2010年12月12日日曜日

解体現場の事故多発?

 「今年の10月岐阜県で、
 自転車で通りかかった女子高校生が
 解体中に倒壊した建物の外壁の下敷きで死亡」
 という痛ましい事件はまだ記憶に新しいことでしょう。
 なんと不運なとんでもない被害に会う人がいるものだ。
 と思ったものです。

 以下、12月6日の日経新聞からの紹介です。
 「同じような事故が
 03年に静岡県で起き4人が死亡」
 「それを受けて国土交通省は
 解体工事の事故防止ガイドラインを策定」
 「だがこれは強制力はなく
 対応は業者任せになっている」
 「2008年の全国の建設業での死亡事故は
 04年から08年までに3割減ったが、
 解体現場での死亡事故は、
 前年比で11件増の42件もある」
 
 「最近は公共工事の縮小や景気低迷で、
 解体コストの削減圧力が高まり、
 手抜き工事で利益を出そうとする悪質な業者もいる」
 「解体は壊すだけ、と軽く見られがちなところに
 事故の芽がある」
 
 「高度成長期の建築物は、
 後に増改築が繰り返され
 構造が複雑になっている場合が多く、
 解体工事を難しくしている」
 「工法や建材も多様化しており、
 解体時には十分な配慮と計画的な作業が求められる」
 
 「古い建物は
 設計図面や改修図面が無くなっている場合が多い。
 ボルトで接合されていると思っても
 実際はつながっていないケースもある」
 「解体工事の事故を防ぐためにも
 建物の図面はきちんと保管しておくべきだ」

 この記事を読んで
 ソフトウェアの機能拡張や改良を行う「保守」が
 まったく同じ状況であると思いました。

 保守を間違えると
 システム停止などの事故が起きるのです。
 東証の取引が中断したり、
 自動改札が使えなくなったり、
 飛行機便や新幹線の発券が
 できなくなったりしています。

 その原因は、上述の解体の場合とまったく同じです。

 建設(システム開発)よりも
 解体・増改築(保守)の方が易しい、
 という「たかが」意識があり、
 取り組んでいる人の意欲・レベルが低い。

 多年に亘る改修によって
 (10年以上使っているシステムはザラです)、
 非常に複雑な構造になっていて、
 保守作業は極めて難しい。

 それなのに、
 図面(システムのドキュメント、改修記録)がない。

 しかし、実際にはたいへん難しい仕事なのです。
 システム業界でも、
 保守のあり方を改善しようという動きが
 活発になってきています。
 
 その改善の目的は、
 事故を起こさない、ということが一番ですが、
 保守コストの削減や納期短縮もあります。
 
 システムの開発・保守コストの中で、
 保守の占める比率は75%なのです。
 そのコスト削減を放置するわけにはいきません。

 納期短縮は、ビジネスが目まぐるしく変わる時代に
 システムの改修が足手まといになってはいけません。
 これからますます
 保守の短納期化が要求されるでしょう。
 
 
 

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