2015年12月24日木曜日

「人類を変えた素晴らしき10の材料」って何でしょう?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 日頃の日常生活で恩恵に浴している物質の本性(ほんしょう)
  の解説本があることを知っていただきます。
 そのほんの一端を知っていただきます。  

ねらい:
 ぜひ、原本を読んでみてください。

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この本は、
ロンドン大学の「材料と社会」学部の(そんな学部があるのですか!)
マーク・ミーオドヴニク教授の書かれたものです。

当書はいくつかの場で
2014年の年間ベストブックに選ばれています。

10の材料と言われると、何と思いますか?

まず鉄は入るでしょうね。
「鉄器時代」と言われる時代区分があるくらい
人類の歴史を変えているのですから。

マーク教授jはほかに何を挙げるのでしょうか。

紙 文明の利器ですものね。
コンクリート そうでしょうね。
チョコレート なぜそんなに重要?
プラスティック これは異論なしでしょう。
ガラス   そういえばそうですね。
グラファイト これは何?
磁器  なぜ?

そもそも教授は、
高校生の時に駅で暴漢(たかり)に襲われ、
テープを巻きつけたカミソリの刃で
5枚も重ね着していた衣服を通って背中に大きな傷を作る
という経験をされています。

「そんなカミソリでこんなに凄いことになる」という驚きが
先生が「モノ」に関心を持たれた初めだったのです。

教授が選んだ10の材料について
いくつかのトピックスに基づいてやさしく面白く解説しています。

「紙」の中の「トイレットペーパー:21世紀の課題」の中には、
こういう記述があります。

 お尻の穴を拭くという、強烈な臭いを伴う生々しい行為において、
 ほかにもっと衛生的かつ効果的な方法がいろいろ考案されているのに、
 私たちはいまだに紙を使っている。
 この事実にはあらためて驚かされる。

 私たちがトイレットペーパーを使うことがもとで連鎖的に起こることは
 いくつもある。
 たとえば、「ナショナルジオグラフィック」誌によれば、
 世界中で行われているお尻拭きのために
 毎日2万7千本の樹木が伐採され加工されている。

 この紙は、一度使われただけで流され捨てられるわけで、
 これだけの数の樹木の一生の終わり方としては
 ひどいことに思える。

なるほどそうですね!!

日頃何気なくその恩恵に浴していることについて
あらためて考えさせてくれます。

そのトピックス名の代表例をいかに挙げます。

日本刀の凄さの秘密
なぜスプーンは味がしないのか

古本のにおいの元

コンクリート
ローマ人が解決できなかった問題

チョコレート
病みつきになる理由

フォーム(泡)
無色なのに青く見える

プラスチック
最初の発明者は誰?

ガラス
なぜ万物は透明ではないのか

グラファイト
鉛筆で物が書けるわけ

磁器
白い磁器の謎を解く

インプラント
軟骨の複雑さ


この中から「日本刀の凄さの秘密」をい以下にご紹介します。

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日本刀の凄さの秘密

 製鋼法がまとう神秘性はさまざまな神話を生んだが、
なかでもとりわけ長く語り継がれている神話の一つが、
ローマ人撤退後のブリテン統一と秩序の回復を象徴している。

しばしば、アーサー王の伝説の剣エクスカリバーは魔法の力の
たまものとされ、ブリテンの正当な統治権と結び付けられた。

戦場で剣が折れて騎士が丸腰になることが多かった当時に、
剛健な戦士の振り回す質の高い銅鉄の剣がなぜ文明による無秩序の
支配を表すようになったのかはたやすく理解できる。

製鋼の技法が必然的に高度に儀式化されたという事実も、
この材料が魔法と結び付けられるようになった理由の説明に
一役買っている。

 このことがどこより当てはまったのが日本だった。
この国では数週間かけて侍の刀を鍛えていたほか、
刀を鍛えることが宗教儀式の一部ということもあった。

天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)は伝説の日本刀で、
武勇で名高いヤマトタケルが敵を一掃したとき、
この剣が魔法の力を発揮したという説話がある。

物語や儀式は空想的だが、ほかより一〇倍強くて鋭い刀を
つくれたというのは単なる神話ではなく事実だった。

一五世紀になると日本刀の鋼鉄は史上最高の品質を極め、
二〇世紀に入って科学としての冶金が登場するまでの五〇〇年間、
抜きんでた存在だった。

 日本刀の材料は玉鋼(たまはがね)と呼ばれる特殊な鋼鉄で、
その材料は太平洋沿岸諸国でとれることの多い火山性の黒砂(砂鉄)
だった(黒砂が組成の大半を占めている鉱石が磁鉄鉱で、
方位磁針の針は当初、磁鉄鉱を材料につくられた)。

玉鋼は「たたら」と呼ばれる高さ一メートル前後、幅一メートル前後、
長さ三メートル前後という大きな粘上の器の中でつくられる
(訳注:「たたら」という言葉は、炉のほか、踏みふいご、
炉を収める大きな家屋である高殿、あるいはたたら吹きを行う
製鉄所を指すこともある)。

まず内部で火を起こして器を「焼成」する――器の材料である
粘上を焼き固めて陶にするのである。

それが終わったら、黒砂と木炭の層を慎重に交互に積み重ねる。
これが陶の炉の中で焼き尽くされる。

作業にはたたらをつくるところから数えて一週間ほどかかり、
四~五人ほどで絶えず見守って、人力のふいごでたたら内部に
空気を送りながら、火の温度を高く保ち続ける。

最後に、たたらを壊して中を開け、灰と砂や炭の残りかすの中から
鋼鉄をかき出す。

かき出されたこの変色した鋼鉄の塊に外見上の魅力は何もないが、
ほかにない特徴として炭素含有量の幅がたいへん広く、
とても少ないところからとても多いところまでさまざまな部分がある。

 革新的だったのは、日本人は硬いがもろい高炭素鋼を、
強靱だが軟らかい低炭素鋼と区別できたことだ。

彼らは見た目と、手に持った感じと、たたいたときの音だけで判断していた。
種類の違う鋼鉄をより分けることで、彼らは確実に低炭素鋼を刀の
心金に用いることができた。

それにより刀はたいへん強靱に、あるいはねばり強くなり、
刀が戦で折れる可能性はほとんどなくなった。

刃先には高炭素銅が鍛接された。高炭素鋼はもろいがたいへん硬く、
それゆえきわめて鋭くできる。

鋭い高炭素鋼により強靱な低炭素鋼を覆うことで、
多くの人が不可能と思っていたものができあがった。

相手の刀やよろいに当たっても壊れないのに、首をはねられるほどの
鋭さを保てる刀である。
洋の東西を間わず最高の品だった。

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軽減税率の是非は?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 軽減税率の目的について考えていただきます。

ねらい:
 何とか軽減税率をやめる方向に持っていきたいですね!!

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軽減税率の実施は既定路線となってしまったようです。
官邸主導です。
ということは安倍首相の政治的判断です。
前回選挙で公約し国民の支持を得られたからだ、というのです。

ご承知のように、
公明党が前回選挙で
「今こそ軽減税率を!」とか言ってキャンペーンをしました。

日本の安全保障をどうしようかという大事な選挙に
そんな呑気なことを言っている
と私は大きな違和感を覚えたものでした。

軽減税率は何のために設けるのでしょうか?

低所得者対策だといいます。

しかし食品を買う人すべてが「軽減」の恩恵に浴するのです。
軽減税率を適用するための機会損失は1兆円だそうです。
それが本当だとすると、国民一人当たり年間1万円です。

それから逆算すると
国民一人当たり50万円の食費を使っていることになります。
赤ん坊から老人まで入れて1か月4万円、1日1300円です。
4万円なら2%の恩恵は1000円弱です。

本当に助けを必要とする低所得者はそんなに使っていないでしょう。
12月20日のフジテレビ新報道2001に登場した
シングルマザー家庭では1か月の恩恵が200円だと言っていました。

その時のテレビでも、
高所得者の方が恩恵を受ける金額は大きいと言っていました。
当然そうなるでしょうね。

しかし1兆円を低所得者対策に使うのなら、
生活困窮者を前向きに助ける施策に使ったらいいではないですか!
おカネを配るのはダメです。
そのお金が消えていくだけです。

そうではなく、働く環境を整備する、
これは今も始めていますがもっともっと強化する、
再就職のための教育を実施する、
長期的観点から健康増進のための施策を講ずる、
介護や生活指導、就業指導のための働き場を大幅に増やす、

などたくさんできることはあるではないですか!!

因みに、
関連費目の厚生労働省管轄27年度概算要求額は以下のとおりでした。
これでみると、上に挙げた前向きの対策費は極めて少ないのです。
こういう弱い部分の補強に1兆円を使うべきではないでしょうか。

 健康増進対策費                 108億円
 職業能力開発強化費               34億円
 若年者等職業能力開発支援費                   9900万円

 保育所運営費                  4581億円
 母子保健衛生対策費?              206億円
 子ども・子育て支援対策費          1052億円
 母子家庭等対策費              1860億円

 参考:生活保護費               3兆3憶円
     介護保険制度運営推進費 2兆7723億円

スウェーデンは、女性の労働力参加率が60%とかなり高く、
しかも出生率も高いという羨ましい国情です。

この女性の働き先は公的雇用が50数%を占めていて、
公的雇用の内訳は7割弱が介護に関するケアワーカー、
2割程度が保育職なのです。

つまり、国が雇用を生み出し、
かつ必要なサービスを国民に提供しているのです。


なぜこういうことをしないのでしょうか。
それは「国民に受けない」からです。
政治家たちが
「軽減税率」という言葉は「低所得者対策」あるいは{生活が助かる」
というイメージができあがっていて
国民に受けると思っているのでしょう。

長期的・本格的施策の実施は
「国民に受けない」「選挙にならない」のです。

恩恵を受ける人があいまいで
その人たちは選挙で大きな力にならないからです。
多くは投票しない人たちでしょう。

これではダメです。
安倍さんは日本の安全については筋を持っておられるようですが、
選挙で勝つことを意識しすぎです。
菅官房長官に頑張ってもらいたいものです。


ところで、軽減税率だと誰が得をするのでしょうか。
このための情報システムの整備はそれなりの仕事を生み出します。
しかしだからこの業界が軽減税率を推しているということは
聞いたことがありません。
これはムダな費用です。

私の試算だと、軽減税率対応に1000億円はかかります。
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根拠は以下のとおりです。

試算1)
現在情報システムの保守に関わっている人数は全国で50万人です。
その人たちの半分が食品関係の消費税に関わり、
1か月で対応できるとすると750億円ですが
おそらくもっとかかるでしょう。

試算2)
食品の売上が発生する可能性のある業種は
小売業、流通業、製造業(食品関係)・サービス業の一部です。

上野が以前算したこの業種の年間ソフトウェア費用は
合計約1兆円です。

この1割程度は今回の消費税対応にかかるとすると、
約1000億円です。

以上の二つの方法での推計から
今回の消費税対応にかかる全国のソフトウェア費用は
約1000億円ということになります。
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いずれにしても、
本当に国民のみんなのこと、将来のことは
誰が考えて行動してくれるのでしょうか。

2016年は良い方向に向かって少しは進んでほしいものです。


1503「マクドナルドの沈没」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 マクドナルドの経営不振について再確認していただきます。

ねらい:
 どうなるか、見守りましょう!

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2015年12月22日、
「米マクドナルドは、日本マクドナルド株をファンドなどに売却し
抜本改革を目指す」
という報道がされました。
背景には、日本マクドナルドの経営不振だけでなく
米マクドナルド自身の経営不振もあると述べられていました。

私は3月の「マクドナルドの沈没」の号で、
法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科の
小川孔輔教授の書かれた「マクドナルド失敗の本質」
の分析をご紹介した上で、

「寿司を主力にする」くらいの革新をしなければ
再生はムリではないかと断じています。

「当り!」なのではないでしょうか。

以下はその号からの転載です。
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私の目からすると、(前社長)原田氏の成功は
単に目先が変わっただけであったように見えます。

人間は飽きることの好きなぜいたくな動物なのです。
特に食べ物はそうではありませんか。
毎日同じものを食べるのはイヤでしょう?

米国モデルも本国で苦戦中なのです。
ダメな米国流が日本でいけるわけがないでしょう!

日本では外食として、牛丼チェーン、すしチェーン、
ファミリーレストランチェーン、が頑張っています。
うどんやそばのチェーンもあります。

中食も弁当屋チェーンだけでなく
コンビニもおいしいお弁当を提供しています。

今私が孫と行くのは、地元の中華料理屋とすし屋です。
前者では野菜ラーメンとチーズ揚げ、
後者では茶碗蒸しと納豆巻きが孫の好物です。
これもいつまで続くか分かりません。

おいしいハンバーガーの好きな人は
元もと「モスバーガー」に行っていたし、
「新鮮味のないマック、つなぎとめる、または引きつける
新商品・サービスが途切れたところが縁の切れ目」
という点では
今のマックは藤田時代の最後と同じということです。

この段階での再生のチャンスはあるのでしょうか。
「寿司を主力にする」くらいの思い切った商品転換をしない限り
ダメなのではないでしょうか。
米国の主食はパン、日本の主食はご飯なのですからね。

1504「『システム子会社問題に終止符を』ですって!」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 システム子会社はどうなるべきかについて再整理していただきます。

ねらい:
 「やはりそうか」ということで今後の指針にしていただきます。

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その稿は、日経コンピュータ誌の特集記事を紹介したものです。
 http://uenorio.blogspot.jp/2015/04/blog-post_19.html

いくつかの貴重な事例は紹介されていますが、
とても一般解としての「終止符」にはならない、
ということが私の総括でした。

では何が終止符かということに触れてみたいと思います。

そもそも、
「システム子会社」または「情報処理子会社」なるものは
欧米にはない、日本独特のものである
ということは知る人ぞ知る事実です。

なぜ日本固有かというと、
「終身雇用制」と「専門職・プロが少ない労働市場」が生んだ
特殊な組織であるということです。

システム部門を社内の組織としておくには、
企業統治の観点から違和感があり無くしたい、
しかし終身雇用制では解雇はできないので別組織にする、
という判断がシステム子会社を生みました。

この仕事は専門性があるので専門性を強化してもらいたい
というのが大義名分です。

アメリカの経営者なら解雇しているでしょう。
そして必要なときにはその時点で最適の外部パワーを利用するか
外部から人を雇い入れます。

日本では、必要な時に外部から専門家を調達することは至難です。
したがって、人材を抱えておくという面もあります。

そうなると、終止符を打てる最終解はこうなります。

解は二つです。

1)完全に自立して親会社の我がままに振り回されない、
 役員の受け入れもしない事業体にする
 
 我がままの典型は、
 親会社が経営不振の時には「外で稼げ」といい
 親会社が繁忙になると「余計な事をしないで当社の仕事をせよ」
 というのです。
 
 この事例は枚挙にいとまがありません。
 子会社としてはたまったものではありません。
 
 また、
 子会社の経営をどうしたらよいかを真剣に考えない経営者を
 送り込んでくるのです。

 このような会社の社員が志高くなるわけがありません。

 そこで、得意分野を見つけ出して親会社からの離脱を目指します。
 それをどうやって実現するかが問題です。

 成功例は、古くは野村総研殿ですが、
 現時点での早道はSIベンダ殿の傘下に入ることです。

 前掲特集記事では、

  味の素(NRI)、
 キリンホールディング(NTTデータ)、
 東京電力(日立)、
 パナソニック(旧松下電器系、富士通、日本IBM)、
 日本郵船(富士通)、
 
  私の指摘で
  日本鋼管(日本IBM)、
  積水化学(NTTデータ)、
  AJS(TIS)、
  日新製鋼(日本IBM)、
  JSR(旧日本合成ゴム,NEC)

 が登場しています。

残念ながら脱親会社が実現しているのは僅かです。
でも、
一方的に親会社に振り回されることからは解放されています。

しかし、長年の子会社根性・子会社環境で
社員の士気・能力は必ずしも高くありません。
この点をどうやって改善していくかが課題です。


2)システム子会社を親会社のシステム部門に吸収する。

 このパタンは前掲特集記事でも
 LIXIL、JTB、パナソニック(旧松下電工系)
 私の指摘でカシオ
 が挙げられています。
 システム機能は本社にとって重要な機能であり、
 本社の組織とすべきである、という考えです。

どちらの道を選択すべきかは本社の事業特性によります。
情報処理機能が重要な経営機能であるかどうかです。

従来は、製造業では
情報処理は重要な経営機能ではありませんでした。
前掲1)のパタンをみていただくと
すべてが製造業です。

重要な経営機能であるかどうかは、
本社の経営者の判断によります。

金融業や流通業のシステム子会社は、
コア機能は本社に一元化し、
作業あるいは専門的技術部分は市場から調達する
ようにすることが
システム子会社原則に合うと思われます。

金融業をみると、
本社側が重い企業と軽い企業があることが分かります。
それは、無差別な子会社移管をしているか、
考えた子会社移管をしているかの差であると思われます。
それはその時のあるいは今の経営者の判断の結果です。

どちらにしても、
従業員が生き生きと働ける環境が実現できるかどうかが、
成否のカギを握ります。


1504「『SEは死滅する』ですって??」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「SEは死滅する」へのシステム企画研修社の取組みの
 その後を知っていただきます。
 この難題解決はかなり困難であることを知っていただきます。

ねらい:
 皆様お考えください。

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その号では、
日経コンピュータ誌の編集長もされた
木村岳史さんの著書「SEは死滅する」の論点をご紹介しながら
私見も述べさせていただきました。

木村さんの結論はこうです。

これからのシステム担当に期待されるのは
ビジネスを直接支援するシステムを作ることに参画できることである。

従来型のシステム要員すなわちSEはその対応はできないだろうから
「死滅するしかない」

若干極論ですが、
「対応できなければ」死ぬしかないという点では、
私も同意見でしたから、
以下のようなシステム部門やシステム要員を強化する企画を考え
その研究会参加者を募集しました。

1.「死滅しないSE・システム部門」研究会 6/10発表
  タイトルが露骨なので改訂

2.「明るいシステム部門・情報子会社の方向性を探る」研究会
                           6/29発表

3.同上研究会内要補強
                           7/9発表

内容改訂補強で少しずつ参加申し込みをいただきましたが、
開催定員には達せずすべて開催中止となりました。

「現状に問題意識は持っているが、
わざわざ時間とお金をかけて研究するまでのことはない。
どうすればよいかは大体分かっている、
いろいろ障害がありできないのだ」
というお考えの方が大半のようでした。

そこで、
一般論ではなく、具体的な対応策をご提示するのですよ、
そもそも私は1995年に「システム部門変革ガイドブック」
世に問うて以来のシステム部門ウォッチャーです、

と、ご案内資料にも示させていただきましたが、
皆様のお考えを引っ張り込むには至りませんでした。
私どもの力不足です。

その後、この研究会でも研究テーマの目玉となっていました
ICTを活用する新ビジネス創造支援プログラムBCKcker
を開発しご案内をいたしました。
9月11日に1回目の紹介セミナを開催しました。

10名の方にご参加いただき好評でした。
ですが、今のところ2社で検討を継続していただいておりますが、
成約はまだです。

「こうすれば、新しいICT主導ビジネスが企画できます」
という手法をご提供するプログラムなのですが、
このプログラムの実現は非常に難しい、ことが分かりました。

分かったことは次のとおりです。
1)ICT主導の新しいビジネスを考える必要性のあるのは、
 組み立て型の製造業か一部のサービス業です。

 他の産業では何を提供すればよいかが問題ではなく、
 どうやって効率的に生産または提供するかが問題だからです。 

 鉄鋼や化学などの製造業を考えていただければお分かりでしょう。
 何を作るかが問題なのではありません。
 金融業もICTを活用した画期的な新ビジネスは考えにくいのです。

2)対象業種でも、この手法が必要とされるタイミングは、
 極めて限定されます。
 
 「そういうことを検討しよう」ということになっていなければ
 この手法は必要ありません。
 また何をするか決めて走り出していれば手遅れで必要ありません。

ということで、死滅しない道の実現は難題です。
現在はマイナンバー対応、次は新消費税対応とかで
従来型SEは結構多忙なのです。
問題先送りですね。

でも、情報サービス事業は
誰かが何とかしなければならないのです。

1502「『当たり前の経営』と言いますがたいへんな変革の実現報告です!!」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 SCSK殿のその後の状況の一端をご紹介します。

ねらい:
 あらためて、「革新」について考えてみましょう。

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その号では,SCSK㈱殿が中井戸会長のリーダシップの下で、
日経新聞社が主宰している「人を活かす会社」ランキングで
2年連続首位を獲得されるだけの成果を
(その時点では単年度首位でした)
上げられていることをご紹介しました。

http://uenorio.blogspot.jp/2015/02/blog-post_2.html

現在、システム企画研修社は、
同社のいわゆる上流工程実施能力を高めるための大量集中研修を
お手伝いさせていただいております。

同社としてはかなりの人財投資です。

こういう取り組みも、同社がますます強くなっていくことに
大きく貢献するだろうと思われます。

「貧すれば鈍する」の真逆で
「冨すれば冴える」という状況なのです。

皆様も「やってみなはれ!!」ではないでしょうか。

以下は同号からの転載です。
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人のみが経営資源である情報サービス業界において、
トップのリーダシップで一流会社を作り上げることができる
ことを示された
中井戸会長の貢献は非常に大きいと思います。

残業削減は、社員の健康配慮と
疲れていては質の高い仕事ができるわけがない
という思いから始めておられます。

初めは先を読んでいたのではなく、
収益減を覚悟していたのだそうですが、
結果は増収、増益、増配となりました。

以下の好循環が回ったのです。

 残業しない 
  ↓
 業務の効率化 
  ↓
 ゆとりの発生
  ↓
 先を考えるようになる
  ↓
 夢を描く
  ↓
 ワクワク感が生まれる
  ↓
 元気な職場になる
  ↓
 さらにゆとりが生まれる

そこで社員たちは、
これから先のことを考えるようになっているのだそうです。

(以下太字は中井戸会長のメッセージ)
1万何千人を養うためには、
既存のビジネスモデルは
維持しなければもちろんいけないわけですが、
10年後を見据えた活動を、
水面下では始めるべきだと思っています。

それで一つずつ確実に成果を上げる。
成果が上がれば、少しずつそちらの事業化に取り組み、
シフトさせていく。そんなことをやりたいですね。

働き方改革に関しては、
せっかくこういう取り組みが始まっているので、
業界のリーダーになるために、
この動きを継続して、さらに課題があれば潰していき、
本当に生産性の高いホワイト企業というブランディングを
確立していきたいと思います。

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商社を親会社に持つというのが、
当社の特色の一つだと思うので、
ビジネスを企画し、プロデュースするところから、
一緒に組み立てていくような取り組みを全体として
いくつかやっていきたいと思います。

足元で思うのは、スマチャレもそうなのですが、
時間をコントロールしやすくするためには、
仕事を受ける側ではなく、つくる側になる必要があると
思います。

これもビジネスプロデュースに帰結するのかもしれませんが、
いわばこの業界でも上流に位置することが、
つまりは大切なのだという意識が強くなってきました。

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ほんとうにこういう状況が実現するのならマジックに近いです。
中井戸会長はマジシャンだ!ということになります。

つくづく思いますが、頑張るのは社員ですが、
会社を変えるのはトップである、ということです。

上野則男のブログ2015年のベスト10はどうなったでしょうか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「上野則男のブログ」2015年のベスト10を知っていただきます。

ねらい:
 今後の閲覧の参考にしていただきます。

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今回は2016年1月号です。
そこで2015年の参照数ベスト10をご紹介いたします。
その内の後日談または続きの論があるもの(以下で太字表示)については、
別項で取りあげました。

なお、
2015年はヒット作品がなく1位でも1000アクセスいきませんでした。

以下で4ケタの数字は掲載年月を示します。

1.1502「当たり前の経営」と言いますがたいへんな変革の実現報告です!!
 
2.1504「SEは死滅する」ですって??

3.1504「システム子会社問題に終止符を」ですって!

4.1502「『反日韓国』の自壊が始まった」もうあまり韓国を責めたくないのですが

5.1501 やればできる!!箱根駅伝青学大優勝の奇跡??

6.1503「答えは必ずある」マツダの素晴らしい挑戦!!

7.1506「家族という病」ですって??

8.1503「絶望の裁判所」

9.1502 日本国危うし!歴史から学ぶ「国が滅ぶとき」

10.1508 インダストリー4.0 ドイツが製造業の覇権を狙う!

11.1502 日本のイスラム国対応はどうだったのでしょうか??


12.1503 マクドナルドの沈没


こうしてみるといくつか分かることがあります。

1)著書の紹介ものが多い。
 著書の紹介以外は4編です。
 4編のうち1編(マクドナルドの沈没)は
 著書名をタイトルに入れていませんが、著書の紹介が主です。

 上野個人の意見は聞きたいとは思われていないようです??
 12月に「研修室を作りました」という「自慢の」記事を掲載しましたが、
 見てくださったのは僅か15人です。

 なおこの数には、
 印刷版でお届けしている方の閲覧数は含まれていません。

2)後半は不振です。
 前半が12編中11編です。
 6月も1編ありますが、あとは4月以前です。
 後半は会社の経営がたいへんで
 ブログに気合いが入っていなかったのでしょうか。
 反省です。

今後とも頑張りますので、
応援よろしくお願いいたします。

2015年12月1日火曜日

研修室を作りました!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 当社の小さな研修室がオープンしたことを知っていただきます。
 そこで始める寺小屋式研修を知っていただきます。

ねらい
 一度、覗きにきてください。
 研修に参加してみてください。

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一念発起して?研修室を作りました。
といいましても10人定員の小さなものです。
写真をご覧ください。

















ここで「寺小屋」式の研修をさせていただこうと思っています。

封切りは「フォワードコンソーシアム」主催のこういう研修です。


身の回りの業務改善実践シリーズ                                ※ 原則毎週開催

II-1 改善対象の選定
2.5時間
15:0017:30
2016  113日(水)
II-2 改善目標の設定
5時間
13:0018:00
            119日(火)
II-3 改善策の検討
5時間
13:0018:00
            126日(火)
II-4 改善実施計画の設定
5時間
13:0018:00
            2月 5日(金)
II-5 改善実践研究会
5時間
13:0018:00
            4(追って決定)

日夜、エンハンス業務(保守業務)で苦労している方むけに、
楽になる方法を伝授する内容です。
最後に、習った手法で自分の業務の改善をして発表会に参加したら卒業となります。
ーーーーーーーーーーーーーーー

こういうのもあります。

積極的提案力強化実践シリーズ                                   ※ 原則隔週開催


P-2  隠れたニーズを引き出す手法

7.5時間
9:3018:00
2016  2月 9日(火)
P-4  的確にニーズを引き出すインタビュ手法
5時間
13:0018:00
             216日(火)
P-6 お客様に感心いただける提案書作成手法
5時間
13:0018:00
             3月 1日(火)
P-8 お客様に納得いただける説明手法
5時間
13:0018:00
             315日(火)
P-9  積極的提案実践事例研究会

7.5時間
9:3018:00
              5(追って決定)

お客様からの依頼案件に対して「言いなり」で対応するのではなく、
その真意を探って「正解」「優等解」を提案して
お客様から「お褒め」をいただく方法の学習をしていただきます。
こちらも実践発表会があります。

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このほか、
エンハンス(保守)業務の実作業(変更対応処理)を
画期的な方法で標準化する手法の研修も予定しています。
(製造品質の向上研修 2016年2月23日スタート)

詳細は以下のフォワードコンソーシアムのホームページを
ご覧ください。
http://www.forward-consortium.com/pg264.html

ぜひ、この寺小屋塾にご参加ください。



「トヨタの自工程完結」 スタッフの改善どうしたの?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 トヨタの生産現場での「自工程完結」アプローチを
                             学んでいただきます。
 トヨタのスタッフ部門の業務改善アプローチを知っていただきます。
 それが日本の低労働生産性の改善に役立つかどうかを
                             考えていただきます。

ねらい:
 自工程完結アプローチの有効性について考えていただきます。
 
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「自工程完結」とは、自工程の不備を次の工程に持ち込まない、
「不備は検査工程で見つけるからよい」と思ってはいけない、
という意味です。

著者は、トヨタの副社長も務められた佐々木眞一氏です。
自ら改善を主導された方です。

分業をしていると、ややもすると上述のようなことがよく起きます。

(上野)
「外注依存していると、
自工程の不備を次工程の他人がリカバリしていますが、
他人のことなのでそのまま不備発生状況が温存される」

ということを私もこれまでの知見から痛感しています。
したがって、「内製化せよ」という主張もしているのです。

トヨタの生産領域でそういうことがあって
それを改善したという事例が前段で述べられています。

トヨタの生産現場でもそういうことがあったのか、
ということはやや驚きでしたが、
どちらかと言えばその改善は当たり前のことです。

私の関心事は、
本書の主テーマであるスタッフ領域で
どう改善が行われたのかという点でした。

この改善は
「最悪の日本の低労働生産性」の改善に直結するからです。

「自工程完結」も基本的には業務の改善、業務の標準化です。
そこに「後工程を意識して業務を見直す」
という視点が加わるところが「自工程完結」のミソなのです。

事例はこういうものでした。

事例1
メンテナンスや故障、事故などに対応するための
補給用部品を共販店を通じて販売店や修理業者へ供給する
国内部品部の仕事の改善です。

体制の縮小に対応するための改善でした。
はじめは業務仕分けをして業務のカットをしました。
20件年間600時間の削減を達成しました。

次いで改善に取り組みました。
その例は、共販店別売上高計画のの策定業務です。

この売上計画は、
国内部品部として共販店の自社計画(これが後工程です)
のベースにするために作成していました。

細かな品目積み上げをやめ
大括りで売上高目標を提示するように変えたことで
100時間の工数が50時間になりました。

他にも似た事例が紹介されています。
1年間で合計30件年間600時間の削減が実現しました。

あるときには必要だったものをそのまま踏襲しているという
よくあるケースです。
現時点で「ないと困るのか?」と後工程に問うことによって
改善や削減が可能となるのです。

以下の記述がありました。

「やめても困らない資料を作っていたことで、
部内も非効率になっていたけれど、
余計なものを作ることで、
実は後工程の担当者や共販店も非効率にしていた
ことに気付いたと言うのです」

事例2
160名が所属する部品事業部の
国連向け部品手配業務の改善です。

お客様が見えづらく
お客様に対する意識を高めるための取組みを
進めていきました。

国連機関にはトヨタが直販しています。
必要な補給部品については
国連から直接部品事業部に
オーダーが入るようになっています。

他の代理店経由取引であれば、
オーダーはいわゆるEDIシステムで自動化しているのですが、
国連との取引は手作業でした。
非常に複雑な仕組みだったようです。

オーダー手配データは17項目ありました。
この作業を分析整理して標準化し
詳細なマニュアル作りを成功させました。



























著者はこういう解説をされています。

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部品事業部では、「仕事の質改善」「仕事の質向上運動」
といった呼び名で、取り組みを進めています。

その中で、「自工程完結」的な考え方やポイントの一部を、
自分たちの業務改善に合うように取り入れているということです。
それでもまったくかまわないと思っています。

チームで取り組みを進めているのは、
一人ひとりが仕事の改善を図るだけでなく、
チームでやることによっていろんな知恵が出てくることを
期待してのことです。

チームワークのもとで仕事をし、
それが業務改善につながっていくサイクルができ上がってきた、
と語っていました。

大きな変化は、若い社員にも問題に対する当事者意識が
生まれてきていることです。

誰かがやってくれる、ということではなく、
自分たちがやるんだという意識が目に見えて
強くなったそうです。
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著者は
スタッフ部門の仕事における「自工程完結」(改善業務)
のポイントを以下のようにまとめておられます。
解説は上野が付けています。

1.「目的・ゴール」をはっきりさせる
 これがトップということは我が意を強くします。
 私どもが主張する「「目的・ねらいの重視思考」は
 まさにそれです。

2.「最終的なアウトプットイメージ」をはっきりさせる
 これは1.の延長です。
 私どもは「目的・ねらいの定量化・具体化」と言っています。

3.「プロセス/手順」をしっかりと考え、書き出す
 1.がWHY、2.がWHAT、この3.がHOWです。
 WHY、WHAT、HOWと来ています。

4.次の「プロセス/手順」に進んでよいかを判断する基準を決める
 工程の完了基準を定めるということです。
 これは大事ですが、
 生産工程と違って業務領域ではこの徹底は難しいですね。
 でもそれがいい加減なために
 システム開発では頻繁に手戻りが発生しているのです。

5.正しい結果を導き出すために「必要なもの」を抜け・漏れなく出す
 生産領域ではこれを「良品条件」と言っているようです。
 標準化で規定する業務標準のことのようです。
 上記2.の詳細化ということでしょう。

6.仕事を振り返り、得られた知見を伝承する
 振り返りは完全動作の基本です。

自工程完結のメリットは以下の10項目だそうです。

一般的な標準化による業務改善の効果と
組織横断的な改善による効果とが含まれています。
10項目の多くは前者でも実現できる効果です。

後者に〇を付けました(上野)。
この効果は大きいものです。

「自工程完結」は後工程との関連を意識した改善ですから
このメリットが挙げられるのは当然でしょう。
ここに「自工程完結」の特色があるのです。

〇1.部分最適がなくなる
  これは非常に大事なことです。

2.上司が進捗確認できるタイミングを作れる
3.上下左右のコミュニケーションが深まる
〇4.各部署の固有の強みを最大限に活かせる
5.部門内の情報共有が進む
〇6.会議が減る
〇7.理不尽なところが見える
  これも見える化の大きな効果です。
 
8.失敗が減り、妥協がなくなる
9.生産性が上がる
10.モチベーションが上がる

総括しますと、
大分前にトヨタのスタッフ部門の改善は遅れていると
ある識者が仰っていましたが、
漸くそこに火が点いたということです。

一般的な標準化による業務改善との違いは
後工程を意識して、後工程と連携した改善する
という点です。

この着眼は生産現場の改善からの類推で、
当然といえば当然ですが、
縦割り分業を旨とする多くの日本企業にとっては
非常に有効なアプローチといえます。

後工程の最後はお客様ですが、
お客様視点を含めた「自工程完結」のアプローチは、
日本の生産性改善に貢献できるものです。

みんなで頑張りましょう!

「すぐやる脳」のつくり方 茂木健一郎

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 茂木先生の「すぐやる脳」の内容を知っていただきます。
 
ねらい:
 原著でもう少し研究していただきます。
 実践できるようになるといいですね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

茂木健一郎先生の著書です。

日本企業は「すぐやらない」ので、
何とか「すぐやる」ようになっていただけないものかと
研究してみました。

茂木先生の著書はたいへん読みやすく論理展開も明快です。
やはり「脳」がいいのですね。

導入部はこうなっています。
「私たちはなぜ、すぐ行動できないのか」です。
そこには興味深いことが書かれています。

「まじめに生きるほど、行動力が失われる」
「深く考えない方が、うまくいく」
「(いろいろな両立を諦めて)やらないことを決める」

内容をよく読んでみると、
一つ一つは「なるほど」なのですが全体像がよく見えません。

そこで私が、僭越ながら以下のように整理してみました。

すぐやる脳の実現方法
HOP
脳を活性化する
STEP
迷いを取り除く
JUMP
すぐ決める

1 脳をやる気にさせる!

2 頑張る!

3 締め切りを作る!

4 リスクを取る

5 安住しない

6 深く考えない

7 瞬間トップスピードの実現

8 ベストエフォート方式での決定

9 潜在意識の活用

10 脳内に柔らかいToDoリストを作る



以下茂木先生の解説をご紹介します。

1.「脳をやる気にさせる」は、第4章を
「脳をやる気にさせる『自律』のメカニズム」として、
以下の項目を解説されています。

 命令されると、脳は自分から動けない
 ゲーミフィケーションで脳に遊び心を持たせる
 自分と対話できる人が、最後に勝つ!
 小さな成功体験で脳のやる気は生み出せる
 最高の脳内環境「フロー」への入り方
 大切なのは、他人を意識しないこと

読んでみたくなりますでしょう?どうぞ!!

2.「頑張る」については、
第5章の「仕事の速度をアップする脳の使い方とは?」の冒頭に
「『頑張る』は脳のロケット噴射」という項で
頑張る気の有効性を説明されています。

3.「締め切りを作る」については、第3章の
「安住しない人が未来の成功を手に入れる」の中で、
「誰もがクリエイティブになれる『締め切り』の力」
締め切りに合わせて脳がフル回転する事例を多数紹介されています。

上野注:締め切りのはっきりしない「お役所仕事」はダメですね。
工程ごとに締め切りを決めて仕事をししましょう!!

4.「リスクを取る」については、第2章
「リスクを取って『すぐやる脳』に!」
以下の展開をされています。
 
 「おっちょこちょい」が、うまくいく!
 不安の中に成功がある
 ネガティブな人ほど、大きな結果を叩きだす!
 「すぐやる人」とナルシストの違い
 「芯の強い自分」を持て!

リスクがあるからとぐずぐずしていたのでは、
この時代は負けです、と言ってます。

5.「安住しない」は、第3章
「『安住しない人』が未来の成功を手に入れる」として
以下の展開をされています。

 脳を「家賃収入がない状態」に置いてみる
 「すぐやる脳」で時代の先を読め!
 人工知能に負けない人間の戦略とは?
 「飽きっぽい人」が世の中を変える!
 「好き」にこだわれば感性は磨かれる
 誰もがクリエイティブになれる『締め切り』の力(前掲)

迷いは、今のままを望む心が
新しいものごとに飛び込むことをブロックするのです。

「リスクを取る」と同じことで、
「このまま」の先には衰退しかないのです。

6.「深く考えない」については、
第1章の「『すぐやる脳』と『ぐずぐず脳』」
「私たちはなぜ、すぐ行動できないのか」の中で
「深く考えない方が、うまくいく!」
と「迷いなさんな」と説いておられます。

7.「瞬間トップスピードの実現」については、
第1章の「すぐやる脳」を作る三つの法則の中で
「瞬間トップスピードを習慣化する」

第5章の「仕事の速度をアップする脳の使い方とは?」の中で
「『瞬間切り替え』で圧倒的な実力が身につく!」
その有効性を説いています。

明石家さんまさんや、松本人志さんがリハーサルなしの
ぶっつけ本番で大役を果たしていることを例に挙げています。

これは、
脳にある眼窩前頭皮質と背外側前頭前皮質という部位の働きなので、
一所懸命訓練するとできるようになる、というご託宣です。

たしかにそれができればいいですねーー

8.「ベストエフォート方式での決定」とは、
これも前掲の三つの法則の中の一つです。

分かりやすく言えば、「完全を目指すな」
「ほどほどのところでまとめろ」(諦めろ)
ということです。

たいへん良い指針だと思います。

今のご時世で完全を考えていたら
いつまで経ってもでき上がりません。
これでは負けですね。

9.「潜在意識の活用」
この点については第5章で
「意識と無意識の舞台裏」というタイトルで
軽く取りあげているようですが、
かなり重視していると思われます。

前掲の三つの法則の一つに
「雑談の時間を作る」として雑談のススメがあります。
雑談によっていろいろな情報が頭(潜在意識)に入っていると
いざという時にいいヒントとして出てくるということを
言っておられるのです。」

10.「脳内に柔らかいToDoリストを作る」
第5章の「仕事の速度をアップする脳の使い方とは?」
「脳内に柔らかいToDoリストを作れ」
という項で解説されています。

ToDoリストはやるべきことの一覧表なのですが、
これを紙などに書かずに頭の中に入れておけ、
と言っておられるのです。

書くとそれを見ないと忘れてしまう、
脳の中に入れておけば常に参照でき、
何かの時に関連したことが浮かんできたりする、
と言われています。

たしかに、そのとおりです。
同感ですが、そんなにたくさんはできませんね。

ということで、確かに名指針が多数です。

たいへん参考になりましたが、
日本企業でどこまで取り込めるでしょうか。
今後の私の研究課題とさせていただきます。