2022年1月17日月曜日

孤独感が増大している!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 40代・50代の「孤独感」が問題になっているようなので、
 このテーマを整理してみました。
ねらい:
 単純にコロナが原因なのでもなく
 それぞれの状況があり、一律の解決策は難しそうです。
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1.働き盛りの孤独感が増大
2021年12月31日の日経新聞に、
「東京都健康長寿医療センター研究所」の調査結果が掲載されていました。
この調査は15歳から79歳までの男女約3万人を対象にした
20年8-9月と21年9-10月に実施したインターネット調査です。
「40代~50代、リモートなじめず、「孤独感」働き盛りで顕著」
という見出しがついていました。
当記事の掲載図



記事の内容のいくつかを表にしました。

(1)孤立・孤独状態 全世代平均

 

20年

21年

社会的孤立状態にある

27.9

22.7

5.2%改善

孤独感が強い

18.8

21.5

2.7%悪化

(2)21年世代別孤独感

年代

孤独感

前年比

40代

25.7%

いずれも

大幅悪化

50代

25.3%

60代

約18%

70代

約13%


調査を担当した同研究所の村山洋史研究副部長は
以下のようにコメントしています。
「業務上のコミュニケーションがやりにくいというストレスなどが、
じわじわとメンタルをむしばんでいる」

こういう記述もありました。これが一般でしょう。
東京都内の商社に勤める50代男性は、
20年春以降、社の方針で原則在宅勤務の日々が今も続く。
半年がたったころ、精神面に負担を感じるようになった。
管理職として出席しなければならないリモート会議が
1日に8つ入ることもあった。
「形は繋がっているけど、心は繋がっていない」
「相手の表情が見えないとちょっとした一言が心に刺さる」

2.「愛情格差」 コロナで拡大
この調査結果についての記者の取材に対して、
中央大学教授山中昌弘氏はこういうコメントをしています。
たいへん的確な内容ですので全文をご紹介します。













40代、50代の孤独感が深まっているという調査結果に驚きはない。
その年代では男性は収入が多く安定しているようにみえても、
配偶者が専業主婦やパートである場合が少なくなく、
もっと稼がなければいけないというプレッシャーがある。
しかし、収入は思うように上がらず、
家族とも良好な関係を築けてこなかったとなると
悩みを相談できず孤独になる。

定職についている人なら仕事上の悩みは
ライバルでもある同僚には相談できないのではないか。
また、自宅で過ごす時間が増えて
夫婦ともにこれまで外で発散していたストレスを解消できず、
双方が不満を抱えているとみられる。

元から仲の良かった夫婦は一緒に過ごす時間が増え、
ますます良好な関係を築いたが、
仲の悪い夫婦は悪化した。
このような「愛情格差」が顕在化したといえる。

経済的な不安定さも問題だ。
コロナ禍が今後も長期化し関係が悪化したとしても、
経済力がなく離婚できないという事態が生じる。
離婚件数が減少しているが、
経済的に自立する道がなくなったからともいえる。

生活環境の変化によって、
夫婦の中の良さや経済面など様々な点で
二極化が進むきっかけになった。
結婚も離婚もコロナ禍で減少しているが、
終息すればどちらも増加する可能性がある。

孤独を解消するには、
利害関係のない相談相手を作る必要があるだろう。
家族で楽しめるものを見つけたり、
学生時代の友人に連絡したりすることが考えられる。

行政や企業は友人を保証することはできない。
ボランティアを始める、
趣味のサークルに入るなど自分から行動する必要がある。

3.ストレス発散の方法
前掲山中教授の指摘にあったストレス発散の方法ですが、
1月11日の日経新聞夕刊にこういう記事がありました。

Z世代=16-25歳
ミレニアル世代=26-40歳
就職氷河期世代=41-50歳
バブル期世代=51-60歳


















山中教授の言われたとおり、40代、50代は。
「家族や友人と話す」が少ないのです。
逆に「飲酒がストレス解消」と回答した男性は氷河期で1位、
バブル期で2位なのだそうです。
コロナで一番抑えられたのは飲酒ですから
まさに、40代、50代はストレス発散もできず
孤独感を強めているのでしょう。

4.家庭内でも減る「共食」
1月6日の日経新聞にこの記事がありました。
このことも「孤独感」の増強に影響しているでしょう。

日本の食卓史に詳しい大正大の岩村暢子客員教授によると、
家族が別々に食事するライフスタイルが広がり始めたのは
1960年代に遡る。
会社員の長時間労働や子どもの習い事が一般化し、
家族内でそれぞれ違った生活リズムが生まれた。
70年代にはレトルト食品も普及し、
同居していてもメニューはバラバラの食事スタイルが取り入れられ、
女性の社会進出に伴いこうした傾向は加速していった。
時代は変わり昔のような「共食」を無理に推奨するのは難しい。

5.孤独死
孤独の究極的ゴールは孤独死です。
全国的な公式の数値はないのですが、
2020年11月27日 の一般社団法人日本少額短期保険協会が発表した
「第5回孤独死現状レポート」があります。
このレポートでは、孤独死をこう定義しています。
「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った一人暮らしの人」

このレポートの調査対象期間は2015年から20年までの5年間で、
対象人数は約4500人です。
この人数はこの協会に所属する保険会社の保険に加入していた人たちですから
全体の人数はこの数倍だと想定されます(年間2.7万人という説もあります)。

ですがこの調査で孤独死の状況は分かります。

男女別孤独死人数と死亡時の平均年齢(n=4,448)

項目

男性

女性

合計

人数

3,698

(2,804)

750

(588)

4,448

(3,392)

割合(%)

83.1

(82.7)

16.9

(17.3)

-

死亡時の平均年齢(歳)

61.6

(61.4)

60.7

(61.0)

61.

(61.3)

65歳未満者の割合(%

51.9

(50.8)

52.4

(51.2)

52.0

(かっこの意味は解説なし)

男女別死亡年齢の構成比(n=4,188)年齢が不明なデータを除く

 

20

30

40

50

60

70

80,

合計

全体

179

281

431

786

1,239

938

334

4,188

割合

4.3%

6.7%

10.3%

18.8%

29.6%

22.4%

8.0%

100.0%

男性

121

211

345

691

1,099

805

222

3,494

割合

3.50%

6.00%

9.90%

19.80%

31.50%

23.00%

6.40%

100%

女性

58

70

86

95

140

133

112

694

割合

8.4%

10.1%

12.4%

13.7%

20.2%

19.2%

16.1%

100%


これによると、こういうことが言えます。
1.男性が8割以上を占める。
2.60代以降が6割を占めるが、60代未満も4割もいる。
3.男性は60代がピークである。
4.女性は若い世代が比較的多い。
残念ながら、高齢の男性は役に立たないということですね。

6.「広がる海洋散骨」
「推定年1万件超 旅行会社も参入」
これは2021年12月27日の日経新聞夕刊の社会面トップ記事です。
親から独立していて子孫がいないと入る墓がありません。
また遺族がいても負担をかけたくない人もいます。
そういう人たちが散骨の対象となります。
このように記事は述べています。
少子化の影響で墓参りする人の減少や子どもや孫らに負担をかけたくない
といった理由から、墓じまいを求める例が増えていることに加え、
テレビの情報番組などで海洋散骨の実態が紹介されて認知度が上がった。

これは、当記事の挿入写真です。













旅行会社は、ハワイなど外国での散骨など
商魂たくましく考えているようです。

散骨は、以下の調査のように本人が希望する場合が多いのです。


その調査では、
散骨場所は海35%、
陸32%、
河川湖沼24%
となっています。













散骨については法規制はなく、
厚労省の研究会の次のようなガイドラインがあるだけです。
「海岸から一定の距離以上離れる」
「焼骨は粉状に砕く」などとなっています。

私の帝人時代からの友人Kさんは、一生独身を通しましたが、
2021年に亡くなりました。
姪御さんが面倒を見て
「故人が愛していた鎌倉の海に散骨」をされました。
本人も墓に眠るよりずっと気分がいいでしょうね。

「千の風になって」の歌詞を思い出します。

私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に 千の風になって
あの大きな空を 吹きわたっています

この時は孤独から解放されているのでしょうか。

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