2022年12月22日木曜日

スゴイ成果のユダヤ式幼児教育法とは?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 世界に冠たるユダヤ系人の成功の源である幼児教育法を
  知っていただきます。
 この教育法は、教育の原理原則に完全に則っています。
ねらい:
 幼児教育を必要とされている方は是非ご参考になさってください。
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今月は、育児休暇や幼児教育が中心テーマになっていますので、
幼児教育の世界的成功例である「ユダヤ式幼児教育法」を
ご紹介します。

世界の僅か0.2%しか占めていないユダヤ系人が、
「世界の資産の半分以上を保有している」と言われています。
Forbesが発表している世界長者番付の2021年版では、
  3位 マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)
  5位 ラリー・ページ(グーグル創業者)
  7位 ラリー・エルソン(オラクル創業者)
  10位 マイケル・ブルームバーグ(ブルームバーグ創業者)
がユダヤ系人です。

天堤太朗著「ユダヤ大富豪に伝わる最高の家庭教育」では、
以下のような幼児教育法が紹介されています。
より具体的にお知りになりたい方は、ぜひ本書をご覧ください。



「人生が終わった時の通信簿を目標にする」
有名校に合格する、とか一流企業に就職するとかの中間目標ではなく、
お墓に入る時点での成果を目標にする、と言うのです。
中間目標を、目標にしていますと、
それを達成したときに目標をなくして無為無策の人生を送ることになってしまうのです。  

「それは何をしたかではなく、人に何を与えたか貢献したかで決まる」
その通信簿は、自分が何をしたかではなく、
以下に他人や社会に貢献したかで評価される、のです。
成功者となって財を成した人たちは、いろいろなところに寄付をしたり
社会貢献するための財団を作ったりします。
そういう教えをしているのです。
成功者はそれだけだと、尊敬されるより妬まれたりしますからね。
良い教えです。

「子どもにミッションを出すが、やり方は教えない」
                (自分で考えさせる)
これが、幼児教育の要諦です。
教えてあげるのではなく考えさせるのです。
これまでの日本社会の知識偏重教育とは大違いです。

「自立の重視」(親は見守るのが基本)
親は助けないのです。
ライオンは子どもを千尋の谷から突き落とすと言います。
それでも這い上がってくるようでなくては、
厳しい社会で生き残れないのです。
ユダヤ系人は、ナチスに限らず迫害の対象でしたからね。
それに対抗するには、強くなければならないのです。

「変化を恐れない」(時に危ないことにも挑戦させる)
変化への対応能力は成長の源泉です。
いろいろな経験をさせることがこの能力を高めます。

「ASTAR学習法で学ぶ」
このASTAR学習法は、ユダヤ人が編み出したものだそうです。
A:Attend 積極的参画
 何かをする時には、目的意識を持って積極的に参加する。  
 
S:Study 身につける
 ノートの取り方はこうします。
 左に学んでいることを書き、右にそれで自分はどうするかを書きます。
 


T:Teach 人に教えることで習得する。
 人間は学んだことを2日で78%は忘れます(某博士説)。
 しかし、自分の学んだことを誰かに教えることによって
 記憶の蓄積量が90%になります(別の博士の研究成果)。
 そこで、子どもに毎日学んだことを親に報告させます。
 
A:Apply 実践する
 studyのtodoを実践するのです。
 それを習慣化します。

R:Review&Report 見守る人をつける
 人間は放置すると怠けます。
 そこで、親が実践をフォローします。

「成人(13歳)したら経済的自立をさせる」
成人したら親は一切経済的援助はせずに放りだします。
そのつもりで子どもは準備をします。

こういうことを学校教育以外に親がマンツーマンで教えるのだそうです。
そうやって育てば、強く優秀な人間が育ちますね。  

「ポイント制」
このユダヤ式教育法の実践モデルを天堤氏が「ポイント制」として考案し、
多くの方が実践しています。
子どもは欲しいものがあるはずです。
その場合に、ただ与えるのではなく、以下のようにします。

1)お手伝い表
「お手伝いしたらご褒美をあげるからできることを書いてごらん」
と子供に書かせます。
何を書くか教えずに自分で考えさせます。
(「答えは教えない。自分で考えさせる」原則です)




2)ご褒美リスト
欲しいものを子どもに書かせます。
この「ポイント」は難易度を考慮して親が決めます。

3)ぺナルティリスト
日頃親が指導していることを基に、親が作成します。


4)ポイント表
毎日の獲得ポイント、ペナルティポイントを書いていきます。
進捗の「見える化」ができ励みになります。







2022年12月21日水曜日

「この時代を生き抜くための幼児教育」はどうすればいいの?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「幼児教育」のあり方について考えていただきます。
 その具体的事例を研究いただきます。
ねらい:
 幼児教育のあり方に関心のある方は
 是非参考になさってください。
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本テーマは、金子昌資・さち夫妻著の2019年4月刊
「この時代を生き抜くための幼児教育」のご紹介です。
















金子昌資氏は、
日興コーディアルグループの会長兼社長を務められたのですが、
72歳で子どもをつくったということで世間を賑わせた「男」です。

という言い方をしますのは、
彼は大学の自転車競技部の2年後輩だからです。
彼の、レースでも練習や遊びのツアーでも
歯を食いしばって頑張っていた顔が思い出されます。
「こいつ、根性あるな」と思ったものでした。
やはり大成しましたね。

この本のことは、
別項「お別れ!!」でご紹介した小宅康夫君を偲ぶ会で知りました。
今月は、別項の「縛られる日本人」「男性中心企業の終焉」の2書で、
育児休暇問題を取りあげていましたが、偶然当書もその関連でした。
前2書に対する実践編という感じです。

僭越ながら、内容も文章もたいへん良くできています。
私の嫌いな「人文科学的」ではありません。
当書はとてもいい本なのですが、
著者2人の写真が載っていないのが残念です。特にさち夫人。

彼は
「自分の前の子どものときには、世の中の多くのビジネスマンと同じで、
ほとんど子どもの相手をすることができなかった、
今度は、ちゃんと相手をするぞ!」と思い立ったのです。

その7歳までの育児記録が当書です。

当書のタイトルになっている幼児教育についてどうあるべきかの主張を
以下にまとめます。

人間の能力は、小さい時ほど柔軟に伸びる。
したがって、教育は早いほどよい。

子育ては夫婦で共同・連携すべきである。
(注:この点は前掲2書の主張するところです)
母親だけでは行き届かない。
「叱る」と「誉める」の両面が必要である。
金子家では「誉めて伸ばす」を家訓としている
(褒めるの有効性は幼稚園の先生に教わった)

重視した能力強化方法は以下のとおり。

ピアノ
 これから国際社会で活躍するには幅広い教養が必要である。
 音楽は重要な教養要素である。
 ピアノを弾くことで数学的感性も磨かれるのではないかと思われる。
 上達がはっきり分かる。
 発表会に参加することはプレゼン能力も高めることもできる。

英語
 これから各界で活躍するには英語が堪能なことは必須である。
 (英語の次は中国語、スペイン語である)
 自分も英語の上達に苦労をした。
 言葉は小さいときから始めないと習得がたいへんである
 (これは常識)。
 子どもが通っていた幼稚園でも英会話教育があったが、
 それ以外に3歳から英会話塾に通わせている。

国語と算数 
 算数・数学の素養は何をするにも基礎である。
 息子は算数は好きなようである。
 この2科目の塾に通っている。

パターン認識力・独創性
 人間の能力の中で「独創性」こそが最大の能力だと思う。
 (上野注:GAFAMは独創性の成果です)
 独創性はパターン認識から生まれるのではないか。
 井深大氏は
 幼児期からパターン認識力を強化することが重要だ
 と言っておられる。(注;井深大著
 「0歳からの母親作戦、子どもの心と能力は0歳で決まる」
 「幼稚園では遅すぎる」に感銘を受けたことが紹介されています
 パターン認識は、教えれられるものではなく、
 赤ん坊が母親の顔を覚えるように繰り返し学ぶことで、
 頭の中に体系化されたものができる
 ということではないかと思う。
 そこでこういうことができる知育玩具を与えた。

機械もの
 身の回りにある電気製品に関心を持ち、片っ端から壊した。
 それで、中古の機械やおもちゃの機械を与えるようにした。
 究極はLEGOのモーター付きロボットである。
 MITとLEGO社が共同開発した教材に基づく
 「ロボット教室」に通わせている。

動物飼育
 命の大切さを学ぶことができる。
 レース鳩、烏骨鶏、チャボ、ウサギを飼っている。

水泳
 水泳教室に通わせていたが、
 指導が厳しくて「行きたくない」となってしまったので、
 ヤメさせて自分が一緒にプールに行って教えるようにした。

自転車
 3歳半で補助輪なしで乗れるようになった。
 (上野注:今はストライダーがあり、これに乗っていると
  3歳くらいで普通の自転車に乗れるようになるのは珍しくない)

外で遊ぶ 
 幼児の体の成長は大事である。
 可能な限り、父親が外で運動の相手をしている。
 自転車遊びもその一つ。

小学校
 公立小学校を選択した。
 公立校の方が多士済々である。
 勉強はいろいろな方法で補うことができる。

成功体験 折れない心
 できないこと、失敗は誰しも経験する。
 そのとき、挫折してしまったら終わりである。
 大きな困難に遭遇したときに、過去の成功体験が力になる。
 「あの時、できたのだ」と思い頑張れる。
 そのようなプラス思考を折に触れ指導している。
 逆に失敗を知らない人間は、どこかで躓き痛い目に遭う。

金銭感覚
 日本では「お金の教育」をしていないのは、大いなる疑問である。
 金銭感覚も幼時から身につけるべきものである。
 そこで金子家では、報奨制度を設け
 (何かができたら得点を与える)、
 その得点を貯めて欲しいものを買えるようにしている。
 このことによって、モノの価値の大小が分かるようになる。
 上野注:
 この方法はユダヤ系の家庭では一般に行われているようです。

 上野注:確かに「金銭感覚」は大事ですね!!


2022年12月20日火曜日

「男性中心企業の終焉」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 職場における男女差別の根源問題を確認いただきます。
 男性の育児休暇長期取得が当然にならなければいけないようです。
ねらい:
 皆様も
 男性が育児に積極的にかかわることについては賛成でしょうが、
 仕事との両立や日本の発展にどう結び付けるかが課題ですね。
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本テーマは、ジャーナリスト浜田敬子氏著の書名です。
この書名は、おそらく出版社が付けたものでしょう。
著者は、男性中心主義の会社はもう終わるぞという警鐘を鳴らしているのですが、出版社は「もう終わっている」と一歩踏み込んだ書名にしているのです。
(それにしても美人は得ですね)




 













著者は、朝日新聞社が発効している情報誌AERAの編集長
を務めた逸材です。
「はじめに」にこういう記述があります。

AERAに在籍した17年間、その後移籍したオンラインメディア
「ビジネスインサイダージャパン」、
そしてフリーランスになってからも、
私は幅広い年代の多くの女性たちを取材し続けてきた。

まだ、「寿退社」という言葉が当たり前で
結婚や出産が即退職を意味していた時代に辞めていった同世代。
就職氷河期で女性の採用が一気に絞られ100社回って
1社からも内定をもらえなかった女子学生。
長時間労働の職場で働く夫の働き方を変えることができず、
ワンオペ育児に疲れ果てていた女性。
どれほど成果を出しても後輩男性に先を越されていく女性。
夫の転勤で退職し、
再就職しようにも正社員としての就職先がなかった女性。
派遣社員で働きながら年齢が上がるほど条件を下げられ
ギリギリの生活をしていた女性。
退職後に離婚してシングルマザーになり、
コロナで一気に経済的困窮状態に陥り途方に暮れる女性・・・。

女性たちを取材していると、
一体何が「失われた」のかと思う。
もともと参加の機会も、再チャレンジの機会もなかったのだから。
均等法や育児休業などの法制度ができても、
『女性活躍」という耳障りの良い政策ができても、
大きく状況が変化し、改善しているとはとても言えない。
その結果が116位(上野注)という体たらくで、
今ではジェンダー後進国と言われるまでになったのだ。

注:この前段に以下の記述があります。
2022年7月に発表された、
「世界経済フォーラム」のジェンダー格差のランキングで
日本は世界146カ国中116位だった。
2009年から、順位は交代し続けている。
日本の状況が悪化しているというより、他の国の改善が早いのである。

本書はそのような問題提起の書なのです。
以下の構成となっています。
第1章 男子校的テクノロジー業界でD&Iに舵を切ったメルカリ
第2章 日本の「ジェンダー失われた30年」と加速する世界の動き
第3章 リモートワークが変えた意識。阻んでいた「出社マスト」
第4章 数値目標は逆差別か。「女性優遇」という反発への挑戦
第5章 経営戦略として本気でダイバーシティを進める経営者たち
第6章 ロールモデル不在と女性たちの世代間ギャップ
第7章 最後の壁は家庭と夫の家事育児進出

問題指摘は以下のように丁寧にされています。
各種調査結果の引用も多数あり、参考になります。
1.日本のビジネス社会は、長時間労働を前提としている。
2.短時間労働の対象者や、長期間の育児休暇を取得する者は
  成長キャリアから外される。
3.男性が長時間労働の条件で働く、子どもを抱える家庭では、
  男性は育児に関わる時間をとることが困難である。
4.その結果、育児は女性の役割となってしまう。
5.女性も仕事をする場合は、
  その女性は仕事と育児・家事をこなさなければならず、
  一般の社員と同じ勤務条件を実現することは困難である。
6.その結果、女性は
  意欲を持って取り組める仕事やキャリアから外されてしまう。
7.若い世代は男女とも、男性の長期間育児休暇取得に賛成である。
  育児休暇に対して積極的でない企業は
  就職戦線でも不利になっている。
8.その障害は、
  頑張って何とかやってきたという自負のある上司群である。
9.現在は、多様な勤務形態への過渡期であり、
  見習うべき先輩(ロールモデル=お手本)が不在
  という点もハンデである。
  今活躍している女性の成功者の条件は、
  現在の多くの女性が見習える一般的な条件とは異なっている。
10.これでは、
  女性の能力を活かす多様性ある企業となることができない
  と認識した一部のトップは改革に取り組=んでいる。
11.そうでない企業では、
  女性は差別された環境に置かれたままである。
12.男性の長期育児休暇取得は、
  男性の人生観や仕事能力の好転に貢献している。
13.したがって、
  日本社会としては男性の育児休暇取得を促進すべきである。

しかし、その解決策は述べていません。
会社・社会の意識が変らければならないと言っているだけです。
ジャーナリストという立場からはやむを得ないのでしょう。

これに対して
当ブログ別項の「縛られる日本人」のメアリー・ブリントン「教授」は、
問題意識はまったく同じなのですが、
育児休業取得を法律で義務化すべきである、と主張しています。

現在の制度は、
本人からの申し出でにより育児休業を取得することができ、
その申し出でを企業は拒否してはいけないとなっています。
これでは「縛られる日本人」は周囲に気兼ねして申し出でしない、
したがって、申し出でによらず育児休暇を義務化すべきだ、
というのです。一理あります。

「80歳の壁」どうします??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 高齢時に「不健康」にならない対策をご研究いただきます。
 その対策の新説を多数知っていただきます。 
ねらい:
 早速実践いたしませんか。
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このテーマは、和田秀樹先生の著書のご紹介です。
和田先生は、東大医学部附属病院精神神経科助手等をお務めの後、
現在は、和田秀樹こころと体のクリニック院長をされています。

本書のテーマは、どうすれば幸せな晩年を送れるのかを
読者に伝えること、のようです。
先生は、「80歳以上は、ここまで頑張って生きてきたのですから、
明るくて希望の持てる呼び方にすべきではないか、
ということで幸齢者ということにします」とされています。
良い考えですね。


 本書の構成はこうなっています。
プロローグ 80歳の壁を超えていく
第1章 医者・薬・病院の壁を超えていく
第2章 老化の壁を超えていく
第3章 ボケ・認知症の壁を超えていく
第4章 高い壁を低くするヒント 50音カルタ

その内容は、「医療難民になる前に、
ドクターショッピングで、信頼できる医師を探す」
などの項目見出しで主張を展開されています。
分かりやすいのですが、あまり体系的ではありませんので、
(その例は、後掲の別記1をご参照ください)
私が、簡単に以下の表のようにまとめました。

項目

著者お勧めの対応法

健康診断

幸齢者になったら、健康診断はやめた方がよい。結果数値によって無益な治療(投薬など)をされかえって健康を害することが発生する。コロナで病院に行かなくなったら、日本の死亡者数は減少している。

医者の選定

大学病院の専門医ではなく、地域の「町医者」にかかった方がよい。専門医は患者を見ないで数値しか見ない。信頼できる「町医者」をみつけなさい。別記上野注参照。

処方された薬を服んで体調が悪くなったら、服むのをやめなさい。薬が効く効かないは症状や人によるのです。

ガン対応

80歳を過ぎる幸齢者は、がんが見つかっても、痛みの基であったり、食道などの通貨障害でない限り、手術はしない方がよい。がんの進行は遅いし、安楽な生活が送れる。因みに、がんで死亡したのでない人も解剖すると、ほとんどの人がどこかにガンを持っている。

血圧

血圧が高くても、生活に支障がないなら、「正常値」信奉により無理に薬で下げない方がよい。血圧を下げると血液の循環が悪くなり、動脈硬化症状のある場合は、血流の勢いを悪くするので、脳にダメージを与えます。

コレステロール値

コレステロールは免疫細胞の材料となるため、コレステロール値が高いほどガンになりにくいというデータもある。また、コレステロールは、心身の健康の維持に必要不可欠な男性ホルモンの材料にもなるので、これが減少すると元気や意欲がなくなってしまう。注:悪玉・善玉の区別は書かれていませんが、この記述は悪玉コレステロールのことでしょう。

糖尿病治療

薬で血糖値を下げると、低血糖となり脳に糖分が行きわたらなくなり、アルツハイマーを促進する。糖尿病の人がアルツハイマーになりにくいというデータもある。

食事

あまり気にしないで好きなものを食べたらよい。

ほどほどが良い。酒浸りは避ける。

タバコ

高齢者の場合は、タバコは吸っても吸わなくても生前曲線は変わらない。やめるストレスの方が害がある。

アレ

別記1。

ギャンブル

ギャンブルは歯止めがきかなくなる可能性があるので避けた方がよい。

運動

激しい運動は、体内に活性酸素をつくり過ぎ体を酸化させてしまう。スポーツ選手で年齢より老けて見える人が多いのはそのため。散歩が最もよい。1日30分が理想的。

生き甲斐

生き甲斐は感じるもので、それ自体を求めるものではない。気楽に「日々を楽しく暮らす」という発想が大事。

孤独

大事な人と死に別れたら落ち込みますが、「孤独は気楽だ」と開き直りましょう。Netflixで好きな映画を見まくる、とか。

うつ症状

高齢者はうつが多い。何もしないでいるからそうなる。したがって、心と体を動かすようにする。テレビを見るばかりはダメ。

認知症

別記2.


医者の選定 上野注:
私には主治医がいます。近所のクリニックの先生です。
この先生は診断がとても早いのです。
状況を聞くと少し診察して
「大丈夫です。ただの○○痛です」とか言われるのです。
初めの頃は、「いい加減だな」と思っていましたが、
結果的には全部当たっているのです。

それで私はその先生を信用するようになりました。
ヘボ医者が30分かけて結論を得ることを5分でできれば、
6倍の生産性です。
ご承知のように、保険点数は診療行為によって決められていますから、
時間をどれだけかけるかとは無関係です。
つまり、この先生は、患者の時間的負担を減らす上に、
高収益も実現できているのです。
そのクリニックは、大改築して大きくなって大繁盛です。

別記1 性欲について
「興味あることは我慢しない。どんどんおやりなさい」
本当はしたいのに「いい年をして」という言葉が頭に浮かび、
我慢してしまうことはありませんか?
でもやはり、したいことは我慢せず、やったらいいと思います。

たとえば、性的なこともその一つかもしれません。
世間の常識では「年甲斐もなく」と非難されそうなことです。
しかし健康面から言えば、積極的になっていいと思います。
なぜなら、男性ホルモンが増えるからです。

数年前、歌舞伎町で違法なわいせつDVDを販売して、
店員が逮捕される事件がありました。
この事件で話題になったのが、常連客に高齢の男性が多かったこと。
店には老眼鏡やルーペが常備されており、
警察官が踏み込んだ際にも
80歳を過ぎた男性客がいたと報道されています。
中略
このような性的映像は男性ホルモンの分泌を高めるので、
「元気の素」になっている面もあります。

「男性ホルモンは元気の源。したいことをして脳も体も元気に」
何かに興味を持つということは、脳が若い証拠です。
実際、それを実行することで、脳は活性化し、体も元気になります。
それは、男性ホルモンから見ても明らかです。

年を取ると、体内の男性ホルモン量は自然に低下していきますが、
多い人の方が元気なことは、医学的にも証明されています。

男性ホルモンは、たんぱく質の多い食事や運動習慣によっても、
ある程度保つことができます。
たとえば、肉には、
男性ホルモンの材料になるコレステロールが含まれており、
肉をしっかり食べる人の方が元気を維持できます。
コレステロール値を下げる薬を飲み続けると
ED(勃起障害)になりやすいのは、このためです。

80歳にしてエベレスト登山を成功させた三浦雄一郎さんは、
まさに「元気」の代名詞のような方ですが、
男性ホルモンの一種であるテストステロンを注入していることは
有名な話です。

「エロティックは否定しない。いくつになっても刺激を求めていい」
性欲についても再度話しておきましょう。
日本人はタブー視しがちですが、
本来、性欲は自然な欲求であり、とても大切なことです。
残念ながら、性欲は年齢と共に落ちていきます。

とくに男性は、男性ホルモンが減るため如実に低下します。
女性は、年を取ると男性ホルモンが増えるため、
性欲が多少上がる人もいます。
性欲があることは、恥ずかしいことではありません。
男性も女性も可能なら、
積極的に性の営みをしたらいいと思っています。
中略
女性も同じです。
「不謹慎だ」などと考える必要はありません。
ある人も、まったくない人もいますが、それは個人差です。
新たなパートナーを求めたり、年下を相手にしたりすることにも
躊躇する必要なないと思います。

別記2 認知症について。以下は要約です。
1.認知症の人数
日本全国で600万人、国民の20人に1人。

2.認知症の進行段階
1)もの忘れ
2)失見当識 
  場所とか時間の感覚が悪くなり、
  道に迷うとか、今の時間が分からなくなる。
3)知能低下
  人の話が分からなくなる、本を読んでも読めない、
  テレビを見ても意味がわからない。
したがって、2)段階の人は道に迷うようなことがあっても、
理路整然と意見を述べることができる。

3.「ボケたら徘徊する」は誤り
2)の状態はまだ軽度である。
それなのに、家に閉じ込めたりすると、
脳への刺激が少なくなり、3)に進む速度が早くなる。

4.2)の状態は記憶が弱いけれど判断はできる
オレオレ詐欺にかかりやすいのは、そのため。
そうかなと思ってしまう。
判断力があるので、1人暮らしもできる。

5.認知症の進行を遅らせる方法
薬は「少し効くかもしれない」というレベルのものしかない。
頭や体を使うことが有効でこれしか対策はない。
動き回っている人間は認知症の進行が緩やかである証拠がある。

6.認知症でも危険回避能力はある
著者はこれまで6千人の認知症者を診てきたが、
車にはねられたり、事故で大けがをした人はいない。
徘徊してもその点は大丈夫。

7.認知症で温厚になる
ニコニコ顔で人に愛されるようになる。
人生の終盤で素晴らしいことである。

認知症の認識を改めましょう!!


2022年12月19日月曜日

お別れ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 2022年に逝ってしまった友人・先輩を偲びます。
ねらい:
 「会うは別れの始め」を意識して交友を大事にしましょう。 
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昨年に続いて今年も、何人もの仲間が旅立ちました。
昔から「会うは別れの始め」とか
「別離は避けられない(仏教聖典)」とか言いますが、
それでもやはり、別れは悲しく残念なものです。
あらためて、その方々の偉業を偲びご冥福をお祈りしたいと思います。

1.小宅康夫氏
2.二木英徳氏
3.椿正明氏
4.龍野順久氏

4方とも80代でした。昔なら天寿を全うというのでしょうが、
現代は人生100年時代です。
まだまだの年齢です。本当に惜しまれます。

この4方以外に次のお二方につきましても「上野則男のブログ」で
ご冥福をお祈りしました。
1.石原慎太郎氏 2022年2月1日逝去
2.稲盛和夫氏 2022年8月24日逝去
1.小宅康夫氏 2022年3月20日逝去 85歳
彼は、昭和31年に東大自転車競技部を
当初は仲間3人で創部しました。
当時はサイクリングクラブと称していました。

そのときの様子を、
当部の会報誌に私が寄稿したものの抜粋を以下に示します。
――――――――――――――――――――――――――
部創設の頃仲間に入れてもらった男の思い出話

私は、昭和31年入学ですから、
部の創設者であるT、K、小宅君らと同期です。
私は、先に空手部に入っていて
厳しい合宿練習などを経験していました。
それがなぜ自転車部にも入ったのかあまり覚えていないのですが、
「サイクリングは楽しいかな」くらいで
上記3人の勧誘に従ったのだろうと思います。

二つの運動部に入った人はそういないでしょう。
おかげで、私は、多くの異色の友人・仲間を持つことができ
感謝しております。

私は、競技は空手で十分でしたから、
旅行の方だけに参加していました。
ほぼ旅行の方だけという組が、今は亡きM君、H君でした。

この仲間6人とはずいぶん一緒に旅行しました。
紀伊半島、四国、九州などに行きました。
一泊2食付きで400円で泊るのです。
予約はしていませんからその値段で泊れる所を見つけるのが
大仕事であり楽しみでもありました。
T君は一人旅が好きで全国走り回っていましたが、
お寺などにも泊めてもらったりしていたようです。

しかし数人となるとそうもいきません。
でも結構見つかるもので、野宿の記憶はありません。
泊める方も、東京から学生さんが自転車でやってきた
ということで興味を持ち、安くしてくれたのかもしれません。
 
古き良き時代の思い出です。

以下は、四国ツアーをしたときの写真です。

 左上野、右小宅

左小宅、右上野












小宅君は、豪放磊落タイプでしたが、
面倒見もよく多くの後輩から慕われていました。
遊び好き精神で私と結構ウマが合い
精神的には深いお付き合いをしました。

ところが、
2022年の年賀状に住まいの広島県からこう書いてきました。
―――――――――――――――――
昨秋突如大腸癌発覚。
めでたくも近々あの世からお呼びがかかるようなり。
良いことも、多少反省を要することも、気殿同様いくつか。
まあ人生こんなものでしょう。
でも貴殿との付合い 面白かったぞ。多謝。

――――――――――――――――――――
それでビックリして長電話をして状況を聞き、励ましもしました。
3月くらいまでもつかどうかだと言っていました。
できれば、みんなと会いたいね、とも言っていました。

その後3月13日消印で長い手紙が来ました。
彼はメールをしないのです。

「先に逝くことを許せ、よき仲間達」というタイトルで
創部の頃の懐かしい思い出話から、
後輩たちが結構全日本レベルで良い成績を残したこと、
1960年のローマ五輪は最終段階で選手派遣を逃したこと、
1964年東京五輪では、3人も候補選手になったこと、
家族と最後の団らんを続けていて幸せなこと、
などをはがき大の便せん13枚にしっかりと綴ってきました。

こういうことも書いていました。
「健康診断」は逃げ回っている方で、
ましてや内視鏡検査など、あの人間の尊厳を傷つけるようなことは
”絶対“ではないのですがイヤなのです。
案の定、つけが来ました。これもやむを得なし。

このことが無かったとしたら当方90歳になれば、
最愛なる老妻も85歳くらい。もうひどいことになりますぜ。
彼女はまだなんとかノロノロでも介護してくれていますが、
まあ最高に幸せであり候。


最後には、
「よき仲間達にもどうぞよろしく。
私の見立てでは春の彼岸頃、前後7日間で。
お先に、では皆さまさようなら 絶筆なり」

とありました。
――――――――――――――――――――――
そこで、この内容はコピーをして、
自転車部のネットで会員に伝えました。

死を目前にして、よくこれだけ淡々と書けるものだと
ビックリでした。潔く死を迎え入れています。
自分はいざとなったらどうなのだろう?
と考えてしまいました。

この書き方からすると、早めに書いておいたものを
3月13日になって投函したのでしょう。
彼の予想どおりお彼岸の真っ最中に逝ってしまったのです。

向こうでもマイペースで「人生」を楽しんでいるのでしょう。
「お幸せ」を祈ります。

なお、彼たちが創部した東大自転車部は
以下のような立派な成績を残しています。
東大の運動部の中でもピカ一でしょう。
この記事は、
本人もレースで優秀な成績を収めた北垣勝之氏(1964年卒)が
まとめてくれたものです。
小宅君の追悼の一部として掲載いたします。
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創部65年を経た自転車部、
その近来の出来事から見ると部活動の多角化と国際化が目覚ましい。
選手で云えばパラリンピック国際大会で、
タンデムレースの健常者として参加した丹沢秀樹君(2002卒、JR東海)が
堂々の入賞を果たした。
また自転車競技本流のロードレースでは、西園良太君(2011卒)が
現役時代からの実績を買われ
ブリジストン・レーシングチームの枢軸となり、
プロ選手としても大活躍したことは、TV等でお馴染みのことであろう。
彼の後も
科学的トレーニングによる競技力向上に向けた切磋琢磨の中から
浦祐樹君(2016卒、全日空)など幾多の優秀な選手が輩出する。
そのきわみが
今秋(2022)のロードレース「ツールド北海道」への
学連代表チームとして東大が参加したことである。
並みいるプロチームや社会人チームに伍して健闘したことも
記憶に新しい。

以上一部の脚光を浴びた事例だけでなく、
インカレやその他大会におけるピスト、ロードの選手権でも
赫々たる戦績を残している。
これらを支える自転車部スタッフの活躍も忘れてはなるまい、
特に女性マネジャーとしてキメ細かい配慮と行動に邁進した
植田瑞貴さん(院生、「銀輪」編集長)や、
自転車部競技班監督を長年務め、同時に
(財)日本自転車競技連盟の選手強化役を熟す三宅秀一郎君(1983卒)、
その車連には大脇恒夫君(1980卒)、
日本自転車振興会の大島環君(1997卒)、
また自転車部旅行班の組織化に尽力した谷川政雄君(1976卒)
等の協力も刮目に値する。
要は多士済々、各分野のOB会員があい協力し発展を支えてきたところに
「目覚ましい業績」が発露したものと思われる。
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2.二木英徳氏 2022年8月10日逝去 85歳
彼とは、大学の同級生かつ空手部同期入部の仲間です。
従四位の叙勲をされています。
岸田総理も彼の近親者による増上寺の通夜に参加されています。
どういうご縁だったのかは分かりません。














彼は、ジャスコ社長を10年、日本体操協会会長を20年勤めまして
今年春の叙勲で旭日重光章に叙せられました。
私は、仕事の上でもプライベートでもたいへんお世話になりました。
名前のとおり、徳のある逸材です。

数年前にかなりの大病をされたのですが、
奇跡的に完全恢復されて活躍されました。
1年近く前に体調を崩されて、入退院を繰り返しておられたのですが、
恢復中という情報もあった中での訃報でしたので、
信じられないショックでした。
本当に残念です。

氏のことにつきましては、以下のブログに詳細報告をいたしております。

3.椿正明氏 2022年8月25日逝去  86歳
椿さん(仕事仲間はすべてさん付けで呼んでいました)とは
1976年に大先輩吉原賢治さんが創立されたコンサル会社
(㈱日本システミックス)での仲間でした。











今は常識となっております
「情報システムは、データという部品の加工処理であるから
データの標準化は必須である、というコンセプト」を説き、
その実践手法を「発明」し提供された大偉人です。

1985年に、㈱データ総研を創業されています。
椿さんはIT系コンサルで、私は業務系コンサルでしたし、
椿さんは山が好きで、私は「酒が好き」でしたから、
あまり深いお付き合いはありませんでした。

しかし、お互いにその専門性・独自性を評価していました
(と思います)。

椿さんも健康であったのに、2014年に脳梗塞を患い、
療養・リハビリを続けておられました。
2015年には会社創立30周年イベントで挨拶をされるくらいの
恢復はされていたのですが、
とうとう「老衰」で静かに召されてしまいました。
あらためて、ご冥福をお祈りいたします。

氏の業績等につきましては、以下のブログでご紹介しました。

4.龍野順久氏、2022年10月20日逝去 88歳
龍野先輩は、空手部の3年先輩で、
新入1年部員のときに最上位の4年生でご指導いただきました
ご縁の深い方です。

当時、その4年生たちはまれにみる逸材ぞろいの全盛期でした。
ほとんどの方がとても優しい性格で、
とても丁寧に優しくご指導いただきました。
私立の大学に見られるような「しごき」はまったくありませんでした。
それでも、5月の連休の合宿後には脱落者が何人か出ました。

特に、龍野先輩の温顔が思い出されます。
組手をしますと、「よーしよし、来い来い」という感じで顔を上下に動かし
攻めを促されたのを思い出します。
もちろん、攻めても軽くかわされてしまいます。
「獰猛な」先輩で攻めるとかわしてバチンと食わす方もおられましたが
そういうことはなかったのです。

龍野先輩は、日魯漁業㈱に就職されました。
1970年代に日本能率協会グループとして
コンサルをさせていただいた時に
龍野先輩は人望が厚く、将来の社長候補とも言われておりました。
残念ながらそうはなりませんでした。
運に恵まれなかったのでしょう。

その代わりと言っては何ですが、
東大空手部OB会である東大拳法会の会長、
日本の和道流空手の本部である和道会の会長を歴任されました。
組織トップになられる見識・人望をお持ちだということです。

OB会でお会いしても、相変わらずの温顔で優しく、
いつも心が温まる思いをさせていただいておりました。

突然の訃報で、死因は肺炎ということですが、頑健であられたはずが、
「なんで??」と信じられない気持ちです。

来年2月4日に「龍野先輩を偲ぶ会」が学士会館で開催されます。




この写真は、2005年に諸先輩・現役が苦労して作成し千点余りの写真で空手の技術が解説されている「空手技術研究」書に掲載のものです。
動きが伝わってくるような感じがします。
心からご冥福をお祈りいたします。

2022年12月12日月曜日

「20XX年のパンデミック」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 人類の感染症との戦いを再確認していただきます。
 新型コロナ感染症の一般性・特殊性を確認いただきます。
ねらい:
 今後の新たなパンデミックに備えましょう。
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このテーマは、浦島充佳東京慈恵会医科大学教授の著書名です。


著者は、「この人、お医者さん?小説家じゅやないの?」
という感じさえする書きぶりで、感染症に関する物語りを展開します。
浦島太郎さんにあやかっているのではないでしょうに??
(ただし、よくよく読んでみると、
小説家らしく?若干いい加減なところも見受けられました)

まず、パンデミックなどの言葉の定義を確認しておきます。
 アウトブレイク:特定の区域や特定の集団において、
          通常予測される以上に感染症の症例数が増加している状態
 エピデミック:感染症が最初に急増したコミュニティよりも
         広い地域に拡大している状態
 パンデミック:エピデミックが国境を越えて広がり、
         複数の国や大陸に拡散・同時流行した状態
 
「はじめに」のサワリをご紹介します。

【風が吹けば桶屋が儲かる】

2019年12月に中国の武漢で新型コロナが発生、
それからちょうど1年でワクチンが開発され接種がはじまった。
これは快挙であり、大勢の命を救った。

この成功はオペレーション・ワープ・スピード(注)にあった
と誰もが指摘する。たしかにそうだ。
注:COVID-19ワクチン、治療法、診断法(医療対策)の
開発、生産、流通の加速を目的とするアメリカ合衆国連邦政府による国家プログラム

しかし私にはもっとも上流に何があったのか、
ブラジルの一匹の蝶の羽ばたき(注)に該当するものは
何であったかに興味を持った。
それはマイケル・ルイスの「最悪の予感」に書かれていた。

2005年夏、1918年に世界を襲った悪名高きスペイン風邪が
アメリカでどうだったか書き記した一般向けの本
「グレート・インフルエンザ」をある保健福祉省高官が読み、
これを就任したばかりの保健福祉省長官に読むように勧めた。

長官は重要な箇所にしるしを付けジョージ・W・ブッシュ大統領に渡した。
大統領は夏休みにこれを読み、
周囲に「アメリカのパンデミック対策はどうなっているか?」と訊ねた。

それに対して、国民に対する生物学的な脅威を扱う、
国土安全保障省のバイオデフェンス局に勤務する唯一の医師であった
ラジーブ・ヴェンカヤ先生が招集され、
「バイオシールド:緊急時のワクチン・治療薬等の開発加速を行う」
のコンセプトを大統領に提示した。

ブッシュ大統領はこのパンデミック対策に70億ドルの予算を計上した。
そのため、下院歳出委員会のメンバーの間では
「グレート・インフルエンザ」は70億ドルの本と呼ばれた。
バイオシールドが翌年、
生物医学先端研究開発局(BARDA:バーダ)の設置につながった。

さらに2009年の新型インフルエンザ、2012年のMERS、
2013年から2016年にかけてのエボラ出血熱、
2015年のジカ熱などのパンデミックが次々と発生したが、

この間バーダは製薬企業と官民連携を熟成させていった。
そしてこのバーダの成果が新型コロナで実を結び、
作戦を公開してからわずか8か月でワクチンの接種開始にこぎつけたのだ。

ブッシュ大統領が夏休みに読んだ「グレート・インフルエンザ」には
「アメリカ国内で2005年に発生すれば150万人が死ぬ計算になる」
と書かれていたのである。
それで大統領が対策を準備しよう!と思ったことが、
「蝶の羽ばたき」であったのだ。

(注)「蝶の羽ばたき」とは、当書の前段で紹介されていますがこういうことです。
ブラジルの一匹の蝶の羽ばたきは(まわりまわって)テキサスで竜巻を引き起こす、
という例えで、非常に些細で小さなことが理由で、
さまざまな出来事を引き起こし、徐々に大きな出来事に変化していく
ことを指している。


上野意見:
ブッシュ大統領の先見性はすごいですね。
そこまでに至った保健福祉省高官・長官も偉いです。
日本だと、「問題意識は人それぞれだ」とか言って、
このような「お節介」はしなそうです。
やはりアメリカに負けますね。

本書の構成はこうなっています。
章名のつけかたも小説家風です。

プロローグ 【仮想シナリオ】未知の感染症パンデミック
      (将来起きそうなパンデミックの予告です)
第1章 運命を変えた出会い―新型コロナウィルス感染症
第2章 1人の医師の有機ー重症急性呼吸器症候群(SARS)
第3章 森林伐採が引き起こした感染症ー二パ感染症
第4章 40年を超える戦いーエボラ出血熱
第5章 医師たちの執念ーエイズ
第6章 史上最大の臨床試験ーポリオ
第7章 撲滅への道ー天然痘
エピローグ 【仮想シナリオ】継続は力なり
おわりに 日本は新型コロナパンデミックの教訓を生かせるか?
あとがき

実は、「あとがき」にこんなスゴイ研究成果が載っているのです。
世界の新型コロナウィルスによる実死者(超過死亡数)は、
どういう要因と関係があるのかの分析です。
そうしたら、
「1人当りGDP」は相関係数はマイナス0.78(高い方がコロナ死が少ない)
「2021年までのワクチン2回接種率」はマイナス0.82
「60歳の平均余命」とはマイナス0.91(長い方がコロナ死が少ない)
でしたが、この3因子で多変量解析すると、
なんと「60歳の平均余命」だけが有意であるとなりました。





他の2因子は、「60歳の平均余命」の原因か結果である、というのです。
平時から健康を維持することができている国は、
新型コロナに対しても強かった、ということだったのです。

その証明になるのですが、上掲の下の図は、30歳から70歳の間に、心筋梗塞などの心血管疾患、脳卒中、がん、糖尿病、慢性呼吸器疾患(上野注:いわゆる成人病)で死亡する人口当たりの死亡率との関係を示し、相関係数は0.90と非常に強い相関を示します。

日本の死者が少なかったのは、新型コロナ対応が優れていたからではなく、もともと長寿国だったからなのです。

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以下にそれそれの章の内容をまとめてみました。

感染症

物語

新型コロナ

 

奮闘中

【ワクチン早期開発成功】

2019年12月に中国で発生したこの感染症は、

2022年10月10日現在、世界で

 少なくとも6億1760万人が感染、653万人が         死亡

 超過死亡算定方式だと2020年・21年で1500万人が死亡。

(1918年に発生したスペイン風邪では4000万人が死亡)

中国当局では2020年1月12日には、原因ウィルスのゲノム配列と、1月26日に発症前から感染することを発表している。

(発症前から感染することが、この感染症が大流行した原因である。「知らぬ間に移してしまう」のだから)

そこから、ワクチンと治療薬の開発が始まった。

2020年12月11日、ファイザー・ビオンテックグループ、1週間遅れでモデルナ、12月30日にはアストラゼネカのワクチンが発表された。

ファイザーのもモデルナのも、mRNAを使ったワクチンである。

このワクチンは,RNAを少し変えてやることで合成できるので開発が比較的容易である。

mRNA方式のワクチンは、2005年にペンシルベニア大学の2氏が特許をとっていた。この特許をモデルナとビオンテックが買い取っている。それが、2社のワクチン早期完成に貢献している。

モデルナ社は、政府(バーダ(注))から9億5千万ドルの補助を受けているが、ファイザーは、すべて自前で開発した。着手が少し遅れたファイザーは最後はモデルナを追い抜いた。


SARS

 

撲滅成功?

【WHOの下、各国が協力して撲滅】

SARSは21世紀に入って最初のパンデミックである。

2003年初頭に中国からベトナム、シンガポール、カナダなど5大陸26カ国に感染拡大し、7322人が感染し774人が死亡した(致死率1割以上)。

初期段階で原因が判明するまでに、多くの医療従事者が感染・死亡した。

WHOは2003年3月12日に「グローバル・アラート」を発信した。

その結果、各国で研究・解析が進んだ。

4月10日「原因は、通常の風邪を引き起こすコロナウィルスである」ことが判明。5月1日「全ゲノム配列解明」(米・蘭・独、加)

早期隔離が有効であることが判明し、7月5日には終息宣言が出された。その理由としては、感染力がそれほど強くなかったことがある。


ニパ感染症

 

終息

【オオコウモリと豚が媒介する強感染症】

1998年マレーシアで発生した人と豚を死に至らしめた感染症は、当初日本脳炎と思われた。

日本脳炎は豚がかかり、その豚を射した蚊が人間を射して感染する。

この感染症は致死率が高い(32%)。

日本脳炎は子どもと老人が死に至るが、この感染症は若い人も重症化する。その違いに疑いを持った若い医師の疑問が米国での新ウィルス同定につながった。

この新発見の感染症は豚から直接人間に飛沫感染する。ヒトからヒトへの感染はなかった。豚を隔離することでこの流行は収まった。

この感染地でオオコウモリを捕獲して検査した結果、二パウィルスが発見された。オオコウモリがついばんだ果実が下に落ちて、それを豚が食べて感染したのであろう、ということになった。

2018年5月、インドで二パ感染症が発生し23人が発症した。今度はヒトからヒトへの感染もあり、ウィルスが進化したと考えられる。

この時は、患者の隔離によりそれ以上の感染拡大を防いでいる。

その後も、小規模発生が確認されており、ウィルスの進化により大流行の危険性ははらんでいる。


エボラ出血熱

 

完全ワクチン開発

【WHOの活躍】

エボラ出血熱は1976年9月にザイールで発見された。

このウィルスを発見したのは、当時27歳の医師ピーター・ピオットであった。彼は、ザイールに行き、人から人への接触により感染することを突き止め、それを避けるように住民を指導することによって流行を収束させることに成功した。

2013年12月ギニアで発生したアウトブレークは、西アフリカ諸国に広がり、29,000人の感染者,11,000人の死亡者を出した。

そこで,2015年5月、WHOは急遽国際会議を招集し対策に乗り出した。

その成果が出て、2018年2019年のコンゴ民主共和国(旧ザイール)のアウトブレークでは、濃厚接触者の大半にワクチン接種が行われ流行を抑えることに成功した。

 

エイズ

【発見競争】

エイズは、レトロウィルスが原因で発症する免疫不全症である。

1980年代初頭には、エイズはカリニ肺炎やカンジダ菌による免疫不全症と区別がついていなかった。

これについて、米仏で数人以上の医師が研究を行い

「この病気は免疫不全により発症している」

「その原因はウィルスらしい」

「そのウィルスを発見した」と解明が進展した。

最後にそのウィルスを発見したパスツール研究所の2博士が2008年にノーベル賞を受賞している。


ポリオ

(小児麻痺)

 

撲滅成功

【史上最大の臨床試験】

ルーズベルト大統領もポリオに罹っていた。

そこで大統領になった際に、その撲滅に乗り出し寄付集めを行った,それが基で「全米小児麻痺基金」が誕生した。

原因ウィルスは1908年に発見された。

その培養に成功したのは1936年。

試験管での培養に成功したのは1949年で、その発見者3人はノーベル賞を受賞している。

ワクチンは、ホルマリンで不活化する「不活化ワクチン」と、増殖しているうちに変異して弱毒化する「生ワクチン」とが考えられた。

「不活化ワクチン」は、1954年に42万人の児童を対象にして行われた。

その結果、予防効果は7割しかなかったが、1995年からそのワクチン接種が開始された。

しかし製薬会社のミスで、生きたままのウィルスが混在していて、接種後ポリオ発症4万人、恒久的麻痺を残した患者200人、死者10人ということになった。「史上最悪の薬害」と言われた。

「生ワクチン」は、セービン博士が、自分の家族3人、子どもの友人3人とその両親に、自分が開発した弱毒性ワクチンをテストした。

結果は大成功であった。それを踏まえ、WHOが1957年に臨床試験を認め、1960年に認可された。

 

アメリカでの人口1億人当りのポリオの発生は、以下のようになっている。

 1951年~1955年 13,500人/年

 不活化ワクチン開始~   2,600人/年

 両ワクチン併用~       240人/年

 1973年以降(生ワクチンのみ) 4人のみ


天然痘

 

撲滅成功

【ジェンナーのワクチン開発物語り】

紀元前1157年に死亡した古代エジプト、ラムセス5世は天然痘で死亡したようである。

20世紀前半までは毎年世界で数百万人が天然痘で死亡している。

感染力も強く、致死率はワクチン未接種者(昔はすべてこれ)で30%、接種者でも10%と極めて高い。潜伏期間は7日から17日と長い。

WHOは1966年に天然痘撲滅キャンペーンを開始し、1977年のソマリアでの例を最後に世界で1例も発症していない。

スペイン軍は天然痘を持ち込むことによってアステカ帝国とインカ帝国を滅亡に導いた。

アメリカ原住民はこの病気に対する免疫をまったくもっていなかったので一挙に感染し死亡した。

1796年にジェンナーがワクチンを開発した(超有名なハナシ)。

ジェンナーはこうやって天然痘ワクチンを開発した。

牛がかかる牛痘は人間に感染する、しかし人間での症状は軽い、そして牛痘に罹っている人は天然痘に罹らない、という言い伝えを聞いた。

それをヒントに生体実験をして(今なら認められないでしょう)牛痘感染者の病変部位からワクチンを生成したのである。

しかし、その論文は医学雑誌では認めてもらえなかった(査読者の想定外だった)。



おわりに 日本は新型コロナパンデミックの教訓を生かせるか?
そのさわりをご紹介します。

2022年3月22日、感染症に対する国産ワクチン開発の司令塔となる組織、
先進的研究開発戦略センター(SCARDA、スカーダ))が、
日本医療研究開発機構内に新設された。
新型コロナウィルスのワクチン開発の遅れへの反省を踏まえた取り組みだ。
国内外の研究開発動向などの情報を収集・分析し、
公募で採択した研究テーマに資金を提供。
有事にいち早く、安全で有効かつ、国際的に貢献できるワクチンを国内外に届けるため、
平時から長期的・安定的かつ戦略的に研究開発を支援するというのがスカーダの役割だ。
スカーダは、アメリカの生物医学先端研究開発機構(BARDA、バーダ)の真似であることが、そのネーミングからすぐわかる。
アメリカでは、ジョージ・ブッシュ大統領時代の2005年、以下中略

この官民連携が2009年の新型インフルエンザ、2012年のMERS、
2013年から2016年にかけてのエボラ出血熱、2015年のジカ熱などの
パンデミックを経験しつつ進化し、2018年のアメリカ生物兵器防衛戦略策定につながった。
そして、この戦略の予算が2020年に付き、さっそく新型コロナでためされることになった。これがドンピシャのタイミングでオペレーション・ワープ・スピードとして花開いた格好だ。
その結果、作戦を公開してから8か月でワクチンの接種開始にこぎつけたのである。
いきなりオペレーション・ワープ・スピードを立ち上げたわけではない。
14年の熟成期間があったのである。

日本の政治がスカーダに心棒強く予算を配分い続けられるか、つまり”持久力”が鍵となる。
2009年、新型インフルエンザがパンデミックとなった。
日本でも対策を強化するため予算がとられた。
しかし「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で、やがて予算も減らされた。
そのため新型インフルエンザのパンデミック持に、PCR検査のキャパシティの小ささが指摘されていながらも改善されず、新型コロナで同じ轍を踏んだ。
スカーダが今までと違うことを期待したい。

その後、2022年6月、岸田首相は以下の方針を表明した。
内閣官房に「内閣感染症危機管理統括庁」を新設する(2005年度)。
国立感染症研究所と国際医療研究センターを統合し、日本版CDCとする。
注:CDC(Centers for Disease Control and Prevention)は、

これはこれで結構ですが、何でもかんでもはできません。
日本の最優先課題は何でしょう?
経済の再興ではないでしょうか。
「失われた40年」になったらコロナどころではありませんからね。

2022年12月6日火曜日

「縛られる日本人」

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 日本の人口減を緩和する育児休暇制度のあり方を研究します。
 一般的な日本のビジネス社会の通弊を再確認いただきます。
ねらい:
 育児休暇制度の普及について関心を持ちましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このタイトルは、
ライシャワー日本研究所のメアリー・C・ブリントン教授の
2022年9月発行の書名です。



「日本を愛するがゆえの警鐘である」とされています。
日本人、特に働く男性の意識に対して問題提起されています。

本書の帯にはこう書かれています。
人口が急減する日本。
なぜ出生率も幸福度も低いのか。
日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビュー調査と、
国際比較データをあわせて分析することで、
「規範」に縛られる日本の若い男女の姿が見えてきた。
日本人は家族を大切にしているのか、
男性はなぜ育児休業をとらないのか、
職場にどんな問題があるのか、
アメリカやスウェーデンに学べることは――――。
アメリカを代表する日本専門家による書下ろし。

本書の章立てはこうなっています。
内容表示は代表例です。
著者たちの調査経験、一般的な調査データを駆使して
具体的な解説がされています。
このテーマにご関心ある方は、ぜひ本書をお読みください。

序章 日本の驚くべき現実
 結婚と出産が減っている
 日本社会は「労働ファースト、人間セカンド」?

第1章 日本が「家族を大切にする社会」だという神話
 若者の希望と現実はなぜ異なるのか
 2人目を持つことの障害と感じている要素
 家族のあり方に関する強力な社会規範
 
第2章 日本では男性が育児休業を取れないという神話
 育児休暇は男性が取得するものではない?
 実は手厚い日本の男性育休制度
 日本人の男女は女性の生路休業についてどう考えているか
 なぜ、男性の育児休業が好ましいのか
 育児休業を取得すると男性のキャリアに傷がつくという不安
 同僚に迷惑がかかる?

第3章 なぜ男性の生路休業が重要なのか
 男性の育児休業が重要な理由--世界の国々から学べる教訓とは
 夫の無償労働と夫婦の子どもの数の関係
 家事・育児に最も積極的な男性、最も消極的な男性
 妻が仕事を調整するのが当たり前?
 変わる女性、変わらない男性

第4章 日本の職場環境のなにが問題なのか
 女性の就労と出生率の関係
  1980年までは負の相関があったが、現在は正の相関である。 






















 単身赴任という悪しき慣行
 顧客絶対主義の弊害
 日本の会社員の過酷なプレッシャー
 時短勤務という両刃の剣
 育児休業と保育園

第5章 スウェーデンとアメリカに学べること


 





 (日本の制度はスウェーデンよりも進んでいる)
 (アメリカには育休の優遇制度はない)
 保育施設の充実度
 アメリカの職場での厳しい育休交渉
 スウェーデン、五つの政策の効果
   1)夫婦共同課税廃止、個人単位の課税へ
   2)18か月の育児休業期間を夫婦で分けあえる
   3)取得条件が極めて弾力的になっている
   4)公的保育施設の整備に多額の投資
   5)第2子の早期に出産促進  
 スウェーデン人の育児休業の取り方
 「仲間の影響力」と「上司の影響力」

第6章 「社畜」から「開拓者」へ どうすれば社会規範は変わるのか
 男性稼ぎ手モデルの限界
 提案①子どもを保育園に入れずらい状況をできるかぎり解消する
 提案②既婚者の税制を変更する    
 提案③さらなる法改正により、男性の家庭生活への参加を促す
 (育休取得を本人の申し入れによりではなく、義務化する)
 (提案の理由)
 文化の変化はあまりに遅い
 育児休暇を取得した男性への負のレッテルを解消できる
 企業の対応を促す効果が期待できる

著者の主張の要旨はこうなっています。
1.日本の育児休業制度はかなり良い条件である。
2.ただしその制度は本人の申し入れにより実現するものである。

3.多くの従業員(特に男性)は、以下の理由で取得を遠慮している。
 1)皆がとっていないので、はばかられる。
 2)上司・同僚によく思われない。
 3)キャリア上マイナス評価となる可能性がある。
 4)育休後、元の職務に戻れない可能性がある。
 5)上司・同僚に自分の仕事のしわ寄せが行く。
 注:このことに関する具体例が多数紹介されています。
 1)2)は著者の言う「縛られる日本人」の思考です。

4.男性が本格的な育児休暇をとることには大きな効果もある。
  職場での連帯感が強まる(助け合わないとお互いに休めない)。
  男性が女性の立場をより理解できるようになる。
  毎日の仕事から離れて「人生」を見つめ直す機会になる。
  仕事に対しても新しい発想を得ることができる。
  子どもに対する愛着が深まる。

5.日本文化の中でこの意識・慣習を変えていくには長い時間がかかる。
  そこで、育児休業制度の取得を法により義務化すべきである。
  そうすれば、従業員は遠慮せずに育児休業を取得できるようになる。

6.ただし、3.の4)5)が発生しないようにするためには、
  業務分担方法等の改善が必要となる。
  この点は、育休取得が前提となれば、会社側が対応するであろう。

この書を読んで、なぜ日本が男性優位社会なのだろう?
と考えてみました。
以下はその検討メモです。

米国は、
 自己責任制で、機会均等。
 基本的に差別しない、実力主義・成果主義である。
 特に、女性を引き立てるということはしていない。
 自由競争社会である。    
   
北欧は、
 女性の活動強化 男性の責任強化、真の男女平等を目指している。
 人間の基本的人権を認めるのは、
 1789年のフランス革命による人権宣言に端を発しているが、
 現在の北欧の女性重視制度は、社会的必要性から生まれている。
   
日本は 男性中心社会である。
 男性が働き、女性はそれを支える役割分担意識が強い。
 なぜそうなっているのか。
 原始時代の狩猟文化はそういう役割分担だった。
 しかし日本は典型的農耕文化である。
 農耕では、女性も一緒に働いている。男性が「エライ」わけではない。
 ではなぜ男女差別があるのだろうか。

 1)農耕の村(ムラ)社会を支えた「家(イエ)」の
 「家父長(=男性)制度」(男系社会)の風習・理念が存続している。
 男尊女卑という言葉もある。
 男系天皇制はその象徴である。女王は生まれないのである。
    
 2)脱農耕で工業化社会・都市化社会になったときに、
 男が働き女が支えるモデルができたのだろう。
 女工哀史はあるが、主婦が働く女工ということはなかった。
    
 3)日本はフランス革命のような人権革命を経験していない。
 代わりに明治維新がある。
 そこでは、外国に侵略されないために富国強兵政策がとられた。
 男女平等よりも国が強くなることが優先した。
 女性は当時の戦闘方式の歩兵戦争には向かない。
 レディファーストなどという概念はない。
 公の場に夫婦同伴で臨むということはなかった。
 女性に参政権が与えられたのは、戦後の昭和20年である。
 (欧米でも20世紀になってからであるが)

どの要因が効いているのでしょうか?