目的:
東大野球部を94連敗から脱出した監督の施策を学びます。
青学原監督の施策との比較をします。
ねらい:
実績で示すのは、その施策に説得力があります。
心して学びましょう(上野の気持ち)。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当テーマは、學士会会報2019-Ⅲ号に掲載された
東大硬式野球部監督浜田一志氏の講演記録のご紹介です。
浜田氏はこういう方です。
「私は小4の時に野球を始め土佐高校では甲子園を目指して
野球漬けの日々を過ごしました。
高3の夏の大会を終えてから一念発起して受験勉強を始め、
東大に現役合格しました(上野注:凄い方ですね)
大学では野球部に入部し、最後は主将・4番を務めました。
勉強も好きで工学部で材料工学を学び、
修士終了後、新日鉄で6年間務めました。
その後学習塾の経営を始め、
母校の東大野球部のスカウトを手伝ううちに監督を拝命し
今に至ります」
私は組織や経営を専門的には学んでいません。
本日は、25年間の学習塾経営と6年間の監督経験から、
組織作りと人材育成についてお話しします。
ということで講演が始まりました。
浜田監督は2013年、46連敗中のチームを引き受けました。
その後、後掲の表のような指導を実施し、
2015年春に94連敗を脱出、
2017年秋に勝ち点を獲得しました。
青学原監督の箱根駅伝優勝の施策と比較してみました。
基本部分は驚くほど一致しています。
両監督に「強い組織とは何か」
を教えていただいていることになります。
浜田監督の方が若干理詰め部分が多いようです。
要因
|
青学箱根駅伝
|
東大野球部
|
監督
|
原晋
|
浜田一志
|
1.10年計画での取組み
|
3年で箱根駅伝出場、5年でシード権獲得、10年で優勝争い
|
勝利、最終目標はリーグ優勝
|
2.有望選手の獲得
|
高校回りをしている
|
高校回りをしている
|
3.設備・環境の整備
|
専用グラウンド
|
室内練習場の整備、VRも活用、コーチなどの人的資源強化
|
4.監督・選手の一体感
|
合宿所に泊まり込み
|
|
5.目標管理
|
月単位
|
3年生の春に走攻守のいずれかの分野で甲子園球児と勝負できること
|
6.合理的トレーニング
|
〇
|
共通の優先順位に従い実施
|
7.選手の自立性・自主性尊重
|
〇
|
目標に従い自主トレ
|
8.選手のやる気
|
競争原理
|
部員100人で切磋琢磨
|
9.選手ののびのび感
|
〇
|
?
|
10.キャッチフレーズ
|
ワクワク大作戦
|
「俺たちは勝つ」など。
|
11.能力強化の優先順位設定
|
?
|
1食事、2ランニング、3筋トレ、4守備、5打撃
|
12. 組織としての役割分担明確化
|
―
|
部長、監督、マネージャー、選手、学生コーチ
|
13.戦術の共有
|
あり。
|
「3点以内に抑えれば勝機がある」「もしかしてと思わせる」「苦手は捨てる」など。
|
14.模範を見せる
|
―
|
桑田真澄氏をコーチに
|
15.強豪校で武者修行
|
―
|
相手を知り安心する面も。
|
理詰めの限界なのかもしれません。
浜田監督は、本論で組織運営と人材育成をどうすべきかの
持論を展開されています。
しかしこれは、まともな内容であまり面白くありませんので、
表の掲載以外は省略させていただきます。
むしろ現実的で興味深いのは
チームを率いる標語(キャッチフレーズ)ですので、
それを以下にご紹介いたします。
人として。東大野球部員であることを肝に命ぜよ
チームとして。戦う組織であれ
俺たちは勝つ
自滅しなきゃ勝てる
勝ちたきゃ食え
グラウンド整備で大事なのは愛だ
(愛ある官僚の排出が自分の使命の一つと思っている、とのこと)
1人でやりたがりは出世しない
自転車はゆっくり漕ぐと倒れる
(緊張する場面で丁寧にプレーしようとするとエラーを招くので
普段どおりに動け、という意味)
省略させていただいた部分に関心のある方は、
どこかの図書館で學士会会報をご覧になってください。
(私に言っていただければこっそりコピーをお送りします)
0 件のコメント:
コメントを投稿