2022年1月24日月曜日

「性と宗教」どういう内容でしょうか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 性(セックス)は宗教でどう扱われているかについて確認いただきます。
 正統派でない宗教での性の扱いについても研究いただきます。
ねらい:
 本テーマでは十分なご紹介をしていませんので、
 関心ある方はぜひ本書をお読みください。
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本項は、島田裕巳(元日本女子大教授)の「性と宗教」のご紹介です。
新聞広告で見たのですが、どんなことが書いてあるのだろう、
と興味津々で買ってみました。










本書のメインテーマである各宗教の性に対する戒律については、
大ざっぱにまとめるとこういうことでした。
これはあまり面白い内容ではありませんですね。
因みに、本書の中には一つも図表がありません。
こういう本は珍しいです。

各宗教の性に対する戒律

宗教

牧師・僧侶の戒律

一般人の戒律

カトリック

妻帯不可

不倫の戒め

性行為の慎み

同性愛否定

性を認める宗派もあり。

プロテスタント

妻帯可

仏教

本来妻帯不可

(僧侶の男色があった)

日本では明治維新で可

イスラム教

規制なし

性は禁忌でない。

同性愛は否定

神道

教義なし

教義なし

「邪な性関係(=穢れ)に陥ってはならない」としている。


キリスト教と本来の仏教では、性は抑制されています。
しかし性(セックス)がなければ、人類は消滅です。
その点ではイスラム教は間違っていません。
なぜそのような大事な行為に対して、
抑制しようとする宗教があるのか、については、
本書で探してみましたが明確な記述はありませんでした。

それで気がつきましたが、本書は人文科学系なのです。
自然科学や社会科学は、事実の確認をする学問ではなく、
その発生原因を究明する学問です。
自然科学における原因は証明可能です。

ところが、すべての社会的事象について言えるのですが、
原因・理由は推定するしかないのです。
なぜその経済は成長するのか、停滞するのか、や
選挙民がなぜその政策に賛成するのか、反対するのか、について
客観的証明は不能です。

社会科学では、
その「理論」の証明は基本的には納得性しかありません。
それで理論の争いが起きるのです

ところが、人文科学では、
事実を集めて発表するのが学問の主目的です。
そこからいろいろな推定を行うのは
その発表された資料の利用者に委ねられています。
推定は証明できませんので、
人文科学の学術書としては著述の対象にならないのでしょう。

ですから、読んでいて物足りないのです。
「なぜそうなのか?」を知りたい欲求にこたえてくれません。

そこで、人文科学系書籍に対する一般読者の関心は、
「興味深い事実」ということになります。

そういう点から「興味深い事実」として以下の内容がありました。
「性行為を称揚する(異端の)宗教の動き」です。
人間も生物の仲間であり、種を残すことが求められます。
性の交わりによって子どもが生まれるわけで、
性行為は種の維持という観点で不可欠なことです。

ところが、人間だけが生み出した宗教は、
性に対して否定的な側面が強くあります。
性行為に及ぶということは「邪淫」として捉えられ、
その側面が否定されます。

キリスト教や仏教では、聖職者は一切の性行為を慎み、
独身であることを求められます。
在家信者の場合でも、
正規の婚姻外で行われる不倫が戒められるだけではありません。
できるだけ性行為は慎むべきだということが、
キリスト教でも仏教でも共通して説かれているのです。

しかし、それは必ずしも宗教全般の特徴というわけではありません。
逆に、性行為を宗教的に価値のあることとしてとらえ、
それを称揚する動きもあります。
中略
性行為に価値を見出す代表的な宗教が中国の道教です。
道教は古代中国の老子に発するもので
儒教と並ぶ中国土着の宗教です。
中略
老子を祖とする道教は神秘主義の傾向が強く、
道教の教えを実践する目的は
仙人となって不老不死を実現することにあります。

そうした道教の中で生み出された養生術の一つが
「房中術」と呼ばれるものです。
房中術の目的は性行為において節制を保ち、
男女の和合を通して気を養うことにありました。
中国において気は生命の原動力とされてきました。
(上野注:その発展形がご承知の「気功」です)

世界的な宗教史家である
ルーマニア生まれのミルチア・エリアーデによると、
房中術はかなり昔の時代に遡るもので、その目的は
「生気を増し、長生を保証し、男子の跡継ぎを得ることにあった」
としています。

道教の理想は、「完全な平静」を実現することにありますが、
道教の修行者、実践者である道士は、性行為に及ぶ際、射精しません。
というのも、
射精せずに気と混じり合った精液を体内に循環させることで、
気の集中する下の丹田から頭の丹田に気を上昇させれば、
脳の再活性化が実現できるからというのです。
中略
道士は、脳の働きを補うために
陰の気を大量に吸収しなければならないので相手を頻繁に変えます。
それから、集団による「合気」という儀式が生み出されましたが、
それは仏教徒から批判されたと言います。
(上野注::そうでしょうね)
中略
長沙の馬王堆漢墓から出土した最古の房中書の一つである「十問」では
人体の部位のうちで生殖器が最初に衰えるとし、
その原因を不節制に求めています。
生殖器を保護するには飲食で滋養をつけ、
あまり性交しないことが重要だと言います。

もっとも重要なのは射精しないことで、
「すなわち衝動があってもみだりに性交せず、性交するにあたっても
最高潮の快楽に達しても漏らしてはならない。
このようにすれば精液と真の気とは蓄積され、
百歳になっても肉体は衰えるどころか強健になるだろう」と言うのです。

そして、射精しない効用を9段階にわけ、
1回漏らさなければ「耳聡く目は明らかになり」
9回漏らさなければ「神明の境地に入る」とされています。

ではどうやって射精しないようにできるかというと、
「止精回流法」と呼ばれ、「性交中、射精が起こると感じたら、
ただちに左手の人差し指と中指で、
陰嚢と肛門のあいだのツボ(会陰と言われる)を強く押さえ、
深呼吸しながら歯ぎしりをする。
このとき決して息を止めてはいけない」のだと言います。
(上野注:そんなこと、「最中」にできますかね!)

こうした方法は日本にも伝えられていて、
江戸時代の性についての指南書「好色旅枕」では
「蟻の門渡り」と呼ばれていました。

エリアーデによると、道教の性の技法は
インドで開発された「ヨーガ」の方法に影響を受けている
としています。
(上野注:古い道教の教えには、さらに古い起源があるのです)

ほかに「興味深い事実」としては、
武士や僧侶の世界における男色についてもかなり記述されています。

さらに本書で分かったことは、性と宗教の関係の研究書があるということです。

1)石田瑞麿著「女犯-聖の性」(筑摩書房)
2)梅川純代「神仙の証―中国古代房中術に見るセックスと飛翔」
  (井上章一編「性欲の文化史2」講談社に収録)
いろいろな研究者がおられるのですね。

2022年1月23日日曜日

本邦初!コロナの功罪総まくり!!第1版

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「コロナウィルス」病の功罪(好影響、悪影響)を棚卸しします。
 「コロナウィルス」の影響項目の全貌を把握していただきます。
ねらい:
 今後、コロナウィルスの影響について、
 全体観を持って見ていただければと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本もコロナ感染第6波で、たいへんな感染状況になっています。
コロナの悪影響につきましては、
これまで心配や怒りを感じさせられ続けてきましたが、
好影響もあるのです。
そこでその影響の全貌を明らかにしてみようと思い立ちました。

多分このような整理は日本で初めてでしょう。
しかしながら、拙速作成ですので、まだまだ不完全だと思います。
影響の項目自体につきましては、まずまずとは思いますが、
やはり今後の変更があると思われます。
項目に対する説明の方は、
状況によってどんどん変わっていくものだと思われます。

ということで、今回の分は第1版としています。
ぜひお気づきの点をお寄せいただいて
レベルアップしていければ、と思います。
よろしくお願いいたします。

コロナの効果項目一覧

項目

# 

細目効用

デジタル化の促進

仕事の容易化・高度化

生活の改善

教育の改善

個人捕捉の進展

日本社会の意識変化

社会システムの統一・標準化促進

先行き不透明感の一般化

社会的不均衡の是正

非正規労働の見直し

介護士給与等の上昇

「過剰診療」の削減

規制緩和

オンライン診療の拡大

薬販売の薬剤師等関与条件の緩和

官公庁届出資料の押印廃止

ビジネス書類の押印省略

税務帳票のデジタル化条件緩和

リモートワークの促進

通勤の不要化

子育ての容易化

家族の連帯強化

東京一極集中の緩和

オフィスコストの削減

JOB型処遇の促進

個人の能力・適性の伸長

企業の競争力強化

経営の透明化の促進

不正の内部告発の増加


コロナの効果項目状況説明
この表の#は項目#と細目#の組み合わせです。

状況

11

    日本の行政のデジタル化の遅れが明白となりデジタル庁の誕生となりました。

    リモート会議は一挙に普及しました。大企業では「会議はリモート」が一般化しています。

    以下は日経BP社の調査結果です。



12

    多くはありませんが、規制緩和によってリモートで済むことが少しできました。

    行動制限から身近な経済圏が見直され、近場の商業が発展し生活が便利になったことも起きています。

    巣ごもり消費拡大によってネット取引が増え、ある面で便利さが向上しています。

    内閣府「第4回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」(202111月)では、「コロナ前よりも生活を重視するようになった」という人が増えています。



13

    小中学校でのPC1人1台が2021年度中にほぼ実現しました。

14

    マイナンバーの把握不備により、コロナ施策に大きな障害が発生したことを踏まえ政府はマイナンバーカードの普及に力を入れています。

    普及率は2022年初めに4割を超えました。政府は2022年度末までの100%交付を目指しています。

    身分証明書的な利用以外に、行動追跡把握も可能となり、コロナの濃厚接触者の把握もできるようになります。

21

    行政系のシステムが標準化されていなく、国の一律助成金の給付に支障をきたしたことは、大問題となり、日本のシステムの後進性が国民すべてに知れわたりました。

    これまでの行政系システムは、それそれが自分の都合で開発していますので、他のシステムとの連携がしにくいのです。

    デジタル庁は、行政系のシステムの統一・標準化に取り組みます。

    地方自治体のシステムは、本来9割は共通の機能ですから、もっとも標準パッケージ向きなのですが、共通システムの利用はごく一部でしか行われていません。おそらく数兆円単位あるいはそれ以上のロスが発生しています。このために地方のIT企業が存続している面もあるのです。

    デジタル庁はこの領域にも踏み込んでもらいたいものです。

22

    国民は、降ってわいてきたコロナの影響を目の当たりにし、また頻繁に急変する状況に遭遇しています。

    さらにデジタル化の進展は急速で,AIやロボットの大幅能力向上に驚嘆しています。

    このような状況にあっては、ユデガエル民族の日本人の多くも、過去の延長に将来の生活はないという認識をしているはずです

    その本格的な意識調査結果は見つかっていません。以下の調査結果は、その心理の一部を表現したものです。

    内閣府「第4回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」(202111月) コロナ前に比較して将来の仕事について考えるようになった人が増えています。






31

    「パートタイム・有期雇用労働法」が、大企業では20204月から、中小企業でも20214月から適用となっています。派遣労働者については企業規模を問わず一律20204月から施行されています。

    この法では、(非正規)労働者に対する不合理な待遇差を禁止しています。

    コロナの影響で、職を失い再就職もできずに生活困窮する人たちの実態がしばしば報道されました。

    その際に、非正規労働者や女性労働者へのしわ寄せが問題提起され、同一労働同一賃金の実現への国民の認識が強まりました。

32

    介護士の給与は、過重な労働の割に低賃金であるにもかかわらず、本人の職業意識に甘えて放置してきていることは、しばしば問題提起されているところです。

    政府は、2022年度経済対策で、保育士、介護士の賃金を3%程度、月額で約9000円引き上げる、看護師の一部についても同程度の引き上げを行う、としました。

    看護師給与の実態は、人材サービスの求人では、時給2割アップの例もみられるようになったようです(2020510日日経新聞)。

33

    日本は国民皆保険制度で、誰しも低い自己負担額で医院の診療を受けることが可能です。

    そのため、「不要不急」の医院通いの存在が指摘されてきています。

    (日経新聞2020522日記事)「通院件数コロナ禍で激減」にこういう記述がありました。

コロナの感染が本格化した2020年3月の被用者保険の実績では、前年同月比で医療費は1.3%減だが件数は11.5%減となった。

こんな仮説は成り立たないだろうか。「軽い風邪や腹痛、花粉症などにかかった人は通院を控え、薬局で薬剤師や登録販売者に相談し処方箋が無くても買える一般用医薬品でしのいだ。軽い病の治療が、自分で手当てをするセルフメディケーションに取って代わった」

・  医院で処方された医薬品が利用されずに家庭で大量に「保存」されている事実も指摘されています。

医院に行かないことは「手遅れ」になるリスクがありますが、実態はそのリスクよりも「過剰」診療のロスの方が大きいと思われます。

41

20年3月からコロナ疾患関係でもオンライン診療の特例条件(初診を除く、コロナ医療機関への受診勧奨や無症状者への薬の処方など)が認められました。

さらに、コロナでの早期診断の必要性から、あるいは保健所の負荷削減の観点から、オンライン診療の拡大が検討されています。従来は「直接の対面診療を組み合わせないオンライン診療や初診からのオンライン診療が許容され得るものについて、禁煙外来や緊急避妊薬の例外的な処方以外は認められなかったのですが、現在、初診の場合であってもオンライン診療が可能な条件が検討されています。

42

従来大衆薬の販売でも、薬剤師や登録販売者が営業時間の半分以上勤務している必要がありましたが、2021年8月にその基準が撤廃されました。

43

    実際の行政手続きを担当している地方公共団体に対して、内閣府は2020年12月に印鑑証明を伴わない書類の押印は止めるような指針を出しています。印鑑証明を伴う登記・登録については押印が必要です。

44

・「はんこ」不要の社会的動向の中で、会社間の取引の書類(注文書。請求書等)について、当事者の合意のもとに印鑑省略慣行が拡大しています。重要な契約書については、印鑑証明付きでの押印慣行は残されていますが、今後は「電子署名」の方式も普及すると言われています。

契約書における押印廃止のポイント | 弁護士法人古家野法律事務所 (koyano-lpc.jp)

45

    2021年12月に「電子帳簿保存法」が改正され、税務申告者の負担が軽減されました。

0021012-095_03.pdf (nta.go.jp)

51

    総務省統計局が行っている社会生活基本調査2016年発表)によると、日本の平均通勤・通学時間は「片道39分」ですが、全国で最も長いのは神奈川県往復で1時間40分、2位:埼玉県と千葉県…1時間34分、4位:東京都…1時間305位:奈良県…1時間28分、6位:兵庫県…1時間23分、7位:大阪府…1時間18分、8位:京都府…1時間16分、9位:茨城県…1時間13分、10位:愛知県…1時間12分です。

    在宅勤務だとこの時間が不要となります。非常に大きな効果です。

    5割以上の在宅勤務率だと定期券不要となり通勤費も削減されます。

52

    待機児童問題などで保育園や幼稚園に入園できないというケースでも、自宅で子供の面倒をみることができるので、仕事を継続していくことが可能です。

    内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」では、以下のように育児・家事時間が増大しています。




53

    在宅勤務により家族と一緒にいる時間が増え、家族との連帯感が向上します。

    日経新聞等の2021年12月の1万4千人対象のオンライン調査では以下の結果が得られています。家族との関係は「よくなった」が「悪くなった」を10ポイント以上上回っています(悪くなっている人もいるのです)。




54

    拡大一途であった東京都の人口は2020年後半から減少に転じています。「東京都の人口(推計)」の概要-令和3年7月1日現在|東京都 (tokyo.lg.jp)

・(1月29日追記)総務省が28日発表した2021年の住民基本台帳の人口移動報告によると、東京都23区は14,828人の転出超過でした。

55

2021年10月6日の日経新聞に以下の記事が
ありました。
富士通:2022年度末までにオフィス面積を半分にする。
ヤフー:東京拠点を4割縮小。
ディー・エヌ・エー:本社をシェアオフィスに移転、座席数は4分の1にする。

60

    日立は、ジョブ型人事制度を22年から本体の全社員3万人を対象に拡大します。職務記述書も公開します。KDDIも22年4月から一般社員に拡大適用します。三菱ケミカルはは21年4月に全社員に適用済み。NTTは21年10月から全管理職に適用しています。

    パーソル総合研究所の2021年6月の従業員数300人以上が対象のネット調査では、JOB型人事制度の採用済が18%、導入検討中が40%となっています。おそらく実態はこれより下だと思われます。

61

    この効果の実現はこれからです。

62

    この効果の実現もこれからです。

71

    20211227日日経新聞「コロナが変えた社員の意識」

 米法律事務所責任者談「職場環境が不安定になり、会社と社員の関係に綻びが生じた」。在宅勤務の増大は、内部資料を持ち出しやすくなっている。その結果、米国では21年度の内部告発件数は前年度比77%増の12,210件となった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コロナの悪影響項目一覧

項目

 

細目

国家・社会への影響

財政負担の大幅増大

重要施策検討の先送り

婚姻・出産の減少

行政指導者の疲弊

社会インフラへの影響

サプライチェーンの混乱

医療体制の逼迫

保健所の破綻

学校・保育園の休業

対面教育の減少

イベント開催への影響

大規模イベントの中止・規模縮小

ローカルイベントの中止・縮小

仲間交流の削減

ビジネスへの影響

経営の悪化

経済の停滞

ビジネスでのコミュニケーション不良

情報漏洩リスクの増大

企業倒産の先送り

家庭生活への影響

家庭の収入減

外出制限

外食削減

家庭への仕事場の持ち込み

乳幼児の発育不良

個人への影響

将来に対する不安感の増大

精神不調者の増加

自殺者・死亡者増加


コロナの悪影響項目状況説明
この表の#は項目#と細目#の組み合わせです。

 

状況

 

11

    2020年度のコロナ対策予算は、3回の補正予算を入れてなんと77兆円、2021年度でも少なくとも補正予算分18・6兆円+予備費5兆円の約24兆円となっています。通常の予算規模が100兆円の中でのこの金額です。これらはすべて国債で賄われ将来の国民が負担することになります

 

12

    首相や各自治体の長が頻繁にコロナ対応でテレビにも登場するということは、それがなければ施策の検討に当てたであろう時間が潰されているということです。まさに「先行きが思いやられる」状態です。

 

13

    3密の状態では、出会いの機会も限られます。2020年の婚姻数は前年比13%減でかなりの減少です。

少子化と未婚① ~2020年の婚姻件数とコロナ禍に求められる出会い~|日本総研 (jri.co.jp)

・出生数もかなりの減少となっています。

2021年の出生数、85万人割り込む恐れ - 医療介護CBnews

・少子高齢化が促進される状況です。

 

14

・コロナ対応担当大臣や一部の知事はテレビでの露出が多くなり「有名」になりましたが、皆様かなり疲弊しているようです(小池都知事は2回入院しています)。

 

21

・コロナの流行によるサプライチェーンの影響は、以下のサイトで解明されています。

サプライチェーン混乱の原因、そしていつまで続くのか | スペクティ(株式会社Spectee

・日本では自動車産業への影響が甚大です。

深刻な日本車の減産、約170万台に コロナ禍で部品不足が長期化 [型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 

22

2022119日日経新聞)【変異型急増、一般診療を圧迫 症状の重さで役割分担急務】

新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染急拡大で、政府は緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」を新たに13都県へ21日から適用する。歯止めのきかぬ猛威に、適用対象の東京都などでは入院患者が急増。一般の患者への対応を制限せざるを得ない病院もある。コロナ対応と一般診療をどう両立させるか。医療機関の役割分担が改めて求められる。

・全国の医療従事者数は約400万人(ワクチンの優先接種の対象者)に対して、コロナ対応の医療従事者数想定は約50万人です。
(以下は上野想定)2021年9月の過去最大のコロナ入院者数約2万5千人。入院患者1人に最大10人の医療従事者が必要=25万人。入院以外のコロナ対応医師がそれと同数いると仮定すると25×2=50万人)。全国医療従事者の1割強なので、そのしわ寄せがコロナ以外の一般診療に及んでいるのです。

 

23

・保健所はコロナ対応の前線ですが、業務量過大でパンク寸前です。

「薄い氷の上、歩いている感じ」 首都圏の保健所、破綻寸前の実態 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

・保健所のコロナ関係業務
  自宅療養者の健康観察
  感染者の感染経路確認
  感染施設への消毒命令
・各都道府県では、保健所担当業務の削減に動いています。


  

 

24

・2020年小中高の全国一斉休校の休校期間は3月から最長で約3カ月に及びました。それ以降も地域により間引き登校などがあり、学習ノルマを回復するのに1年以上を要しました。

・(NHK Webリポート)2021年新型コロナ第5波の感染急拡大では、子どもたちへの感染の広がりが深刻になっています。臨時休園になる保育園も急増。新型コロナウイルスの感染で全面休園している保育園は、全国で165園と前の月の4倍のペースで急増しています。保育園に子どもを預けられず、有給休暇を費やして休園期間を乗り切るしかない、という人が続出しているのです(819日現在)。

 

25

・大学では面談授業の機会がほとんどなく、学びへの動機付けを得られない学生もかなりいます。

大学の授業や学生生活はどう変わった?コロナ禍における大学の取り組みを紹介! | WEBマガジン「#Think Trunk」 | 学校・教育機関向け | JTB 法人サービス (jtbbwt.com)

 

31

(楽しみの削減)
 東京オリンピック1年延期と無観客開催
 (約1千億円減収)
 東京マラソン2021は1年延期、
       2022は中止
 他全国市民マラソンの中止
 高校野球・プロスポーツの中止・無観客
  または縮小開催
 音楽興行の中止
 各地の「お祭り」の中止

 

32

・学校行事の中止・規模縮小
(修学旅行、運動会、学芸会)
・各種会合の中止(OB会、クラス会、趣味の会、など)

 

33

・(気分転換機会の削減)「飲み会」の削減・縮小

 

41

20205月時点で早くも、休業者過去最多597万人、非正規雇用97万人減となっています。
・その後影響が継続し、
外食・旅行業の事業縮小が多発しています。
 「外食は1,000店超が閉鎖」
 「JTB葉6,500人削減」
 「近ツーは店舗数3分の1に」
 「アパレル業界も希望退職募集」

  
 「米国ではレンタカーのハーツが経営破綻」
・飲食店は公的補助金給付で倒産が抑えられていますが、それでも
居酒屋の倒産 年間では過去2番目に達する見込み(2021年1-11月飲食業倒産動向) : 東京商工リサーチ (tsr-net.co.jp) なのです。

 

42

20204月の鉱工業生産指数は、東日本大震災時(16.5%低下)に次ぐ大幅低下(9.1%)でした。

2020年度の日本のGDP -4.6%で、 リーマンショック超える最大の下落となりました。

・日本政策投資銀行の全国設備投資計画調査(2021/6)では、大企業(資本金10億円以上)の2020年度国内設備投資額は、新型コロナの影響により、製造業だけでなく非製造業も大きく落ち込み、全産業で10.2%減と9年ぶりの減少となった。

 

43

・リモートワークの実施により、コミュニケーション不足が発生し、マネジメント側・作業者側双方に問題意識が発生しました。

・その状況を示した以下の資料2点をご参照ください。













 

44

・東京商工リサーチが行った「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査(2020年)によると、上場企業とその子会社のなかで、2020年に個人情報の漏えいや紛失事故を公表した企業は88社に上り、事故件数は103件。2,51547人分の個人情報が漏えいし、調査を開始した2012年以降で最多の被害を記録しました。また、全上場企業(約3,800社)のなかで個人情報の漏えい・紛失事故を起こした上場企業は全体の1割以上となり、累計11,404万人分にも及ぶ個人情報が漏えい・紛失した可能性があるという結果になっています

・この増加分は在宅勤務によるものであると想定されます。

 

45

不良企業の温存 (2022年1月10日日経新聞)
 2021年の全国倒産件数は6000件超で57年ぶり               の低水準。政府や金融機関が55兆円の融資で資金繰りを支えた。倒産を政策効果で強引に抑え込んでいるのが実態だが、稼ぐ力が落ちている(売上は全産業で21年7-9月期は2年前比7.4%減)ので、返済時期が到来すると大量破産が発生する可能性がある。

 

51

・(2021年1月12日日経新聞)
  20年10-11月実施。
  全国18歳以上の男女無作為抽出の郵送調査。
  回答1696件(有効回答率57%)によると、
  世帯収入がやや減ったと減ったの合計は
  41%
 である。
・おそらく、残業代の削減が大きいと思われます。

 

52

・外出の減少は、運動不足、閉じこもり症につながります。

・厚労省の20009月の「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する 調査」では、運動不足になった人は39%でした。

 

53

・外食減少は、楽しみ縮小、家事増加につながります。

 

54

・家庭の中に仕事をする場を設ける必要があり、一般の家庭では従来の家庭生活に対して違和感ある邪魔な存在です。

 

55

・認知機能の向上抑制が発生します。パンデミックの期間に生まれた生後3か月~3歳の幼児の認知機能は、それ以前の幼児に対して78%だというのです。コロナ禍が子供の脳と心に及ぼす影響:時事ドットコム (jiji.com)

 

61

・生活環境が激変し、あらためて仕事や生活の将来に対する不安感が増大しています。

・内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」では、転職等を検討している人が増えています。

 

62

・閉じこもりと不安が原因でうつ傾向者が増加

経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルス(心の健康)に関する国際調査によると、日本では、うつ病やうつ状態の人の割合は、新型コロナが流行する前は7・9%(2013年調査)だったが、20年には17・3%と2・2倍になっていました。他国でも急増しています(米国は3.6倍)。

 

63

・(日経新聞20211210日号)。

2020年は感染症対策で呼吸器系疾患の死者が大幅に減少し日本全体でも前年比減となったが、2022年は逆に大幅増となった。運動不足などで健康状態が悪化、受診控えの影響もある。自殺者も増えている。女性の自殺が目立ち、飲食・サービス業など女性が多い非正規労働者の雇用環境の悪化が影響したとみられる。









・2022年1月22日の死者数は17人で、累計18,493人です。

・因みに普通のインフルエンザの死者数は、正式数値では2019年は3,575人(毎年かなりの変動あり)ですが、厚労省が発表している「超過死者数」方式だと年間約1万人となっています。

・したがって、死者数だけをみれば、新型コロナはそれほどの脅威ではないのです(致死率は新型コロナは2%程度でインフルエンザの10倍以上です)。