2023年1月29日日曜日

「考えよ、問いかけよ」黒川清教授著その1

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 日本学術会議会長等の要職をお務めになった黒川清先生の
 「警世の書」を、阿部紘久さんが書かれた要約文でご紹介します。
ねらい:
 少しでも黒川先生の言われることが実現できるように
 心がけましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この黒川先生のご紹介部分は「考えよ、問いかけよ」の表紙にある
もののコピーのため、不鮮明で申し訳ありません。




























(補足)
東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員長
(2011年12月ー2012年7月)の功績により 
Foreign Policy ‘100 Top Global Thinkers 2012’,
“AAAS 2012 Scientific Freedom and Responsibility Award”
 (AAAS: American Association for the Advancement of Science)
を受賞されました。

「考えよ、問いかけよ 『出る杭人材』が日本を変える」は、
黒川清先生の著作です。
先生は、東大医学部出身の医学博士ですが、
福島原子力発電所事故に対する国会事故調査委員会の委員長
も務められたビジネス界の精通者でもあられます。

黒川先生は32歳から14年間アメリカに研究留学されました。
その後、阿部紘久氏が先生の知己を得て、
今回この書の寄贈を受けました。
そこで阿部氏が、その要約をされました。

私がそれを拝見して、
ぜひ当ブログに掲載しましょうとお誘いしたのです。

阿部紘久氏の略歴
東京大学卒。
帝人(株)で宣伝企画、国際事業企画、開発企画、経営企画に携わる。
その間に、タイ、韓国、イタリアの合弁会社に10年間勤務。
その後、日本にある米国系企業のCEOを務める。
2005年から10年間、昭和女子大学で文章指導に携わる。
現在も多くの企業や地方公共団体で文章を指導している。

2009年初版の「文章力の基本」は累計40万部になりましたが、
2023年1月に内容を大幅に刷新した第57刷が出ました。

以下は阿部氏の書かれたままを、
上野が当ブログのスタイルに成型したものです。

<はじめに> から
これまで日本は、
「上から言われたこと、決められたことを忠実にやる」ことを重視し、
「自分で課題を発見し、それを解決できる人材を育てる」
ことを重視して来なかった。

日本の研究力が衰退している。経済も停滞している。
過去の「モノづくり神話」に酔いしれている間に、
アメリカの新興企業群が世界をリードしている。

「フクシマ」について、
独立委員会が原因の指摘と提言を行ったにもかかわらず、
誰も責任を取らず、「7つの提言」が棚ざらしになっている。

日本の社会と日本人の思考は、旧態依然としたままである。

第1章 時代に取り残された日本の(高等)教育
英国の権威ある高等教育専門誌の評価では、
英国と米国の大学が13位までを独占。

北京大学と精華大学が共に16位。
シンガポールが21位、香港が30位。
日本では東大が35位、京大が61位。
200位以内に、韓国の大学が6校、日本は上記の2校のみ。

今求められているのは単純な知識ではなく、本物の思考力。
それを日本の大学では授けていない。

欧米には入学時の理系、文系の区分はない。
まず、広くリベラル・アーツを学ぶ。
 
アメリカのある大学で2年生までに読むべき古典9冊のリスト
 プラトンの『国家』
 トマス・ホッブスの『リヴァイアサン』
 マキャベリの『君主論』
 サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』
 アリストテレスの『ニコマス倫理学』『政治学』
 トーマス・クーンの『科学革命の構造』
 アレクシ・ド・トゥヴィルの『アメリカの民主政治』
 カールマルクスとエンゲルスの『共産党宣言』

アメリカの大学では脳みそをディープに使うが、
日本の大学では自ら考えて意見を述べたり、
議論することはあまりない。
教師による一方的な講義が中心。

テレビのクイズ番組で、東大生が知識を競っているが、
自らの頭で考える訓練をしていない。

私は東大の博士課程を終えた後、
1969年にペンシルベニア大学に「ポスドク」として研究留学。
(32歳)
 
その時の指導教授の3つの教え。
 (1) 独立した研究者として、自分の意見を言え。
 (2) 自分がやりたいことを見つけてやれ。
 (3) 英語が聞き取れなかった時は、その場で「分からない」と言え。

教授から与えられたテーマをやるのではなかった。
そして結局14年余り米国に留まった。

土日も研究室に通い詰めた。2年後UCLAに移った。
そこでアメリカの医師免許(米国内科専門医)を取得。
さらに、カリフォルニア州医師免許も取得。
当時が最も勉強した時期。
夜も休日も、明け方近くまで勉強。

やがて助教(准教授)になったが、
授業がつまらないと学生はどんどん出て行く。
学生の評価が低いと、切られる。1979年にはUCLA教授に就任。
当時、日本のキャリアを捨てて、
そのような道を歩んだ者は、極めて少数だった。

アメリカでは競争が激しく、
より優れた人材にすぐにポジションを奪われる。
日本では、ボスの手足になって滅私奉公し、
気に入られたらやがて空いたポジションをもらえる。

1983年に恩師の説得で東大に戻ったが、
1年でアメリカに戻るつもりだった。
しかし、東大の学生が「独立した精神」を持っておらず、
自分のやりたい事が見えていないために、
「腐ってしまう」境遇にあることを知り、
何とかしたいと日本に留まった。

東大医学部の優秀な教え子が、オウム真理教に入り、
凶悪犯になったショックもあった。

アメリカの大学院は、自校の学部出身者を採用しないのが基本。
出自の違う人材を混ぜ合わせる。
独立多様性を重視している。
反対に、日本では同質性のタテ組織を重視する。
世界の多様さに気づかない振りをして、他流試合を封じている。

日本でも大学院には他校の出身者を意図的に入れ、男女比を是正し、
世界の多彩な人材と繋がっている人を教員にすべきだ。

学生が留学先で得た単位を自校での単位として認める。
休学や復学を気軽に出来るようにする。

海外に出てみれば、
グローバル化した社会における日本の課題と自分の可能性に気づく
機会が飛躍的に増える。

アメリカほど
異なる知識と技術、背景、価値観を持った人たちが集まる国はない。
グローバル社会は、
多様性、異質性、異能、異端、つまりは「ユニーク」であることが
大きな価値と可能性を持つ。
日本の大学は、
何をおいてもまずは「多様性」を獲得しなくてはならない。

「今まで閉じた世界で権力を独占していた年配の人たちは、
自分の既得権益を守るために抵抗する」
これからの若者は、思い切って海外に出て他流試合をした方が、
チャンスが圧倒的に大きくなる。

日本の大学では、
学生が自分がやりたいことを自分で見つけるように仕向ければ、
学生はより学ぶようになり、自ずと成長していく。

日本の大学教授は、次の世代の人材を育てる意識が欠如している。
学生は、広い世界を知らない教育者のもとで育ったがために、
「狭い日本の中で既定路線を進むしかない」と思い込んでいる。
それが今の日本の閉塞感を生んでいる。

第2章 停滞から凋落へ向かう日本の科学技術
日本の科学技術は、劣化が著しい。

米国、中国、韓国、フランス、英国、ドイツの研究投資が伸びている。
中国の急伸が目立つ。日本のそれは横ばい。

日本の論文は、質も量も低迷。
2000年代に入ると、全く伸びなくなった。
30年間でトップ論文のシェアを減らし続けている。

企業の中央研究所などの研究者の論文数が減っている。
国際的な研究ネットワークから孤立している。

アメリカには、大統領に的確な情報と判断材料を提供するための、
約40人の「大統領府科学技術政策局(OSTP)」がある。
他国にも同様の仕組みがある。

研究開発について、
日本政府の政策基盤がどこにあるのかが判然としない。
陣頭指揮する大臣がいない。
基礎研究の重要性が軽視されている。

大学教員は,何も実績を上げなくても、
一度就いたポジションにしがみついて給料をもらい続けている。
それにメスを入れるために、
研究が分かる人材を政策立案者に配する必要がある。

科学技術政策担当大臣は、21年間で33人が就任。
殆どが新人。国家の政策の根幹には組み入れられていない。
科学技術行政の貧困が、日本の競争力を低下させている。

基礎研究を軽視する日本に、未来はない。
幅広い分野の基礎研究に、長期的に資金を投入することが大事。

2018年に、研究不正による撤回論文数が多い研究者のトップ10のうち、
半数は日本人だった。
国は研究における「選択と集中」戦略を立てたが、
その仕組みが日本の研究不正大国化を助長している。
政策を立案する官僚が、研究の何たるかを知らない。

科学リテラシーのある政治家を、国会に送らねばならない。

日本の大学のタテ型の研究室の体制「講座制」が、
時代遅れになっている。
日本学術会議の議長として、あらゆる機会に改善を求めて来たが、
日本の大学の研究室の体制は、この数十年変わっていない。

日本の大学の研究室は、伝統芸能の「家元制度」に似ている。
若い研究者たちが、高齢な教授の手足となって論文を書いている。
上司から言われたことを従順にやり続ける。
同じ研究室にずっと居続ける。
新しいアイディアやイノベーションを生まない。

研究室を、タテ型からヨコ型に変える必要がある。
教授の役割は、
自らの研究テーマを引き継ぐ後継者を育てることではなく、
次世代を切り開く独立した研究者を育てること。

日本のポスドク制度の課題
① 民間企業などの研究機関で、ポスドクの受け入れが広がらない。
人材を活かそうとする社会の価値観とシステムが貧弱。

② ポスドクを大学の教員や研究者として採用する時の「本気度」が、
アメリカなどとは大違い。日本は書類審査と教授の推薦状のみ。

制度というハコものだけを作っても駄目。
小手先の対応策では駄目。
大学も企業も自分たちの都合だけでなく、
社会と国家のために有益な人材を活かさねばならない、

アメリカのダイナミックな研究現場に留学する外国人は、
年間で次の通り。
 中国4000~5000人。
 インド2000人。
 韓国1200人。
 台湾700人。
 日本200人。タイより少ない。しかも、年々減少。

日本の研究者は3年ほどで帰国して、
古巣の研究室で再び教授の下請けを始める。
長く海外にいると、古巣にポストがなくなるという不安がある。

日本の研究室に来る外国人は少ない。
魅力的な研究室が少ない。孤島になっている。

「出る杭人材」を。
日本人のノーベル賞受賞者の多くは、
海外で揉まれた人。本流ではない人。
日本では好きな研究に没頭する研究者は叩かれ、邪魔されてしまう。
開拓者は育たない。チャレンジ精神がない。内向き。
人材流動性が低い。

研究者はさまざまな組織を渡り歩いて、
多様なアプローチ方法、柔軟な物の見方、自由な発想、
新しいアイディアを身に付けるべき。

「日本では科学の成果を引き継ぐだけで満足し、
その成果をもたらした科学の精神を学ぼうとしない」
(ドイツ人医師エルウィン・ベルツ)

日本は科学の果実だけを追い求めている。

第3章 「失われた30年」を取り戻す
日本経済はこの30年間、ドルベースでは全く成長していない。
1人当たりの名目GDPは、世界で28位。
やがて韓国、台湾に抜かれる。

2022年の時価総額トップ企業
アップル、サウジアラムコ、マイクロソフト、
アルファベット(グーグル)、アマゾン、テスラ、
バークシャー・ハサウェイの順。

10位が台湾のTSMC、12位に中国のテンセント、
24位に韓国のサムスン電子。
トヨタがようやく40位。

日本は相変わらず、小さく、薄く、軽く、より便利に
という「モノづくり」中心。

日本の特許の出願数は、どんどん減っている。
中国の伸びが著しい。5G、6Gでは、アメリカを抜いている。
日本では特許侵害と認定されても、
賠償金額が小さく、侵害した方が得。

2000年にビル・クリントン大統領がカリフォルニア工科大学で、
国家ナノテクノロジー・イニシアティブに関する演説をした。
ナノスケールの工学技術が世界を席巻することを予言。
21世紀の技術革新を見据えた国家戦略だった。

日本では2021年9月に「デジタル庁」を設置した。あまりに遅い。
中国は、「知財強国建設要綱」を策定している。
日本の研究開発費(民間を含む)は、中国の3分の1。

引用数トップ10%以内の論文数
中国が4万本以上でトップ。
アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、トーストラリア、
インド、カナダ、フランス、スペイン、韓国、日本の順。
「日本危うし」である。

2022年2月の半導体オリンピックで、採択された論文数
アメリカ、韓国、中国、台湾、日本の順。
かつては2位が日本の定位置だった。

中国のアリババは、FinTechで世界最先端を走り、
世界制覇を目指している。

日本には、グローバル化した世界を生き抜くための、
イノベーションの思考がない。

日本の企業や社会は、成長し、成熟するにつれて保守的になり、
やがて腐る。
組織が健全に維持されるには、
「創造的な破壊」で中から壊さなければならない。

新しい社会的価値の創造こそがイノベーション。
日本の多くの企業が、その本質を勘違いしている。
単なる改良、改善は、イノベーションではない。

GAFAMの創業者は、一様に大学中退。
日本では「出る杭人材」は、十分に活躍できない。
その原因は、世界でも類を見ない人材流動性の低さ。
移動が出来ないと、保身や出世のために組織のなかで「忖度」して、
上司に意見や異論を言わなくなる。
Accountability の意味が理解されていない。

昭和にできたモデルは、平成になって以降の日本の病巣となった。
能力のある人も
組織の中で生き残る術として上司に忖度するようになった。

行き過ぎた平等、横並び、ジェラシーがはびこる文化の中で、
イノベーションの芽が潰されている。
旧来の産官学のタテ社会、新卒一括採用、終身雇用、年功序列、
官尊民卑、大企業崇拝、学歴重視、横並び、忖度、出る杭は打つ、
と言った旧式のシステムは作り替えなければならない。
日本だけが取り残されている。

組織至上主義から、個人能力発揮主義へ
内向き競争から、世界との競争と協調へ
自前主義から開放、協働主義へ

失敗を許さない社会から、失敗を活かす社会へ
石橋を叩いて渡る文化から、スピードを重視する文化へ
同じ価値観を持つ者の集まりから、異と出合い融合する機会の増加へ

このような旧来の価値観の破壊を伴う大転換は、
日本全体の意識改革によってのみ成し遂げられる。

新型コロナへの対応を見るにつけ、
日本は大学と企業が連携する動きが鈍い。
産学連携の弱さを、世界に露呈している。

日本にもCVC ( Corporate Venture Capital) はあるが、
金はあっても決断ができない。
せっかくの斬新なアイディアがあっても、すぐに陳腐化してしまう。

日本のアカデミア、企業、投資会社には、
初めから世界で戦う気がないように見える。

企業経営者に求められるのは、「一人称」で考え、決断すること。
「首相に期待する」などと言う前に、「私が何をする」と言うべきだ。
「人に言われたからやります」「人と相談して決めます」では駄目。

何かあったら役所に相談に行き、役所に忖度しながら動くのは
日本独特のやり方。それでは駄目。

日本人と外国人の意思疎通を難しくしているのは、英語力ではない。

相手と同じ立場になって、ニーズを感じ取ること。
自らを常にグローバルな世界の中に置き、世界の人々と関係を築き、
海外からの視点で日本を見て感じることが大事。

第4章 日本再生への道標
世界の常識は、日本の非常識。
2011年3月11日の東日本大震災の死者、行方不明者は、2万人だった。
あの時、日本政府と産業界は、真実を隠していたのではないか。

9ヵ月後に、ようやく国会事故調査委員会が発足(黒川 清委員長)。
政府が設置した災害対策本部は、議事録も作らず、
「失敗は隠そう、恥だ」という狭い了見もあった。
我々は以下のように全面公開方針で臨んだ。

(以下は黒川先生による追記です)
国会事故調の委員会は全面公開し、
福島第一原子力発電所訪問後に行った第1回を除き、
オンラインで配信し、
さらに全世界に向けて委員会の内容を発信できるように
日英の同時通訳も導入しました。
 
ウクライナの非常事態省及びチェルノブイリ原子力発電所からの
専門家を いたときは、日英ロシア語の同時通訳も入れました。
報告書はウエブサイトに掲載し、いまでも閲覧することができます。

それまで国民を騙し、安全神話のシナリオで虚構を演じていたことが、
事故で露見してしまった。明らかに人災だった。

約6ヵ月かけて作成した国会事故調査報告書(586頁)には
「7つの提言」が含まれていたが、
提言1の一部が実施されただけで、殆どは野ざらし状態。
あれだけの事故から10年以上経っても、何も変わっていない。

政治も学会もマスコミも、原子力村の村民の誰もが、まるで傍観者。
日本の安全対策が不十分であることは、世界も、
日本政府も関係者も知っていたのに、その事実から目を背けていた。

「このまま事故が風化して行けば、自分は責任を取らなくていい」
と考えているかのようだ。
これではまた同じ事故が繰り返される。

ジャーナリズムは本来、自分で情報を精査した上で、
自らがどう考えるかを発表して、社会に問題提起すべきなのに、
委員長の私に総括させて単純にその言葉を書こうとする。
安易だ。
新聞は、速報性ではインターネット、スマホなどに負ける時代だから、
調査報道で存在価値を発揮してほしい。
日本の記者クラブの仕組みにも、問題がある。

原発事故では、政府機関や東京電力などのエリートが無責任だった。
日本の中枢がメルトダウンしている。
自分の意見を持たなくなっている。

単線路線で出世するには、前例を踏襲して組織の利益を守るに限る。
異論を唱えれば組織内で干される。
言うべきことを言わず、言われたとおりにしかやらない。
上司の顔色をうかがい、忖度する。そんな人たちが偉くなっていく。

日本社会で出世するのは、世界の二流、三流の人材。

「~とも言えなくもない」「~ではないかとも考えられる」などと、
曖昧にする。
会話中の相手の反応を見ながら、その場の空気を読む。

少数意見の人が
多数意見に合わせるように強制する「同調圧力」もある。
自分の意思で状況を打開する能力を身につけていない。
「グループシンク」に捉われている。

日本人は、目に見えないものに相対した時、
抽象的なものをロジカルに考える訓練ができていない。                  

                           以上

2023年1月28日土曜日

「考えよ、問いかけよ」黒川清教授著その2

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 黒川清博士の今後の高齢化対応医療改革の方向に関する
 ご意見をご紹介します。
ねらい:
 その方向が実現し、日本が先端医療先進国になることを
 期待しましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


本項では、
別項の阿部紘久氏による黒川博士の著書の全般的なご紹介を受けて
高齢先進国である日本が目指すべき
先端的医療モデルに関する部分を掘り下げてご紹介します。

1.高齢者医療対策
以下は、文章は原著のままですが、記載内容は上野が抜粋しています。

(1)医療の新しいモデルを必要とする背景
1)グローバルヘルスにおいて取り組むべきことは、
パンデミックのような国境を越える感染症対策にとどまりません。
科学の進歩によって
マラリア、結核、エイズという三大感染症を克服しつつある人類は今、
糖尿病、高血圧、脂質異常症といった慢性疾患、さらに高齢化、
それに伴う認知症に襲われています。

2)先進国では国民の生活水準が向上し、栄養が行き渡っています。
産業が一次から二次、三次と移るために人口は都市部に集中し、
発達した交通機関のもとで人々は運動をしなくなります。
そのことが、結果として慢性疾患の増加を招きました。
また、医療技術が進化し衛生状態も良くなると、
人は簡単に死ななくなり長寿化が進みます。

3)このような慢性疾患の増加や少子高齢化の進行は、
国民医療費を高騰させ、国家の財政を圧迫します。
労働者が高齢家族のケアを負うようになると、国の生産力も落ちます。
これは、20世紀半ばまでの感染症を中心とした医学的思考と行動では
対応の難しい課題です。
経済先進国でも前例がなかったことなので、
「あるべきモデル」を探せないのです。

4)しかし、モデルがないということは、
そこに新しいモデルを示すことができれば、
世界の国々がそれに倣うようになるということです。
幸か不幸か、私たちの住む日本はこの課題の最大の当事者です。

5)成長を続けていた新興国でも高齢化は進行しており、
世界の65歳以上の人口は、
2017年の約6億5千万人から2050年にはその3倍以上の約21億人になる
と予想されていますから、この状態が好転する可能性は極めて低いでしょう。

(2)「世界が注目する日本の認知症対策」
1)高齢化の進行とともに懸念されるのが「認知症」です。
2015年時点で、世界には約4080万人の認知症患者がいました。
その数は20年ごとに倍のペースで増えていき、
2030年には7470万人に、2050年には1億3150万人になる
と予測されています。

2)認知症に関連する医療や介護のコストは莫大で、
2015年時点で約8180億ドル、2030年には2兆ドルを超える
ともいわれています。
このコストを企業にたとえてみると、世界で18番目の経済規模となります。

3)日本の認知症にかかるコストは、
ここ数年ではGDPの4%、約16兆円にも上り、
これが経済成長を押し下げている要因の一つでもあります。

4)2025年には日本の認知症患者は700万人にまで増加し、
65歳以上の人口の約3分の1が認知症予備軍となります。

5)厚生労働省によって「認知症サポーター」というプログラムも始まっています。
サポーター養成講座を受講すると、支援者の目印となるブレスレットを渡されます。
このサポーターは、会社や学校、コミュニティーで認知症の支援者となり、
認知症の疑いがある人に注意を促し、介護者とも連携していきます。
2022年6月時点ですでに1391万人がサポーターになっています。
(上野注:本当ですか!!そのブレスレット見たことありません)

(3)認知症対策の具体案
2013年12月、当時のキャメロン英首相の呼びかけで
「G8認知症サミット」が開催されました。
そのサミットでの合意を受けて、翌年4月、
イギリス政府はWDC(世界認知症審議会)を発足させました。
私(黒川)も要請されて委員に就任しました。
その場で私が主張している認知症対策は以下の3点です。

(以下の紹介は上野による要約です)
その1「ビッグデータの活用」
年齢、家族歴、遺伝的背景、教育、運動、喫煙、飲酒、睡眠、
トレーニング等のデータを収集し、認知症の関する各種分析を行う。

その2「ソーシャルロボットの利用」
認知症の患者に対しては、
外部から認知的な刺激を与えることが有効と考えられている。
ソーシャルロボットによる人間的なインターフェースは、
これが可能である。

ソフトバンクグループの「ペッパー」はその役割を果たしている。
この能力が向上すれば、
人間と同じようなコミュニケーションが可能となる。

その3「脳・神経とデジタルテクノロジーの融合」
MITが学生の脳の活動をモニタリングした研究結果では、
就寝(上野:これも!)、研究、宿題などの時間は
脳の活動が盛んである一方で、
なんと授業中やテレビを見ているときは、
脳がほとんど活動していないことが判明した。
受動的な刺激は脳の活性化にはつながらないのであろう。

こういうバイオとデジタルの融合研究を深めれば、
どういう活動が脳の活性化すなわち認知症対策に有効かが
分かってくる。

2.おわりに
(上野注:これが本書の要約となっています)
日本には今、課題が山積しています。
しかし、私にはその解決の糸口が見えています。
(上野:頼もしいことですね)
日本が前に進むには、
過去の事例から「Howto」の知識を得るのではなく、
「Why」と向き合うこと、
そして何事においても実体験にもとづいた知識を集積することです。
(上野:そのとおり、「Why」が重要です)

多くの古典・哲学・歴史から人間の「知」を学ぶのは、
最低限必要なことですが、プロセスを経験せず、
ただ情報を認識するだけでは、
決して自分の知識・能力にはなりません。
単に人の真似をしても意味がありません。

世界に飛び出し、
アナログ的な実体験をすることによって自らの感性を磨き、
その感性によって自分だけの「Why」を突き詰めていくことです。
それができなければ、
日本はますます世界の潮流から引き離され、凋落していくだけです。
今まさに、岐路に差し掛かっていると言えるでしょう。
(上野:そのとおりです。もう遅いかもしれません)

戦後の経済成長は「Howto」を学べばよかったのです。
国家としての大きな枠組みはアメリカの占領軍から学び、
それに追随していればよかったのです。

企業における終身雇用や新卒一括採用、単線路線のエリート育成、
大学の研究室における徒弟制などは、
そんな「Howto」にもとづく社会システムでした。

そこでは、上の人から学んで。、真似をして、忖度していれば、
出世して組織の上層部に行けたのです。
極論すれば、タテ社会の成功物語だったわけです。

しかし今、その成功体験が大きな障壁となって、
経年劣化したシステムの刷新を阻んでいます。
すでに30年前に冷戦が終わり、デジタル技術の革新によって
世界にパラダイムシフトが起きたにもかかわらず、
高度経済成長に慢心した日本は、
時代の変化に対応することができませんでした。

過去の事例にまったくとらわれずに思考できる人はそういません。
しかし、今の日本の産官学、各組織の上層部には
「Howto型」の教育で養成され
自らの感性で決断を下す経験を持たない
「忖度幹部」があまりにも多すぎるのです。
それが、日本のGDPが、科学研究のアウトプットが、
世界で活躍できる人材が増えなかった主因です。

やるべきことは明確です。
日本の教育を「Howto型」から「Why型」に替え、
行動することです。
そうすれば、企業の体質も変わるでしょう。
これまでのように
大学入学試験の偏差値で人を判断しているような組織は淘汰されます。

すでにその兆候は出ています。
企業人の中には、
「ハーバードのビジネススクールに学べば組織は変わる」
と考えている人もいるようですが、
そこで学ぶのは事例の分析、戦略であり、あくまで評論ですから、
自ら行動しなければ実効性はないでしょう。

大事なのは、個人としての実体験なのです。
みなさんは「Howto」だけを追求するのではなく、
自らの感性に従い心の内にある「Why」に目を向けてください。
自ら行動を起こし、目で見て、手で触れる。失敗から学ぶ。
そうやってつかみ取った感覚が、時代のパラダイムを形成し、
世界で活躍するた目の武器になるのです。
(後略)

まさに、書名にある「(自ら)考えよ」
「問いかけよ」(Why)なのです。

「死は存在しない」田坂広志著

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 驚天動地の死の研究書のご紹介です。
ねらい:
 これから死についてどう考えましょうか!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当テーマは、田坂広志多摩大学大学院名誉教授著「死は存在しない」
のご紹介です。氏は40年間で100冊の本を出しておられるそうです。


たいへんな書籍を紹介されてしまいました。
ある会合で気楽に紹介を受けたのです。
開けてビックリです。

そもそも「死は存在しない」という問題提起が理解しにくいことです。
3日がかりでようやくそのおよその全貌を把握しました。
本書の内容はスゴイものです。
ノーベル賞級のものです。
おそらく本人自身がZPFから多くの先人からの知恵を
いただいているのだと思われます。
したがってその内容は信ぴょう性の高いものでしょう。

あらためて分かりましたが、
過去の宗教家や偉人達もZPFから正解を受け取っていたのですね。
どんな偉人でも、
自分の一生ではそんなスゴイ仮説は打ち出しようがないのですから。
若くして悟りを得た人たち、29歳で処刑された吉田松陰、などは,
ZPFとの交流能力が高かったのでしょう。

以下にこういう項目建てで本書の内容をご紹介します。
私の要約は圧縮していて分かりにくいですから、
興味を持たれましたら、是非本書をご覧ください。
難しいテーマを分かりやすく解説されています。
著者は、解説の名人でもあります。

1.最先端の量子科学に基づく著者の主張
 
最先端量子科学で何を言いたいのかの確認です。
 よくは分かりません。

2.【ゼロ・ポイント・フィールド仮説】
 本書の提示の中心テーマであるこの点の解説です。
 本テーマではこれをZPFと略記します。

3.現代科学で説明できない謎(著者説)
 これまでの科学では説明できない謎の列挙です。
 これがZPF仮説だと説明可能という前触れです。

4.意識の階層(著者による整理)
 ZPF仮説で前提とする「意識」の5階層の説明です。

5.従来科学で説明できない事象のZPF仮説での説明
 これまで不思議・謎だったことがZPF仮説で説明されます。

6.宗教等での教えのZPF仮説との整合
 実は,ZPF仮説の神髄は従来の宗教でも説いていることである、
 という説明です。

7.過去の偉人の発言のZPF仮説での説明
 ZPF仮説に通じることを過去の研究者等が主張している
 という説明です。

8.不可思議な現象の研究書
 そういう研究書もあるという紹介です。

9.ZPF仮説に対する疑問
 死に関する基本的質問に対してZPF仮説でどう答える
 かが示されます。

本書で丁寧に説明されているZPF仮説はあくまで仮説です。
これまで、謎とされてきたことがこの仮説で説明できることは確かです。
しかしそれは、状況証拠であって証明にはなりません。

著者も、こう述べています。
本書を読まれた科学者や宗教家、心理学者や哲学者の方々には、
是非、この「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」を検討し、
この理論をさらに発展させて頂きたい。

この仮説は意識の領域です。
物理的思考の領域であれば、
技術進歩により脳内でどう処理されているか分かるようになるのでしょう。
しかし、意識は把握できないのですから
それがどう処理されているのかの証明ができるようになるのでしょうか?

なお、死に関しては以下のブログで取り上げています。
 ここでは、人類の不死の探求を4つに分けています。
 1.不老不死
 2.蘇り
 3.霊魂
 4.遺産
 本書はこの中の3の道の掘り下げです。 
死にたくないと騒いだ石原慎太郎さんの意見

1.最先端の量子科学に基づく著者の主張

ü  (唯物論的科学では確固たる存在であると信じられてきた)「物質」そのものが確固として存在するものではなく、非常に不確かな存在であることが明らかになっている。

ü  しかし、この世界を、極微のレベル、原子よりも遥かに小さな「素粒子」のレベルで観察するならば、そうした日常感覚で捉える「物質」という存在が「消えて」いく。

ü  光の実体、すなわち「光子」は、観察の方法によって、「粒子」の性質を示すときもあれば、「波動」の性質を示すときもある。すなわち、光子というものを「極微の物質」であり「極微の粒子」だと考えても、実際には、「波動」としての性質を示し、「物質」として、その「位置」を測定することさえできないのである。

ü  この世界の本質は「物質」ではなく、「波動」であり、「エネルギー」であることを明確に示しているのである。

2.ゼロ・ポイント・フィールド仮説

ü  宇宙に普遍的に存在する「量子真空」の中に「ゼロ・ポイント・フィールド(ZPF)」と呼ばれる場があり、この場に、この宇宙のすべての出来事のすべての情報が「波動情報」として「ホログラム原理」で「記録」されている。

ü  ホログラム原理に従えば、記録した情報が、記録する媒体の「すべての場所」に保存されているため、媒体の「一部」からも「全体情報」がとりだせる。

ü  したがって、フィールドの「一部」に繋がるだけで、フィールドに記録された「全体情報」に触れることができる。

ü  波動はエネルギーではないので、この記録は永遠に残る。

ü  ZPF内には、「現実世界」と同様の「深層世界」が存在している。

ü  ZPF内では、瞬時に情報伝達が起こるため、「深層世界」では、「情報同士の相互作用」が極めて容易に起こる。

ü  「現実世界」の「自己」が死んだ後も、深層世界の「自己」は生き続ける。

ü  波動は、過去と現在から未来が想定できるので、ZPFには未来の情報も含まれる。

ü  しかし、未来は確定しているのではなく、現在の行動によって変わりうるものである(実際に自分の乗る船が沈む夢を見て乗船をやめたら舟は沈んだが自分は助かったという例がる)

3.現代科学で説明できない謎(著者説)

.自然定数の奇跡的整合性

(説明省略)例:陽子と中性子の質量の大きさが0.1%違っていても、この宇宙は存在しなかった。

2.量子の絡み合いと非局在性

一度絡み合った量子同士は、宇宙の彼方に引き離されても、一方がある状態を示すと、もう一方は、瞬時にその反対の状態を示す。光の速さよりも速い。

3,ダーウィニズムの限界

ダーウィンの進化論の方式で人類が誕生するには、地球の年齢45億年では足りない。

4,生物の帰巣能力の謎

鮭が生まれた川に戻る、鳩や蟻の帰巣能力、犬が5千キロ離れた飼い主のところに戻った、など

5.神経の伝達速度と反射運動の謎

野球選手が時速160キロの球を打つことは、視神経の伝達速度、筋肉へ伝達速度ではできない。


.意識の階層(著者による整理)

意識階層

説明

ZPFとの関連

1.表面意識

日常生活の雑音に溢れている

「現実自己」が働く意識である。ネガティブな想念は我々の意識がZPFにつながることを妨げる。

2.静寂意識

祈りや冥想によって生まれる

ZPFに繋がりやすくなる。

適切な「直感」が降りてくるようになる。

3.無意識

運気の「引き寄せ」が起こる

ZPFを通じて「類似の情報」を引き寄せる。ネガティブ(ポジティブ)な想念があるとネガティブ(ポジティブ)な情報を引き寄せ悪い(良い)「運気」を引き寄せる。

したがって、ポジティブな想念を持つことが重要である。

4.超個的無意識

無意識と無意識が繋がる

お互いの無意識がZPFを通じて繋がる。

シンクロニシティや以心伝心が起きる。

5.超時空的無意識

意識が時間と空間を超えて繋がる

ZPFと深く結びついた意識の世界である。

この正体は、フィールド内の「深層自己」である。

予感、予知、占い的中が起きる。

5.従来科学で説明できない事象のZPF仮説での説明

従来科学で説明できない事象

それは何か

ZPF仮説での説明

宇宙の創成

そもそもの真空状態から量子(有)が誕生した経緯

138億年前に「量子真空」から生まれた。

ビッグバン

今の宇宙が誕生したビッグバン仮説

量子真空が揺らぎを起こし、急激に膨張し大爆発を起こした。ビッグバンの直後にこの宇宙は光子(フォトン)で満たされた。

視線観応

人の視線を感じる

ZPFでその状況を見ている。

直感

無意識に分かる

無意識レベルのZPF交信で可能である。

以心伝心

考えが相手に伝わる

超個的無意識レベルのZPF交信で可能である。

予感

何かが起きることを事前に感じる

超時空的無意識レベルのZPF交信で可能である。

予知

未来の出来事を感じる

超時空的無意識レベルのZPF交信で可能である。

考えが「降りてくる」事象

ふっと名案が湧いてくる

ZPFの誰かが教えてくれている。

占い的中

占いが当たる

超時空的無意識レベルのZPF交信で可能である。

既視感

ある光景を見たときに「あ、これは前に見たことがある」と思う。

ZPFで現在を過去として見てしまう。

幽体離脱

臨死体験

臨死体験をした人が「死後、自分が肉体から離れて上から見ていた」と言う。

死後も、「自我意識」を持った「現実自己」が、しばらくZPFに残り現実世界を見つめているから。そのうちZPF内で自我意識は消えて「深層自己」のみになる。

霊媒師

死者と交信をする。

ZPFにアクセスして情報を得ている。

背後霊

背後に死者が付いている、と言う。

死者に語らせたりするのも、ZPFから情報を得ている。

透視

目で見ていないものが見える。

ZPFにアクセスして見ている。

シンクロニシティ、

誰かのことを考えているとその人から接触がある

無意識レベルのZPF交信で可能である。

コンステレーション

身の回りで起こった様々な出来事が、全体として、何かのメッセージを伝えているように感じ、それに従うと良い結果になった。

無意識レベルのZPF交信で可能である。

前世の記憶

経験していないことを「以前こういうことがあった」と思う。

その個人がZPFにアクセスして他人の経験を知ったのである。

死者との交信

死者と話をする。

ZPFにアクセスできれば可能である。


6.宗教等での教えのZPF仮説との整合

宗教等

教え

ZPF仮説との関係

仏教

「唯識思想」では、我々の意識の奥には「末那識(まなしき)と呼ばれる意識の次元があり、さらにその奥には「阿頼耶識」と呼ばれる意識の次元がある。この「阿頼耶識」、この世界の過去の出来事のすべての結果であり、未来のすべての原因となる「種子」が眠っている

ZPF仮説と同じである。

 

「華厳経」では「一即多、多即一」と言っている。

「般若心経」では「色即是空、空即是色」と言っている。

 

ホログラム原理である。

世界(色)は真空(空)から生まれてきた。

 

「三界唯心所現」(我々の目の前の世界はすべて、我々の心を映し出した世界である)

 

「現実世界」を生きる「私」が、自分という存在が、実は「宇宙意識」であることに気が付いたとき、目の前の「現実世界」を変えていくことができる。

通夜や喪に服する習慣

 

個人の「自我意識」がまだ現実世界から離れていない(で淋しがっている)ので遺族が見守るのである。

成仏

 

死後、「自我意識」が消えて「至福の世界」に向かうこと。

「三途の川を渡る」(三途の川の水を飲むと生きているときの記憶をすべて忘れる。

同上

 

「極楽浄土」

死後の世界があることを示している。

「山川草木国土悉有仏性」すべてのものに「仏性」がある。

別掲「地球意識」を指す。

キリスト教

旧約聖書で天地創造を述べた部分で「神は『光あれ』と言われた」となっている。

「天国」

最初に光子が生まれたことを言っている。

死後の世界があることを示している。

イスラム教

「ジャンナ」

死後の世界があることを示している。

アニミズム

(自然崇拝)

自然そのものに「神」が宿るとする思想。

「八百万の神」

「自然」すなわち「地球」そのものに「意識」が宿っている、としている。

「地球意識」につながる。

 

古代インド哲学

「アーカーシャ」には宇宙誕生以来のすべての存在について、あらゆる情報が「記録」されている。

同上

ギリシャ神話

「レテの川を渡る。

「三途の川」と同じことが言われている。

チベット書

「チベット死者の書」

死者が「死後の世界」において、どのような体験を与えられ、それにどう処すればよいかを仔細に語っている。

死後の世界があることを示している。

 7.過去の偉人の発言のZPF仮説での説明

偉人名

主張・意見

ZPF仮説での説明

アインシュタイン

相対性理論

E=mc²、これはmという質量を持った物質がエネルギーへと変換されることを示した。

物質の本源は光子であることにつながる。

親鸞

「善人な表往生す。いわんや悪人をや」

死後の世界に差別はない。自我の精神から発する悪は存在しない。

レイモンド・カーツワイル

「シンギュラリティは近い」人類は、将来、脳内の情報をすべてコンピュータ内の人工知能に移植する技術「精神転送」を実現し、それによって、肉体は死を迎えても、意識は生き続けることが可能になる。

これはZPFのことを言っていることになる。

オルダス・ハクスリー(英国)

「永遠の哲学」において、キリスト教、仏教、イスラム教、ヒンズー教などの宗教を調べ、すべての宗教がその教義の根底にoneness(一つなるもの)を述べている、としている。

すべては一つであるという「全一性」を示す

ケン・ウィルバー

「無境界」の中で、自我意識が世界の中に様々な「境界」を設けている。自我意識が消えると「至福に満ちた世界」「愛一元の世界」がある、という。

ZPF説そのものである。」

ユング(スイス)

「ユング心理学」の中で「集合的無意識」という考えを提唱している。

すべての人々の無意識の世界が繋がった「人類共通の無意識の世界」がある、

トランスパーソナル心理学

「個を超えた無意識の世界」がある。

同上

アルネ・ネス(ノルウェー)

「ディープ・エコロジー」

すべての生命存在は、人間と同等の価値を持つ、とする。

死後、我々の意識は「超自我意識」になり、それは「人類意識」を超えて「地球意識」と呼ぶべきものに広がる。それは地球上のすべての存在の意識を包摂するものである。

ルース・ハリソン

「アニマル・マシーン」

アニマル・ウェルフェア(動物福祉)を訴えている。

ジェームズ・ラブロック(イギリス)

「地球生命圏 ガイアの科学」

地球そのものが「巨大な生命体」である、とする。

 

 

グレゴリーベイトソン(米国)

「精神の生態学」

「複雑なものには、命が宿る」「心とは、生きていることの証である」

(著者の解釈)

システム内部の相互連関性が高まってくると、自己組織化や創発という性質(生命的な性質)が生まれてくる。

8.不可思議な現象の研究書

研究者

研究書

内容

イアン・ステーヴンソン

「前世を記憶する子どもたち」

幼児が経験していないことを経験として語る事例集

ジム・タッカー

「リターン・トゥ・ライフ」

同上

9.ZPF仮説に対する疑問

疑問

ZPF仮説での説明

4次元の世界で未来も存在しているが、未来は決まっているのか

この世界は過去の延長で設定されているが、現在の行動によって変わる。

死後、死者と会えるのか

死後の世界は、すべての命が一元・一体なので誰とでも交流できる。

死後、生者と交流できるのか

生者がZPFを通じ呼んでくれれば交流できる。

 

本書を読み終えて、なお残る気持ちがあります。

現実世界を生きる現実自己が消滅して
深層世界で生きる深層自己に変わるとして、
それが自分の死ではない、と思えるのか?
それは自分とは関係のない存在であり、嬉しくもなんともない、
そういう気もします。

前掲の「不死の講義」の著者は、
自分としては第5の道、すなわちこの人生を楽しく有意義に過ごす道を望む、
と言っています。
同感です。
皆様はどうですか?