2011年2月27日日曜日

牛丼チェーンの戦い

 牛丼チェーンのゼンショー(すき家)、吉野家、松屋
 3社は、低価格競争をしながら、
 10年4~12月期でいずれも増益となっています。

 ご存じですか?
 牛丼チェーンの元祖吉野家は、売上高で、
 ゼンショーに2倍以上の水を開けられているのですよ。
 (10年4~12月で、2792億円対1290億円)

 逆転のきっかけは、約10年前の
 狂牛病発生に伴う米国産牛肉の輸入禁止でした。

 吉野家は従来からの輸入チャネルの牛肉でないと、
 牛丼の味が維持できないとして
 牛肉在庫切れと共に牛丼の提供を中止しました。

 他の牛丼チェーンはオーストラリア等に輸入先を切り替えて
 牛丼を提供し、吉野家の牙城を突き破ったのです。

 吉野家の安部社長のこだわりは
 吉野家ファンにとっては納得のいくものだったのでしょうが、
 単なる牛丼ファンにとっては
 そこまでのこだわりはなかったのでしょう。

 吉野家の現在のモットーは
 「うまい、やすい、はやい」です。
 たしか創業時は「早い、安い、うまい」だったのです。
 「うまい」はそれほど売りでなかったのですが、
 いつのころからか「うまい」で勝負するようになったのです。
 
 「うまい」での勝負は、商品の競争として本命です。
 しかし、消費者は多様です。
 もしこのまま、吉野家が敗退することになれば、
 「吉野家は、自社の商品にこだわり過ぎて
 価値観の多様化時代に対応できなかった」
 ということになるのでしょう。

 吉野家も低価格競争に参戦するために、
 280円の牛鍋丼を出しています。
 これは、牛肉の量を減らして豆腐やしらたき等を入れて
 コストダウンをしているメニュです。
 
 結構、集客力を持っているようです。
 あくまで、現状のコスト構造の上で
 コスト割れは起こさない、という方針が見え見えです。

 すき家の作戦は違います。
 低価格メニュを集客に使って
 セットメニュや他のメニュで採算を取ろう、
 という作戦です。

 最近、
 小伝馬町の当社の近くに「すき家」が出店しました。
 私も何回か「視察」で食べにいきました。

 分かったことがいくつかあります。
 1. メニュが豊富です。
  何を食べようかと楽しみになります。
  組み合わせを含めると優に100種類を超えます。

 2. 基本の牛丼は280円ですが、
  セットメニュや他の商品売り込みで
  客単価増に必死です。
  280円の牛丼を食べに来たお客様に
  もっと高い商品を売り込んで客単価増を狙うのです。
 
  私の3回の客単価は平均500円でした。

 3. 牛丼の味は吉野家の方が上です。 
  これは好みですから絶対的な基準はないでしょう。
  たれも煮込みの程度もやはり本家が上と思いました。

 ところで、すき屋は目下、牛丼にだし汁をかけて食べる
 「牛まぶし」を盛んに宣伝しています。
 これも客単価アップ作戦の一環で
 このメニュは480円です。

 乗せられて食べてみました。
 なかなかの味でした。
 しかし、気に入らないことがありました。

 「さらさらと食べる」といううたい文句ですが、
 ドンブリのヘリが反り返っているものを使っているので、
 うまく口に咥えられません。

 テレビのCMではレンゲを使って食べているようですが、
 これでは「さらさら」になりません。

 メニュ開発者は
 料理を食べて「これはいける」と
 GOサインを出したのでしょうが、
 食器との組み合わせはどの段階で誰が決めたのでしょう?

 「サラサラと食べられるかどうか食べてみろ!」
 と言いたいです。

 美味しく食べるという目的の追求が不十分なのです。

 トヨタが米国で起こしたアクセルペダルとフロアマットの
 不適合によるリコール事件と同じことです。
 
 全体設計者が必要なのです。

 吉野家に話を戻します。

 当社で勧めている価値目標思考では、
 何かを実現しようとする時の目標である
 価値目標の基本は「早い、うまい、安い」
 だと言っています。

 現在の社会の激動・流動時代には、
 とにかく「早く」ないと、競争の土俵に上がれません。
 それからお客様の好みに合う「うまい」です。
 そうして、同じものなら「安い」のがよい、
 という意味です。

 この「早い、うまい、安い」は
 英語では、QCD(Quality、Cost、Delivery)ですが、
 吉野家に習ってこうしたのです。

 吉野家も時代に合わせて、
 3者の順番を変えているようです。

 ついでに近くの松屋にも行ってみました。
 なんと、松屋は事前にチケットを買う方式なのです。
 これだと、吉野家がやっている追っかけ注文
 (「これも追加してみようかな」と頼む)は
 期待できません。
 チケット販売機の制約上、
 メニュが固定的になりやすいでしょうし。

 この松屋、結構健闘しているということです。
 量は多いようでしたが、何が売りなのか。
 よく分かりませんでした。

 こうして、すき屋、松屋と比較すると、
 吉野家の店は元気さが足りない、
 明るくない印象です。なぜでしょうか。

 牛丼競争の行く末はたいへん興味があります。
 本家吉野家さんに頑張っていただきたいものです。

石原都知事 4選不出馬「日本のために一肌脱ぐ?」

 ワタミの創業者渡邉美樹氏も出馬する次の都知事選に
 石原現知事の動向が注目を集めています。
 ご存じのとおり、
 本人は出るとも出ないとも意思表示しておられません。

 石原都知事は、2月27日東京マラソンのスタート前に
 8チャンネルに登場しました。
 よくこの企画が実現できたな、と感心しました。

 ですが、その時にも明確な意思表明はありませんでした。

 この時の
 「人間は同じことを何回もやっては駄目だ。
 人心もうんでくる。やってる当人もだれてくる」
 との発言を受けて、不出馬か?
 という推測が流れているようです。

 私は、
 この時の15分くらいの司会者とのやりとりを聞いていて
 不出馬だ、と思いました。
 
 その理由は、上記の消極的な理由ではなく、
 「日本のために」もっとやるべきことがある、
 とのお考えからだろう、と思いました。
 
 都知事の日本思いには
 以前から私も共鳴していて、
 こういう方に日本をリードしてもらいたい、
 と思っていました。

 本当に、今の日本は情けない状態です。
 中国やロシアから舐められているのが、
 その最たる象徴です。

 日本の方向性について定見のない政権には
 早く退場してもらわなければなりません。

 石原都知事は、自らが都の長から国の長になる
 気はないようでした。

 (亀井静香氏に
 「いつまでも田舎大名やっているんじゃない!」
 と言われたそうです。
 都知事は
 「君は田舎侍ではないか」と切り返したのですって)

 ですが、まともな政治の確立に力を注ぎたいという意向は
 強く示されていました。

 因みに、石原都知事はこの番組で
 輿石東氏(民主党参議院議員会長)のことを聞かれて
 不愉快な顔をして
 「彼は日教組出身でしょう。
 日教組は戦後の日本の間違った思考形成に
 大きな責任がある」と明快に切り捨てていました。

 とにかく、日本沈没を防ぐのに
 残された時間はあまりありません。
 見識ある方に頑張っていただきたい、ですね。
 
 因みに、
 東京都知事は渡邉美樹氏にやっていただいたら
 いいですね。
 東国原知事や橋下知事と違って
 会社経営で成功した方ですから、
 その経験で東京都を経営していただけたら
 どうなるのか非常に楽しみです。

 【3月24日追記】
 ところが、です。
 3月10日(大震災の前日)になって、
 石原都知事は、
 やはり出馬するという意思表明をされたようです。

 自民党、特に子息である自民党石原伸晃幹事長
 の強い説得と
 「立候補予定者の顔ぶれから自らの路線継承が
 困難だと判断、出馬に傾いた模様だ(日経新聞)」
 ということのようです。
 
 どうも真意は分かりません。
 私の上記の解釈からすると、こうなります。
 「本当は、”日本”の舞台で残りのエネルギを使いたい。
 しかし現状では、
 自ら出馬のチャンスはなさそうだし、
 誰かのバックアップ役をするにしても、
 近々、その誰かが表舞台で活躍するというチャンスも
 なさそうだ。
 だったら、
 もう少し都政を通じて日本に影響力を与えようか」
 
 本当に立候補されるのか、と様子を見ていましたが、
 24日、立候補届け出をされました。
 やはり、
 いろいろな意味で氏の4選出馬は残念なことです。
 
 

2011年2月13日日曜日

ムバラク大統領辞任、なぜねばった?

 2月12日、9月まで辞任しないという
 意思表明から一転辞任に至りました。

 ここまで、100万人デモを何度もかけられながら
 しつこく、辞任を拒否してきた理由は
 単なる権力欲だけとは思えません。
 
 28年間にも亘りトップに君臨してきたのであれば、
 違法な私腹肥やしなどもあったでしょう。
 それをうまく工作するための時間が
 ほしかったのではないでしょうか。

 間もなく、そのことは明らかになるでしょう。
 
 短期迷走政権も困りますが、
 長期独裁政権はダメですね。

「不合理だからすべてがうまくいく」?

 ダン・アリエリーという米国デューク大学行動経済学の
 教授の書いたこのタイトルの本を読みました。

 人間の行動は合理性に基づいているとは限らない、
 むしろ非合理の面が多いのだ、ということを主張しています。

 その非合理性の論点は以下のとおりです。
 なうほどと思うことが多いです。

 1.高い報酬は逆効果を生む(ストレスの影響で)
 2.喜びが得られない仕事は真剣に取り組まれない
 3.自分で作ったものを過大評価する(イケア効果と名付け)
 4.自分で生み出したアイデアを高く評価してしまう
 5.復讐は人間の奥深い本能だ(軽視してはいけない)
 6.人生を変えるほどの大きなできごとにも順応してしまう
   (ゆでガエル現象)
 7.人間の不合理な性質を考慮に入れない
   商品やサービスは必ず失敗する
 8.人は大勢の苦しみより、一人の苦しみの方に
   心を動かされるようにできている
 9.感情がすく消えるが、いっときの感情にまかせた決定が
   長い間にわたって行動を左右することがある
 
 この本の序章で著者はこう言っています。

 「やるべきことを先延ばしにしたことなんかない」
 という人はいないだろう。
 長期的な目標のために短期的な犠牲を払えない例は
 どこにでも転がっているということだ。

 (上野注:やるべきことは
 意義があるからやるべきと思うのですが、
 やることには負担や苦痛を伴います。
 この負担や苦痛に負けてしまうのです)

 この点は、私たちが「価値目標思考」で
 主張している点と同じです。

 価値ある目標を実現したい、
 例えば体重を減らして健康になる、美しくなる、
 とは誰しも思う。
 しかしそのためには、ダイエットをする、運動をする、
 という苦行をしなければならない。
 目標を強く意識できる人は
 苦行に耐えられるけれど、
 その意識を強く持たない人は挫折してしまう
 (三日坊主です)。

 ここまでは、普通の主張でしょう。
 ところが、この著者は自分の経験から
 苦行を乗り越えるための
 たいへんいいヒントを述べています。

 著者はC型肝炎に罹り、この治療で
 インタフェロンを注射しなければなりませんでした。
 この注射はたいへんな副作用
 (猛烈な頭痛や吐き気等)があります。
 著者はその副作用のひどい時間に
 自分の好きな映画のCDを観ることにしました。
 こうして18カ月後にこの治療は成功したのです。

 つまり、普通の人間は、
 長期的な目標だけでは自制できなくて、
 苦行には楽しみや喜びがついていないとだめだ、
 というのです。

 なるほどそうです。
 私は健康維持のために
 50年近くも朝のジョギングをしていますが、
 走る時に周りの風物の変化や人間特に女性の動きを
 見るのを楽しみにしています。
 ルームランナだったら1週間も続かないでしょう。

 英会話を自習するテープの類もそうですね。
 通信教育もそうです。
 よほどのインセンティブないと継続できません。
 私も過去、通信教育は完了したことがありませんでした。

 ということで、今後は
 「WHY(目的・ねらい、価値目標)を達成しようとする
 HOW(苦行)を実施するときには、 
 その苦行に楽しみが伴う工夫をすべきです」
 とガイドすることにします。


 

2011年2月9日水曜日

尖閣についてもっと知りましょう!その2

 私は、2010年12月12日の
 「尖閣諸島についてもっと知りましょう」というタイトルで
 明治20年代に古賀辰四郎氏が尖閣諸島を
 国から正式に貸与を受けて
 資源を活用した、旨をご紹介しました。

 今回、「中国はなぜ尖閣を取りに来るのか」(自由社)
 を読みました。
 尖閣問題を研究したい方には
 格好の情報源となります。

 本書には、(太平洋戦争の)戦前、
 尖閣諸島で最も大きな魚釣島には248人が居住していた、
 ことも記載されています。

 この中で、私の友人である茂木弘道氏
 (「史実を世界に発信する会」事務局長)が
 以下のような「史実」を紹介していました。

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 尖閣諸島は中国の福州からは420キロ
 台湾の基隆(キールン)から190キロ
 石垣島から170キロに散在する小島群である。

 昔は人跡未踏であった。
 しかし、琉球から中国あるいは安南・ルソン・ジャバ
 などの南の国々への航路の標識島として大事な島であり
 古地図に登場する。

 安政6年(1859年)美里間切(みさとまぎり)の役人である
 大城永保が、赤尾嶼、久場島、魚釣島の3島に接岸して
 地勢、植物、鳥類などを実地調査をした。 
 その結果を、
 沖縄県役人石沢兵吾が県令に報告をしている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 この後が、前回の古賀氏の活動につながっていくのです。
 前回の事実は1880年代ですが、
 今回の件はそこから20年ほど遡ったということです。

小沢氏の強制起訴

 予定どおり小沢氏は、強制起訴されました。
 小沢氏に対しては、実行力があると評価する人が
 小沢ファミリだけでなく、一般市民にもいます。

 確かにそのとおりでしょう。
 多額の資金を集めて
 子分たちに配分したりするのですから。
 親からのお金を当てにする人材とは異なります。

 ですが、実行力も大事ですが、
 もっと大事なものがあるでしょう。
 泥棒やマフィアの実行力は、評価できますか?

 理念・価値観・倫理感が重要です。
 何のための実行かということです。

 小沢氏は、ご存じのように09年暮れに
 500人を引き連れて中国を訪問しました。
 これは朝貢もどきではないですか。
 国辱ものです。 

 日本にとってどういう意義があったのでしょうか。
 おそらく、これからの世界は中国主導となる、
 と読んでの
 先行利得を獲得しようとしたのではないでしょうか。

 現在、そのような行動をとることが、
 中国と日本の関係にどのような悪影響を及ぼすか
 ということを考慮したのでしょうか。

 行動の先に意識があります。
 意識で考える目的が行動の価値を決めるのです。
 目的がおかしければ行動は無価値です。

 野中郁次郎先生は、
 最新刊「イノベーションの知恵」(日経BP社)で
 「目的」×「手段」×「行動」が価値を生むという
 「実践的三段論法」を提起されていました。
 
 目的がおかしければ、行動は無意味なのです。
 有害かもしれません。

 そのような小沢氏に期待しなければならないほど
 日本の政界も人材不足ということです。

 嘆いている場合ではありません。
 どんどん、日本の評価が下がっていっているのです。
 一刻も早く、
 経験もあり見識もある方が
 日本の政界に登場していただきたいものです。

マスコミの無責任さ

 相撲界の八百長のことが新聞・雑誌・テレビを
 毎日賑わせています。

 確かに、八百長は良くないことです。
 八百長なしで常に真剣勝負でいって欲しいものです。

 しかし、マスコミが騒ぎたてれば、
 日本の国技と言われているスポーツのファンが減り
 国技が衰退していくではないですか!
 落ち目の日本にとって、
 その衰退が良い結果を生むとはとても思えません。

 マスコミ関係者は、そのことを自覚しているのでしょうか。
 「国民」「視聴者」が関心を持ちそうだから、という理由で
 どんどん、面白おかしく取材・報道してよいものでしょうか。
 
 私は、相撲ファンではありません。
 しかし、現状のマスコミの報道姿勢に対しては
 憤激にたえません。
 
 マスコミ界は、自分たちの言動に対して
 もっと見識や責任感を持っていただきたいと思います。