2010年12月23日木曜日

ソフトウェア保守のコスト半減?

 たまには、私が従事している
 仕事の話をさせていただきます。

 昨年から今年にかけて、
 力を入れて取り組んでおりますのは、
 情報システム
 (専門家はエンタプライズ系などと言います)
 のソフトウェア保守業務の改善です。

 保守という言葉は後ろ向きでイメージが悪いので、
 エンハンス(機能拡張)業務と言おうというのは
 野村総合研究所殿です。
 
 ごく最近出されました
 「野村総合研究所のやる気を引き出すチーム改革」
 (アスキー新書)という図書で、
 エンハンス業務の改革をどう進められたかを
 紹介されています。

 保守と言おうが、エンハンス業務と言おうが、
 その範囲には、
 そのシステムに新しい機能を追加すること、
 有効性を高めるための改善、
 会社の制度や組織が変わることへの対応、 
 誤りがあったことの補正、などを含みます。

 この保守業務は、
 長年使いこんできているソフトウェア資産の
 在庫に対して必要となるために
 新規にシステムを作る開発業務と保守業務の比率は
 1対3くらいで
 圧倒的に保守業務の比率が大きいのです。
 
 この保守業務を間違えますと、
 大きなシステム事故につながります。
 駅の改札が止まったり、発券ができなくなったり、
 空港で搭乗手続きができなくなったりするのです。 

 それなのに、これまでいろいろな理由から、
 保守業務の品質を高めたり、
 生産性を高めたりする改善は、
 多くの企業でほとんど実施されてきませんでした。

 野村総研殿では、
 「これではいかんではないか」ということで、
 2005年から「エンハンス業務」の改善をする
 専門組織を作られたのです(先述の図書に記載)。

 重要な業務であるのに
 あまり改善がされてこなかった、ということは、
 改善の余地が極めて大きい宝の山だ、
 ということです。

 そこで、兄弟会社である㈱データ総研と
 当社システム企画研修㈱が組んで
 昨年度から、保守業務の改善を研究する研究会を
 野村総研殿にもご参加いただいて開催しています。

 その合間に(これが本業ですが)
 保守業務の改善のコンサルテーションも
 数多く実施しています。

 その成果を踏まえて、
 新年早々から
 「保守コスト半減支援コンサル」を
 トライアル実施させていただくこととしました。
 
 保守コスト削減の目標は3年で3割、
 5年で5割削減です。

 改善の入り口は、無料診断で改善の可能性を
 評価させていただくところから始めます。

 ご関心のある方はお問い合わせください。

  システム企画研修㈱ 
  業務改善コンサルグループ
  TEL:03ー5695-3130
  mind-pc@newspt.co.jp

介護も医療も現状是認ではダメ!

 高齢化社会になって、
 介護と医療の制度は破たんすると言われています。

 今の介護制度は要介護度の認定をして、
 「その介護度だとこれだけの介護を受けられる」と、
 介護度によって受けられる給付が決まってきます。

 この制度が悪いわけではありませんが、
 この方法だと、
 介護度が高いほど手厚い介護が受けられますので、
 介護度を高い方に認定してもらおうとします。
 そう言っては悪いのですが、
 悪い方に進もうというインセンティブが働いてしまいそうです。

 これは法律や制度を前提にする考え方です。
 お医者は、患者が具合が悪いと言うと薬を出してくれます。

 特にひどいのは、外科・整形外科の医院で、
 たくさんの老人がやってきて、
 マッサージ等の治療を受けています。
 ご老人たちはその医院をサロンのように思って
 会話を楽しんでいます。

 その対応ができる設備を持った医院は
 どんどん立派な医院に建て替えていきます。

 これでよいのでしょうか。
 こんなことをしていたら、どんなに消費税を上げても
 追いつきませんよ。

 どこかのテレビでやっていました。
 寝たきりになりかけている老人に
 自立できるような手助けをしている介護施設では
 老人がどんどん立ち直っていっていました。

 介護度が下がれば、
 もらえる介護費も下がるのでしょうが、
 偉い介護施設です。

 このように今の状態を前提に治療や介護を行うのではなく、
 少しでも健康になるように指導していく
 治療や介護が必要です。

 どんな人にどれだけの治療費や介護費を出すかの
 制度設計をするだけでなく、
 どうすれば、弱っている老人たちを元気にできるかを
 真剣に検討すべきではないでしょうか。

 そして、そういう施設やクラブに助成金を出す方が、
 治療費の補助(保険金等の給付)をするより
 安上がりのはずです。
 そのことは、企業別の健保組合が、
 組合員の健康維持・強化にお金を使おうとすることを見ても
 分かります。

 もっともっと、高齢者が楽しめて元気になり、
 元気を維持できる施設を作り強化すべきです。

 この問題は、目的論で言うとこうなります。
 介護制度の目的を、
 「要介護者に適切な介護サービスを提供する」ではなく、
 「要介護者が、介護を必要としなくなるような、
 あるいは、介護度の改善が進むような手助けを行う」
 とすればよいのです。
 そうして、その目的の達成度に応じて、
 介護サービス提供者に
 追加報償を支給するようにすればよいのです。
 
 同じように、医療制度の目的を
 「治療を必要としている人に、適切な医療を施す」
 ではなく、
 「治療を必要としている人が、
 1日も早く治療を必要としないようにする」
 とするのです。

 こういう政策を検討できませんでしょうかね。
 

官僚が優秀性発揮!

 12月17日、政府はこれから10年の防衛計画の
 方針を決める「防衛大綱」と「中期防衛力整備計画」を
 発表しました。

 この中では、日本全国土を守るという基盤整備から、
 軍事力を危機に対応して機動的に動かすことのできる
 「動的防衛力」の強化に方針転換しています。
 南西諸島を中心にした、
 「島しょ防衛の強化」も盛り込んでいます。
 
 これら、特に後者は、
 尖閣諸島トラブルを意識したものです。
 中国をけん制するのは、非常に重要です。

 このように迅速に長期の計画をくみ上げることのできる
 官僚組織の能力はなかなかのものではないでしょうか。
 おそらく、以前からこのような方向を把握・感知して、
 対応策を検討していたのでしょうが、
 今回の尖閣問題発生から、この大綱発表までは
 わずか2ヶ月半強です。

 もう一つ。
 菅総理が法人税の引下げ5%を発表したのが、
 12月13日夜、
 その後、来期予算政府案の基本方向を発表したのが、
 18日です。

 この政府予算案には当然ながら、
 法人税減税分を穴埋めする対策が盛り込まれています。
 減税幅が5%か3%か、とかで検討していて、
 13日から18日までですべてを検討したのでないでしょうが、
 それにしても予算編成担当部局の早技です。

 政府はいい加減な世論に迎合して、
 さっぱり筋を通さないので評判を落としていますが、
 官僚は優秀ですね。
 方向付けを正しく設定すれば、力を発揮してくれるのです。

 ところで、穴埋め財源ですが、
 給与所得控除の削減、相続税の控除額の縮小など
 基本的に高所得者に負担を求めるという方針は
 正解だと思います。

 低額所得者に負担を求めるか、
 高額所得者に負担を求めるか、といえば自明でしょう。
 
 それと「高額所得者団体」などは存在しませんから、
 反対論が沸き起こる心配もありません。
 その面では、ある意味で、
 民主党らしい「弱いものいじめ」的な側面があります。

 「高額所得者の負担増は
 国民の上を目指す思考に水を差す」
 という批判論が聞かれましたが、
 これなどは、何でもケチをつけようという評論家根性で、
 知識人としては恥ずかしい意見です。

 ところで、法人税減税5%は、
 日本の企業が日本から逃げ出すのを防ごう、
 国内で投資をしてもらい、雇用も確保しよう、
 という目的(菅総理のもくろみ)のようです。
 
 しかし、片やで研究開発費の損金算入の削減など、
 企業の力を削ぐ政策も入っています。
 これなどは、何を考えているのだろうかという
 目的軽視の愚策です。
 目的で筋を通してほしいものです。
  

共通番号制度に誰が反対するのか

 政府は12月3日、
 共通番号制度導入に取り組む方針を発表しました。
 (6月の政府の閣僚検討会の大枠方針を受けての
 実務検討会としての方針だそうです)

 共通番号制度は、
 これまで国民総背番号制度と言われてきたもので、
 国民1人1人にユニークな識別番号をつけて、
 必要な範囲でその情報を集約して利用できるようにしよう
 (専門的には「名寄せ」と言います) 、
 というものです。
 
 この制度の日本における導入検討は、
 1968年の佐藤内閣の時から始まります。
 反対にあい頓挫しました。
 40年以上の歴史があるのです。

 このような番号を使用すれば、
 年金の不照合問題など起きません。
 保険料の支払いの時にこの番号を使用し、
 どこへ転勤しても、この番号が付いて回っていれば、
 一生の掛け金が一元的に把握できるからです。

 佐藤首相の先見の明が実現していれば、
 年金不照合問題は起きなかったのです。
 本当に惜しいことをしました。
 これは、悪しき民主政治の例です。

 共通番号制度は、
 主要国ではこういう範囲で共通化されているそうです。
          税務 年金など社会保障 行政サービス
 ドイツ      ○   
 アメリカ      ○      ○
 スウェーデン   ○      ○          ○
  適用範囲が広いほど、その効果も大きいのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 では誰がどういう理由で反対するのでしょうか。
 
 一番分かりやすいのは、
 郵便貯金の小額非課税枠(マル優)の悪用
 (1人1口座の規定に対して偽名・借名で複数口座利用する)
 を防止するために考えられたグリーンカードの例です。
 これも一種の共通番号制度です。

 この時の反対者は、郵政省や金融業界でした。
 法案が通った時点で、富裕層の預貯金が引きだされ
 海外に流れたためです。
 結果としてこの法案は廃止になりました。

 この時、反対の先鋒だった政治家、
 金丸信氏(当時自民党副総裁)が、
 その後多額の闇献金が発覚した「錬金師」だったことは、
 反対の背景に自らの利害が関係したのではないかと
 疑わせるものでした。

 現在、共通番号制度に反対している一例は、
 「全国保険医団体連合会」です。
 反対の理由は、共通番号制度で実現しようとする目的である
 「所得再配分機能」「給付と負担のバランス」実現への懸念、
 「プライバシの侵害」となる懸念、などとなっています。

 これらは、
 共通番号を利用する制度の運用法への懸念であって、
 基本的に番号制度への否定条件となるものでは
 ありません。

 ということは、保険医にとって、
 この制度はマイナスの影響があるということです。
 容易に名寄せができるようになりますと、
 過剰投薬や過剰医療が抑制されることになります。
 つまりは保険医の収入減です。

 収入をいろいろなところから得ている「稼ぎ手」
 の所得が確実に捕捉できるようになりますので、
 そういう人たちは反対でしょうね。
 反対するということは、
 現在は税金をゴマカシテいるということになります。
 
 反対派の表向きの最大の理由は、
 常にプライバシの保護・個人情報の保護です。
 しかし、本当に国民の多くがプライバシの保護を理由に
 番号制度に反対しているのでしょうか?

 一部の利害関係者の意見に左右されたマスコミの誘導が
 国民に錯覚を与え、それに感化された人が
 「そうだ、そうだ」と
 付和雷同しているだけではないでしょうか。
 
 共通番号制度のメリットをよく理解したうえで、
 それよりもプライバシの保護が重要だ、
 と思っている人はごく少数でしょう。
 
 保護されたい情報は、
 身体障害等の社会的弱者が抱える情報よりも、
 富裕者が抱える資産情報の方が
 圧倒的に多いのではないでしょうか。
 
 つまり、強硬な反対意見は、
 理念からくるものではなく、利害からきているのです。
 その人たちが「プライバシの保護」とかいう、
 きれいごとの隠れ蓑を使っているだけ
 なのではないでしょうか。

 ちなみに、共通番号制度の制定と情報の一元管理とは
 別物であることを認識しておきましょう。

 共通番号を決めたからといって、
 税務の情報は国税庁が管理し、
 年金の情報は社会保険庁が管理し、
 行政サービスの情報は総務省(のもとでの各自治体)が管理
 することになります。
 必要な場合に、相互でのデータのやり取りはするでしょうが、
 すべての国民の情報が1か所に集中する
 わけではありません。

 それと、反対派の主張する情報漏洩、プライバシ侵害等は
 情報の管理運営問題であって、
 集中した方が漏えいが起きやすくなるとは
 一概に言えません。
 漏えいしない対策をどう実現するかを検討すべきで
 漏えいの心配があるから反対というのは、
 どう考えても本質論ではありません。
 本末転倒と言うのもはばかられる、感情論か利害論です。

 このテーマの核心は、正当な目的論に対して、
 目的実現過程で生じる悪影響を懸念しての反対論が
 横行しているということです。
 一般的には、目的の価値が大きければ、
 悪影響を緩和する対策を講じて
 目的を実現する方法を検討するのが筋です。
 
 悪影響の議論が先行して、
 目的の実現を諦めるのは異常です。

 ということで、この共通番号制度は
 民主党の衆院選マニフェストに入っていたそうですから、
 菅総理に、
 妥協せずに実現に努力していただきましょう!!
 
 

2010年12月12日日曜日

尖閣諸島についてもっと知りましょう!

 以下は、雑誌「到知」の2011年1月号に掲載された記事を
 到知出版社が、
 読者等に「到知」の内容をPRするためのメールで
 要約したものです。
 そのままご紹介します。
 詳しくは、「到知』の当該号をご覧ください。
 http://www.chichi.co.jp/i/article2011/i-201101urabe.html

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 実は尖閣諸島にはれっきとした日本人の開拓者、
 所有者がいました。

 明治以来、
 長い間におよんで古賀辰四郎及び子息の善次、
 その後は善次の妻がこの島を守ってきたのです。

 古賀辰四郎が沖縄に来島したのは明治12年、
 24歳の時です。
 爾来、石垣島に古賀商店を開いて海産物を取り扱い、
 尖閣諸島の開拓をはじめ多くの功績を残し、
 明治42年には藍綬褒章を下賜されたほどの人物でした。

 古賀は、明治28年に政府が尖閣諸島の領有を宣言するや、
 「官有地拝借御願」を内務大臣に提出。
 大臣は30年の期間を設けて
 尖閣諸島のうち魚釣島と久場島の貸与を許可します。

 明治33(1900)年に開かれたパリ万国博覧会では、
 尖閣諸島などで製造した真珠や貝殻類を出品し、
 見事銅賞を受賞。
 
 明治36年の内国勧業博覧会では、
 出品の真珠2点を皇太子殿下が御買上げになる
 という栄誉にも浴しています。

 大正7年に古賀辰四郎は63歳で死去しますが、
 この壮大な事業は長男の善次が継ぎました。

 善次は昭和6年に国に払い下げを申請し、
 翌年、尖閣諸島のうち魚釣島を含む四島が
 善次の所有となったのです。
 
 中国政府及び台湾の一部勢力が
 尖閣諸島の領有を言い募るのであれば、
 善次が遺した次の証言を刮目して見よと言いたい。

 「大正8年、中国福建省の漁船が、
 尖閣列島沖合いで難破しました。
 そのとき、たまたま私の船がそれを発見し、
 難破船と31人の乗組員を助けて石垣島へつれてきて、
 手厚い保護をしました。

 私だけでなく、石垣の人たちも彼等を親切にもてなし、
 修理をおえた船とともに中国へ帰してやったのです。

 翌年ですよ、中国政府から
 私をはじめ石垣の関係者に感謝状が送られてきましてね。
 その宛名は、
 日本帝国沖縄県八重山群島尖閣列島でしたよ。

 いま中国がいっている魚釣台ではなく、
 ちゃんと尖閣列島になっています。
 個人からの手紙ではありません、
 政府としての感謝状なんです」

 ここに紹介された中国政府から贈られた「感謝状」は
 現在も保存されています。

 今を遡ること90年前から、
 中国は尖閣諸島は日本の領土であると認識していた
 決定的な証拠にほかなりません。

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 古賀善次さんの子孫が今も尖閣を所有していて
 石原都知事が譲ってほしいと交渉をした
 相手なのでしょうか。
 (そのことは、当ブログの
 2010年11月1日「尖閣諸島問題その2」でご紹介しました)

 尖閣諸島のどこかの無人島に上陸した
 石垣市の議員がいたようです。
 そういう実効支配をして、
 ことを荒立て中国のクレームを引きだし、
 国際的な話題にするのは一つの手ですね。
 そうなったら、
 今回記事のような証拠を突きつけていくチャンスが
 出てくるのですから。
 

菅総理 社民党との連携?

 菅総理は、衆議院の乗り切り対策で
 (参議院で否決された案件を
 衆議院で再可決するのに必要な3分の2の議席を確保する)
 社民党に声をかけています。

 社民党の福嶋党首は
 「今度は私を『ぶちぎれ』させないでよ」
 などと得意満面です。

 「ぶちぎれ」は
 普天間問題とか日本の防衛がらみの案件が火種です。

 12月12日のフジテレビ「新報道2001」で
 石破茂氏がこう言っていました。
 「何のための連携なのか。
 何かの法律を通すために
 日本の安全を脅かすようなことになったら
 とんでもないことではないか」
 そのとおりです。

 菅総理の浅慮で、
 日本をおかしくしないでほしいものです。
 この「復縁」は、
 なりふり構わずを超えているでしょう!!

解体現場の事故多発?

 「今年の10月岐阜県で、
 自転車で通りかかった女子高校生が
 解体中に倒壊した建物の外壁の下敷きで死亡」
 という痛ましい事件はまだ記憶に新しいことでしょう。
 なんと不運なとんでもない被害に会う人がいるものだ。
 と思ったものです。

 以下、12月6日の日経新聞からの紹介です。
 「同じような事故が
 03年に静岡県で起き4人が死亡」
 「それを受けて国土交通省は
 解体工事の事故防止ガイドラインを策定」
 「だがこれは強制力はなく
 対応は業者任せになっている」
 「2008年の全国の建設業での死亡事故は
 04年から08年までに3割減ったが、
 解体現場での死亡事故は、
 前年比で11件増の42件もある」
 
 「最近は公共工事の縮小や景気低迷で、
 解体コストの削減圧力が高まり、
 手抜き工事で利益を出そうとする悪質な業者もいる」
 「解体は壊すだけ、と軽く見られがちなところに
 事故の芽がある」
 
 「高度成長期の建築物は、
 後に増改築が繰り返され
 構造が複雑になっている場合が多く、
 解体工事を難しくしている」
 「工法や建材も多様化しており、
 解体時には十分な配慮と計画的な作業が求められる」
 
 「古い建物は
 設計図面や改修図面が無くなっている場合が多い。
 ボルトで接合されていると思っても
 実際はつながっていないケースもある」
 「解体工事の事故を防ぐためにも
 建物の図面はきちんと保管しておくべきだ」

 この記事を読んで
 ソフトウェアの機能拡張や改良を行う「保守」が
 まったく同じ状況であると思いました。

 保守を間違えると
 システム停止などの事故が起きるのです。
 東証の取引が中断したり、
 自動改札が使えなくなったり、
 飛行機便や新幹線の発券が
 できなくなったりしています。

 その原因は、上述の解体の場合とまったく同じです。

 建設(システム開発)よりも
 解体・増改築(保守)の方が易しい、
 という「たかが」意識があり、
 取り組んでいる人の意欲・レベルが低い。

 多年に亘る改修によって
 (10年以上使っているシステムはザラです)、
 非常に複雑な構造になっていて、
 保守作業は極めて難しい。

 それなのに、
 図面(システムのドキュメント、改修記録)がない。

 しかし、実際にはたいへん難しい仕事なのです。
 システム業界でも、
 保守のあり方を改善しようという動きが
 活発になってきています。
 
 その改善の目的は、
 事故を起こさない、ということが一番ですが、
 保守コストの削減や納期短縮もあります。
 
 システムの開発・保守コストの中で、
 保守の占める比率は75%なのです。
 そのコスト削減を放置するわけにはいきません。

 納期短縮は、ビジネスが目まぐるしく変わる時代に
 システムの改修が足手まといになってはいけません。
 これからますます
 保守の短納期化が要求されるでしょう。
 
 
 

2010年12月4日土曜日

日本の消費者が望むのは「安い」だけか?

 福岡発の、安売りを前面に出す量販店
 (ディスカウントストア、DS)
 「トライアルカンパニー」が快進撃をしているそうです。
 ここ5年程の売上伸び率は14~23%程度で、
 かなりのものです。
 しかし、
 2011年3月期の予想売上高は2600億円ですから、
 小売りのトップ企業に比較すると1桁以上の差があります。

 この企業の基本方針は、
 とにかく安く消費者に提供することです。
 たとえば、すべてPB(自社ブランド)ですが、
  コーラ350ml缶        29円
  ポテトチップス55グラムもの 59円
  2Lペットボトル入りお茶    79円
  カップめん            59円
 といった具合です(日経流通新聞12月1日号による)。
 すごいですね。
 
 このような激安PBを、これまで2000品目作ったそうです。
 なぜ、そんなに安くできるかというと、こうです。

  1 PB商品を「数打てば当たる」方式で開発している。
    ・売れないものには拘らない。
  2 生産は韓国・中国メーカを重視する。
  3 物流センター全国4か所を自前で運営する。
    ・無理の効く機動的な運営ができる。
  4 廃業した同業の店を居抜きで使う。
    ・まともに作ると1店3億円かかるのを節約できる。

 この方法で今後も売上は急拡大するでしょうか。
 そうは思えません。
 なぜなら、以下の理由です。

 1.仮に、日本中の消費者を対象にするとしても
  これらの商品を消費する限界があります。
  ・日本全体の消費支出のうち、この業態のPBに適した
   広い意味の加工食品の比率は約7%で
   金額に換算すると約20兆円です。
  ・この企業はそのシェアを1割とれば上出来でしょうね。

 2.消費者は、購入する加工食品として、
  「安い」だけを求めるのではなく、
  「うまい」「楽しい」の要素も求めています。
  ・この安売りモデルで対象とできる売上は限定されます。
  ・20兆円が分割されるのです。
 
  現に、12月3日の日経流通新聞には、
  「圧倒的な品ぞろえ」「臨場感あふれる対面販売」
  「産地直送の徹底」で成長する関西の食品スーパーが
  紹介されていましたし、
  節約疲れをした消費者が「ましなもの」を買い始めている、
  という記事も紙上を賑わせています。

 3.居抜きの店舗は今後はそんなに見つからないでしょう。

 そもそも、このような安売りが通用する世界は
 「ニッチマーケット」(すきまビジネス)です。
 現在、大手の小売業が実現できていない分野を
 専門的に掘り下げて実現しているのです。

 この企業はお手本にしている
 ウォルマートの安売りモデルは、
 西友系で実現しようとしましたが、
 日本では長らく成功しませんでした。

 アメリカでは貧民の比率・実数が日本よりかなり多く、
 ウォルマートはその人たちの支持を受けて発展したのです。
 日本での窮乏者は、「今のところ」それほど多くありません。

 ウォルマートも、
 日本では、そのままのビジネスモデルでは成功しない
 と気づき、
 モデルチェンジをして最近は軌道に乗りつつあるようです。
 アメリカでも、
 貧民市場は飽和したので別の市場をも獲得するために
 単なる安売り路線を軌道修正しています。

 その辺の事情は、
 この企業の経営者も織り込み済みで
 中国進出を計画しているようです。
 やはり大した経営者ですね。
 
 とにかく、「他人がやらないことを工夫してやる」
 のはたいへん偉いことです。
 日本の発展のために、
 どんどん、そのような経営者が出てきてほしいですね。

品川区へのクレームーその3

 今度は小学校の樹木jの剪定にクレームしました。
 まずは11月14日に発信した品川区長あての
 「ご意見箱」への文章です。
 濱田区長は2月ほど前の選挙で再任されました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 濱田区長様 再選おめでとうございます。

 今後とも
 品川区の改革を他の区に先駆けて実践してください。
 
 私はいつも区内の近所をジョギングしています。
 11月13日に大間窪小学校の前を通りましたら、
 なんと、
 見事なギンナンが成っていていつも楽しみに見ていた
 イチョウの木が丸坊主にされているのです。

 これは憤激の限りです。
 イチョウはこれから、黄色になって美しくなるのです。
 生徒たちが季節を感じる大事な生物です。

 都会で家に引きこもりがちな生徒たちが、
 自然に接する機会は非常に重要です。
 「きれいだな」という気持ちを仲間と共有できることは
 非常に大事な教育ではないのでしょうか。

 なぜ、この時期に剪定などするのですか?
 おそらく、
 依頼している業者の都合で順番にしているのでしょうが、
 では、何のために校庭に桜やイチョウがあるのですか?

 業者に仕事をしてもらうためではないのでしょう?
 だったら、樹を植えている目的が達成できるように
 業者の活動をしていただくようにしてください。

 今後こういうことのないように
 担当管理課および業者の指導をしていただけますように
 よろしくお願いいたします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー                 
 そうしましたら、12月1日付で以下の返事がきました。
 まずまずの早さでまともな回答ですね。

 こういう案件は、
 指示を出せば済むのは早くできるのでしょうね。
 (「公園に犬を入れないでください」の件は
 未だに何の進展もありません)

 業者さんは、
 仕事の効率的な作業段取りの検討を要求されるでしょうが、
 お役所の方は、自分たちとしては予算も関係ないし、
 ということでしょうか。
 
 それはともかく、
 すぐに対応していただけるということは嬉しいことです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 上野 則男様
             品川区教育委員会 教育次長 氏 名

 この度は、大間窪小学校のイチョウの剪定について
 ご意見いただき、ありがとうございました。
 早速、現場を確認いたしました。

 しながわ中央公園の木々も色づき秋深き季節となりました。
 上野様のご指摘のとおり、自然と接し季節感を育むことは、
 教育活動の中でたいへん重要でございます。
 イチョウの木をはじめ様々な樹木は、
 その季節ごとに自然のすばらしさを教えてくれる、
 情操教育の貴重な教材でもあります。

 今回のイチョウの剪定は、
 教育委員会の担当者と業者との打合せが
 十分でなかったため
 実施に至ってしまったものでございます。

 今後は、このような事態を再発させぬよう、
 関係職員および業者を指導してまいりますので、
 ご理解のほどよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 付言:教育委員会だけあって、
 文章展開、用語・用字など大変よくできていて
 「たいへん」勉強になりました。