2018年7月29日日曜日

変更管理業務のコスト半減が実現しました!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 変更管理(ソフト保守、エンハンス)業務のコスト半減が実現したことを
  知っていただきます。
 それ以上の削減も可能であることを知っていただきます。


ねらい:
 変更管理業務のコスト削減に
  真剣に取り組んでいただきたいと思います。


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私上野則男は、2013.1.10号の日経コンピュータ誌の寄稿
保守工数半減の勘所 
 目的・ねらいの明確化が必須、ツール活用で作業を自動化」で、
現状のソフトウェア保守工数を3年で半減することが可能である、
ことを主張しました。


注:当テーマでは、ソフトウェアの変更管理業務・エンハンス業務を
この論文に準じて保守業務と称します。


その主張は、私の業務改善者としての経験と勘に基づく判断でした。


ところが、
実際に3年でコスト半減を実現した事実が明らかになったのです。
画期的革新を実現されたのは、株式会社ニコンシステム殿です。


その事例が,JUAS(日本情報システム・ユーザ協会)のセミナで
発表されることになりました。
このセミナの案内をご参照ください。


このセミナでは、
ニコンシステム殿の事例発表のほか、
野村総合研究所殿の事例発表と
上野則男の保守業務改善の全体ガイドの解説があります。


ぜひ、保守業務の改善・革新にご関心のある方は
2018年12月14日の当セミナにご参加ください。


そこで、この際、保守コスト半減対策について、
私の論文をベースにして整理してみました。


まず、全体観として当論文の「図1 目指すべきシステム保守工数」
を転載します。


 
3年の削減対策の削減目標はこうなっています。
 
 目的・ねらいの明確化 15%
 障害削減対策      10%
 作業の自動化      15%
 保守インフラの整備   10%
 
対策内容はこうなっていました。



保守業務のコスト半減対策


区分

対策事項

内容

NS事例

目的・ねらいの明確化

案件の実施目的を追求して、案件の絞り込み・適切な方向付けを行う。


障害削減対策の実施

プロセス全体の改善

 特に影響調査と

テスト計画

障害削減を主目的にして各プロセスの改善を行う。


障害発生状況の見える化

担当組織別の障害発生状況を公開する。


作業の自動化

影響調査ツール

影響調査ツールを利用する。


テストツール

テストツールを利用する。

〇 

保守インフラの整備

ドキュメント整備

保守に必要な資料を整備する。


必要情報の共有化

システム構成要素の相互関連を見える化する。


データマネジメント整備

データ項目の標準化を行う。

△ 

システム部門の保守体制強化

一貫生産体制の実現

担当組織が受付から移行までを一貫して担当する。


プログラミングレスへの切り替え

「超高速開発」ツールを利用するシステムに切り替える。


案件実施判断スキルの向上

費用対効果の把握を的確に実施する、等。


保守業務の生産性把握

改善の大前提を実現する

 


この表の「NS事例」欄に、ニコンシステム殿が実施された対策を、
前掲のセミナ案内等から私が推定し記入しました。


ニコンシステム殿がまだ十分実施されていない対策も
あるのです。
したがって、まだ改善の余地があるということになります。


前掲図1でも、最終ゴールは現状の3分の1となっています。


どこから、保守業務の改善に着手するかが、
思案のしどころです。
前掲セミナでは、私の試案をご披露いたします。


避けて通れないのは、上掲の表にある
「保守業務の生産性把握」です。


どんな業務でも、改善のスタートは「現状がどうなっているか」
の把握です。
改善の目的が、工数削減や効率化の場合は、
どの業務の生産性が低いのかの把握でしょう。
把握すべき現状は、「生産性の現状」です。


ところが、
保守業務については的確な生産性把握指標がないのです。
どこがまずいのかが分からないでは、
工数削減の着手ができません。


保守業務の生産性が把握できないことが、
数十年に亘りこの業務が改善されないできた
「諸悪の根源」の一つであるというのが私の見解です。


保守業務のの生産性の把握方法につきましては、
あらゆる機会に私見をご披露してきています。


いずれにしましても、これを機会に
保守業務の改善・革新に真剣に取り組まれたら
いかがでしょうか。

2018年7月28日土曜日

多くの事件をアリストテレス・モデルで分析してみました

注:申し訳ありません。ご留意ください。
図挿入の関係で、図の上下が大きく開いている場合があります。
【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 事件・事故には人災型と天災型がありますが、
  それぞれのモデルの主要因が異なり対策も異なることを
  知っていただきます。
 完全な人災・天災以外に中間的な災害もあることを
  知っていただきます。
ねらい:
 そういう目で見ると、事件・事故に対して
  重点をおくべき対策がすぐに分かります。
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先日来、アリストテレス・モデルのご紹介をしておりますが、
事件・事故については、その基本性格により、
主要因や対策がどうなるのか分析してみました。


感想・ご意見をお待ちしています。


1.分析対象とした案件
 太字分は、下で取りあげている案件です。
(1)人災案件
  1.幼児虐待死事件
 2.セクハラ事件
  3.森友学園問題文書改ざん事件
  4.防衛省日報改ざん事件
 5.製造現場の不正事件
 6.日大アメフト暴行事件
 7.原爆投下

(2)天災案件
 8.小1女児溺死事件 
  9.地震による死亡
 10.津波による死亡

(3)中間型案件 人災型事故
 11.福知山線脱線事故
 12.日航機御巣鷹山墜落事故 
 13.サウスウェスト航空機事故

(4)中間型案件 天災型事故
   14..三河島脱線事故
 15.福島原発事故


2.人災案件の発生要因と対策

人災案件の場合は、
その事件を起こしている人間が意図(目的因)を持っています。
その意図に基づいて行動(=直接因です)します。

間接因・環境因はその事件を引き起こす脇役でしかありません。


その共通モデルと幼児虐待死事件の事例をご参照ください。


共通モデル



 

 



幼児虐待死事件
注:矢印の下の太字は対策を示します。














 





 















こういう事件を起こさない対策は、

間接因でよる周辺の協力体制が有効な場合もありますが、
直接因(行動)に対する厳罰による抑止力が最大効果です。


政府は、
官庁の公文書改ざんの対策として,それに関わった職員を
免職を含む懲戒処分にする方針です


同時に、各府省庁に公文書監理組織を設ける という方針も
打ち出されていますが、これはいかがなものでしょうか。
問題案件ごとに組織を作っていたら、
それこそ組織の肥大化を招きます。短絡的すぎる発想です。
因みにこの対策は、間接因に対する対策です。


3.天災案件の発生原因と対策

天災案件の場合の、主要因は目的因と間接因です。
目的因は、基本的には被災者の油断です。
油断に基づき必要な対策をとらなかった間接因も「犯人」です。
環境因は、人間がコントロールできませんし、

直接因で災害が起きてしまったら終りです。


その共通モデルと津波による死亡の事例を参照してください。


共通モデル


 

 




津波による死亡


 

 



したがって、対策は間接因で油断しないでの対応ということになります。


4.人災型事故
日航機御巣鷹山事故は、ご遺族の方にはたいへん申し訳ないのですが、
人災要素があるのです。

その証拠に、同じような事故でありながら全員生還の例があるからです。


人災型事故の主要因は目的因と直接因です。


目的因は、人災型案件のように積極的な意図ではなく、
「何とかしなければ」という意図はありながら、重圧に負けて
最後まで力を出し切れなかった、ということです。


直接因は、落下(着陸)場所の選択が、
目的因の意識混乱の結果、不適切だったことです。


間接因は、事故の直接的原因として解明されたことですが、
その原因即全員死亡となるわけではありません。


環境因は、この時点では、
そのような事故に対する社会的対応ができていなかった
ということです。


その後に発生した同種事故では、
この日航機事故の反省が活かされて生存率が高まっています。




その共通モデルと御巣鷹山事故と全員無事だった事故の
分析事例をご覧ください。


共通モデル


 


 



日航機御巣鷹山遭難事故



 

 


 2018/04/17サウスウェスト航空機片肺飛行
無事帰還事故 (人災に至らなかった成功例)




 









 

















人災型事故に対する対策は、
(目的因)当事者(操縦士、運転手等)に対する非常時訓練の強化です。
サウスウェスト航空の場合の成功要因はこれです。


事故を起こしている物理的要因に対する対策も必要ですが、
これに頼れば、常に後追いの対策になってしまいます。

5.天災型事故
このタイプを天災型事故と称しているのは、
必ずしも天災が関連しているということではなく、
天災案件のように油断から始まっているからです。


目的因の油断から始まって
適切な対応をしなかった間接因が招いた事故です。


福島原発事故は、いまだに経営者の責任追及の裁判が続いていますが、
元はと言えばこの原発を作った時の設計者を含む建設責任者の
未熟が招いた事故なのです。


ご承知のように、
近くにある福島第2原発では何の問題も起きませんでした。
その差は、冷却用予備電源をどこに置いたかなのです。


第2原発は、予備電源を完全防水の原子炉建屋に置きました。
第1原発では、防水が不完全なタービン建屋に置きました。


その結果、浸水により予備電源が使用不能になり冷却ができずに
大事故となったのです。


発端は最初の無知による油断です。


その後、補強の機会があったのかどうかが裁判で争われています。
それは、そもそも論ではありません。
このタイプのモデルと福島原発事故の事例を示します。


共通モデル  


 

 




福島第1原発事故事例










 


 















































天災型事故に対する対策は、天災案件と同様、
目的因に対する対策です。すなわち、油断しないということです。

三河島事故の場合は、運転手が思い込みで信号を見ないで進行し
事故の引き金(間接因)となっています。

福島原発の場合、全方位に注意力を振り向けてリスクを想定せよ
ということですから、かなりの難題でもあります。

しかし、何千億円の投資案件なのですから、

そのくらいのことはしなければならないでしょう。



油断しない結果取られる対策は、間接因です。
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いかがでしょうか?
何か問題解決のヒントを得ていただければ嬉しいです。
コメントをお待ちしています。