2010年11月29日月曜日

日本の国家の危機

 当ブログ11月14日付け「外交危機の責任」という題で、
 鳩山前総理の責任を追及しました。

 ところが、その後また事件が起きています。
 北朝鮮の韓国攻撃です。

 このままいくと外交の危機ではなく、
 日本の国の危機がやってきてしまいます。
 この責任は菅総理です。
 
 この事件が起きて1時間後に
 米国は非難の声明を出しました。
 
 菅総理は、事件直後には
 「まずは、情報を把握・分析する」と称し、
 漸く7時間後に非難声明を出しています。
 正に「風見鶏」の真骨頂です。

 「そんなことで、有事対応ができるのか」
 「総理が官邸に入ったのは1、2時間後だ。何たることか」
 「安全保障会議を開いていない。これでよいのか」
 とか、散々叩かれっ放しです。

 その一つずつに対して
 民主党政権は抗弁・説明しています。

 その一つずつの非難事項がどうこうや
 抗弁が正当か、などは大して重要ではないでしょう。
 菅総理の国際感覚。危機管理意識が、
 希薄か欠如していると言わざるを得ません。

 菅総理は野党時代は、 
 政府のアラ探しをして追及していればよかったのです。
 そういう意味ではなかなか切れると評価されていたようです。

 自分の責任で物事を考えるという思考はなかったのでしょう。
 善し悪しの判断で発言するのではなく、
 何でも政府・政権を批判していればよかったのです。
 
 「免責決議を受けた者が居座るとはどういうことか!」
 と追及していました。
 今はどうですか。 
 「辞める必要はない」と言っています。 
 
 この感覚で国際社会を渡るのは無理ですね。

 菅総理の目的意識は、
 「自分が偉くなればよい。頑張れれば良い」
 ということではないでしょうか。

 「日本の国を救う。強くする。国民を幸せにする」
 という目的意識があれば、
 行動は変わってくると思うのですがねー。

蛇足ー風邪引き原因の仮説

 私はいつも健康なのですが、
 年に1回はどうしても軽い症状ですが、
 2週間ほど風邪を引いてしまいます。

 今年は、11月14日に原因不明で引いてしまいました。
 治ったと思うとまたぶり返すのです。
 ぶり返すときは、「寒いな」と思う時です。
 寒いなと思う時が危ないのです。

 そこで、どういうときに「寒いな」と思うのだろうと考えました。
 分かりました。

 背中が寒い、と思ったり、
 首筋が寒い、と思ったり、
 足首が寒い、と思ったり、
 つまり、体の一部が寒いと思う時がいけないのです。
 そうすると大体ぶり返します。
 足首が寒いと思う時は、股引と靴下の間に隙間があるときです。

 寒い中を走っていても風邪を引いたりはしません。
 体全体が同じ状態なのです。
 
 冷房をしているときに、
 吹き出し口の下にいたりするとてきめんにやられます。
 この時は、顔とか肩とか体の一部が風を受けています。

 つまり、体の一部が他の部分と異なる状態(寒さ)にあると、
 体の温度調整機能がうまく働かずに、
 体の異常状態(風邪引き)になるのではないでしょうか。

 体全体が同じ状態であれば大丈夫と言っても、
 長時間に亘り寒い中にいれば、
 やはり体の温度調整機能は追いつかないのでしょうが。

 結論(仮説)
 普通の状態では、
 寒い思いをすると風邪を引くのではなく、
 体の一部が寒く感じる時に風邪を引くのです。

 対策は、
 体の一部を風にさらしたり、
 体の一部が寒いと感じるような服装をしないこと、です。
 気をつける場所は、
 首、肩、手先、足首、などでしょうね。

 冬でも脚を出している女性は強いですねー。

 本稿は、目的論とまったく関係がないですね。

2010年11月23日火曜日

新卒採用方法の見直し論

 来年度の大学卒の就職内定率が
 この方式で統計を取りだした
 1996年以来の過去最低の57%だそうです。

 片や、就職活動が大学3年から始まり
 落ち着いて勉強ができないので、
 就職活動の開始時期を4学年の8月以降にしようという
 提案が商社業界からされています。

 このような自主規制は、
 自分たちに都合が悪くなると破られるのです。
 求職より求人が上回る需要超過になると
 需要側が規制破りを行います。
 現在は供給超過ですから、
 需要側が「いいこと」を言っているのでしょう。

 「そもそも入社を新卒の年1回としているのがおかしいから、
 米国のように随時採用としたらどうか」
 という意見も出されています。

 この意見は米国と日本の労働市場の違いを無視した
 欧米かぶれ論者の妄言です。

 労働市場が流動的で、
 でき上がっている人材を採用する米国と
 入社してから、必要な新入社員教育を施して育てている
 日本では、基礎条件が違います。

 随時採用になったら、
 今のような新入社員研修はできません。

 新入社員研修のいらない職業・職種であれば、
 米国式もできるでしょうが、
 当座の新卒者の就職改善には繋がりません。
 
 良く事情のわからない評論家的な人の発言は
 世の中を迷わせます。

 前論の「事業仕分けがIT人材育成を槍玉に!」
 でも同じことが言えました。

 採用方法改善の目的は何なのでしょうか?
 需給のアンマッチかミスマッチを改善して
 需給双方がハッピーになることでしょう。

 だとすれば、以下が対策となるでしょう。
  日本の産業を強化して採用者数を増やす。
  日本の産業が必要とする人材を大学が育成する。
  (今の大学教育はいい加減すぎます。
  本人の覚悟も必要です)
  
 こういうこともどうでしょうか。
  国債を発行して資金を調達し、
  大量の(10万人単位)職業訓練事業を興して
  就職できない人を何年間か訓練します。
  この対象としては、
  過疎地の村興しなども候補ではないでしょうか。
  この人たちが将来日本で稼げるようになれば、
  国債は償還できるでしょう。

 とにかく半端なことでは
 この窮状は救えませんね。

事業仕分けでIPAのIT人材育成事業が槍玉に!

 ご承知のように国の事業仕分け第3弾は
 主として事業法人が実施する特別会計事業を対象としています。

 その中で、日本の情報処理の底上げを目標としている
 情報処理推進機構(IPA)が取りあげられました。
 以下の結論だったようです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 本事業については2つに分けて評価する。
 一つは試験事業であるが、
 そもそも不要で廃止とした方が2名、
 事業・組織の見直し行うが9名、
 その内訳として民営化・民間で実施すべき6名、
 試験の企画・問題作成は国あるいは独法が行い
 運営自体は民間で行うが1名、
 その他2名だった。

 評価者からのコメントとしては、
 民間で十分実施が可能、という意見がある一方で、
 独法で行うことによる魅力というものも勘案すべき、
 あるいは試験料を見直すことも必要だ、という意見もあった。

 以上を踏まえ、多数意見に従い、
 本WG としては
 試験事業については民営化・民間実施を結論としたい。

 また、試験以外の事業(スキル標準、研修等)については、
 そもそも不要で廃止すべきが3名、
 事業組織の見直しを行うが8名、
 これについても民営化・民間実施という意見が一番多く、
 7名いた。
 その他1 名だった。

 評価者からは試験事業以上に、
 民間で十分であるという意見が多かった。
 以上を踏まえ、本WG としては、
 試験と同様、民間で実施を結論としたい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 この結論を見て疑問に思うことがあります。
 なぜ、民営化がよいと判断するのであろうか、
 「何が目的なのか」です。
 まさか、官から民へという流れがあるから
 何でもかんでも、民営化とうわけでもないでしょうが。

 「民でもできるから民営化」という意見のようです。
 これは一面的な見方です。
 民でできることは何でも民がよいのでしょうか。
 民の方が安くできるから民にするというなら一理ありますが、
 その点を検討している形跡はありません。
 
 官の方が良いという点も検討して、
 民の方が良いという点と比較して優劣を決めるべきでしょう。
 民間企業の意思決定では
 当然実施されている検討方法です。

 官の方が良い点は、
 資格に対する権威です。
 国家資格と民の資格では権威が違います。

 ITSS(IT技術者の要求スキル標準)にしても
 (個人的にはあまり良い出来栄えとは思いませんが)、
 民で検討する標準よりは安心でしょう。
 特に、お上意識の強い日本では。

 この標準を東南アジアにも広めようというのは
 良い考えです。
 国でないとできないことでしょう。 

 そのようなことを主張した委員がおられたようですが、
 多数決に押し切られてしまっています。

 これを見ると、
 良く事情が分からない人が合議で物事を決めるのは
 怖いことですね(民主主義の弊害と言われることです)。
 
 そういうことですから、
 すべてが筋の通っている抵抗ということでもないでしょうが、
 事業仕分けの結論に従わない官がいるのも頷けます。

 こういう問題は
 もっと腰を落ち着けて検討しないとダメですね。
 素人だけでは無理でしょう。
 今の事業仕分けのやり方の限界ですね。

2010年11月14日日曜日

日航 「収支管理を1便ごとに」

 こういう見出しの記事が
 少し前ですが10月2日の日経新聞に載っていました。

 親方日の丸と言われる日航は、
 あらゆることがどんぶり勘定だったのでしょう。

 収支が悪化していて改善しようとしたら
 どこが悪いかを見極めなければなりません。

 再建に乗り込んだ稲盛会長としては
 製造業の感覚からして当然のことだったのでしょう。

 製造業や流通業の人たちから見れば
 「そんなこと今までやっていなかったのか!」
 という感想でしょう。

 儲かっているときは、
 そんな計算にコストをかけることはない、
 という感じも分かります。

 このことで思い出すことがあります。
 私は、長らく食品流通業のシステム面の
 お手伝いをしていました。

 食品流通業は粗利(売買差額)が数%で、
 儲けが薄い商売です。
 
 この企業でもどんぶり勘定から始まりました。
 その頃は赤字でした。
 最後は、取引先別・単品別の損益、
 それも物流費なども配賦したほぼネットの損益を
 毎日見れるようになりました。

 ここまでやる必要があるのか、
 という意見も経営者の中から出ました。
 
 しかし、採算管理を厳しくするという目的以外にも、
 営業がいい加減な取引をするとすぐ表面化する
 というけん制効果もありました。
 営業は、業績管理が厳しくなると
 あの手この手のうら手口を考え出しますからね。
 
 分かるようになっているということは
 内部統制上、非常に大事なことなのです。

 システムは、一度その仕掛けを作ってしまうと
 定常的にはそんなにコストがかからないのが
 利点です。

 稲盛会長には
 どんどん親方日の丸にメスを入れて
 日本の空輸企業を再生させてほしいものです。

 

外交危機の責任

 11月13日、菅総理は米国・中国・ロシアの
 首脳と相次いで会談しました。

 それぞれ、国内事情を背負っての会談です。
 米国は、民主党の中間選挙での敗退で失地番会の必要性、
 中国は、首脳交代に加え国内批判世論抑圧の必要性、
 ロシアも、ほぼ同じ必要性、です。

 菅総理が国内で最も弱い立場かもしれません。

 ここで、はっきり見えてきたのは、
 中国・ロシアになめられて、
 米国頼み、頼もしい米国という絵柄です。

 なぜなめられるようになったのでしょうか。
 これは、鳩山前総理の責任が重大であると思います。

 鳩山総理は、
 「友愛」を掲げて2度もロシアに行っているのです。
 日ソ国交回復を果たした
 祖父鳩山一郎の成果を引き継ぎたい、
 という思いだったようです。
 しかしこの2回のロシア訪問は
 何らの成果も得られませんでした。

 そうして人類はみな愛し合うべきだ、という
 「友愛」の精神で中国にも臨みました。

 何よりも米国の価値を過小評価しました。
 よく米国が許してくれたと思います。
 
 その後の事件で
 米国の後ろ盾なくしては日本はどうにもならない、
 ということが明確になりました。

 鳩山さんは、まったく世間知らずのボンボンです。
 日本や民主党は、
 鳩山さんのような人が総理になる国である、
 鳩山さんを総裁にする民主党である、
 とすっかり世界中の評価を落としてしまったのです。

 菅総理も大変な時に総理になってしまいました。
 ご苦労だと思いますが、
 前原大臣や岡田幹事長の力を最大限に活用して、
 鳩山さんが開けた大穴を修復してほしいと思います。

 付言
 私は、尖閣諸島問題のこのブログで
 中国はこちらが引き下がるといくらでも付け込んでくる、
 向こうにも弱みがあるのだから強気で臨むべきだ、
 という「常識」を強調しました。
 
 その例を
 11月14日のフジテレビ「新報道2001」で見ました。

 橋下大阪府知事の奮闘ぶりは以前にもご紹介しました。 
 その奮闘の一つであった上海万博の閉会式のことです。
 当初日本バッシングの一環らしく、 
 知事に招待状が来なかったのです。
 知事がクレームをつけたら、招待状が来たそうです。 
 黙っていたらそれきりで、
 次も甘く見られるところだったのです。

 

ロッテの優勝!!

 今年の日本シリーズは、ご承知のように
 千葉ロッテマリーンズが勝利し日本一になりました。
 
 私は、オリオンズ(マリーンズの前身)ファンでした。
 今は、プロ野球にはほとんど関心がなく、
 監督や有名選手が誰かも知らない程度でした。

 以下の情報の多くは、
 10日発売のスポーツ紙ロッテ優勝記念号によります。
 この記念号はコンビニで買ったのですが、
 14日にまだ売れ残っていました。
 ロッテファンは
 都内では隠れキリシタンのようなものなのでしょうね。

 なぜ、オリオンズファンになったかというと、
 プロ野球に関心を持ちだした頃に
 新しくできた毎日オリオンズが
 阪神から別当選手、土井垣選手など
 大量の一流選手を引き抜いてスタートし、
 たしか日本一になりました。
 話題になる強いチームに関心を持ったのです。

 子供の頃は、強いチームに関心を持つのが自然で、
 我が息子が広島ファンになったのも、
 その頃(1980年前後)広島が強かったからです。
 
 今回のロッテの奮闘ぶりは凄かったですね。
 通常のパリーグ終盤の3戦で1回でも負けると4位で、
 クライマックスシリーズに出場できないという時から
 以下のような成績で勝ち続けました。

  パリーグ終盤戦
    7-2 楽天
    3-2 オリックス
    5-4 オリックス 逆転勝利

  クライマックスシリーズ 相手は西武 2勝0敗
    6-5 延長戦 11回 逆転勝利
    5-4 延長戦 11回 逆転勝利
 
  ファイナルシリーズ 相手はソフトバンク 4勝2敗
    3-1
    1-3 負け
    0-1 負け
    4-2
    5-2 逆転勝利
    7-0 

  日本シリーズ 相手は中日 4勝2敗1引き分け
    5-2  逆転勝利 
    1-12 負け
    7-1
    3-4  延長戦 11回負け
   10-4
    2-2  歴史に残る大延長戦 15回引き分け
    8-7  延長戦 12回逆転勝利

 延長戦や逆転で勝利した試合も多いのです。
 最終戦は3回に4点差で負けていたのをひっくり返しました。
 4点差をひっくり返したのは
 60年の日本シリーズで9年ぶり8度目ですって。

 とにかく凄いですね。
 プレッシャに弱い日本人と言われますが
 そのかけらもありません。

 なぜなのでしょうか。

 ①突出した選手がいない
  日替わりで殊勲者が登場するという感じでした。

 ②西村監督の采配がうまい
  「和」を重んじながら、「自分勝手・自由」を制限した。
   ユニホームの着こなしや髪形も指導。
   猛練習を課し、オーダも頻繁に変えずに安定させた。
  長打を避け安打狙い
   金森打撃コーチの指導も良いようです。
  奇をてらう作戦がない
   オーソドックスで分かりやすい。1種の見える化です。
   選手が方向が読めて安心できます。
   この例として、以下がありました。
   最終戦で好投していた内投手を、
   9回の守りで替えました。
   手堅くセーブ主体の投手で締めくくるのは定石です。
   しかし、これは裏目に出て同点になってしまいました。
   私は、これは監督の判断ミスだと思いました。
   この判断ミスが尾を引き、
   日本シリーズ敗退となるのでは、と思いました。
   結果的には、延長12回に点を入れて勝ちました。
 
 ③チームワークがよい
  各自が責任意識が強く手を抜いていない、
  全員安打に近い状況が何度もありました。

 ④もめごとがない
  変なライバル意識もないようです。

 ⑤開き直っている
  もともとくらいマックスシリーズ出場は、
  諦めかけていたところからの生き返りです。
  ダメもとの精神で変なプレッシャがなかったのでしょう。

 これに引き換え相手チームは、
 それぞれ勝たなければならないプレッシャがあったようです。

 私流の解釈をすると、
 監督やコーチの指導も勝つという目的に徹して
 長打狙いではなく確実にヒットを打つという方針でした。
 ピッチャ返しのセンタ前ヒットが多く見られました。

 ロッテの選手たちも、
 (長打で)自分が成果を挙げて評価されることよりも
 チームの勝ちを目的にして行動したのです。
 勝たなければ、すべてが良くなりません。
 ベンチに引き下げられても不満そうな顔をしませんでした。
 自分が下がった方がチームの勝ちに繋がる
 のだと思うからです。

 そう思うようにしたのは
 やはり監督の力量でしょうね。
 
 それにしても勝敗を左右するのは、
 少なくとも短期勝負では投手力ですね。
 投手が崩れてしまうといくら得点しても追い付きません。

 歴史に残るのは、
 1958年の日本シリーズでの稲尾和久投手の活躍です。
 (全試合に登板して4勝2敗で西武に優勝を齎しました)
 
 高校野球もそうです。

 ところで、
 このロッテの大逆転勝利に野村克也氏は批判的です。
 「ソフトバンクが144試合戦って獲得した
 リーグ優勝の価値を低下させた」と言うのです。
 
 かたや、江本孟紀氏は
 「大したものだ。
 (大逆転・下克上と言うけれど通常リーグでの)
 ソフトバンクとの白星の差はわずか1つだ」

 見方によって評価は違うものです。

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 そのような例では、11月13日の朝
 興味深いテレビ番組がありました。

 それは、尖閣諸島の漁船衝突の44分間の(流出)ビデオを
 日本人学生3人、日本にいる中国人学生3人に見せて
 意見を聞くというものです。

 なんと中国人の感想は、
 「自分の領海で漁をしているのを何で追っかけてくるのだ」
 「当たっていない。並行して走っただけだ」
 「追い詰められたら当ってしまう」
 というものです。

 画面を見てもそう思うのですから、
 画面なしだったら、いかようにもアナウンスできるのです。

 マスコミの報道にも気をつける必要があります。
 画面は絶対と思ってはいけません。
 その画面は真実でも、
 そこまでの経緯によって違う解釈が可能です。

 衝突場面でも、航空写真で全経緯を映していれば、
 反論の余地はなかったでしょう。
 せいぜい、
 前述の意見では1番初めだけが言えることになります。
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 ロッテの優勝の状況を、
 会社の経営に引き直してみるとどうなるのでしょう。

 上述のロッテチームのあり方は
 一つの勝ちパタンです。

 どのチームも選手の力には何倍もの開きがない状況です。
 その状況下では、
 戦略よりも選手個人の力を余すところなく引き出すことが
 勝ちに繋がるのです。
 右肩上がり時代の大企業はこのパタンで勝てたでしょう。

 日本としては、このパタンで勝ちたいところです。
 このパタンは、日本の歴史から言って、
 おそらく日本が他のどの国よりも得意でしょう。

 ところが、現在のビジネス界は
 試合のルールがないところでの戦いのようなものです。
 どういう戦略で臨むかが非常に重要です。
 ここでは強いトップのリーダシップが勝負となります。

 ソフトバンクの孫社長、楽天の三木谷社長、
 ファーストリテーリングの柳井会長兼社長、
 今は若干苦戦ですが吉野家の安部社長、
 日産のゴーン社長、松下電器の中村社長(当時)、
 サムソン電子の李会長(当時)などが、
 この好例で、創業から大発展を成し遂げたり
 中興の祖となったりしています。

 投手力は経営で言うと何でしょうか?
 勝利の決めてという意味では、
 広い意味の技術力でしょうか。

 ロッテの優勝は
 この厳しい後ろ向きの日本社会に
 ある意味での希望や夢を与えてくれました。

 何とかこの「美型」を残していきたいものですね。

TPPに参加しないのですか??

 突然また新しい3文字略語です。

 TPPの元祖4国
 (ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイ)
 がTPPを創設したのは2006年なのに、
 一般に知られだしたのはごく最近です。

 米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが
 参加の意向を表明して協議中です。
 
 Trans-Pacific Patnership(環太平洋経済連携協定)と言い、
 数年の間に相互の国の間では、物だけでなく、
 サービス貿易、政府調達、知的財産権などあらゆる取引
 の関税を0にするという協定です。
 労働の移動も自由にするという含みもあるようです。

 日本では、このTPPに参加するか否かで
 国論が割れています。

 反対は、今のところ農業関係者です。
 関税が0になったら日本の農業は壊滅し
 安全な食料自給率も維持ができないと言うのです。
 
 賛成派は、これに参加しない場合、
 参加した国との競争に勝てず
  日本の産業の発展は期待できない、と言います。

 仮に韓国がこれに参加して日本が参加しない場合、
 日本の製造業がどのくらい影響を受けるかの試算
 も行われています。

 客観的に見て加入しない手はないのです。
 日本の国の経済的発展を目指す、
 またはその破たんを回避したいならです。

 260万人しかいない農業就業者のために
 残りの6000万人の就業者が犠牲になることは
 あり得ません。

 日本発展の目的を追求しないことは
 考えられないのですから、
 まずは、TPP参加の結論はありきです。

 当然ながら、自由貿易協定はTPP一本に絞るのではなく
 TPP参加と並行して他のFTA等は実現してしかるべきです。

 次は、そのための制約条件となる農業をどうするか、です。
 まずは、農業対策のための資金枠を確保すべきです。
 他の産業が衰退するリスクを回避するのですから
 当然その原資は確保できるはずです。

 農業対策として何をすべきか、ですが
 農業生産として何をどの程度残すかの方針を決定します。
 競争力のあるユニークな農産品がたくさんあります
 (米だって輸出しているのです)。

 さらなる生産の集約化も必要です。

 今の食料の自給率の計算はいい加減です。
 10割の自給率は別として、
 「4割だったら安全で2割だったら危ない」
 という根拠はありません。

 「危急のとき」はいつ起きる可能性があるのか、
 その時はどうやって対応するか、
 を検討しておくことが重要です。
 コンティンジェンシ・プランです。

 しかし、最終的な答えはあるのでしょうか。
 全地球的な飢饉状態になったらどうにもならないでしょうね。

 取り残される農業からの失業者をどうするか、が問題です。
 多くの農業従事者は、かなり高齢化していますから、
 年金のような制度で救済して行くことになるのでしょう。


 すなわち、この問題の対処方針は以下のとおりでしょう。

  日本の経済・産業の発展を第1目的にする
         ↓ 
  その目的のためにTPPに参加する
         ↓
  農業対策は万全を期する


 この方針で、
 強い立場でTPP参加交渉を推し進めるべきです。
 農業がどうのこうのと言っていたのでは、
 当方がお願いしても加盟させてもらえません。

 このテーマは「目的は何か」の典型的な題材です。

2010年11月1日月曜日

尖閣諸島問題 その2

 尖閣諸島問題については9月27日に
 第1回の情報発信をしました。
 
 その時の結論は以下のとおりです。

 中国の覇権主義(中華思想)には最大の注意を払うべきである。
 (小沢一郎氏の朝貢はとんでもないことである)
 中国はこちらが譲歩するとつけこんでくる。
 (だから不当な要求は受け付けるな)
 国際社会を味方にして戦え。
 (国際社会の多くは中国の脅威を感じている)

 その後の動きは
 前原外務大臣の活躍等により
 ほぼこの筋書きで進んでいるようです。
 結構なことです。

 菅総理が余計な口出しをしないことを期待します。

 10月24日フジテレビの報道2001で
 石原都知事の意見を聞きました。
 
 なぜか当日は、いつもと違ってあまり攻撃的ではない発言でした。
 「尖閣に自衛隊が駐屯して実効支配したらよい」
 くらいが目立った主張でした。
 これだけでも発言としてはすごいことですけどね。

 他に分かったことは以下の点です。

 1.1978年に(石原氏が衆議院議員の時に?)
  尖閣諸島に自分たちの資金で灯台を建てた(現存している)。

 2.尖閣諸島は個人(埼玉県人)の所有である。
  石原氏が最近、土地所有者に譲渡を申し入れたが応じない。

 もしこの島を中国が買ったらどうなるのでしょう。
 「日本国の領土だが所有者は中国人」となると、
 国と個人の権利等はどう調整されるのでしょうか?
 さらに、ややこしいことになりそうです。
 
 日本では外国人の土地所有を認めていますが
 認めていない国もあるそうです。
 それが正しいでしょうね。

 お金のある中国人が
 どんどん日本の土地を買っていったらどうなるのですか。
 現に北海道の山林とかずい分外国の人が買っているらしいですよ。

 日本に住んでいる外国人に選挙権を与えるのも
 同様の問題状況です。

 中国で起きている反日デモについては、
 多くの識者が言っているように、
 放置が得策です。
 
 中国のトップは国内の政府批判(格差の是正、貧困の改善要求)
 が恐ろしくて強く出れない状況です。

 日本は、現在その作戦をとっているように
 じんわりと東南アジア・米国中心の世界を味方にして
 中国に無言の圧力をかければよいのです。
 そうすれば、日本を甘く見ることはないでしょう。

 経済は切り離して、とぼけておきましょう。
 いま、日中取引中止となったら中国だって困るのです。
 中国は3年前の共産党中央委員会で、重点投資対象として、
 資源、技術、市場の3領域を挙げています。
 技術の導入先は何といっても今は日本なのです。

 ところで、今回の折衝過程で重要なことは
 何のための折衝か、ということです。
 それは「日本の領土を守る」ことのはずです。

 その目的で臨むのと、
 中国は重要な隣国だからうまく付き合っていこうとする
 「戦略的伍恵関係を維持する」ことを目的とするのでは
 交渉のスタンスが違います。

 石原都知事の方針は「日本の領土を守る」ということで明確です。

 「みんなとうまく付き合って行こう」は
 日本の長年の農耕文化の中で育まれた日本的思考法です。
 これは日本国内では大変結構な対人関係手法ですが
 国際社会では通用しません。

 尖閣諸島問題でも「目的は何か」の思考法は有効なのです。

 日本の領土を守るために前原大臣頑張れ!!!
 前原大臣が本件で頑張れば、
 後世で、民主党政権になった甲斐があった
 と言われことになってもおかしくないという気がします。

事業仕分け第3弾が始まりました

 事業仕分け第3弾の前半戦(戦いなのですか!)が終わりました。
 その成果は、4特別会計、8事業が廃止勧告
 予算削減は最大6000億円から1兆円ということのようです
 (報道機関によって幅があります)。
 4特会・8事業以外ですが予算削減対象となったものがあります。
 年金特別会計は、876億円の来期予算の2割削減でした。
 この中には年金特別便なども含まれていますが、
 基本的な部分は宙に浮いている分の照合作業です。

 この照合作業は鳩山さんが「半年で完全な照合をやります」
 と言って始まったものです。
 その後どんどん納期延長・予算追加が行われて
 それでもいつ終わるともしれない作業です。
 
 1件照合するのに5千円から1万円もかかるということで
 その効果を疑問視されているものです。

 そもそもこの問題は単純な事務作業の方法の話です。
 私も若いころに売掛金の照合問題として
 ずい分エネルギをかけてその改善方法に取り組んでいました。

 照合のノウハウは基本的に同じです。
 そういうことを知らない人たちが見通しもなく
 いい加減な方法でアルバイトやパートを使って作業をしていれば
 生産性が高いはずがありません。

 この照合作業も目的を明確にする必要があります。
 不一致分を無くするのが最終目的でしょうか。
 国民に不利益を与えないまたは不満を与えないということを
 最終目的にすべきではないですか。

 だとするとまずは、重要性の原則の適用です。
 不一致には金額の大小があるはずです。
 線引きをして金額の大きなものについて照合作業をします。
 おそらく、これで対象件数は1割程度になるでしょう。

 次いで、照合できない分については、
 申し出でがあったものについて
 状況証拠等を含めて本人の主張を検証して決着をつける
 ことにすればよいのです。
 これは現在も行われているようです。

 誰がその判断をどういう基準で行うのか
 の見直しが必要かもしれません。

 そのような抜本的な方法を考えれば2割削減とか言わずに
 半分とかそれ以下で決着できるのではないかと思います。
 勿体ないことです。

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 驚きだったのは、埋蔵金ではない
 埋蔵借金が続々明らかになり

 最大は社会資本整備特別会計の場合は33兆円にも及ぶということです。
 民間の場合であれば破産しているのでしょうが、
 国の事業の場合は紙の上の計算だけですみますので
 こういうことが起きるのでしょう。

 事業仕分けをしないとこういうことが明らかにならないのは
 信じられないことです。
 おそらく関係者等や専門家は知っていたのでしょう。
 マスコミも国民の大多数も知らなかったのです。

 国の経営状態の全貌を見える化すべきです。
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 この第3弾開始の前日10月26日に
 「構想日本」の主催で
 「事業仕分け・オリジナル ―仕分けの本当の意義と生かし方―」
 というフォーラムが開催され参加してきました。

 あまり知られていませんが
 構想日本は事業仕分けの事務局(の一部)を担当しているのです。
 前身は日本船舶振興会です。
 
 このフォーラムはパネルディスカッション形式でしたが、
 この形式としては珍しく充実した内容でした。

 討論者は
 衆議院議員の河野太郎氏・山内康一氏、
 自治体で仕分けに関わっている方4人、
 司会役は学習院大学教授野中尚人氏でした。

 私としての収穫は以下のとおりでした。
 1.自治体でもずい分事業仕分けが行われている。
 
 2.事業仕分けは「公開処刑」だ、と言われることがある。
  ・これはマスコミにも責任がある。
  ・蓮舫さんの派手な追求にたじろぐ官僚などの報道ばかりをして 
   地味な検討の場を報道していない。
  ―そのとおり―

 3.事業仕分けの権限があいまい。
  ・事業仕分けの結論は命令ではなく勧告・参考意見である。

 4.事業仕分けの結論の結果がどうなったかを
   フォロする仕組みが明確でない。
  ・したがって、言いっぱなしとなる危険性が大きい。
  ・勧告なので、単純に従わなくてもよいが、 
   従わないと民主党や政府から仕打ちを受ける可能性があるので、
   表向き解散などを行い、別法人で同じことを継続するなどが行われている   
   (この例は10月31日のフジテレビの朝の番組報道2001で
   紹介していました)。

 5.事業仕分けの効果としてこういう面もある。
  ・省庁では「予算を採るのはリスクである」と考えるようになってきた。
  ・従来は予算を取るのが仕事で、それで終わりという感じであったが、
   今は、その成果がどうなっているかを追求されるので、
   そこでミソをつけるとまずいことになる、と考えるようになった。
  ―これは大変良いことですね―

 6.事業仕分けされなければならない状況が発生するのはなぜか。
  ・議員は予算書の項目名しか見ていない。
  ・予算委員会の予算審議の際にも実質的な内容審議はほとんどされていない。
  ・予算の執行状況や執行成果がどうなったかを審議すべき
   決算委員会はほとんど開かれたことがない。
   (10月31日の報道2001で
   石黒不二代ネットイヤーグループ代表(初登場)が
   計画や予算に対する結果を追求しないことは
   民間企業では考えられないことと発言していました。
   そのとおりです)

 7.無駄を温存する原因には、官庁・自治体体質もある。
  ・職員が問題をまき起こすことについては強いバッシングがされる。
  ・そのため、職員は問題意識を持っても頬かぶりしている。
   (改善しない)
  ―おそらく、こっそり情報提供を受け付ければ
    沢山の事業仕分けのネタが見つかることでしょう―

 8.事業仕分けは自民党でも自治体でもやってきていることである。
  ・今般、テレビで公開したので知られるようになっただけである。
  ―しかし、公開の効果は大きかったですね―

 9.事業仕分けの効用は、こういう点にもある。
  ・事業の整理でメリットを受けるのは納税者だが、
   そのメリットは一つずつ見ると薄い。
  ・それに対して削られる方は痛い、仕事がなくなったりする。
   当然抵抗がある。
  ・このためいったん始まった事業は
   当事者ではなかなか切れないという面がある。
  ・それを第3者の立場で整理を行うのである。

 10.事業仕分けの対象は、以下のようなものである。
  (明らかな無駄はそう多くない)
  ・制度創設時は必要性が高かったが、今はそう高くないもの
  ・コストパフォーマンスが悪いもの(他の方法の方が有効)
  ・その制度・事業の有効性の判断は専門家でないとできない面がある
   (スパコン開発の必要度など)が
  ・その経費の使い方に関しては疑問を持ちうる。
   (たとえば、休園中も開園中と費用が同じなど)
 
 11.地方自治の特色は、地元密着で施策が実施できる、
  ・地元と人間関係が強い、という良い面がある半面
  ・声の大きい人の影響を受けやすいという欠点がある。 
  ―なるほど―

 結論として、
 強力な第3者が入って違う目で事業を見ることは有効です。
 民間ではコンサルタントに事業診断を受けることに相当します。

 私たちもずい分そのような役割を果たしましたが
 提言・報告の多くは社員から聞き出したことでした。

 事業仕分けと目的論との関係で言えば、
 事業仕分けは何のために行うのかということを
 明確にしてそれを明示すべきです。

 私どもの研修でも、
 目的・ねらいを明確にすることは重要ですが、
 それを周知させることがもっと重要だと言っています。

 事業仕分けの目的がはっきりしていないために
 「削減金額が少ない」などと言われてしまうのです。

日本ITストラテジスト協会 創立10周年記念イベントのお知らせ

 日本ITストラテジスト協会(旧、日本システムアナリスト協会)は
 今年創立10周年を迎えます。

 その記念イベントが
 以下の内容で開催されます。

 ~ 日本のビジネスよ、浮上せよ! ~
 2010年11月6日(土)13:30~17:30 (受付開始 13:00)
 秋葉原UDXカンファレンスにて開催!(JR秋葉原駅から徒歩2分)

 【基調講演1】- ITによる事業革新‐
 セコム株式会社 取締役会長 木村 昌平様

 【基調講演2】- 岐路に立つ日本のIT人材 -
      (広がるITストラテジストの役割)
 独立行政法人 情報処理推進機構 理事 田中 久也様

 【パネルディスカッション】
  - 失敗事例から学ぶITストラテジストの役割 -
 モデレータ:日経BP社 コンピュータ・ネットワーク局長                          
                         桔梗原 富夫様
 パネリスト:JISTA会員4名

 *パネルディスカッションは当日、Ustreamにて放映

 【参加費】 JISTA会員:2,000円  一般:3,000円

 詳細は以下をご参照ください。
 http://www.jista.org/modules/area/index.php?content_id=33


 このイベントの中で上野が
 「パネルディスカッション」のパネラとして登場します。
 これまで見聞してきた失敗事例の一部をご紹介するものです。

 ご関心のある方はご参加ください。

保守業務の改善の研究会、成果が出始めています!!

 ㈱データ総研とシステム企画研修㈱の共催で進めております
 SLCM研究会ですが、
 昨年と今年は保守業務に焦点を当てて研究をしております。
 保守の対象範囲はソフトウェアです。
 研究メンバは、主催者側を除いて14社23人です。

 10月28日に今年度第3回目の研究会を開催しました。
 その成果は
 「障害削減に焦点を当てた保守プロセス整備」というタイトルの
 対策集です。

 保守業務を13プロセスに分け、以下のような整理を行っています。

 例:
 影響範囲調査・確認のプロセス
 障害に結びつく問題点:
  連携のない類似する別業務の影響範囲の確認漏れが起きる  

 原因:
  要望に別業務が入っていない。
  また、開発も業務を理解していないため指摘もできない。

 対策:
  ・業務フローを整備する。
  ・業務フローの要素、類似業務の関連をリポジトリで管理する。
  ・メンテナンス作業の中で類似業務を開発する際には
   台帳への登録を実施するよう手続きを定める、
  ・あるいは既存手続きのこの部分を強化する。

 問題点は70件、対策は150件に及んでいます。

 第3回研究会では、この対策集の活用法も検討し
 以下のような活用をすればよいということになりました。

 ①対策の部分をチェックリスト化して、
  新しく保守業務を決める際または改善する際に用いる。
 ②問題が発生した時に、
  原因究明または根本対策を検討することに用いる。

 とにかく、すぐに使えそうな成果物ができ上がったのです。

 次の第4回では同じ手法で
 保守業務の納期短縮・コスト削減を検討することになりました。

 ご関心ある方はお問い合わせください。

  田村八重子 電話03-5695-3130
           Mail tamura@newspt.co.jp

今年は銀杏が不作でした?

 銀杏は年によって豊作不作があるという人がいます。
 私はその説には賛成していません。
 その木ごとに年により豊作不作があるのだと観察しています。

 しかし、今年は猛暑のせいか全般的に不作でした。
 今まで収穫対象であった木の何本かが
 ほとんど実をつけないという状況でした。

 台風が来なく、したがって大風や大雨がなく、
 実が一気に落ちなかったことも
 不作の印象を強くしていました。

 成熟した銀杏は風や雨(特に風)に弱いのです。

 私は、毎年5千個以上は収穫しているのに
 今年は多くて3千個どまりかな、と思っていました。

 そうしましたら、10月26日夜半に少し強い風が吹きました。
 
 これは今年最後のチャンスだと思い、
 27日に早起きして、6時ころ、まず近所の小学校に行きました。
 小学校の校庭に植えてあるイチョウの枝が道路に出ていて
 実が道路に落ちるのです。
 残念ながら、実のたくさん落ちている校庭には入れません。
 (写真1 第1猟場の校庭)


 その第1猟場に到着すると、びっくりしました。
 なんと本当に同着で一人の男性がいるのです。
 
 大きな実が沢山落ちていましたから
 二人とも必死で採りました。
 ものの2.3分でその現場の銀杏はなくなりました。
 5分遅れたら全くありつけなかったことになります。

 タイミングというのはありますね。

 その日、私の基本猟場である蘇峰公園に行きました。
 (写真2 基本猟場 蘇峰公園の門)



 9時の開門と同時に入るのですが、
 なんと、ここではいつもの採集仲間が一人も来ていないのです。

 公園の中に入ると、
 晩熟(おくて)の木の下にびっしりと落ちているのです。
 (写真3 蘇峰公園、3本のイチョウの下にギンナンが落ちている)


 (写真4 蘇峰公園、正面の樹から実は小さいがたくさん落ちる)

 
 (写真5 蘇峰公園、写真4のあづま家の横の流れに集まっているギンナン)



 競争相手の常連さんたちはなぜ来ないのかと思いました。
 彼らは近所の奥さんたちだったり定年後の男性ですから
 私と違って毎日通っているのです。
 
 この前日ころはほとんど落ちていなかったようですから
 (管理人さんからの情報)、
 もう今年は終わりだと思ったのでしょう。
 あるいは、
 もう十分採ったから終わりということにしたのかもしれません。

 それはともかく、競争相手がいないのですから
 短時間に良い実を2500個くらい採りました。

 まだ1000個くらいは残っていましたが、
 入れる袋がなくなったのと、
 仕事にも行かなければなりませんので、諦めました。

 当日の収穫で、5000個を超えましたので
 もう終りにしようと思っていました。
 そうしたら10月30日に台風が来たのです。
 銀杏マニアとしては、
 「これはどうなっているか見届けなければならない」と思いました。
 
 31日に早起きして、先日のことがありましたから
 明るくなるのを待って5時半ころに第1猟場に行きました。
 そうしましたら、1個も落ちていないのです。

 1個もないということは先に誰かが来て採っているのです。
 夜明けの1番乗りだと思っていたのにがっかりでした。
 もう銀杏が欲しいのではありません。
 考えたことの成果がなかったことが悔しいのです。

 この場合の私の目的は、
 銀杏を得ること自体ではなく、
 仮説が成立して収穫ができること、だったのです。

 状況は推定できました。
 東京の都区部は街灯がついています。
 夜でも道路を明るく照らしていますから、
 銀杏が落ちているのは分かるのです。

 前日夕刻には嵐が収まりましたから、
 その直後に採りに行った人がいたのでしょう。
 
 第2・第3の猟場も同じでした。
 一つ経験知識が増えました。
 (写真6 第2猟場の見事なギンナン)


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 第3猟場は神社の境内です。
 (写真7 第3猟場の入り口)

 
 (写真8 第3猟場のイチョウの樹々)



 樹の下の地面には全く落ちていませんでしたが、
 その横の塀の外に30センチくらいの幅の石垣の上縁部があります。
 そこに30個くらい落ちていました。

 この現場に採りに来た人も手が届かないので
 そのままになっていたものでしょう。

 そこで私は、1メートルほどの棒を探して
 その銀杏を3メートルほど下の道路に落としました。
 細い棒の先で小さな銀杏を突っつくのは結構一仕事でした。

 漸く落とし終えて
 神社の境内から回り込んでその道路に行ってみると、
 6時前でほとんど人がいないときなのに
 なんと、私が落とした銀杏を拾っているオバハンがいるのです。
 犬の散歩をしていました。

 こんな絶妙のタイミングで、びっくりしました。
 そこへの到着時間はせいぜい30秒の差でしょうね。
 「すみません。その銀杏は私が上から落としたものです!」
 と叫びました。

 そうしたら、そのご婦人は
 「そうですか」と言って銀杏を入れた袋を私に差し出すのです。
 
 その時私も冷静になりました。
 「まあいいや、自分は銀杏自体を欲しいのではない。
 びっくりしただけだ」と思い、
 「いいですよ。差しあげます」と言いました。

 婦人は「そうですか」と言って、
 感謝のぞぶりも見せずにあっさり行ってしまいました。
 道路に落ちている銀杏は拾った人の物ですものね。

 それにしても、こんなどんぴしゃりのタイミング、
 というのはあるものなのですね。
 今回は同じ状況を2度も経験しました。

 たまたま運命の2人の時間軸が交差して会う、
 ということがあるのでしょう。

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 この日・10月31日も9時に蘇峰公園に行きました。
 27日にほとんど落ちてしまったのでしょう。
 台風の大風があったのに、それほど多く落ちていません。

 この日も競争相手がいませんでしたので
 (これは例年にないことです。毎年顔を合わせていた
 近所のおばあさんも姿を見せません。心配です)、
 
 若干小ぶりでしたが、一人で2000個くらい採りました。
 これで本当に今年は終わりです。
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 今年の成果はもう一つあります。
 それは、銀杏の収穫方法です。
 
 今年の中盤から蘇峰公園で一緒になるご婦人がいました。
 その人は、右手に昔の火鉢に使うようなバネで開閉するハサミを持ち、
 左手に直径20センチくらいのお皿状の器を持っていて
 それに一つずつ入れていくのです。

 「かぶれるのが嫌で手袋を使わないのだろうな、
 これでは遅くて競争に勝てないだろう」
 と思って見ていました。

 するとなんとその動きが早いのです。
 1個収穫するスピードが、どうも我々より早そうです。
 分析好きの私としてはなぜだろう、と考えました。

 そうすると分かりました。
 ハサミではさむ技術は訓練で早くなっているのでしょう。
 挟んで器に持っていくまでは手の動きの早さが勝負で
 それは若さの関数でしょう。

 ところがそこから先がお皿方式が早いのです。
 我々は食品等のポリ袋を使っています。
 左手にその袋をぶら下げていますが
 採った銀杏をその袋に入れるには
 袋の口の隙間に押し入れなければなりません。
 これが意外に手間取っています。

 右手は単純な地面と袋との往復運動をしているようですが、
 袋に入れる段階に若干の停滞時間があるのです。

 単位時間当たりの収穫量を増やすという目的のためには
 袋などの器に入れる段階を改善すべきだということなのです。

 そのご婦人はそのことが分かってされていたかどうか
 定かでありませんが、大したものです。

 私は、その次から我が家の台所にあった
 直径30センチほどの竹で編んだザルを使いだしました。
 たしかに早いし、袋に入れるときのストレスがなく
 大変スムーズに採集活動をすることができるようになりました。
 別の男性に「新兵器を持ってきましたね」と言われました。
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 今年の総決算は8000個くらいで
 個人的には豊作ということになりました。

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 沢山採れるのは嬉しいことですが、
 その後の加工も結構大変です。
 そのプロセスをご紹介しましょう。
(写真9 ギンナンの加工場)


 1.採ってきた銀杏を水を入れた大きなポリバケツに漬けておきます。
  (写真9の1番手前)

 2.大きなごみ袋に入れて片足で踏み、紅いコロモを大よそ分離します。
  (写真9の大きなポリバケツの右上)

 3.小さなバケツに少しずつ移して、水を入れて流します。
   コロモは軽いので先に流れ出ます。
  (写真9の下から3番目)

 4.残った銀杏の実を選別します。
   割れているとか、芽が出かけているとか、ごく小さいとかは捨てます。
  (写真9の青いバケツから隣の大きなザルで受けて、
   カスはピンクの金だらいへ、実は小さなザルへ)

 5.その後、あらためて洗剤を使ってコロモの残りかすを洗い流します。

 ここまで、1000個処理するのに1時間程度かかります。

 6.これをざるやトレイに入れて乾燥させます。
  乾燥しきるまでは独特に匂いがして家の中には置けません。
  今年はからっと晴れた日がほとんどなく乾燥には何日もかかりました。
  好天で1日で乾いたものの方が美味しいようです。

 趣味の話になると長くなりますね。
 何ごともなく、これで終わりです。