2019年6月27日木曜日

「今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 猛威をふるっているソーシャルメディアの支配から脱する
 にはどうしたらよいかをご研究いただきます。
 猛威についても再認識いただきます。
ねらい:
 良さそうな「誘導」に負けないように意識いたしましょう。
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GAFAの情報独占が
社会的・世界的問題となっている昨今ですが、
その問題に真正面から取り組んだ警世の書です。


著者ジャロン・ラニアーは、第3者・評論家ではなく、
VR(仮想現実)という領域を作りだした
シリコンバレーの先進ビジネスリーダです。


序章に非常に分かりやすい喩え話が載っていますので、
ご紹介いたします。
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まずは猫の話から始めよう。
オンラインには猫があふれている。
可愛らしい猫の動画は他のどんな動画よりも拡散されやすい。


なぜ犬ではなく猫なのか?
犬は、人類の祖先のところに出向いて
一緒に暮らしたいと申し出たわけではなかった。
我々人類が犬を飼い馴らした。
犬は人の言うことをきくように育てられた。


おとなしく訓練を受け、突飛な真似はしない。
犬は人間のために働く。
といっても犬を否定しているわけではない。
忠実に頼りになる彼らは素晴らしい。


しかし猫は違う。
猫は人類の祖先のもとにひょっこり現れ、
ある意味自分の意思で人と暮らし始めた。
その行動は予測不可能。


人気の犬の動画はしつけの良さを自慢するものが多いが、
大人気の猫の動画は、
クールで驚きに満ちたその行動をとらえたものだ。


猫は頭のいい動物だが、
あなたが確実に飼い馴らせる動物を望んでいるなら
猫はお勧めではない。


猫のサーカスの動画を観てみればよい。
覚えた芸当を披露するかしないか、
客席での観客サービスをするかしないかを決めているのが、
明らかに猫自身であることに感動させられる。


猫は不可能と思われることを成し遂げた。
つまり、自分らしさを保ったかま、
現代のハイテクな暮らしに溶け込んだ。


主導権は相変わらず彼らの手中にある。
悪意をもった正体不明の独裁者に金で買われたアルゴリズムが
密かに作り出すミーム
(インターネット上で人から人へと拡散するテキストや画像)に、
あなたの猫が支配される心配はない。
あなたの猫は誰の指図も受けない。
あなたのも、誰のも。


私たち人間についてもそう言い切れたらどんなにいいだろう!
オンラインの猫の姿は、
インターネットの世界の人類の未来についての
我々コンピューターテクノロジストの夢でアリ希望のの姿なのだ。


一方、犬は好きでも、
犬のようになりたいとは思わない。
少なくとも人間と犬の力関係は真似したくないもので、
フェイスブックなどのソーシャルメディアが
人々を犬に変えてしまうことを我々は恐れている。


オンラインでは些細なことで悪意のスイッチが入りやすいが、
それを「犬笛」に誘われると呼ぶのがいいかもしれない。
犬笛の音は犬にしか届かない。
すでにひそかに支配が始まっているのではないかと
我々は心配している。


この本には、猫になる方法が書かれている。
四六時中監視され、人々を操縦することを唯一の収入源として
莫大な利益を上げるいくつかの企業が運営する
アルゴリズムによって、常に行動を促されて続ける世界で、
どうすれば自律的に生きられるのか?
そんな世界で猫として生きる方法は?


本書のタイトルに嘘はない。
ここには、
今すぐすべてのソーシャルメディア・アカウントを削除すべき
10の理由が書かれている。


本書があなたの役に立つことを願っているが、
10に理由すべてに納得できたとしても、
あなたはいくつかのアカウントを残そうと決めるかもしれない。
それはあなたの自由であり、猫として生きることだ。


10の理由のすべてについての説明の中で、
あなたが自分にとって何がベストなのかを決断するために
役立ちそうないくつかの考え方を述べるつもりだ。
しかし答えを出すのはあなただ。


著者による追記 2018年3月
本書は主として2017年の末に執筆したものだが、
2018年に起きた出来事が
本書と大いに関わりがあることが明らかになった。


原稿は完成していた、すっかり完全に
ー印刷所に届けられようとしたいたー
そんなときにケンブリッジ・アナリティカのスキャンダル
(ビッグデータ分析を行うケンブリッジ・アナリティカが、
フェイスブック上で自己診断テストを受けた
ユーザーとその友人の個人情報を入手し、
そのデータが2016年のアメリカ大統領選挙で利用された)
が暴露され、
フェイスブックのアカウントを削除する草の根運動が
またたく間に社会に広がったのだ。
(以下省略)
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これで著者の意図は大体お分かりいただけたと思います。


著者の意図が、本当に警世なのか、
成功者たち(Facebook,Google)に対する妬みからくる
嫌がらせなのかは不明です。
皆様がどう考えるかです。


著者の言われる10の理由はこうなっています。


理由1 ソーシャルメディアは自由意志を奪うから
理由2 ソーシャルメディアをやめることが、
     現代の狂気に侵されないための最適な方法だから
理由3 ソーシャルメディアはあなたを最低の人間にするから


理由4 ソーシャルメディアは真実を歪めるから
理由5 ソーシャルメディアは
     あなたの言葉を意味のないものにするから
理由6 ソーシャルメディアは共感力を低下させるから


理由7 ソーシャルメディアはあなたを不幸にするから
理由8 ソーシャルメディアはあなたの経済的安定を脅かすから
理由9 ソーシャルメディアは政治を歪めるから
理由10 ソーシャルメディアはあなたの心を嫌っているから


ソーシャルメディアはあなたの選択や考え・行動を分析して
あなたに便利なガイドを提供しているようで、
結果的には、ソーシャルメディアに乗っかっているスポンサーの
思うところに誘導されている、
それが高じれば、あなたの自由意志はなくなります、
というようなことです。


アカウントを削除すると、
どうやって社会と関わるのかという点について
著者はこう言っています。


1)メールで連絡を取る。
 ただしgmailはダメ。情報をとられる可能性がある。
2)ニュースサイトに直接アクセスして情報を得る。
3)その他のサイトにも自分で探してアクセスする。


著者はそれを実践して支障がない、と述べています。
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この本を読んでいましたら、
たまたま日経新聞にこういう特集記事が載りました。


記者が3週間、GAFA断ちの実験をしました。
スマホは使わず、連絡手段はガラケー、
情報収集は図書館、です。


そうしたらとてつもなく不便で、余計な時間もかかり、
ガラケーからの連絡では仲間からも相手にしてもらえなかった、
ところが、夜中の頭痛から解放され、
家族とのコミュニケーション時間が多くとれるようになった、
というのです。


一長一短とも言えますが、
GAFA断ち、スマホ断ちは現実的でない、という結論になりました。


私は、Facebook、Googleのアカウントを持っていますが、
一切お勧めを利用したことはありません。
YahooやGoogleのお勧めニュースもほとんど見ません。


Amazonの図書購入にしてもそうです。
注文する時に参考表示される図書を買ったことは、
門外漢の世界の図書を買った1回だけです。
したがって、ソーシャルメディアの影響はほとんど受けていない、
と言えます。


利用するのがいけないのではなく、
影響を受けるのがよくないのですから、
これで問題ないと思います。


自分の関係のないところでGAFAが、
どう自分のデータを利用しようが知ったことではありません。
自分が一切GAFAからの影響を受けなければいいのです。
そうではありませんか?



2019年6月21日金曜日

一括採用やめて通年採用、課題は分かっていますか??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 新卒者の一括採用をやめて通年採用にすることの
  課題を検討します。
ねらい:
 学校教育のあり方、企業のビジネスのあり方とも関係するので
 一朝一夕にはできません。どうすべきなのでしょうか?
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ご承知のように、経団連の自主規制だった現在の終活ルール
(説明会などの広報活動は3年次終りの3月以降に、
面接をはじめとする選考活動は4年次6月以降に行う)は
2021年入社者から廃止されます。


代わりに政府が大学4年次6月からの面接解禁というルールを設け
各企業の周知するとしているようです。


経団連の終活ルール廃止は、
単に採用活動の時期を自由にしようというだけでなく
年度一括採用も見直し、
通年採用に切り替えるという流れにもなるようです。


マスコミでは、通年採用が一般化していくような報道をしています。
ところがある調査では、
「通年採用を実施予定の企業は21%である」となっています。


それはそうでしょう。
でき上がっている専門職の採用であれば、いつでもよいのでしょうが、
新卒者の場合はそうはいきません。


新卒者は、最低でも1か月、長い企業では3か月の
新入社員研修を実施して
当該社企業人としての基礎知識を身につけてもらう
ようになっているのです。
人事部門としてはたいへんな大仕事なのです。
研修の後の配属の仕事も厄介です。


通年採用になったら
その新入社員研修はどうするのでしょうか。
人事部門が頑張ったとしてもせいぜい年2回の実施でしょう。
通年採用の意味があまりありませんね。


新卒者全員が、
希望する職種の最低限度の能力を身につけているようになるまでは
新卒者の通年採用は実現しないでしょう。


それには、企業で働く人間の職種がジョブ型(万能型でなく専門型)
にならなければならないのでいつの事やらの感じです。




ここで、一橋大学大学院の社会学研究科の田中拓道教授が、
學士会会報2019-Ⅱ号に掲載された
「就活ルールと日本資本主義」のご意見をご紹介します。


「就活ルールと日本資本主義」の要約



資本主義のパターン

その特徴

従来の教育体制

最近の動向

英米型自由主義市場経済

企業は短期的な企業価値の向上を目指す。

労働市場は流動的で、解雇や中途採用も容易

労働者は教育を通じて一般的な資格を取得した後、企業での職業経験を通じて専門技能を身に付ける。

労働市場の一層の流動化・規制緩和が進み、失業者への教育・職業訓練費用も抑制される。

教育への私的な投資が重視されるようになり、高度な教育を受けていない者は薄給に甘んじなければならない。

主要ヨーロッパ型調整的市場経済

労使協調のもとで労働者を長期的に雇用する傾向にある。

労働者は高度な公教育を受けた後、産業ごとに特化された技能訓練を長期的に受ける。

労使の話合いにより、働き方の柔軟化が行われている。

労働者の技能形成に政府が大きな役割を果たしている。高等教育費の8-9割は公的負担である。

日本

ヨーロッパ型だが、労使協調が産業別ではなく企業単位である。

公教育は一般的な教養レベルにとどまり大学での教育課程は企業では軽視され、企業に雇用された後の技能訓練8OJT)が重視されてきた。

大企業は、長期雇用を武器に人材を抱え込み、労働市場の流動化が進まない。

正規労働者に対しては日本型雇用(年功賃金、長期雇用)に大きな変化が見られない。

日本型雇用に従わない非正規労働者の比率が急拡大して労働市場の矛盾の調整弁となっている。

技能形成コストの絞り込み縮小をしている。厳しい国際競争条件のもとで教育への負担が困難になり、人材育成を大学に期待している。

日本は極めて中途半端です。
弱い者にしわ寄せが行ってそのままになっています。
非正規労働者のクーデターが起きてもおかしくない状況ですのに、
日本人はおとなしいのですね。


田中教授は、こう結んでおられます。
日本の現状では、若者や失業者への職業紹介・職業訓練への公的支出は、
ヨーロッパに比較して著しく低い。
就職困難学生への支援、就活早期化への歯止めに
政府がより大きな役割を果たすべきである。



認知症対策、予防の強調なぜ悪い!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 認知症対策の「共生と予防」について考えてみます。
 何でも悪い方に考えて反対する人がいる
  ことを残念に思いましょう。
ねらい:
 「若い」ときから、認知症の「予防」に努めましょう!!
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ご承知のように認知症は、
1.本人の幸せな人生のため
2.社会福祉経費増大防止のため
削減することは極めて重要は社会的課題です。


政府は、6月18日に認知症対策をまとめた大綱を
関係閣僚会議で決定しました。
この大綱は「共生と予防」をキャッチフレーズにしています。


共生は、認知症になった時にどう過ごしていくかであり、
予防は、「認知症になるのを遅らせる」「進行を緩やかにする」
ものです。


認知症の発生を防ぐ方法はまだ研究途上なので、
こういう表現になったようです。


そもそもこの大綱は5月の素案段階では、
予防と共生だったのです。
順序や重要性からすれば当然その順番です。


素案段階では、
「70代で認知症の人の割合を10年間で1割減らす」
と数値目標も入っていました。
(私から見ればかなり控えめな目標だと思えますが)


ところが、一部の関係者から
「予防を前面に出すと予防ができると思われる」
「発症した人が責められる」(「発症する人が悪い!」)
というような批判が出て、
順序は変え、数値は目標から参考値に格下げになったようです。




誰がそのような反対意見を言うのでしょうか。
責任逃れをしたい人か、単なる理屈やか、
そういう人の意見が本質論をまげてしまうということは
非常に残念なことです。
トランプ大統領ならそんな屁理屈認めないでしょうね。




認知症の課題はどう見ても
どうすればならないようにできるか、
あるいは進行を遅らせることができるかです。




そして、巷の研究や体験では、いろいろなことが
認知症の発生・進行に対して有効だとなっているのです。
たとえば、こういうことです。
1)運動不足の改善
2)糖尿病や高血圧など生活習慣病の予防
3)社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持




完全に医学的に証明できなくても、
そういうことをどんどん広めれば良いではないですか!


参考:認知症の現状
6月20日に警察庁が発表しました。
2018年の
認知症が原因で警察に行方不明届けが出された人数 
 全国で16,927人
その内、508人が車にはねられるなどして死亡
     197人は2018年中には所在が確認できていない。


行方不明届けの年代別内訳
 80歳以上 52% 
 70歳代   39%
 60歳代   8%      
 状況ははっきりしています。


行方不明届けの府県別内訳
 大阪府  2117人
 埼玉県  1782人
 兵庫県  1585人
 愛知県  1422人
 神奈川県 1280人
 東京都  1246人  
 なぜ大阪が多く東京は少ないのでしょうか??


九州大学の推計では
2015年には730万人に達し高齢者の20.6%を占めるようになる。
というのです。
これでは幸せな老後にはなりません。

2019年6月20日木曜日

「ゴーン帝国の20年 カリスマ失墜」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 カルロス・ゴーン氏事件についてあらためて考えてみます。
ねらい:
 「絶対権力は腐敗する」を肝に銘じましょう。
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この本は2019年5月に日経ビジネス社から出版されました。
日経BP社の取材陣が追いかけてきた記事を収録したもので、
以下のような章立てになっています。


1.混迷 カリスマの功罪 (要約的な章です)
2.降臨 フランスから来た男
3.破壊 大リストラと系列解体
4.再生 V字快復の光と影
5.栄光 飽くなき成長欲
6.君臨 世界制覇の野望
7.直撃 ゴーンショックからリーマンショックへ
8.中国 巨大市場に見出した活路
9.電撃 EVに大博打
10.膨張 スリーダイヤを飲み込む
11.不正 完成検査問題の闇
12.転落 容疑者になったカリスマ
おわりに 漂流する日産・ルノー・三菱連合


当書は「これが事実だ!」と売り出すような内容ではなく、
ほとんどはゴーン経営に関心のあった人であれば
知っていることです。
それを歴史的に集大成したという意義はあります。


私が新たに知ったり考えたりしたことは以下のとおりです。


1 当時の塙社長の功績
 ルノーに救済を求めて助っ人を呼び込んだのは
 その時の日産社長塙さんです。


 伝統もプライドもある日産社長が自分の立場を捨てて、
 単なる提携ではなく助けを求めたのはたいへんな決断だった
 と思われます。


 塙社長は自分では改革を進められなかったのですが、
 この決断は賞賛すべきだと思います。
 ゴーンショックを実現できたのは塙社長の貢献なのです。


 逆に言えば、そうしないといけないほど
 日産は追い詰められていたのかもしれません。


 私はある機会に塙社長に質問をしました。
 「ゴーンさんが経営の実権を握るようになったのは
 少しずつ状況が進展してそうなったのですね?」
 そうしましたら塙社長は、若干気色ばんで
 「そうではない。初めから決めていた」と言われました。


 失礼ながら、秀才社長の名決断でした。


2.日産の会社の社風
 日産コンツェルンの創始者鮎川義介氏の進取の気性が
 日産自動車にも根づいていました。
 戦後のダットサンは一世風靡の国産車でした。


 ところが、成功している会社はいつしか事無かれ主義に陥ります。
 日産もそのたぐいでした。
 その体質で強いリーダが現れると、
 すべてその人に従うということになってしまいます。
 
 その例は、
 労組の塩路一郎氏(経営にも強い発言権を持った)でした。
 その社風がゴーン社長に対しても効いたのではないか、
 と書かれていました。
 
3.ゴーン氏の失敗原因
 ゴーン氏の日産を立ち直らせた手法に関しては、
 本書でもしっかり認めています。


 当書のカバーにある「なぜ転落したのか」については、
 「絶対権力は徹底的に腐敗する」という格言に尽きるようです。
 それ以上の追求はしていませんで、新事実の発表はありません。


 私は、ゴーン氏が逮捕された直後の当ブログで
 ゴーン氏の生い立ち(レバノン出身のブラジル移民で生活の貧しさ)が
 倫理観欠如で私利私欲に走るということになったのではないか
 と想定しました。
 しかし本書のような公的な出版物では
 そのような推定に基づく中傷のような記述はしていません。


因みに当然のことですが、
ゴーン氏の功績については具体的詳細に紹介されています。
それはそれとして、ということです。

「東大野球部94連敗からの脱出劇に学ぶ」

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 東大野球部を94連敗から脱出した監督の施策を学びます。
 青学原監督の施策との比較をします。
ねらい:
 実績で示すのは、その施策に説得力があります。
 心して学びましょう(上野の気持ち)。
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当テーマは、學士会会報2019-Ⅲ号に掲載された
東大硬式野球部監督浜田一志氏の講演記録のご紹介です。


浜田氏はこういう方です。
「私は小4の時に野球を始め土佐高校では甲子園を目指して
野球漬けの日々を過ごしました。
高3の夏の大会を終えてから一念発起して受験勉強を始め、
東大に現役合格しました(上野注:凄い方ですね)


大学では野球部に入部し、最後は主将・4番を務めました。
勉強も好きで工学部で材料工学を学び、
修士終了後、新日鉄で6年間務めました。


その後学習塾の経営を始め、
母校の東大野球部のスカウトを手伝ううちに監督を拝命し
今に至ります」


私は組織や経営を専門的には学んでいません。
本日は、25年間の学習塾経営と6年間の監督経験から、
組織作りと人材育成についてお話しします。
ということで講演が始まりました。


浜田監督は2013年、46連敗中のチームを引き受けました。
その後、後掲の表のような指導を実施し、
2015年春に94連敗を脱出、
2017年秋に勝ち点を獲得しました。


青学原監督の箱根駅伝優勝の施策と比較してみました。
基本部分は驚くほど一致しています。
両監督に「強い組織とは何か」
を教えていただいていることになります。
浜田監督の方が若干理詰め部分が多いようです。



要因

青学箱根駅伝

東大野球部

監督

原晋

浜田一志

1.10年計画での取組み

3年で箱根駅伝出場、5年でシード権獲得、10年で優勝争い

勝利、最終目標はリーグ優勝

2.有望選手の獲得

高校回りをしている

高校回りをしている

3.設備・環境の整備

専用グラウンド

室内練習場の整備、VRも活用、コーチなどの人的資源強化

4.監督・選手の一体感

合宿所に泊まり込み

 

5.目標管理

月単位

3年生の春に走攻守のいずれかの分野で甲子園球児と勝負できること

6.合理的トレーニング


共通の優先順位に従い実施

7.選手の自立性・自主性尊重


目標に従い自主トレ

8.選手のやる気

競争原理

部員100人で切磋琢磨

9.選手ののびのび感



10.キャッチフレーズ

ワクワク大作戦

「俺たちは勝つ」など。

11.能力強化の優先順位設定


1食事、2ランニング、3筋トレ、4守備、5打撃

12. 組織としての役割分担明確化


部長、監督、マネージャー、選手、学生コーチ

13.戦術の共有

あり。

3点以内に抑えれば勝機がある」「もしかしてと思わせる」「苦手は捨てる」など。

14.模範を見せる


桑田真澄氏をコーチに

15.強豪校で武者修行


相手を知り安心する面も。

 
2017年の勝ち点獲得後はまた20連敗しています。
理詰めの限界なのかもしれません。


浜田監督は、本論で組織運営と人材育成をどうすべきかの
持論を展開されています。
しかしこれは、まともな内容であまり面白くありませんので、
表の掲載以外は省略させていただきます。


むしろ現実的で興味深いのは
チームを率いる標語(キャッチフレーズ)ですので、
それを以下にご紹介いたします。


人として。東大野球部員であることを肝に命ぜよ
チームとして。戦う組織であれ
俺たちは勝つ
自滅しなきゃ勝てる
勝ちたきゃ食え
グラウンド整備で大事なのは愛だ
 (愛ある官僚の排出が自分の使命の一つと思っている、とのこと)
1人でやりたがりは出世しない
自転車はゆっくり漕ぐと倒れる
 (緊張する場面で丁寧にプレーしようとするとエラーを招くので
 普段どおりに動け、という意味)


省略させていただいた部分に関心のある方は、
どこかの図書館で學士会会報をご覧になってください。
(私に言っていただければこっそりコピーをお送りします)


またも幼児虐待死!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 またも起きてしまった幼児虐待死事件について考えてみます。
ねらい:
 もうこういう事件は2度と起きてほしくないものです。
 犠牲になった詩梨ちゃんのご冥福をお祈りしましょう。
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悲惨で可哀そうな幼児虐待死事件で、
日本中が大騒ぎをしているときに、
またも衰弱死事件が札幌で起きたのです。
信じられないことですね。


その事件の原因はこうなります。


1.まず親の無知無責任
 21歳の母親は「若く」単なる「ギャル」です。
 親としての意識・責任感などまったく感じられません。


 詩梨ちゃんを預かったことのある保育園の園長は
 母親のことを「子供の育て方をまったく知らない人」と
 評しています(6月13日日経新聞)。


 体重が平均をかなり下回り衰弱するようなこと
 どうしてできるのでしょうか。
 そもそもこんな人は子供を作ってはいけないのです。


 ごく最近、仕事からの帰りにこういうお母さんに会いました。
 5歳、3歳、1歳くらいの女の子を連れて歩いていました。
 保育園からの帰りなのではないでしょうか。


 上の2人は自分で歩いていて
 下の子はお母さんが抱っこしていました。


 失礼ながら貧しい服装でしたが
 女の子たちは明るい顔をしていました。
 母親の愛情があるのでしょう。
 これが普通の母親でしょうに!!


 瞬間で通り過ぎてしまいましたので、 後から
 「激励のカンパをしてあげればよかった」
 と残念に思いました。


2.児童相談所の無責任
 しかし、子供ができてしまったのなら、
 社会がフォローしてあげなけばなりません。


 この17年間で児相の対応件数が7.5倍になったのに
 児童福祉司は2.5倍にしかなっていません。
 確かに、人手不足でしょう。


 しかし、児童相談所関係者のテレビ報道等を見ますと、
 たいへん失礼ながら、その人たちは能力が低そうです。
 事件が起きるのは、量が原因ではなく、質が原因なのです。


 札幌の事件でも、警察からの家庭訪問同行要請に対して
 体制がないと言って断っています。
 業務委託先に同行可能性の確認もしないで、なのです。
 その後も、何回かのチャンスを無にしています。


 何が大事かを見極めて対応することができなければ、
 ロクな仕事はできません。


 今回の事件を受けて厚生労働省が、6月14日、
 全国の児相の所長を集めた緊急会議を開催しました。


 その際に
 「警察からの同行要請には積極的に対応してほしい」
 と呼びかけたのに対しある所長が
 「様々な対応を求められ職場は疲弊している。 
 緊急性の高い事案が後回しになりかねない」 と発言し
 参加者が拍手をしたと言います(6月20日日経新聞)。


 子供の人命に関わること以上に「緊急性の高い事案」って
 あるのでしょうか。
 頭の悪い言い訳としか思えません。


3.厚生労働省の場当たり指導
 厚労省は今回の事件を受け、全国の児童相談所に対して、
 6月1日時点で継続的に関与している子供の
 安全調査をするように指示しました。


 この調査は、
 心愛ちゃんの事件を受けた今年2月につづいての2回目です。
 1回目の調査結果はどうだったのか、そこから何が得られたのか
 明らかになっていません。
 責任逃れの調査ばかりしていても仕方がないではないですか!


 幼児虐待死事件が、今回社会的に問題となった時に、
 政府が児童福祉司の増員を打ち出しました。
 そのとき私は、体制の質の強化も併せて実施しないと
 有効な対策とならないと主張しました。


 重要なことは個人任せにせずに、組織で対応するとか、
 警察等との連携を強化するなどが質の強化になります。
 厚労省も児相に注文を付けるだけでなく、
 そういうことの検討を真剣にすべきです。


改正虐待防止法は、
幼児虐待死事件の対策としてどのくらい有効でしょうか?


親による体罰の禁止を盛り込んだ児童虐待防止法の改正法が
6月19日の参院本会議で可決され成立しました。


体罰禁止の規定は、体罰は親の権限ではないということを
社会に知らせる意義はありますが、
一連の、結愛ちゃん、心愛ちゃん、誌梨ちゃん事件の防止には
直接的効果は期待できません。


この3人は親による暴行で死んだのではなく、
長い間の拷問的虐待によって衰弱死しているのです。
子供にして見れば、瞬間的暴行で死ぬより、
長い間の虐待の方が精神的に何十倍もつらいことです。


長い間のいじめを救うのは、周囲です。
周囲に、救ってあげられるチャンスがあるのです。


今回の札幌の事件では、
周囲からは何度も警察に通報がありました。
周囲はきちんと責任を果たしています。


通報を繰り返した周囲の方は、取材されていませんが、
こういう結末になって残念でたまらないでしょうね。


詩梨ちゃんのご冥福をお祈りしましょう!!