が
無くなるので間に入ろうとする。

ただ、前述したように
事業部門などとはコミュニケーションレスで
断層ができているから、まともな要件定義はできない。

要件は抜けだらけになり、
ITベンダーも自己の勝手な解釈で動かざるを得なくなる。

もう失敗は確実である。
以前そんな状況に陥ったプロジェクトを請け負った
ITベンダーの担当者から話を聞いたことがある。

「IT部門に事業部門の要求を仕切れる力がないのなら、
プロジェクトから外れてもらい、
我々が事業部門と直で話したほうがよい。
それがお互いのためだ」
とその担当者が吐き捨てたのをよく覚えている。


プロジェクトを失敗に導くユーザー企業のIT部門の問題点






















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(上野意見)
実はSE職種は昔の名残りなのです。
昔の職種は
 オペレータ
 プログラマ
 SE
でした。

したがってSEは、
オペレータ、プログラマ以外のすべての業務をこなしました。
ビジネスの分析から始まって、
今でいうアーキテクチャ設計を含むシステム設計
プロマネ、当然アプリの保守もやっていたのです。

1人で全部こなす、これは昔への回帰です。

システム・ITの第1世代の人間が経験した業務習得法です。
小規模で信頼性要求は高くなかった。
トラブルがあっても、何とかなった。
こういう中で、人が育ったのです。

今の大規模システム開発では、各人の作業が細かく分業化され、
試行錯誤が許されないような状況で人が育つわけがないのです。

木村氏は、
「ヒーローを否定する集団重視の文化、
これでは人材が育たない」という問題提起もされています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーI

しかし読者に混乱を与える可能性があることがいくつかあります。
以下のように、
異なるものを一緒くたにした議論がされている点です。

1.業種不問での議論展開をしている
 
ITを活用したサービスを創ることが
新たなIT部門のミッションといいますが、
ビジネスを創りだす仕事ー Webマーケティング,ECなどは、
BtoB中心の製造業ではどうでしょうか?

そもそも、ITがビジネスにとってコアかどうかは業種によります。

ITの活用がコアな業種は、金融と流通、一部のサービス業です。
これらの業種でことの本質が分かる企業では、
情報子会社さえ作らずに開発力を温存しています。

それ以外の業種ではIT活用はコアではないので、
情報子会社の売却も発生するのです。

ITがコアであるかどうかが重要な判断ポイントであることは
認識されているようですが
区分を明示しないでの見解提示をされています。

2.IT部門の果たしてきた業務を
   「間接業務支援システム」に局限化している
 
解説中では、
コンビニのPOSシステムなどという記述もありますが、
これまでのIT部門の果たしてきた業務の代表を
基幹系システム=間接業務支援システムと極めつけています。

しかし、以下のビジネス支援システムを担当してきたのも、
主体性の程度は別にしてIT部門です。

 金融業界のATM
 BtoC業界のPOS
 流通業界のEDI(自動受発注)システム
 流通業界の自動請求入金照合システム
 物流業務の自動倉庫システム
 物流業務の配送計画システム

多くの企業でIT部門の担当外であった業務に
以下のシステムがあります。

 CAD/CAMシステム
 研究開発支援システム
 (前掲自動倉庫システムも場合によってこちら)

ただし、これらは、ビジネスの強化にはなっていますが、
新しいビジネスを創りだしているわけではありません。

木村氏も挙げておられるITを活用した新しいビジネスの創出は、
以下のものです。

 EC (アマゾンなど)
 SNS(FACEBOOKなど)
 情報検索ビジネス(GOOGLEなど)
 通信ビジネス(LINEなど)

小松製作所のCOMTRACは、大きくビジネス強化に貢献していますが、
CAD/CAMシステムの範疇でしょう。

こういう全体整理の上で、持論を展開されれば、
より説得性が高くなると思われます。 

3.「事業部門のシステム」において、
   業務処理システムとビジネスシステムの混同をしている

事業部門がIT部門を通さずにITベンダに発注することを
シャドーITと言っていますが、
既存企業では業務処理システムで
シャドーITすることはあり得ません。
 
いくら事業部門が「システム」に疎いといっても、
既存のシステムとの連携が取れないシステムを
ITベンダに発注することは考えられません。

すべてがシャドーIT化していくような表現をしていることは、
誤解を招きます。

4.IT部門の凋落の背景として
   昔と今のIT部門の業務の変化を認識していない

昔のシステムは業務の機械化でした。
したがって、どの業務の機械化をするかを誰かが決めれば、
システム部門の「SE」主導で業務の現状を把握し
その機械化をなんなくこなすことができました。
 
だから、システム部門はIT化の主役が務まったのです。

それに対して、
現在のシステム要求はビジネス強化が目的です。
どういう方向に強化すれば、ビジネスが強化されるかは
門外漢のシステム部門では分かるはずがありません。
 
したがって、システム案件をこなすことができないのです。

現在のIT部門は、ITベンダに対してはせいぜいが仲介役です。
「下手な仲介をするなら、何もしてくれない方がよい」
というのが仕事を任されるITベンダの本音です。
(本書でも前掲のようにその指摘はあります)

5.保守(エンハンス)業務軽視で 運用と十把一からげにしている。

「運用担当」が運用だけだったり、
アプリ保守を含んでいたりしています。
 
「フルアウトソーシング(売却)した結果、アプリの保守対応が悪くなった」
というような記述はありますが、
全般的には、保守業務を重視しているようには見えません。
運用のつけたし程度にしか見ていないようです。
 
「システム運用の日常業務に明け暮れているうちに、
IT部門は経営や事業部門と没交渉になり、
社内のITニーズのリアリティーや
コミュニケーション能力まで失っていまうのだ」
 
とありますが、
保守業務では常時事業部門との接触が行われているのです。
そうしなければ、保守(エンハンス)はできません。

実は、エンハンス(保守)業務軽視は,「国」の定めている
ITスキル標準(ITSS)でもみられるのです。

アプリケーションスペシャリストが、
エンハンス業務を担当するのではないかと思われますが、
この職種の業務内容に保守のことは一切記述されていません。

ITSSをユーザ企業向けにアレンジした
UISS(ユーザITスキルスタンダード)では、
アプリケーションデザイナーの担当業務は「IS保守」
と書かれていますが、内容の記述はありません。

ところが皆さま!!
今や基幹系システムの開発はとうの昔に終わり、
現在はそのシステムのエンハンス(保守)が
開発保守部門の仕事です。
現在は、開発保守従事者の半数は保守の担当なのです。

保守の内容としては、
 組織・制度変更への対応、
 法改正への対応
 IT稼働インフラ変更への対応
だけでなく、

 経営・部門方針変更への対応
 業務変更への対応

なども含んでいます。

今やエンハンス業務が、ビジネスを支えているのです。

ところが、保守という言葉から後ろ向き・必要悪というイメージがあり、
担当がいくら苦労しても、
その仕事が積極的に評価されることはありません。

これではいけないのではないか、ということで、
システム企画研修社では、
多くの企業様に働きかけて、
「エンハンス業務を陽の当る場所に引き出しましょう」
という活動を大々的に行うことにしました。

別項「フォワード・コンソーシアムがスタートします」
をぜひご覧ください。

 

2015年4月27日月曜日

「報道の脳死」と仰いますが!!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 (このテーマはたいへん大きなテーマです)
 報道・マスコミの「瀕死」の問題点を知りましょう。
 (上野のマスコミ批判も総括しています)
 報道の使命とは何なのかを改めて考えてみましょう。

 ついでに、週刊誌がどうなっているかを研究しましょう。
 

ねらい:
 「報道」の将来を見守りましょう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「報道の脳死」という書名を見て、
日頃、当ブログでもマスコミのいい加減さにクレームしている
私としては大いに期待しました。



この著者烏賀陽弘道さんは、
朝日新聞など20数年マスコミ記者をされていました。

実は、当項では、
烏賀陽さんの言いたいことを十分ご紹介してはいません。
このテーマにご関心ある方は、ぜひ原著をお読みください。

著者の言う「脳死」状態は、こういうことでした。

1.新聞の記事が陳腐である。

以下のような記事が陳腐の典型で
しかも各紙がほぼ同じテーマを取りあげている。

えくぼ記事
 微笑ましい、温かい気持ちにさせる記事
 岩手県の「奇跡の一本松」など。

カレンダー記事
 被災1周年、いまどうしている、などの記事

セレモニー記事
 イベント・セレモニーの報道記事

「パクリ、横並び、問題意識ゼロ」である、と
当書の帯にも書かれています。

,記者クラブでニュースを独占していることも、
報道の怠慢を招いている、と指摘しています。

2.ニュースピークを行っている。

ニュースピークというのは、
具合が悪いことを誤魔化したりぼかしたりする表現を言うようです。

 爆発→爆発的事象
 死の灰→放射性降下物
 計画的避難区域(危なくないけれど念のため避難させる区域)

こういう政策側が意図した用語を用いることは、
権力に対する迎合であるとして、ニュースピークというようです。
 
3.断片的な報道が多く全体像がつかめない。

例として挙げられたのは、福島で被爆した原子炉建屋の掃除に
米国製のロボットを使ったという記事です。
 
なぜ、日本のロボットが使えないのか、
という疑問に答えていないというのです。

実は国が30億円の金をかけて作業用ロボットを開発したのに
東電が要らないと言ったために
日本のロボットはオクラ入りしていたのです。

こういうことを伝えないから、読者の疑問が解消されないのだ、
と言っています。

4.権力に対する監視役をはたしていない。

前掲のニュースピークに乗っているのもその例です。
「権力に対する監視役」という役割を、
著者はかなり重視しているようです。

記者クラブでの取材、そこで質問で突っ込む、
たしかにそれは監視になるでしょう。
ワンマン社長も株主総会が怖いのと同じです。
しかし監視だけに意味があるのではないでしょう!

著者は、
2001年に「ジャーナリズムの原則」という共著を出した
米国のベテラン記者ビル・コヴァッチにも面会して、
その10か条の「原則」を紹介しています。

その第1原則は、
「ジャーナリズムは第1に真実に対する責務を負う」
その第3原則は、
「真実かどうかを検証する職責がジャーナリズムの本質である」
となっています。

しかし著者は、その第2原則
「ジャーナリズムが第1に忠誠を誓うべきはCitizenに対してである」
を権力から市民の自由を守ることという解釈をして
「権力に対する監視役」を前面に出しておられます。

これは朝日新聞に在籍されたことの影響ではないかと
推察します。

このように現在の「報道」が脳死状態になっている原因を、
著者は以下のように見ています。

a.マスメディアが大企業化している

分業が進んで全体感がない
セクショナリズム。縄張り根性がある。

b.経費削減で余裕がなくなった

専門家を育成したり、遊軍を抱えることができない。

c.記者がサラリーマン化して記者魂のある人が少なくなっている

優秀大学出の優等生が記者になっている。
問題意識が希薄である。

d.夕刊があるために、常時締め切りに追われる

朝刊・夕刊は日本独特の方式なのだそうです。
落ち着いて掘り下げができないので、どうしても記事が皮相的になる。

これらの表層的原因によって、より本質的な原因が発生しているとして、
筆者は「クエスチョニング」の欠如をあげておられます。

「クエスチョニング」は欧米型のジャーナリズムでは、
記者の仕事の根幹をなす、最も重要は作業である。
が、それに該当する概念と作業が、
日本の既存メディアの文化にはない。
よって日本語にもない。

これは日本と西欧型報道の最大の文化差でもある。

私は、このことを
「価値目標思考の概要」(2004年刊)でこう述べています。

日本では「農耕文化」と「他国からの孤立」という状況から、
すべてが既知で、過去の延長で判断できた。
そのため、「それはなぜか」と問う思考回路がない。

日本人の会話で「それはなぜですか」と問うことは
もの知らずか失礼ということで、嫌われた。

英語の会話で「Why?」が当たり前なのに対して
顕著な差である。

いみじくも筆者も同じ結論を得ておられます。

筆者は、インターネットによる情報伝達がますます発達して、
マスメディアが回復する可能性は低いとみています。

自ら積極的にネットを使って情報発信を行って、
そこから収入を得る方法も試行しておられます。

その活動自体はスゴイこと、偉いことだと思います。

「新聞社はテレビ局はコンテンツの優秀さによって
マスメディアの支配者だったのではなく、
インフラの独占によって支配者だった」

大手新聞社は、記者を育成するという役割を果たしてきた。
これが崩壊すると、誰がその役割を果たすのか?

新聞の黄金時代の報道界のリーダは、敗戦を知っている。
敗戦によってそれまでの価値観が否定された。
そういうことを知っている世代は、疑うという姿勢を持っていた。
今の世代は「疑う」ことを身につけていない。

など、優れた分析もされています。

しかし、私は筆者の議論に不足点を感じます。
それは、
報道の重要な役割を「権力に対する監視」だとしている点です。
それは一面的すぎるでしょう!

重要な使命は前掲コヴァッチも言うように
「市民が知りたい真実を伝えること」だと思います。
特に、市民の生活や幸福に影響するテーマについて
真実を伝えることが重要なのです。

現に、筆者は
大震災被災地に出向いて独自取材したものをネットに流しています。
これは、権力に対する監視とは関係がありません。

権力が隠しているものを暴くというのなら、
権力に対する監視かもしれませんが
被災地の現状報道ではそういう面はないでしょう。

ここから私の反論
私が、マスコミが真実を伝えていないと思う代表例は
以下のとおりです。

福島原発の大事故原因
  この原因を、一般には大地震の津波が来たからだとしているが、
  そうではなく、原子炉が停止した際の冷却機能が動かなかったからで
  これはその備えをしなかった電力会社の不備なのです。
  
  そのことは、早くから私が指摘していましたが、
    2011年5月18日「福島原発の事故およびその被害拡大原因」
  http://uenorio.blogspot.jp/2011/05/blog-post_18.html

  その後、原子核工学科卒の大前研一さんが
  「原発再稼働 最後の条件」(2012年7月)で述べました。

  地震や津波のせいにしたために、
  巨大な防潮堤を作ることになったり、
  地震を呼ぶ断層があるところの原発は危険で稼働ができないなどの
  たいへんな国家的損失を生むことになりました。
  
  私は、なぜそのようなバカげた判断を許しているのか
  不思議でなりません。

低線量放射線はむしろ身体にいい
  現在の安全基準年間1ミリシーベルト以下というのは、
  ナンセンスです。
  100ミリシーベルトまではむしろ健康によいのです。

  そのことの是非につきましては、私のブログでも論じました。
  2011年5月14日「低放射線量は有益である」という証明」
    http://uenorio.blogspot.jp/2011/05/blog-post_14.html
  
  この誤解のためにどれだけが世界中で損をしているか、
  計りしれません。
  世界中という意味は、「放射線の有害基準」は
  国際放射線防護委員会が定めたものだからです。
  
南京大虐殺のウソ
韓国慰安婦問題のウソ
  どちらも客観的事実に基づいて否定されていることです。
  なぜもっと堂々と反論しないのか、
  これも不思議でなりません。

これらの真実を伝えるために特別な研究をする必要はありません。
一部のメディアで発表されていることなのですから、
検索すればすぐ出てきます。
素人の私でも知っていることです。


さらに言えば、
私がこのブログでもやめてほしいと言っている
無責任な報道は以下のとおりです。

1)相撲で八百長が行われたという報道
 (日本の国技に傷がつくようなことを大々的に報道しないでほしい)

2)世論調査結果の無責任な報道
  例:特定秘密保護法案に対する反対意見
  (調査の回答者がこの法案の意義・内容を理解しているとは思えません。
  マスコミがこの法案を疑問視する報道をしている結果が
  こうなっているのだと思われます。

  失礼ながら無知に基づく回答を「国民は反対している」
  と反対派が利用して
  ますます反対の方にあおるという悪循環を生んでいます)

  2014.1.31「どうも日本の世論は偏りがちですね」
  http://uenorio.blogspot.jp/2014/01/blog-post_31.html

3)定見のない報道
  前回都知事選において、細川候補が「原発即0」という意見である
  という点をマスコミは取りあげていました。
  日経新聞のコラムに、なぜ都知事選で原発問題を取りあげるのか、
  という批判意見が載りました。
  そのとおりです。
  
  分かりやすいということと、筋があるかどうかは別でしょうに。
  2014,1,31「東京都知事選の正論は?」
  http://uenorio.blogspot.jp/2014/01/blog-post_4878.html

4)断片的無責任な報道
  前掲筆者も挙げていましたが、最近もこういう記事がありました。
  豊島区の公園で「高い放射線量が検出された」
  という報道です。
  1時間最大で480マイクロシーベルトというのですが、
  これが「高い」ものなのかどうかの記述はありません。
  現在の政府基準年間20ミリシーベルトで考えると、
  どうなのかを示すべきです。


報道の使命を、お得意の「目的・ねらい」を使って
以下のように整理してみました。

「権力の監視」も「真実の報道」もその言葉だけでは、
何ら具体的な指針にならないことが分かります。

ねらいを意識しなければならないのです。
ねらいは、人(層)によって異なるので、この議論は決着しません。

ただ、筆者の言うように何も考えない横並びの報道機関は、
何らの目的も達成しませんから
その生命終わりですね。

報道の使命

ねらい
国民が望む方向に国の進路を向ける
国民の幸福(生活に対する満足度の向上)を実現する


国家の衰退防止・発展に寄与する
国民とは誰のことか、によって望む進路は異なる。多数の国民の意向を重視するのが民主主義である。
しかし、どの層を重視するかによって報道姿勢が変わってくる。
国家が衰退してよいという国民は国民ではない。
目的
読者・視聴者に真実を伝える

権力が暴走しないように監視する
真実なら何でも伝えてよいというものではない。ねらいを意識しなければならない。
「暴走」は、国民が望まない方向に進むことを指す。
実現
方法
クエスチョニング
真実の究明
客観的取材 等々



とにもかくにも、
国民が知りたい真実を伝えるという点では、
今の日本では、
週刊誌がその役割を果たしているのではないでしょうか。

そこで、週刊誌4誌のトップ記事を調べてみました。
以下の表でブランクの部分は
たまたま調査した図書館にその号がなかったものです。

因みに、私は「週刊読売」がないことに、この時気がつきました。
発行部数減になり、2000年4月にYomiuri Weekly
(05年に読売ウイークリーに変更)と誌名変更しましたが、
08年末で休刊となってしまいました。

他の伝統週刊誌2誌も危ないのかもしれませんね。

これを見ますと、
週刊朝日やサンデー毎日は固いテーマが主流ですが、
売れている週刊文春(トップです)や週刊新潮は、
気楽なテーマも織り交ぜています。
このバランスが受けているのでしょう。

いすれにしても、
国民の「知りたい願望」を満たしていることが分かります。

週刊誌のトップ記事
発行部数は日本雑誌協会発表2014年10月~12月実績
伝統週刊誌
週刊朝日
サンデー毎日
1号当り平均発行部数
 169千冊
 116千冊
1月第1週

何でもランキング24連発
  第2週
自然エネルギーは最強戦略 安倍政権の選挙大勝後、次々進む原発回帰
最強参謀菅義偉官房長官が語り尽くす 安倍官邸の守護神は何を考えているのか
  第3週
列島壊滅に備えよ 2019年までに富士山大噴火!?

  第4週
知事選3連敗 官邸ピンチ
安倍のアメとムチに地方の乱

2月第1週
後藤健二さんが拘束直前本誌記者に送ったメール 安倍外交慢心と誤算
「アベノミクス」もはや風前の灯! 「今は嵐の前の静けさだ」
  第2週
名古屋大19歳少女の”サイコ度“ 「殺してみたかった」77歳殺害容疑
イスラム国の卑劣を侮った「安倍外交の誤算」 「日本人殺害脅迫」不都合な真実
  第3週
後藤さんの死 便乗する人たち 安倍政権がぶち上げた人質奪還の自衛隊出動、、識者が驚く政治家たちの素人理論
後藤健二さん[安否]の壮絶情報戦
  第4週
反骨の人菅原文太

「年金」残酷時代がやって来た
4月からマクロ経済スライド初適用
3月第1週

報酬減額は終の住処「特養」狙い撃ち 介護難民が続出する!
  第2週

120年ぶりの「民法」大改正 庶民の暮らしはこう変わる!
  第3週
大学合格者高校ランキング
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2015年4月21日火曜日

触れなば落ちん?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 お花の便りです。

ねらい:
 他意はありません。

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ポピュラーな八重桜の咲く順番は、
一葉、関山、普賢象で、
一昨日(4月19日)が関山の満開日でした。

そっと花弁に触ってみると、
ハラハラと落ちるのです。
「こういうのを触れなば落ちんと言うのだな」と実感しました。
(意味が違うかしら?)

その満開の写真を撮ろうと思っていましたら、
嵐が来てぽっちゃりした花弁をほとんど落としてしまいました。

その哀れな写真がこれです。





























ソメイヨシノは一足先に散ってしまい、
嵐明けの今日は花芯がご覧のように一面に散り敷いていました。
これはこれで見事です。

















 今は花ミズキの出番です。つつじはこれからです。

















ピンクの花ミズキも美しいですね。

2015年4月20日月曜日

激怒はかなり身体に悪い!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 激怒することは非常に健康に悪いことを知っていただく。
 いろいろな実証研究をする学者がいるものだということを
 知っていただく。

ねらい:
 あまり怒らないようにしましょう。

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これは、小坂田篤さんが送ってくださっている
「余計なお世話シリーズ」でご紹介された中垣健さんという
研究熱心・博識な方が発信されたレポートの内容のマゴ紹介です。

小坂田篤さんは、
T大OB/OGで社長をやっている人の研究会である
TTC(T大トップクラブ)の幹事役を永年やってくださった方です。

以下は、中垣健さんのレポートのままです。

◎「激怒」は健康に悪い、心臓発作リスク8.5倍=調査

激しい怒りはどれほど健康に悪いのか。
その具体的な事実が
最近の医療研究で相次いで明らかになっている。

ものすごく腹が立つ出来事のすぐ後には
心臓発作のリスクが8倍以上高
まることを示す新たな証拠が見つかった。

怒りによって
心臓発作や不整脈が生じやすいことを示す研究もある。

怒りは不眠症や過食、糖尿病を引き起こしやすい
インスリン抵抗性(肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが
正常に働かなくなった状態のこと)
につながる可能性があることも分かってきた。

米デューク大学医療センター行動医学研究所の
レッドフォード・ウィリアムズ所長は
「怒りはわれわれの身体のほぼ全てにとって有害だ」と話す。

同所長は「Anger Kills: Seventeen Strategies for Controlling the
Hostility That Can Harm Your Health」
(仮訳「怒りは致命的:健康を害しかねない敵意を抑制する17の方法」)
の共同著者でもある。

強い怒りは
アドレナリンやコルチゾールといったホルモンを血流に放出する。
その結果、
心拍数の増加や血圧上昇、糖代謝の活発化が誘発されかねない。

これは、身体的な攻撃を仕掛けるために
膨大なエネルギーを必要としているときには有効だ。

「穴居人の時代であれば、怒れば怒るほどますます攻撃的になり、
より多くの食料が獲得できた」と、
ニューヨークのモンテフィオレ・メディカルセンターの
精神医学科のバイス・チェアマン、スコット・ウェツラー氏は指摘する。

しかし、怒りが行き過ぎると害になりかねない。
米国人の主な死因である
心臓病のリスクをもともと抱える人々にとっては特にそうだ。

米国の成人の約半分は、
心臓病の三つの主なリスク要因
(高血圧、高い悪玉コレステロール値、喫煙習慣)
のうちの少なくとも一つを抱えている。

デューク大学のウィリアムズ所長によると、
慢性の怒りは心臓に長期的なダメージを与えかねない。

アドレナリンやコルチゾールの値が高いと血圧が上昇し、
心臓の負担が増える。
血圧上昇と血流増加も、動脈の内膜を損傷し、
脂肪の垢(あか)がたまる原因になり得るという。

オーストラリア・シドニーの急性心血管診療所が、
心臓発作が確認された300人以上の患者に、
心臓発作が起こる前の48時間に
何らかの怒りの感情を経験していたかどうかについて質問した。

その結果、極端な怒りを覚えた患者は2時間以内に
心臓発作を起こすリスクが通常よりも8.5倍も高いことが分かった。

この研究は今月、欧州心臓病学会誌で発表された。

出典: By Jeanne Whalen

ウォール・ストリート・ジャーナル 3月25日(水)9時57分配信

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(ここから上野)
なるほどですが、ストレスの溜まる怒りの方が
身体に悪い気がします。

今度、そういうデータを調べましょう。

「幸福に死ぬための哲学」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 池田晶子さんという人を知っていただきます。
 哲学・考えるということについて、思い出していただく。

ねらい:
 どうしましょうか。

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まいった本に出会ってしまいました。
たまたま目についた美人の写真が載っている
書籍の広告につられて買ってしまった本です。

その広告には
「『14歳からの哲学』の著者が遺した人生を変えるヒント」
とあり、その「遺した」という言葉に引きつけられました。

「幸福に死ぬための哲学」は、
著者の20年間約40冊に亘る出版の中から
抜粋した作品集です。


















テーマは、以下のような形で編集されています。
 人生
 幸福
 愛と孤独
 自分 
 善悪 
 世の中
 科学と情報
 言葉
 老い
 死
 考える精神

池田晶子さんという著者を私は知りませんでしたが、
1960年生まれで48歳で亡くなるまで
ずい分多くの「哲学」書を出しておられます。

私が「まいった」と思いましたのは、
反論できることがないからです。
優れた哲学は生半可な理屈では反論できません。

【人生という謎】

考えるということは、答えを求めるということじゃないんだ。
考えるということは、
答えがないということを知って、
人が問いそのものと化すということなんだ。
どうしてそうなると君は思う。

謎が存在するからだ。
謎が謎として存在するから、人は考える。
謎とは、自分の人生、この生き死に、
この自分に他ならないのだったね。

さっぱりわからないものを生きて死ぬということが、
はっきり分かっているということは、
自覚すること、人生の覚悟だ。
だからとても力強く生きて死ぬことができるんだ。
「14歳からの哲学」


【時間がないのは誰のせい】

現代人は、客観的時間すなわち時刻のことを、
人生だと取違えている。
そうして、何日までの何をする、
何年後までに何をする、
時刻を先取ることで、人生を生きている。

人生とはすなわち予定なのである。。
予定を立てたのは自分でしかないのに、
時間がないと不平を言う。

便利になるほど、時間は早い。
忙しくなるほど、時間はなくなる。
そのやって、忙しい忙しいと生きていたら,
なんと死ぬ時がそこに来ていた。
いったい人は何のために何をしでいるのやら。

こういう調子です。

現生的なピンとくるものをご紹介しましょう。

【犬の力を知っていますか?】

「犬の力」と私は呼んでいます。
人の心をかくまで深く惹きつけるその力のことです。

それはすなわち、人の心を無防備ににしてしまう力なのだ。
彼らの振舞い、彼らの瞳、彼らの心の偽りなさは、
我々の心を完全に無防備にしてしまう。
それが彼らの力なのだ。

心を無防備にされた我々は、
無防備になった心、武装解除した心が気持よい。
それが気持よくて、我々は彼らを愛するのだ。
彼らは我々によって愛されるのだ。

犬は、人間に愛を教えるために
(神様によって)創られた生き物なのだ。
「暮らしの哲学」

そういえばそうですね。
近所のワンちゃんの目を見ているとそう思います。
忠犬ハチ公がその好例です。

猫はずるがしこそうな眼をしていますが、
犬の目は純粋ですね。
人をだましそうにありません。

池田さんは犬をたいへん可愛がっていたようです。

しかし、猫も可愛いところもあります。
近所のおばあさんが可愛がっている猫がいます。
野良猫だったのですが、
猫好きのおばあさんが小さい時から餌をあげていたら、
すっかりなついてしまいました。
住まいは相変わらず野良です。

大病をして入院していましたが、
ようやく退院して外に出られるようになりました。
それでご主人が車椅子を押して
昔仲間のところにあいさつに来られました。

その時、その猫が黙ってついてきているのです。
愛想するわけでもなくとぼけています。
それでも、愛はあるのだなと感じました。


【酒の席で失敗する人へ】

飲むと気が大きくなるのは、
飲まない時に気が小さいからです。
飲まなくても気が大きいようなら、
飲んで失敗することはなくなるでしょう。

自分が正しいと思ったことを、
内に溜めこんじゃいけません。
思いを溜めこむとロクなことになりません。
酒を理由に噴出するのは目に見えてます。

人生に酒という友があるということは、
本当に幸せなことだと思います。
友は大事にしようではありませんか。
「人生は愉快だ」

いいことを言いますね。

彼女の墓碑銘は
「さて死んだのは誰なのか」
なのだそうです。

池田さんのご冥福を祈ります。