2022年1月16日日曜日

「紅白歌合戦惨敗」!!どうなったのでしょうか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 NHK年末特別番組「紅白歌合戦」の評価を確認します。
 問題点と対応策を検討します。
ねらい:
 イヤなら見なければいいのでしょうが。
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2021年のNHK紅白歌合戦(以下「紅白」)は、
視聴率(正確には関東の世帯視聴率)が
40%を上回らなかったことをもって、
一部のマスコミで「惨敗」と評されました。

で示した過去の「紅白」の視聴率の推移グラフはこうなっています。









低落傾向ですが、40%を切ったことはなかったのです。
「歌」というと歌謡曲しかなかった60年代、70年代と違って、
今は、男性も女性もグループや大人数の歌やアップテンポの曲、
弾き語り曲など多様化しています。
これらの非歌謡曲は、若者向けです。

「紅白」のような歌番組は、
高齢者向けの歌謡曲と若者向けのニューミュージックの双方に
対応しなければならないのです。

2021年の「紅白」の視聴率上位は以下のとおりですが、
その内訳は歌謡曲(○表示)が少数派です。
視聴率上位曲の状況

区分

順位

曲名

視聴率

1

MISIAHigher Love

39.2

2

福山雅治「道標~紅白2021ver.

36.5

3

鈴木雅之「め組のひと2021紅白ver

36.2

4

ゆず「虹」

35.9

5

薬師丸ひろ子「Woman"Wの悲劇”より」

35.8

6

氷川きよし「歌は我が命」

35.7

6

布袋寅泰「さらば青春の光<紅白SP>」

35.7

8

石川さゆり「津軽海峡・冬景色」

35.6

9

高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」

35.5

10

星野源「不思議」

35.4

10

YOASOBI「群青」

35.4


因みに、このベスト10の曲は、後半冒頭の高橋洋子さんを除き、
番組の10時から登場しています。
10時に、テレビ東京の「年忘れにっぽんの歌」
(4時から10時までの長時間番組で、前半視聴率8.3%、後半視聴率6.6%)
が終わってこちらに移った人の影響もあるでしょう。

私は、この「紅白」低視聴率の原因はこうだと分析しました。
1.若者がテレビ離れをしている。
  スポニチのコメント
 個人視聴率のデータを見ると、
 20年と比べて特に数字が落ちたのは若年層だ。
 紅白の第2部では、
 男女4~12歳は21・2%(20年)→13・5%(昨年)で7・7ポイント減、
 M1層(男20~34歳)が19・5%→12・9%で6・6ポイント減、
 F1層(女20~34歳)は25・0%→20・0%で5・0ポイント減と、
 それぞれ大幅に下落した。
 ほかの年代も数字を下げているが、
 M3層(男50歳以上)は4・4ポイント減、
 F3層(女50歳以上)は3・8ポイント減と、
 若年層に比べれば幅は小さかった。

2.若い視聴者を重視した歌手選定となっている。
 前掲の表のように全体的に若者重視となっていて、
 歌謡曲ファンは離れていっている。

3.中途半端な企画構成となっている。
1)紅白と言いながら、紅組・白組対抗を前面に出していない
 どうでもよいことだが、昔の視聴者は今年はどちらが勝つだろう、
 とそれぞれが思いながらみていた。

2)演出や舞台装置が凝っていて歌を聴くことに集中できない。
 歌番組のはずがバラエティ番組になってしまっている。
 歌謡曲を聞くムードでない状況で聞かされる。

 FRIDAYのコメント
 一番悲しいのは「歌力」と言うテーマを掲げていたにもかかわらず、
 団体・グループが多く、
 個人で歌唱力のある歌手の歌をじっくり聞く”ということにならなかった。

3)全体の展開にストーリー性がない
 紅白1組ずつの対抗もないし、出演順のストーリーもない。

 中川 右介氏のコメント
 最初はアイドルたちが活躍し、だんだんにベテラン、大御所が出てくるという、
 かつての紅白にあった「ストーリー」もなくなり、山場がない。
 人気アーティストが次から次へと出て歌うというだけでは、
 民放の音楽フェス番組と同じだ。

 誰が何番目に出るかも事前に発表されているので
 (昔は、誰がトリなのかも視聴者には知らされていなかった)、
 自分の好きなミュージシャンが出るときだけ見た人も多いだろう。
 ストーリーがないと、そうなってしまう。

4)視聴者の気持ちを無視した曲目選定がある。
 せっかくの歌謡曲歌手である氷川きよしや水森かおりに
 なぜか持ち歌ではない美空ひばり、山口百恵の歌を歌わせた。
 嬉しくないですね。
 「有楽町で逢いましょう」を若手に歌わせた。
 フランク永井の歌を知っている者にとってはがっかりで
 すぐにチャンネルを変えたくなるようなものでした。

4.若者向けと歌謡曲ファン向けを両立させることに無理がある
 どちらのファンも反対側の曲は聴きたくないのです。
 そこで、適当に織り交ぜて視聴者を繋ぎとめようとしています。
 それでどちらの視聴者も渋々続けてみています。
 前掲のように若者たちはさっさとテレビ離れしてしまっています。

 年寄りは過去の延長で我慢してみています。
 それでも前年より極端に歌謡曲軽視が進んだ今回の番組の内容からすると、
 来年はかなりの人が「紅白」をみないでしょう。
 私も来年は「年忘れ にっぽんの歌」をみようと思います。

 私は、前掲のブログでこういう主張をしています。
 中途半端な混合構成をやめて、はっきり、
 第1部は若手視聴者向けニューミュージック、
 第2部は中高年向け歌謡曲(「懐かし」も当年流行も含む)としたら
 いいのではないでしょうか。
 そうすると、視聴率は分散するので下がりますが、
 満足度は高まります。

今のままだと、若者はテレビ離れし、中高年は番組離れして、
「紅白」の視聴率は急低下するでしょう。
若者は諦めて、テレビをみてくれる中高年を大事にすべきです。

いずれにしろ何らかの抜本策を講じないと、
「年末の紅白」の時代は終わってしまいます。

因みに、このブログをNHKに投稿しました。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「年末の紅白」の時代が終わっても何も問題ないです。
紅白の視聴率が極端に高かったことの方が気味悪いです。
全国民が一つのテレビ番組に熱狂している様子は、戦前、戦中の日本人の熱狂に通じるものがあると思います。日本人の多様性の無さゆえに新しい産業の創出をできず、それが日本の経済面での衰退原因の一つになってるかと思います。

上野 則男 さんのコメント...

匿名さん
ご意見ありがとうございます。
そういうご意見もあるでしょうね。
一体感は心の安らぎを与えてくれます。
多様性がないと、これからの世界で生き残れないでしょう。
一体感と多様性の共存は難しい課題ですね。