2012年4月26日木曜日

花だより (つづき)

【このテーマの目的・ねらい】
目的:花の写真でくつろいでいただく。
花の名前を覚えていただく。

ねらい:どうにもなりませんね。
            皆様にお任せです。


先日の花だよりは、ソメイヨシノが咲く前まででした。
その後の状況をお伝えします。

4月12日ころです。ジョギングコースで
きれいな花吹雪跡を撮ろうと思って、
カメラを持って引き返してきたら、タッチの差で
ご覧のように清掃車がやってきて台無しに!
まさに「シャッターチャンスを逃した」のです。
リターンマッチの写真が後で出てきます。
















これは4月16日ころで、これもジョギングコースの
西大井広場公園です。一面に散っています。

4月17日の同じ場所です。
ラジオ体操終了の時間です。
冒頭の場所の4月17日の状況です。




















近所で最大のソメイヨシノで品川区の保存樹になっています。
電線をはるかに超える高さです。                     

土曜日のジョギングコース品川中央公園の
花海棠と山吹。
花海棠の色がよく出ていないのが残念です。

同じ公園のウコンザクラ。少し盛りを過ぎているようです。

これも同じ公園のしゃくなげ。鮮やかですね。
近所のお宅の木です。
これは桜の種類のようですが詳細不明です。
ソメイヨシノは花芯が落下して終り。
ここからは、八重桜(サトザクラ)です。
大井町駅近くの立会通り沿いです。
初めは一葉(いちよう)です。4月16日?
















次に満開は、紅い関山です。


白いのは松月(ショーゲツ) 4月21日


毎日のジョギングコースの私が目をかけている八重桜(普賢象)
養生してもらっているのに、半分枯れてしまっている。

その樹だけれど、生きている花は頑張っている。
4月24日


小さな子供が犠牲になっている 何とかならないものでしょうか!!


【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 幼児虐待について考えていただく。
 幼児虐待を避ける方法を考えていただく。
 私の憤慨状態を知っていただく
     (これはどうでもいいですか)
ねらい:
 幼児虐待を減らす方法が見つかるといいな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私の孫が(3人目ですが同居中です)
1歳半であることもあり、
最近、小さな子供にものすごく関心を惹かれています。

そういう状況の中で、
そのような小さな子供が犠牲者になっているケースが
目につきます。

たとえば、以下のような事件です。

1)3/17報道 2児放置死事件母に懲役30年
   (犠牲者は幼児二人)
2)3/21報道 女児虐待死 両親に懲役15年
   (犠牲者は1歳8カ月の幼女)
3)3/9報道 2歳男児暴行死
4)2/26報道 4歳児死因は頭蓋内損傷
5)4/19報道 5歳の双子兄弟にバッテリー液点眼
6)4/3報道 全裸4歳児ベランダ放置

私が、気がついただけでもこのくらいありました。

そこで、
日本全体ではこういう死亡事件がどのくらいあるのか
調べてみました。
なお、5)6)は死亡していません。

法務省が毎年発行している犯罪白書で
「殺人事件の被疑者と被害者の関係」
というデータを見ますと、こうなっていました。

被疑者(犯人)が14―19歳で、被害者が子
という件数は毎年1ケタで、
直近の平成22年は3件でした。

この場合の被害者は間違いなく幼児でしょう。

被疑者がその上の年齢の詳細は分からないのですが、
被疑者20―64歳の子殺しは、
平成22年で66件です。

各年代で同じように発生していると想定すると、
20代の被疑者の場合は約10人です。

そうすると、
1)2)のような親の幼児殺しは
年間10件くらいのものなのですかね。

多いと考えるのか、
そんなものかと考えるのでしょうか。

その中でも、世間に大きなショックを与えたのは、
1)のケースです。

ご記憶の方も多いと思いますが、こういう事件でした。

24歳の母親は、検察側論告でこう言われています。
「被告は自己の欲望、欲求を最優先し、
元夫との離婚後、
子供を置き去りにしたまま長期間、
外出や外泊をするようになった」

「そうして、被告が最後に外出する際、
二人の衰弱を目の当たりにしたのに、
わずかな食料しか与えず、
部屋のドアにテープを貼った」
のです。

テープを貼った理由を、
「子供たちが水道をいじったりして
水が溢れて近所に迷惑がかかるのを恐れて」
と弁解したようです。

 この事件は裁判員裁判でしたが、
裁判長のコメントは、以下のものでした。

「幼児2人は放置され飢餓に苦しみ亡くなった。
むごいの一語につきる」

本当にそのとおりです。許せません!!

2)のケースは、
28歳の父親と29歳の母親が
1歳8カ月の3女に対して
自宅で頭部を平手で強打して
床に打ちつけるなどして死に至らしめた、のです。

3)のケースは、
被疑者は、7日午前0時頃、
交際している女性の長男に暴行を加え、
同日午前8時頃
十二指腸破裂による循環不全で死なせた、
というものです。

4)のケースは、
母親の交際相手から暴行を受けて
死亡した事件ですが、
「死因は頭蓋内損傷だった」というものです。
かなりひどい暴行だったのでしょう。

5)のケースは、
容疑者は母親の交際相手で
「兄弟が母親とじゃれあう姿に、
母親の元夫の面影を重ね合わせ、
憎しみの気持ちが湧き痛めつけようと考えた」
ということでした。

6)のケースは、
同居する内縁の妻の長男を
平手や孫の手で殴るなど暴行を繰り返し、
頭部打撲のけがをさせた、ということですが、
その原因は
「男児が日課の風呂掃除をしなかったことに
腹を立てた」
ということなのだそうです。

たまたま、
1)のような強烈な事件があったので、
ビックリしましたが、
1)2)のような実の親の幼児殺しは
年間10件くらいあるようなのです。

あとは、3)~6)のように、
自分とは血の繋がっていない幼児が
犠牲者になっているのです。

この場合は、
多少はその気持ちは分からなくもないですが、
実の親の場合には理解できません。
親になる資格はまったくありません。

どちらにしても、
このように大人の都合で幼児が犠牲になるのは
なんとしてもなくしたいですね。

子供には何の責任も当事者能力もないのですから。

1)2)はどちらも裁判員裁判でした。
1)は無期懲役の求刑に対して懲役30年の判決。
2)は10年の求刑に対して15年の判決。

いずれも求刑よりも厳しい判決でした。

1)は求刑より甘いようですが
そうではありません。
無期は必ずしも死ぬまで、ということではなく、
服役態度がよかったりすると恩赦に与れるのです。
有期の30年はそういう恩恵には与れませんす。

ということからすると、
どちらも裁判員は
厳しい判断をしたということになります。
それは素直に国民感情を代弁している
と言えるでしょう。

裁判員は、感情的な判断をしたということではなく、
一罰百戒の効果も考えたのでしょう。

でもその効果はあるのでしょうか。
1)の状況を見ていると、
そのような抑止効果が働くとは思えません。

そういう人であれば、
あれだけのひどいことはしないでしょう。

夏になると、幼児を車の中に放置して
脱水症状で死亡という事件が毎年起きます。
「母親は、パチンコに夢中になっていて」
というものです。
買い物では、
我を忘れてということは起こりえません。

こういうことを見ても、
一罰百戒などという「(社会の)親心」
が分かるようにはとても思えません。

ところで、6)のケースは、
2月の寒空に
ベランダに裸で出されて泣いているのを
近所の人が110番通報して発覚したものです。

今の都会人は「隣は何をする人ぞ」で
一切、口出しや干渉をしません。
この「近所の人」の行動に敬服します。

皆さん!!
「知らない人はほっておけ」ではなく、
「元気かい」「可愛いね」「美人だね」
「今日は元気ないね」「どうしたの?」とか、
声をかけましょう!!

私は、
毎朝我が家の周りの道路の掃除をしていますが、
そういう時に通行される方のほとんど
(女性の場合は100%!)に
「おはようございます」と声をかけています。

そういう習慣をつけて、
近所に関心を持つようにすれば、
昔の良き時代の日本の人間関係が
復活していくのではないでしょうか。

1)のケースでも、誰かが
「子供がいつも泣いている。おかしいな」
とか気がつかなかったのでしょうか。

話は別ですが、
独居老人の孤独死などの場合にも、
この近所での交流は有効でしょう。

ですが、残念なことに、
記事の上から判明している場合だけで、
3件はマンションかアパートの集合住宅です。
この場合は、近所でフォロをしましょう、
ということに限度があるかもしれません。

申し訳ありません。
他に対策案は思い浮かびません。

どなたか名案ございませんでしょうか。

2012年4月23日月曜日

日本経済立ち直りの鍵 介護事業経営者の育成方法

【このテーマの目的・ねらい】

目的:
 やはり国としての経済成長促進策は必要である
          という主張を知っていただく。

日本の経済成長を担わなくてはならない福祉産業の
         振興策上野案を知っていただく。

ねらい:国の施策として取り上げてほしい。 

――――――――――――――――――――――――――

「成熟日本への進路」の論の大前提は、
日本ではもう経済成長は期待できない
ということのようです。


しかし、成長を期待する人たちと議論すれば
「ここ10年以上成長できていないことは認めるが
これから成長できない、
ということはどうやって証明できるのか」
ということになるのではないでしょうか。


そこで考えてみました。
どうすれば成長が実現できるのかと。


しかしそもそも、
なぜ成長しなければならないのでしょうか?


 人口が同じでGDPが増えれば
1人当たりGDPは増えます。
豊かになります。

今や1人当たりGDPは、主要先進国中で最低です。
つまり日本人は貧乏なのです。


稼いできた貯蓄があるので貧乏ではないようですが、
現時点の貯蓄率はこれまた最低になっています。
蓄えもいずれ底をつきます。


これから、
年間1%ずつ労働力人口が減っていきますが、
1%以上の経済規模の縮小があると、
1人当たりGDPは減少し、さらに貧乏になります。


 国民が豊かさを取り戻すには、
少なくとも年間1%以上の成長を期待したいものです。
1%以上の成長なら、経済規模の拡大ができます。
とにかく
成長戦略=産業振興政策は必要ではないでしょうか。


ご承知のように、
日本でも高成長をしている企業があるのです。
日本電産、ユニクロ、楽天、ソフトバンク、イオン、
などです。


これらの企業は、
年率2ケタか2ケタ近くの成長をしています。

多くの企業がこの成長率なら、
日本経済自体も高成長になるのです。


これらの企業に共通しているのは何でしょうか。
創業者社長が陣頭指揮で頑張っていることです。

しかも長い間、社長として采配をふるっています。


これらの会社は意思決定が早いのです。


伝統的な日本の産業である電機業界で、
日本の大手は大きな赤字で危機状態であるのに対して
韓国のサムスン,LG電子は
日本を追い越してしまいました。


何が違うのでしょうか。


やはり、意思決定の早さです。
現代自動車もその点で頑張っています。


この技術進歩が急速な時代に
意思決定の遅れは命取りになります。


トップが責任を持って
案件をてきぱき捌かなければ、
競合に遅れをとります。


そこで、
「どうやって自己責任型の経営者を育成するか」
が、日本の成長課題となります。


波頭氏の論でも教育の強化がその対策でした。


そこで、
これから必要な介護サービス事業を対象にして、
その事業家育成策を考えてみます。


もともと日本人の資質は低くないのです。
OECDで実施している各国の知的水準を測定する
PISAという調査では、
2000年時点で、

 数学的リテラシーでは1位
 科学的リテラシーでは2位
 読解力リテラシーでは8位

です。その後はどんどん落ちていますが。


そういうポテンシャルがあるのですから、
的確な教育をして
優秀な経営者を育成するのです。


類似の育成機関に「○○塾」とかがあるようですが、
本案は、介護福祉サービスに特化していることが
特長です。

以下がその育成構想の骨子です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

介護事業の経営者を育成する教育センタを
全国7か所程度に、国か地方自治体が設けます。

教育は、高等教育修了者を対象にした、
半年程度のコースとします。

言わば、介護事業者向けのビジネススクールです。

入学時点で、厳しく適性検査をします。
積極性、強靭性、明朗性を重視します。
これのない人は、経営者として不適です。

教育内容は、以下の内容を中心にします。

 論理的思考法
  問題解決手法
 業務改善手法
 事業分析手法
 コミュニケーション手法、交渉術
 一般的経営手法・マネジメント手法
 営業手法

介護事業の理解
 関連法規
 介護事業のマネジメント

介護事業のマネジメント部分については、
ケースメソッドも利用し、
経験者・実務者が指導するようにします。

その一環で、
実際の経営で遭遇する問題を検討するチーム演習を
以下のテーマで実施します。

 事業開始企画の立案
 立地の検討
 施設の設計
 施設の構築
 従業員の採用

 サービス運営方針の設定
 入居者募集(営業)
 サービス運営の問題解決(3ケース程度)

資金繰り
 業績把握
 業務改善(経費削減、生産性改善、等)

 施設の拡充

このコース修了者が開業する場合は、
開業資金を融資します。

従業員給与の半分は公的補助とします。
(波頭氏も指摘しておられましたように
介護従事者の給与は
信じられないほど低いのです。
あの重労働で、学卒初任給の6―8割です)

その後、この卒業生を対象にした
フォロ研修や相互交流の場を設けます。
お互いに競合相手ではありますが、
本当の競合相手は、お客様です。

お客様に満足いただける方法を
           一緒に研究するのです。

万一、事業者が破たんする場合は、
そこの入居者等については、
公的機関が責任を持って
      次の施設を斡旋するようにします。

入居者からすれば面倒ですが、
現在入居待ちの不便を味わっている
ことからすれば、ましでしょう。


開業条件を厳しくすれば、
新規参入者は増えません。
廃業のリスクは覚悟すべきではないでしょうか。

以前、大手介護事業者が破たんしました。

それは、
不当な介護保険料の不正請求が発覚したことが、
発端でした。

その原因は、
介護保険料率が低く設定されているために
まともな請求では経営が成り立たないという背景が
あったと思われます。

このようなことが起きないように、
適切な経営が成り立つような制度設計が重要です。


これは凄い!!「成熟日本への進路」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 日本経済の現状を的確に知っていただく。
 成熟社会の指導原理を知っていただく。
 所得の再配分にはどのような方法があるかを
               知っていただく。

 成長を維持している国(米、デンマーク)の政策の
     特徴を知っていただく(これは驚きです)。
 これから日本が力を入れるべき産業を認識いただく。

ねらい:
 皆様次第かと思います。
 私は、日本経済が成長する方策を検討してみました。

――――――――――――――――――――――――

「成熟日本への進路」(波頭 亮氏著)を最近読みました。
2010年6月に初版がでているのです。
なぜ今まで話題にならなかったのか不思議です。

ビックリしました。
何から何まで「ごもっともです」の一言です。
これだけのことが解明されていて
なせ、日本中が認めていないのでしょうか。

波頭 亮さんは、私はこれまで知りませんでしたが、
独立の戦略系コンサルタントで
社会経済学者という範疇に入るようです。

大学教授ではないのが、
権威主義の日本では、
今いち評価されない原因かもしれませんね。

うがった見方をすると、
それだけ解明されて悔しいと思う人がいるのかも。
それほどに感心しました。

以下にその概要をご紹介します。

1.日本は成熟社会である

 ・名目GDP推移 1997年から横ばいである。



 

 



















・実質GDP成長率 90年代以降低成長である。
   70年代 4.2%
   80年代 4.7%
   90年代 1.1%
   00年代 0.8%

 ・1人当たりGDP 先進5カ国中で
    95年のダントツ1位から
      2006年には最低に落ち込んでいる。

  


















2.成長社会でなくなった要因

1)労働力の増加が限界である
 ・就労者数は人口低下状況にあって増えていない。
 ・主婦・高齢者の就労も多くを期待できない。
 ・労働時間は、減少したとはいえ先進国中上位であり、
                        増加は期待できない。


















2)資本ストックの増加に繋がる貯蓄率が最低である

・日本の高度成長を支えた「有名な」高貯蓄率は
            今や見る影もなく、最低水準である。
   (これはびっくりしました。
      日本人は貧乏になってしまったのです)


















3)技術進歩率(労働生産性の伸び)

 ・労働生産性の推移


 ・(上野注)国民平均の労働生産性は、
   生産性の高い産業から
    生産性の低いサービス業等への労働対象のシフト
   によっても低下する。

 ・それは先進国共通の傾向である。
 ・それにしても、
       以下のように日本は最低水準である。
95年から主要先進国中最下位を続けている。
  
 2008年 米国   9.9万ドル
         フランス 8.0万ドル
         ドイツ  7.6万ドル
             日本    約6万ドル

 どれを見ても、良いところは一つもありませんね。

3.成熟社会の指導原理

 ・成熟社会の指導原理は、
        成長社会の指導原理とは異なる。
 ・成長社会では、産業を発展させれば
        みんなが満足できる状態を作れた。

 ・成熟社会の指導原理は、
  国民の誰もが医・食・住を保障される」
                 ことである。

 ・したがって、
 国民の誰もが医・食・住が補償されるように
   いかに所得を再配分するかの「分配論」が
  主テーマである。

4.分配指向の租税制度

 ・分配型の租税制度はこうあるべきだ。
 ・まず前提となる現状の国民の負担率
  (収入に占める税と社会保障費の率)は低い。

  ・ まだまだ負担増は可能である。
  (上野注:ですが日本の1人当たりGDPは低い、
   つまり貧乏なのではないですか!)

1)消費税

・先進国の消費税率は、15―20%が主流であり、
 増税余地がある。

・しかし、この税は、
 逆進性(所得の低い者ほど負担率が高い)
 の欠点があり、限界がある。

2)金融資産課税

 ・お金持ちに負担いただこう、その一つである。

 ・個人金融資産1400兆円に対して
   固定資産税と同率の1・4%とすると
   年間20兆円の税収となる。

3)相続税の増強

 ・遺産額の50%を相続税とすると、
  毎年の遺産額は金融資産18兆円、不動産10兆円
  なので、税収は14兆円になる。

4)試算

 ・消費税率10%アップ、金融資産課税0.5%、
   相続税の実効税率20%で、
   合計33兆円の税収アップになる。

5.これからの経済政策

1)成長戦略は要らない

 ・95年以降226兆円が投入された
   経済を好転させるための緊急景気対策は、
  公共事業が中心で、その行き先は土木建設業であった。
 

・雇用の維持には貢献したが、
  日本経済が成長軌道に乗るための
  産業構造の変化は起きず、
  旧来の日本の産業構造を温存させただけである。

・しかも多額のつけを残してしまった。

2)これから伸ばすべき産業は福祉産業と輸出産業
                      である

 ・高齢化社会を迎え、社会保障・福祉サービスを担う
                     福祉産業
 ・エネルギと食料の確保をするために必要か外貨を稼ぐ
                     輸出産業
 ・この二つの産業を重点的に強化すべきである。

6.福祉産業の強化

1)医療従事者・介護従事者の不足状況とその原因

 ・上野注:的確に分析されています。たとえば、
 ・特養老人ホームへの入居待ちをしている
  24時間要介護の高齢者が42万人存在する。

 ・このニーズを吸収し、
  それなりの介護サービスを行うには
  380万人の雇用増が必要である。

 ・現在の失業者数は340万人であり、
   これをすべて吸収できる規模である。

 ・施設が増えない理由は、
          規制と従業員調達難である。

2)対策

 ・上野注:具体的に示されています。
 ・たとえば、「
  介護従事者に対しては「直接給付」の形で
   給与補てんをすべきである」

3)福祉産業の強化に対しては、
   国は直接介入し助成策を講じるべきである。

7.輸出産業の強化

1)期待できる産業

 ・日本が得意とする「ハイテク型環境関連」
  が中心で、
  「太陽光発電」
  「原子力発電」
  「水関連」    が基本である。

EV(電気自動車)は、
         成長に対して負の要素もある。

2)輸出産業の強化は、
        業界の競争原理にゆだねる方がよい。

7.これからのこの国のかたち

1)「国民の誰もが医・食・住を保障される国家」
  を運営する仕組みはどんなものか。

    これから毎年、
  労働力人口の1%に当たる77万人が減少するので
    1%を上回る生産性の向上がないと
   GDPは減少していく。

    高福祉高負担の典型である北欧諸国は
  どの国も66―70%の国民負担率でありながら、
   高い経済水準を維持している。


    高い国民負担率でありながら、
    経済が活性化できる仕組みが必要である。

2)その模範例はデンマークである

 ・デンマークの国民負担率は72%で
  スウェーデンと並んで世界最高水準である。

    それでいて、デンマークは二つの幸福度の調査で
   共に1位である。

    デンマークは
 市場メカニズムの徹底的な尊重を行っている。

3)市場メカニズムを尊重する仕組み

 ・米国は、先進国中最低の国民負担率
  (「自由経済」)でありながら、
  先進国中トップクラスの経済成長を遂げている。

    この米国と、
   高い国民負担率で経済成長を遂げているデンマークに
   共通の仕組みがある。

    それは以下の二つである。

3.1)教育への投資が世界トップ水準であること

 ・国家全体で投入される教育費の
           GDPに対する比率が高い。

 ・教育は、成長の基本条件である。


 ・近年の高収益産業であるIT、バイオ、金融は
   高度な知的集約産業である。

・米国は、70年代に「ゆとり教育」を行ったために
   自動車産業の衰退を筆頭に
  全産業に及ぶ競争力の低下が発生した。

 ・そこで、
 レーガン大統領のとった「教育の徹底的強化」政策
  によって、小中学校における授業時間数の大幅増、
   大学の教育カリキュラムのレベルアップなどが
   強力に推進された。

 ・その成果が、
  その後のマイクロソフト、ヤフー、アマゾン、
 グーグル等のIT系ベンチャの輩出につながった。



3.2)労働者を解雇しやすい

 ・デンマークは社会保障が行きとどいていて
             解雇されても困らない。
 ・米国はアングロサクソン系の自己責任思考に
                  よっている。

この前提があると、
 新産業・新事業への労働力のシフトは
 比較的容易である。
 ・(上野注:これは「目からうろこ」の着眼です)




4)官僚主導の排除

・この点については、
     なぜ官僚主導が悪いのか
     なぜ官僚は強いのか
     どうすればよいか
 について
 具体的に多くのページを割いて記述されていますが、
 今回のご紹介からは割愛させていただきます。



まとめ

以上のように、厳しい現状認識から始まって、
ではどうすればよいのか、について前向きにかつ具体的に
数値を上げながら検討されています。

非常に素晴らしい分析・提言であり、
日本の今後を考える上で
良きバイブルになるものだと思います。

この本は、
これだけのことが書いてあって
新書版で僅か780円です。
是非お読みになることをお勧めします。

別項「日本経済立ち直りの鍵 介護事業経営者の育成方法」
で、このバイブルに基づく私見を述べさせていただきます。