目的:
変更管理(ソフト保守、エンハンス)業務のコスト半減が実現したことを
知っていただきます。
それ以上の削減も可能であることを知っていただきます。
ねらい:
変更管理業務のコスト削減に
真剣に取り組んでいただきたいと思います。
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私上野則男は、2013.1.10号の日経コンピュータ誌の寄稿
「保守工数半減の勘所
目的・ねらいの明確化が必須、ツール活用で作業を自動化」で、
現状のソフトウェア保守工数を3年で半減することが可能である、
ことを主張しました。
注:当テーマでは、ソフトウェアの変更管理業務・エンハンス業務を
この論文に準じて保守業務と称します。
その主張は、私の業務改善者としての経験と勘に基づく判断でした。
ところが、
実際に3年でコスト半減を実現した事実が明らかになったのです。
画期的革新を実現されたのは、株式会社ニコンシステム殿です。
その事例が,JUAS(日本情報システム・ユーザ協会)のセミナで
発表されることになりました。
このセミナの案内をご参照ください。
このセミナでは、
ニコンシステム殿の事例発表のほか、
野村総合研究所殿の事例発表と
上野則男の保守業務改善の全体ガイドの解説があります。
ぜひ、保守業務の改善・革新にご関心のある方は
2018年12月14日の当セミナにご参加ください。
そこで、この際、保守コスト半減対策について、
私の論文をベースにして整理してみました。
まず、全体観として当論文の「図1 目指すべきシステム保守工数」
を転載します。
目的・ねらいの明確化 15%
障害削減対策 10%
作業の自動化 15%
保守インフラの整備 10%
対策内容はこうなっていました。
保守業務のコスト半減対策
区分
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対策事項
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内容
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NS事例
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目的・ねらいの明確化
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案件の実施目的を追求して、案件の絞り込み・適切な方向付けを行う。
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△
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障害削減対策の実施
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プロセス全体の改善
特に影響調査と
テスト計画
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障害削減を主目的にして各プロセスの改善を行う。
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○
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障害発生状況の見える化
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担当組織別の障害発生状況を公開する。
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△
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作業の自動化
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影響調査ツール
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影響調査ツールを利用する。
|
◎
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テストツール
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テストツールを利用する。
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〇
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保守インフラの整備
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ドキュメント整備
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保守に必要な資料を整備する。
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○
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必要情報の共有化
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システム構成要素の相互関連を見える化する。
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◎
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データマネジメント整備
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データ項目の標準化を行う。
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△
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システム部門の保守体制強化
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一貫生産体制の実現
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担当組織が受付から移行までを一貫して担当する。
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△
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プログラミングレスへの切り替え
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「超高速開発」ツールを利用するシステムに切り替える。
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△
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案件実施判断スキルの向上
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費用対効果の把握を的確に実施する、等。
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〇
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保守業務の生産性把握
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改善の大前提を実現する
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この表の「NS事例」欄に、ニコンシステム殿が実施された対策を、
前掲のセミナ案内等から私が推定し記入しました。
ニコンシステム殿がまだ十分実施されていない対策も
あるのです。
したがって、まだ改善の余地があるということになります。
前掲図1でも、最終ゴールは現状の3分の1となっています。
どこから、保守業務の改善に着手するかが、
思案のしどころです。
前掲セミナでは、私の試案をご披露いたします。
避けて通れないのは、上掲の表にある
「保守業務の生産性把握」です。
どんな業務でも、改善のスタートは「現状がどうなっているか」
の把握です。
改善の目的が、工数削減や効率化の場合は、
どの業務の生産性が低いのかの把握でしょう。
把握すべき現状は、「生産性の現状」です。
ところが、
保守業務については的確な生産性把握指標がないのです。
どこがまずいのかが分からないでは、
工数削減の着手ができません。保守業務の生産性が把握できないことが、
数十年に亘りこの業務が改善されないできた
「諸悪の根源」の一つであるというのが私の見解です。
保守業務のの生産性の把握方法につきましては、
あらゆる機会に私見をご披露してきています。
いずれにしましても、これを機会に
保守業務の改善・革新に真剣に取り組まれたら
いかがでしょうか。