2011年10月31日月曜日

私の趣味「銀杏採り」のご紹介

以下の長文は、2000年から書き出したものです。
これだけ、続いているのですから
趣味と言えるのでしょう。
ただし、残念ながら期間限定の趣味です。
でもこれが、今は唯一の趣味です。

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私は、秋になるとギンナン採りに夢中になる。
2006年は、9月・10月で1万個くらい採ったと思う。
2007年は大不作で3000個程度しか採れなかった。
1年おき豊作説を言う人もいる。
2008年は豊作で8千個以上になっと思う。
2009年は、不作で私の「漁場」でならない木が多く
せいぜい5000個どまりだった。
2010年は、猛暑のせいか一般には不作だったが、
たまたま私は7000個は採れたように思う。

2011年は異変があった。
それは9月21日に、
何年ぶりかの大型台風の関東直撃があったこと。
これでかなりの「未熟児」が落ちてしまった。
それでもその「未熟児」を2千個ほども採って、
未だにタンクに保存している。

その後、何度か風雨があり採り頃があった。
台風であらかた落ちてしまったかと思ったが、
かなりの「強い児」が残っていたことになる。

だが、例年の「採集者」がほとんど姿を見せなかった。
おそらくあの台風で「今年のギンナンは終わった」
と諦めてしまったのであろう。
おかげで、
私の今年の収量はほぼ例年並みの6―7千個だった。

昨年まで採れていた樹が今年はまったくならない、
逆に昨年まではパッとしなかった樹が今年は豊作ということもあり、
また、昨年まで大きな実がなっていたのが
今年は小さいのばかりで対象にならない、
などその状況はよく分らない。

昨年まで大きな実の木が小さな実になってしまったのを
不思議に思っていたら、
誰かが「数がとても多いから実が小さい」と言われた。
なるほど1本の木で補給できる栄養は限りがあるから
実が多くなれば小さくなるのだろう。
しかしなぜそうなるかはやはり分らない。

よく「銀杏を拾うのですか」と聞かれる。
私は「拾うのではない。採るのです」と答えることにしている。
物理的には「拾う」動作をするが、
「乞食」のように拾うわけではない。
狩猟採集民族のように「採っている」のだ、と説明する。

まさに、採集民族のように、どこに行けば採れるかを考えて行動し、
うまくいけば大量に採れるし、駄目だとほとんどありつけない。
拾うなどという生易しいものではないのである。

大量に採れるのは、雨や風の後である。
銀杏は雨より風に弱いらしい。
嵐の後に出かけると、地面一面が「真っ赤」になるほど落ちている。
実際には赤ではなく、オレンジ色である。
残念ながら「真っオレンジ」という言葉はない。

そういう時は、1本の大木から千の単位の銀杏が落ちる。
1シーズンで、そういうときが何回かあるので、
おそらく1本の木に1万個以上の銀杏がなるのであろう。

因みに、銀杏はいちょうの実ではなく種である。
いちょうは雌雄別株であり、雌株にしか銀杏はならない。
臭い部分を含めて種子であり、
堅い殻は中種皮なのだそうである。
中国原産で、世界には日本経由で広がったらしい。

我が家では、家族全員が銀杏嫌いである。
匂いで吐き気がするというのである。
そこで毎年、家族にばれないようにこっそり処理していた。
匂いを残さないで処理するのは至難である。

ところが、2008年にオープンになった。
銀杏を好きになってくれたわけではない。
「物物交換」の対象になったのである。
家内が入っているいくつかのサークルで、仲良し仲間が、
お互いにどこかへ行くとお土産を買ってくるようになっている。

我が家は、最近どこへも行かないので、
貰いっ放しで具合が悪かったらしい。
一度、無理やり銀杏を持たせたら、びっくりしたことに、
多くの「仲間」から大好評だったのである。
それ以来、わが銀杏たちは何度か活躍することになった。

銀杏は、焼き鳥屋や料亭でも食べることができるが、
先日発見をしたことがある。
それはそういうところでは、殻を割ってから煮たり焼いたりする。
お客に手間をかけさせないためである。

これだと、銀杏の旨さが半減する。
殻のまま焼くと、ポーンと勢いよくはじける。
これは、殻の中に閉じ込められている水分が気化して
破裂を起こすのである。
はじけるまでは高圧がかかるので、中の質が変わる。
実(み)にモチモチ感がでてくる。歯応えがかなり違う。
このモチモチした銀杏は店では食べられないのである。
                          
私の主たる採集場所は、近所の大田区の公園である。
そこは9時に開門する。
先日、嵐の後の「大猟」のときに、興味深い経験をした。

一つめは、欲しいものがいくらでも得られる状況だと、
競争相手は仲間になる、ということである。
獲物が少ないときは、
開門と同時に我先にイチョウの下に駆けつけて、
脇目もふらずに1個でも多く採ろうと必死になる。
人のことなど見向きもしないでただただ地面を見ている。
他の人間は邪魔者なのである。

ところが、採りきれないほどの獲物があると態度が変わってくる。
お互い仲間意識で情報交換しながらゆったり採るのである。
そのとき一緒だった一人の「おばさん」は、
私の袋が一杯になっているのを見ると
「私はすぐ近くだから袋を持ってきてあげますよ」と言って、
大きなビニール袋を持って来てくれたのである。

そしたら、もう一人の「おばさん」
(実は二人ともほとんどお婆さんである)は、
「私はもういいから、あそこに集めたの持っていきなさい」
と自分が熊手で集めたのを譲ってくれたのである。

情報サービス業界はこれまで、
お互い、競争意識より仲間意識が強かったのは、
環境の成せる技で、これからはどうなのであろうか。
(2005年ころの記述?)

「おばさん」からの2番目の気付きは、こうである。
たまたまその時は、その採集場(木が3本)のところには、
私とそのおばさん二人しかいなかった。
私が女性でも、
おばさん達はここまで親切にしてくれただろうか?と考えた。
どうも違うような気がする。
何歳になっても男女の区別はあるのではないかと思った。

3番目は、銀杏の剥きかたを教わったことである。
私も何年か銀杏採りをしていて、剥きかたも試行錯誤している。
この方法しかないと思っていた。

ところが、そのおばさんは二人ともこうしていると言うのである。
それは、大きくて丈夫なビニール袋に銀杏を入れて、長靴で踏む。
そうすると、
柔らかい種皮の外層と堅い種皮(食べる部分)が分離する。
これを選別する、のだそうだ。

それを聞いて、結局のところ選別はしなければならないではないか、
その選別に手間がかかるのだ、と思ったが、
念のためその方法をやって見た。

ただし、長靴ではなく運動靴であったが。
そうしたら、たしかに作業効率がよいのである。
自分の方法が一番だと思って
他人の意見に耳を貸そうとしないのは駄目だと実感した。

この後、やはり「おばさんの長靴」がよいということが分かった。
私の体重で、底の堅い運動靴で銀杏を踏むと
堅い種皮まで割れてしまうものがある、のである。

そのようにして「生活の知恵」は継承されていったのであろう、
と思った次第である。

その時、もう一つ教わった。
たくさん採ったら冷凍保存しておくのだそうである。
銀杏は、乾燥してしまえば保存は効くが、
そのまま保存するとさらに乾燥して堅くなってしまう。
冷凍は、保存の常識であるが今まで気が付かなかったのである。


ここで、銀杏が美味しく食べられるまでのプロセスを整理するとこうなる。

第1ステップ 採る

どこにいつ行けば良い収穫が得られるかを知るのが重要で
「採る」作業自体は単純作業である。
近所の神社・お寺・学校にいちょうの木がある。

開門時間がない場所では早い者勝ちである。
タッチの差で全くありつけない時もある。
100個単位で採れた時は気分が良い。
普通の日は、出勤前のジョギングの際に採るので、
そんなに早くは行けない。
9時開門の公園の土曜・日曜が主な収穫対象となる。

学校は最近、勝手に入れなくなってしまった。
道路にはみ出して落ちているのを採るしかない。
事件が頻発したせいである。
住みにくい世の中になっていくことを実感させられる。

不思議なもので、公園で一度に千個以上採っても、
近くの神社で毎日10個・20個採ることもやめない。
見つけ出す楽しみがあるようだ。

「実」は、木によって大小がある。
大小など種類による味の差はまだよく分からない。
美味しいかどうかは、その後の処理の影響が大きい。

2010年に、毎年同じ方法で採っていた採集方法で進展があった。

以下は私のブログからの転載です。
 今年の中盤から蘇峰公園で一緒になるご婦人がいました。
 その人は、右手に昔の火鉢に使うようなバネで開閉するハサミを持ち、
 左手に直径20センチくらいのお皿状の器を持っていて
 それに一つずつ入れていくのです。
 「かぶれるのが嫌で手袋を使わないのだろうな、
 これでは遅くて競争に勝てないだろう」
 と思って見ていました。
 するとなんとその動きが早いのです。
 1個収穫するスピードが、どうも我々より早そうです。
 分析好きの私としてはなぜだろう、と考えました。
 そうすると分かりました。
 ハサミではさむ技術は訓練で早くなっているのでしょう。
 挟んで器に持っていくまでは手の動きの早さが勝負で
 それは若さの関数でしょう。
 ところがそこから先がお皿方式が早いのです。
 我々は食品等のポリ袋を使っています。
 左手にその袋をぶら下げていますが
 採った銀杏をその袋に入れるには
 袋の口の隙間に押し入れなければなりません。
 これが意外に手間取っています。
 右手は単純な地面と袋との往復運動をしているようですが、
 袋に入れる段階に若干の停滞時間があるのです。
 単位時間当たりの収穫量を増やすという目的のためには
 袋などの器に入れる段階を改善すべきだということなのです。
 そのご婦人はそのことが分かってされていたかどうか
 定かでありませんが、大したものです。
 私は、その次から我が家の台所にあった
 直径30センチほどの竹で編んだザルを使いだしました。
 たしかに早いし、袋に入れるときのストレスがなく
 大変スムーズに採集活動をすることができるようになりました。
 別の男性に「新兵器を持ってきましたね」と言われました。

第2ステップ 剥く

これが、最も大変な作業である。
銀杏が好きな人でも、あの臭い匂いはたまらないという人は多い。
そういう人は採りに行かない。
「ウンコ」の匂いだという。
柔らかい部分を剥いで干しているときの匂いは
1種のチーズの匂いである。

臭い外層は強い酸等で、かぶれを起こしやすい。
私も以前、傷口に付くことによってかぶれを起こした。
一旦ひどいかぶれを起こすと抗体ができて、
かぶれる体質になってしまうのだという。
私がかかった皮膚科の医者は、「漆と同成分だ」と言っていた。
かぶれないように手袋をして作業をする。

9月の初め頃は、まだ熟れていないので
何日か水に漬けて柔らかくする。
それから剥きにかかる。
大雑把に分離した後で水で洗う。
私は台所用洗剤も使っている。
完全に殻からオレンジ色の物体を払拭するのはなかなか骨がおれる。
この物体が残っていると乾燥の際に臭くてたまらないのである。
そこで、一粒ずつ丁寧に剥かなければならない。
1000個を処理するのに準備・後作業含め2時間程度かかる。

昔の人は、土に埋めて周りが腐ったら取り出したらしい。
この方法をやって見たが、ずいぶん日数がかかる。
どちらにしても、きれいに洗わなければならない。

2007年から少し改善して次の方法で行っている。
大きなポリエチのゴミ袋に入れて足で踏んで
柔らかい部分と堅い部分を分離する。
ここまでは従来と同じである。
このあと、大きなバケツに入れて水を満たす。
水をゆっくりこぼすと、
柔らかい部分は浮いているので水と一緒に流れて出てしまう。
これを数回繰り返すと堅い部分だけが残る。
こうすると一粒ずつ手を掛ける必要がなくなる。
かなり楽になった。
一粒ずつ手をかけないので、
割れているとかの不良品が混じってしまう危険性がある。
それは乾燥段階で選別する。

第3ステップ 乾燥する

以前は徹底的に乾燥した方がよいのだと思っていた。
しかし、前述のように焼いたときの水蒸気圧で味が良くなる
のだとすると、あまり乾燥させない方がよいことになる。

それではなぜ乾燥させるかというと、
乾燥すると臭みが無くなるからなのであろう。
それと、乾燥不十分だと、中の薄皮が実からはがれにくいようだ。
したがって、そういう範囲で乾燥をやめて、
それ以上乾燥が進まないように保存する必要がある。
乾燥は天気の良い日で2日程度である。

2011年に、皮剥きをしていると、通りがかったオバサマが、
「直射日光で乾かさない方がいいよ。中の実まで乾燥してしまうから」
と言われた。
そこで今年はその説に従って乾燥は1日にだけにしてみることにした。
どちらが美味しいのでしょうか。

ある年、乾燥途中で鼠に横取りされた。
鼠も好物らしい。部屋の中にたびたび殻が落ちているのである。
しばらく何故だか分からなかったが、ある時正体を現した。
びっくりした。家内は大騒ぎだった。
窓が開いている時に入ってきてしばらく居座っていたらしい。
もう銀杏は金輪際止めにしてくれと言われた。              

第4ステップ 保存する
すぐ食べるのが、最も美味いのはここでも当てはまる。
しかし、そうもいかない。
そこで保存せざるを得ない。
長期でなければ、ビニール袋で密閉しておくのが乾燥を防ぎ、
よいようである。
長期にこうして保存するとかびてしまう。
長期はやはり冷凍ということになる。
先日、冷凍しておいたのを冷凍庫から出して数日置いていたら、
美しいグリーンの艶が無くなっていた。
「冷凍庫から出したらすぐに食べる」は、
腐らないような食品でも当てはまるのである。

第5ステップ 焼く

専用の銀杏焼き網(蓋が付いている)が無い場合は、
フライパン等で蓋をして焼く。
蓋をしていないと、はじけた銀杏が飛んでくる。
その勢いは、軽い鍋蓋を飛ばすくらいの力がある。
気を付けなければならない。

はじけが3回か4回起きたら、火から下ろす。
全部がはじけているわけではないが、
十分焼けた状態になっているはずである。

紙封筒に入れて電子レンジで焼く方法(注)も紹介されている。
手軽でよいが、
やはり、焦げ目の香ばしさが味わえないのは物足りない。

(注)封筒に入れる前に、少し水につけておく
(殻の密閉状態をよくし、中にも水分を入れるためであろう)。
強い封筒に入れてレンジに入れる(加熱)。
封筒の中で銀杏がはじける。3、4度大きくはじけたらとりだす。
時間ではなく、このタイミングで計る。

以下も2010年の成果である。
たまたま、レンジで少し焼き過ぎたことがあった。
そうすると先に弾けたものが焦げて硬くなっていた。
なんと、これが別の風味があって美味しい。
まさに怪我の功名である。
したがって、あまり3回だ4回だと言わず、
かなり弾けてから下ろすという方法でもよいようだ。
この場合によいのは、
ほとんどが弾けていて割る手間が省けるということもある。

第6ステップ 食べる

よい状態でステップを進めてきた場合は、
エメラルドグリーンの宝石のような素晴らしい色艶の
モチモチ感あふれる銀杏が食べられるはずである。

銀杏の殻は硬いので、割る道具が必要である。
ペンチのような道具は面倒である。
ビール瓶のような飲料水の瓶の底で割るのが簡単である。
ワインの瓶の底は凹んでいるので適さない。

銀杏の成分は、
糖質35%、蛋白質5%、脂質2%、カロチン、ビタミンCを多く
含んでいるそうである。
きつい栄養分を含んでいるので5粒を限度にするのがよいとか、
食べ過ぎると鼻血が出るとか言われている。 

最後に、私の銀杏採りの「目的・ねらい」(私のビジネスのネタ)
を整理しておくとこうなります。
ご参考までに。

     目的                  

1. 採るプロセスを楽しむ。
 (今日はいくつ採れるか想定する、探す、採る)
2.たくさん採る。          

     ねらい
(主に「たくさん採る」のねらいです)

1.人に上げて喜んでいただく。
2.人に上げて交流を深める。
3.自分で食べる(ほんの少ししか食べない)

「上野則男のブログ」ランキング

この「上野則男のブログ」は
2010年4月から始めました。
この10月までで157編になります。

その前はブログではなく「上野則男のメルマガ」として
配信しておりました。
上野則男のメルマガの時代は、57編でした。

合計214編です。
「継続は力なり」ですね。

私のブログのアシスタント近藤千穂が、
アクセス数が分かるというので、見てみました。
ランキングは以下のとおりでした。

1.      福島原発の状況、これが本当!
  (2011/3/22) 1,548ページビュー
2.     「低放射線量は有益である」という証明
  (2011/5/14)   947ページビュー 
3.     事業仕分けでIPAのIT人材育成事業が槍玉に!
  (2010/11/23)  486ページビュー
4.     「システム障害はなぜ2度起きたか」
  (2011/9/17)   441ページビュー
5.     福島原発事故から学ぶこと
  (2011/3/31)   425ページビュー

3.を除いては、順序は別として、
私の力の入れているテーマがランクされています。

アクセスの絶対数が多いか少ないかは不問にして
分かることがあります。
ページビューの件数は、
最後まで読んでくださったかどうかではありません。
「面白かった」「有意義だった」
の人気投票ではないのです。

「開いてみた」方の数なのです。
開ける前は、面白いかどうかは分かりません。
当然のことですが、
タイトルで判断して開けられるのです。

したがって、「上野則男のブログ」の読者は、
「どういうテーマに関心がおありなのか」
ということがこのランキングで分かります。

このランキングは、
社会的関心の大きさをも反映していると思われます。

「事業仕分けでIPAのIT人材育成事業が槍玉に!」
は、ほかのテーマと並ぶ重要性があるとは思えません。
このブログの読者は、
システム関係者が多いことの結果でしょう。

やはり、ご自分のお仕事に関係が深いテーマは
読まれるということです。

「システム障害はなぜ2度起きたか」
が最近の掲載であるにもかかわらず、
他に伍しているのは、
最近のシステム業界の状況を反映していると思われます。

私としてはこの編は力作だったと思いますが、
先に述べましたように、
ページビュー数は、
良かったという感想数ではありませんので・・

東日本大震災以来、
BCP(事業継続計画)を含めて安全・安心に
強い関心が寄せられていることの結果でしょう。

以上から、私が学んだことは、
1.見ていただくには、タイトルの付け方が非常に重要
2.タイトルに、皆様の関心事に直結する「キーワード」が含まれていなければならない
3. 奇をてらうタイトルをつけてもあまり見ていただけない

ということでした。

これは、
自社のホームページにお客様を誘導する
際の原則と同じだったのです。