2017年6月30日金曜日

「生産性」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 生産性とは何かを再確認していただきます。
 生産性を上げるためにはインプットの削減(効率化)よりも
  成果(価値)の増大の方が重要であることを
                      再認識していただきます。
 成果の増大の例を確認していただきます。

ねらい:
 みんなで協力して日本のビジネスの生産性を上げましょう!!

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この書名はマッキンゼー社で活躍された伊賀泰代さんのものです。
ダイヤモンド社の出版なのですが、
よくこんなそっけない書名を付けたものだと感心します。




しかし、内容はなかなか立派なものです。
基本的なスタンスは、以下です。
私も同感です。


生産性の定義=アウトプット(成果)÷インプット(投入資源) である。
しかし、
ややもすると生産性の改善=インプットの削減が中心になっている。
これは効率化と言われるもので、取り組みやすいが不十分である。

本来の生産性改善は、成果の増大を目指すべきである。


その分かりやすい例として、以下が解説されています。


1)会議の改善
 会議時間を削減する対策(1時間以内とする、立って会議をする、など)
 が流布しているが、
 会議の目的をどうすればより達成できる科の検討をすべきである。
 
 例:当日の達成目標を明確にする(何ができたらよいのか)
   資料は説明させない(資料は見れば分かる、
          説明を聞くより見る方が早く内容を把握できる)
   自分の意見を明確にする
   意思決定のロジックを決める
   全員がファシリテーションスキルを身につける
    (これは本来はそうあるべきでしょうがマッキンゼー社の場合です)


2)資料の作り方
  アウトプットイメージを持つ
  まずブランク資料を持つ、
  など、よいアドバイスがあります。
 
  ところが解説の中に以下のくだりがありました。
  「資料は1枚にしろ」というルールを見かけるが、
  これは必ずしも賛成しかねる。
  必要であれば、何枚かにすればよい。
  印刷コストなどしれたものである」
  
これは1枚主義の正しい目的を理解していない発言です。
1枚主義はこういう意図なのです。
  
「1枚にしようとすると内容を再吟味して、論理が明確になる。
あるいは図にするとなお論理が的確に整理される」
ということで、1枚にならない内容は未熟なのです。
  
これは真理です。

石川島播磨重工の社長、電電公社の総裁をされた
真藤恒さんの逸話で有名なものに
「自分宛の資料は1枚になっていないものは受け付けない」
というのがあります。

「電電ざっくばらん」という氏の著書に
そのこととその理由が書いてありました。

それはそうとして、
伊賀さんのマッキンゼー社での主な経験は
人事部門でしたので
その例がイントロとして紹介されています。

採用の生産性は、採用者の数がアウトプットなのではない。
要求水準を満たす採用者の数でなくてはならない。
それをなるべく少ない工数で実現するには
応募者にフィルタをかける必要がある。

以下のような条件を提示することで、
「ザコ」(これは上野の言葉です)を減らすことができる。

 体育会でしっかりリーダーシップを発揮してきた社員
 NPOや留学生支援にリーダーシップを発揮してきた社員
 研究室や学会活動の中でリーダーシップを発揮してきた社員

 労働環境の厳しさが問題にされた
 ユニクロのファーストリテーリング社は、
 こういうアナウンスをした。
 
  トップ自ら労働環境の改善を約束し、 
  全社員の給与レベル(グレード別)を公開した。

 これにより厳しいがやりがいのある会社
 という印象を与えることに成功した。 


冒頭の生産性の定義も行い、
なぜ日本が効率化重視なのかについて
以下のような興味深いコメントをされています。

 日本では、製造現場における改善活動から
 生産性という概念が普及したため、
 「生産性を上げる手段 = 改善的な手法によるコスト削減」
 という感覚が定着してしまっています。


6月30日の日経新聞で、日本の社会保障制度の問題点を特集した
「砂上の安心網」に以下の記述がありました。


 厚労省は5月、省内の働き方を見直すべく中間報告書を公開した。
 対策に「コミュニケーション強化月間(仮称)」の創設を掲げた。
 その一つが「朝のあいさつの励行。目を見て明るく元気にさわやかに」
 驚いた。
 
 さらに目を疑ったのは
 「業務の中に生産性向上の概念が十分に組み込まれていなかった」
 という一文だった。


 製造業の現場だけでなくホワイトカラー職場でも
 業務効率を高めるのは常識。
 民間企業は長い間、知恵を絞ってきた。
 平成も終わりに近付いた今ごろ掲げるとはーーーー。


厚労省の「遅れ」は確かですが、
私の見るところでは、一般の民間企業のオフィス現場も、
厚労省と50歩100歩だと思います。
この記者の買いかぶりですね。



伊賀さんは、
生産性を上げる4つの方法として以下を上げています。
前掲の分母と分子を改善により実現するか,
革新により実現するかです。

 ①改善により投入資源を小さくする
 ②革新により投入資源を小さくする
 ③改善により成果を大きくする
 ④革新により成果を大きくする。


これは当たり前のことのようですが、
実際の局面では、
このいずれかのアプローチに絞っている場合が多いようです。

システム企画研修社がすすめているエンハンス業務で言えば、
フォワード・コンソーシアムの活動は①と少し③
アライアンスによるエンハンス業務の革新はは②が中心です。

伊賀さんは、
常にアプローチの幅を広げて検討しなさい、
と言っておられるのです。


会議と資料以外で具体的な主張は以下があります。

 戦力外中高年を放置していけない。
  再教育とあらためての目標を与えるべきである。

 ストップウォッチをオフィスにも
  オフィスワークも作業時間の把握分析をしなさい。
  改善すべき事項が明確になりますよ。

 定期的な業務し分けの価値
  ルーチンワークは、環境変化により、
  その必要性・重要性は変わる。
  定期的な棚卸をして、不要・非効率な業務を削ぎ落としなさい。
 
 長期休養者が出たら大チャンス
  その時、ほかの人は仕事の領域を広げるチャンスである。

 3割と3%の両方を意識する(「改善と革新を意識せよ」)
  3%は改善、3割となったら革新でないと実現しない。
  常に両方を意識して臨みなさい。

 仕事をブラックボックス化しない
  安易に非正規社員に委ねたりすると、改善は永遠にされない。
  (上野もそれはエンハンス業務において痛感します。
   だから改善されずに放置されているのです)

トップパフォーマーの能力を引き出す方法についても
詳述しています。
マッキンゼーならではでのテーマで、
普通の企業ではそんなことは検討課題にならないでしょう。

総論としては当たり前のことが多いのですが、
「成果の増大を重視しなさい」ということが主張のポイントです。

この点は私も再々主張していることです。

「日本の労働生産性が低いのはなぜか」
http://uenorio.blogspot.jp/2017/05/blog-post_30.html


「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」
http://uenorio.blogspot.jp/2017/06/blog-post.html



マッキンゼー社の場合という内容がミソで説得力があります。
ご関心のある方はご一読ください。


2017年6月29日木曜日

「人生の要件定義書」を作りませんか。

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 エンハンス要員が元気になるプログラムができたことを知っていただきます。


ねらい:
 これが、エンハンス要員の救世主の一つになるといいですね。


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「人生の要件定義書」とは何だと思いますか?

システム企画研修社はシステム開発の要件定義はこうしなさい、
というガイドの提供や研修の実施をしています。
その要諦は、以下の点です。

「何のためにそのシステムを作ろうとするか、
「目的・ねらい」をはっきりさせなさい。

それがはっきりしていないと、
システムはどちらの方向に進むか分かりません。
2転3転や中止などが起きます。
何とかでき上がっても不満足なものになります」

ところが、人生についてもまったく同じことなのですね。

人生の要件定義だと、
自分の人生の目的・ねらいは何なのかを
明確にしなければなりません。

すなわち、
「自分は何になりたいのか、
それによってどのような満足を得たいのか」
を目標設定するということです。

先日お亡くなりになられた渡部昇一先生は、
それがはっきりしておられたのです。
別項の先生の遺言集を見ればそれが分かります。

世の中の成功者はビジネスの世界でも研究の世界でも皆、
自分の人生の目的・ねらいを明確にしています。

ところが、多くの人たちが自分の人生に満足していないでしょう。
あるいは不満だらけと言ってよいかもしれません。

それは目標が定まっていないせいが大きいのではないでしょうか。
実はかく言う私も、「ねらい」の方があいまいだと反省しています。

情報システム関係では、
エンハンス要員(ソフト保守要員)が日本全体で50万人いるのですが、
そのほとんどは暗い人生を歩んでいます。

その理由は仕事の環境が以下の状況だからです。
  雑多な案件が多い。
  毎日、仕事に追いまくられる状態である。
  そのためじっくり考えて仕事をすることができない。


  その結果、利用者から褒められることはまずない。
  追われればミスが発生し、時に「おおごと」となる。
  障害等が発生すると激しく叱責される。


そのままだといつまでも悪循環です。
どうしても暗くなってしまいます。

ところが、一念発起すれば、
好転の糸口を発見することができるのです。

それを、実証してきた人がいます。
その人は、
不毛と思われた畑を耕して立派な作物を得ることに成功したのです。

今回、立派な作物を得ていただく方法を
エンハンス要員活性化プログラム(ONE-UPゼミナール)として
完成させました。

その骨子は、以下の内容です。

 1.自身の特性診断を実施する
  (自分はどういう領域に向いているのかを見つけ出します)

 2.自分のビジネスライフの要件定義書を作成する
  (自分の内面に問いかけて
   自分がどうなりたいのかを自分でひっぱり出します)

 3.ビジネスライフ目標を達成するための行動計画を作成する
  (情報収集も行って全体計画と
   第1ステップのアクションプランを作成します)

 4.第1ステップを実践しその結果を確認する
  (3か月の実践期間の後、報告会を開催します)

この間、集合研修は報告会を含めて4回で、
その間に、宿題を実施します。
その際、講師との1対1でのカウンセリングを随時受けられます。

このカウンセリングは
基本的にはコーチング方式で自らが考えなければなりません。

指導料はお1人30万円、
フォワードコンソーシアム会員の場合は20万円です。
マンツーマンの指導が中心であることと、
現実の成果を考えていただくとリーズナブルな料金でしょう?

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講師の大島道夫をご紹介します。

大島 道夫
1957年生まれ 新潟県中魚沼郡津南町











◆略歴

(1)情報技術開発株式会社
    約30年間、事業の拡大と成長、人財育成等に貢献

(2)「仕事品質」改善教室
   自立型人財育成を応援する夢実現のために起業

「仕事の取り組み姿勢」×「仕事のやり方」=「仕事品質」のコンセプトのもと、
自立型の「稼げるビジネスパーソン」の育成を通して、
企業、日本を元気にすることをミッションにコンサルティングを展開中!

◆資格等
・ISO9001品質審査員
・ISO14001環境審査員
・ISO27001情報セキュリティ審査員
・日本プレゼンテーション協会認定講師
・江川ひろしの「日本話し方センター」インストラクターコース修了
・ITSS-DS評価 レベル5.3 (ハイレベル:エデュケーション分野)

◆著書
・「トライアングル思考法」
 ~企画書作りに自信が持てる7つの法則~














◆趣味など
・スキューバダイビング、水泳、トレッキング、スキー
・自家焙煎珈琲
・音楽鑑賞(Jazz) 、ギター弾き語り
・スケッチ、他
・好きな言葉:ありがとう

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それ以上のことは、以下のURLをご参照ください。
資料だけではなかなかお分かりにならないでしょうから、
ご関心のある方はぜひお問い合わせください。
 

http://www.forward-consortium.com/_src/11551245/FC-One-UP2017.pdf

2017年6月28日水曜日

藤井4段は天才でしょうか?


【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 藤井総太4段の強さの基を分析してみます。
 (あまり目新しさはありません)

ねらい:
 若い人たちを応援しましょう。

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最近若者の活躍が目立ちますね。
日本もまだまだ頑張れるぞということで、
非常に明るいことです。


将棋の藤井総太4段は、
ご承知のように公式戦デビュー以来29連勝の
「日本新記録を樹立しました。


凄いことです。
この快挙を「体力、努力、気力」モデルで分析してみましょう。


「体力、努力、気力」モデルは、
往年のマラソンランナー金栗さんが、
「体力、気力、努力」と言われた言葉を、
私が、順番を入れ替えたものです。


体力は資質、努力は日頃の練習、
気力は試合のときの決め手、です。


マラソンの試合では、
もうダメだと思ったらどんどん落ちてしまいます。
くそ!と思って食いついている間はチャンスがあるのです。


まずは体力、スポーツではないので知力です。
緻密な論理・推論能力を持っているのでしょう。
天才と言われる所以です。


ところが、天才なだけでなく、
時間があれば棋譜の研究をしているようです。
それこそ朝から晩まで、若さの記憶力で
古今東西の実績を知り尽くしているのでしょう。


ところが、それだけでもないようです。
形勢不利な体勢から逆転したということが多いのです。
何時間もの勝負では、最後は気力でしょう。
実力拮抗のベテランクラスの対戦では、
少しでも弱気になった方が負けでしょうね。


やはり、「体力、努力、気力」モデルは当てはまっています。


藤井4段は、勝っても偉そうではないですね。
かわいらしさを失いません。そこが人気の基でしょう。
謙虚な気持ちで頑張り続けていただきたいですね。


最近、私は、地元で中学生の野球部員が練習で走っていたり、
子供が公園や道路を走り回っていたりすると
「頑張れよー」と声をかけています。



麻央さんの子供がかわいそう!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 小林麻央さんの気持ちを察します。
 心からお悔やみしましょう。
ねらい:
 それに尽きます。
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小林麻央さんが1年間の闘病生活の末亡くなりました。

極端にいえば、日本中の人が悲しみました。

初めにかかった医師の誤診に対する憤慨もさることながら、
二人の幼い子供がかわいそうです。

私の従兄弟ーー ずい分年が離れているのですが ーーの
若い美人の奥さんがやはりガンで数年前に亡くなりました。

残された3歳の女の子が
「お母さん、どこ行っちゃったの?」
と言って泣いていたという話を聞いて胸が締めつけられました。
ときどき幼児用の本を送ってあげたりしました。

私の孫娘は現在6歳ですが、
お母さんべったり状態です。
母親がいなくなったら誰も代りができないな、と常日頃思っています。


麻央さんの子供は5歳の女の子と4歳の男の子です。
どうなるのだろうと思います。

麻央さんも心残りだったろうなと思います。
最後の言葉「愛してる」は、語尾がよく聞き取れなかったそうですが、
子供たちを愛してあげてねに意味もあったのだろうと思います。


二人の子供もなついている麻央さんのお姉さん麻耶さんが
お母さん代りになるのが一番でしょうね。


あとは海老蔵さんがどう思うかです。


これは余計なことでした。スミマセン!



「渡部昇一 一日一言」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 天才的偉人渡部昇一先生の遺言を知っていただきます。


ねらい:
 それぞれお考えください。


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この本は、先生が亡くなられてから企画されたものではありません。、
先生が20年間235回に亘って「歴史の教訓」を連載された
致知出版社の編集者が企画したものだそうです。


内容の選択もすべて編集者任せだったようです。
たまたま、
先生がお亡くなりになられた4月17日の1週間後に発刊されています。
まさに遺言集となりました。


私は366編の中から、気にかかる16編を選ばせていただきました。
引用の下に簡単なコメントを入れさせていただきました。


この366編を読ませていただいて、
先生の真骨頂はこのような名言づくりではなく
現実に起きている事象に対する評論だったと思います。


それなりの長い文章の中でなぜそうなのかを説いてくださいました。
それが、「ものの考え方」というもので、たいへん参考になりました。
その先生の「ものの考え方」のバックボーンが
この名言集でよく分かります。


どうぞご覧ください。



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8月16日  敗戦の原因2
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先の大戦に敗北した一番の理由は、
そもそも戦争が始まる前から意志の統一がほとんど
はかられていなかったところにある。

陸軍の考え、海軍の考え、外務省の考え、
そして首相の考えがばらばらであった。

首相が左翼に動かされているとか、
戦争が始まれば陸軍と海軍の調和がなかなかとれないとか、
非常にぎくしゃくしていた。

東条英機首相はリーダーシップを発揮したいと思っても、
現役の陸軍大将でもあったから、
海軍には何も口出しできなかった。

つまり、負けるべくして負けたというわけである。
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 そういう見方もあるのですね。
 歴史家としての先生の見方です。




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9月26日 死ぬまでは生きる
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生きているうちに死んだあとのことを考えるのではなく、
死ぬまでは生きられるように生きて、そのときが来たら
ぱたっと死ぬ。それでいいと思っています。


本なども、机の上や床の上に積み上げたまま死んだとしても、
一向に構わないと思っているのです。
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 本当にそのようにお亡くなりになったようです。
 心からご冥福をお祈りいたします。




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10月8日 飢えと人間
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人類がこの世に誕生して約四十万年。そのうち、
三十九万九千九百年間、人類は飢えの中で過ごしてきました。
大部分は飢えに耐えてきたのです。


豊かさを享受するようになったのはごく最近のことです。

それで飢えの中では生の本能が刺激され耐性ができていますが、
豊かさには抵抗がありません。


わがまま、引き籠もり、自分勝手といったどうしようもない
人間が多くなっているのは、豊かさに対する抵抗欠如の結果です。


飢えの厳しさは人間に不可欠なものなのです。
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 そのとおりです。
 糖尿病とか肥満なども人類の未知の分野の経験なのです。




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10月12日 ひらめきの条件
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ひらめきの条件は、いつも絶えず考えていることである。


科学者が自分の直面している問題を絶えず考えている。

しかし、いくら考えても答えが出ないという状態で、気分転換で
もと散歩をしたり、入浴したり、あるいは眠りについているときに、
ひょっと答えが浮かんできたという話をよく聞く。


大事業家の伝記を読んでも、寝ても覚めても考えていて、
ふとした瞬間に事業を飛躍させるヒントが
浮かんできたという話がしばしば出てくる。
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 これは有名なことです。
 私もいつも経験しています。




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10月19日 戦うことは尊い
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聖職者たちがキリストの教えの下に心身ともに預け、
あらゆる迫害に対して無抵抗であるのは尊いことですし、
またその精神は生かされるべきだと思います。


けれども、現実の場において、それはあくまでも理想であって、
自分たちとは違う宗教を信じ、自分たちを圧迫するような
人間がやって来たとき、躊躇することなく、
彼らと戦わなければならないということをキリスト教圏の
歴史は教えていると言えるでしょう。


「戦うことは尊い」という考え方は、普遍的な真理です。

キリスト教圏に限らず、多くの文化圏において、
もっとも高貴な人は武人の中に見出されると言ってもいい。


そして、かつての日本は、まさに伝統的に武に尊さを
見出していた国だったのです。
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 見せかけの平和主義者でない渡部先生のお言葉です。





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10月20日 戦う精神
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大きくは国家のレベルにおいて、小さくは個人のレベルにおいて、
人は「戦う精神」を持っていなければならないし、
また「戦うことの尊さ」を理解していなければいけないのです。


そこに独立というものが成り立つのであり、
また真の平和を維持できる基礎がある。
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 そのとおりです。





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10月24日 寝食を忘れる
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「寝食を忘れる」という言葉がある。

大きな事をなしとげるにはそのくらいの覚悟が
なくてはならないということだ。


終了時間ばかり気にしている人には大きな仕事はなしえない。

これは確かに「若い人たちの一番覚えておくべき」ことに
違いない。
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 研修をしていても、成果の充実より終了時間を気にする人がいて
 主催者・講師泣かせです。





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10月28日 目的追求の喜び
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たとえ不幸な状態にあったとしても、目的を追求していく、
追求できることに幸福を感じる。


そういう人が成功する。
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 目的追求は、私が推し進める「価値目標思考」の基本です。






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10月29日 人生の戦略
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人生の終わりに差し掛かって、己の人生を振り返ってみる。

自分は何をやっていたんだろう、と思う人が多いはずです。

毎日毎日遊んでいたわけじゃない。


結構忙しく働いていたし、
そのときそのときで意気に燃えたこともあった。


やり甲斐も覚えたし、充実感も感じた。

それでも長い目で自分を振り返ってみると、
自分は何をやっていたのか、という思いを禁じ得ない。


こういう人は戦略がなかったと思っていい。
戦術だけがあって戦略がなかった。
それを戦略があると錯覚していた。


そういうことでしょう。
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 自分は戦略がなかったとは思えないのですが、
 ゴールがまだまだ見えてきていません。





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11月3日 潜在意識の活用
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「寝つくまでのあいだ、たとえ昼間どんな場合があろうとも、
それは寝床の中に持ち込まないこと。


寝床の中はあたうかぎり積極的な状態で心を堅持しなければ
駄目ですよ。


理想からいったらば、寝がけは何も考えないほうがいいんです」
(中村天風)


意識には「実在」と「潜在」の二つがあって、
実在意識の特長は判断力を初めとする「理知」の働きである一方、
潜在意識は、いい夢、いい希望、望ましいことを実現させる
「力」を持っている。


それらを思い描いて潜在意識に送り込むと、
潜在意識は知らないうちにそれを実現させるように働いてくれる。
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 潜在意識を引っ張り出して来て、自分の針路を見極める手法も
 当社のサービスメニュに入っています。





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11月8日 成功の秘訣は習慣にあり
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何かの道において秀でた人は、それぞれの職業に
適した習慣を持っているはずです。


そうでなければ成功するわけがありません。

その習慣が何であるか、子どものためにはどういう習慣が
重要かというようなことを考えて、
その習慣をつけてくれるような学校をみんなで
つくらなければいけないと思います。


そういう風潮になればいいと思うのです。
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 本当にそういうことをしてほしいですね。
 それがホントの教育でしょう。





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11月11日 淘宮術
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「朝起きて『有り難う』といい、人に会って挨拶するとき
『有り難う』といい、仕事が済んだときに『有り難う』といい、
夜寝るときに『有り難う』というのは、
すなわち淘宮術の教訓である」(野間清治)

淘宮術とは耳慣れない言葉である。

これは、生まれ持った癖を直していくことによって
幸福をつかむという考え方のことをいう。


つまり、自分を変えていくために一番重要なことは
感謝の気持ちを持つことであり、
「有り難う」ということであるといっているのである。
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 私もそれを心がけているのですが、習慣化は難しいですね。


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11月23日 不平不満
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他人の眼には幸福そうに見えるのに、
当の本人が自分自身の人生に納得いかず、
不満を述べたり、嘆いたり、という例はいくらでもあると、
古代ローマの賢人セネカはいっている。

これは今もなお、
よく見聞きすることではないだろうか。

自分にはもっと能力があるはずだが、
それを生かす機会がないとか、
自分を取り立ててくれる人がないと文句をいう。

けれども、大抵の人は文句をいうところで止まってしまって、
状況を変えるために自らが何か行動をするわけでもない。

これではやはり、人生は開けないだろう。
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 作家・宗教家の石川洋氏の言葉に、
 「不満を重ねて成功した者はいない」というのがあります。
 我が家の日めくりカレンダー(1か月もの)にこれがあるのです。
 自分のことでなく、他人を思い出すのがよくないですね。


 渡部先生も前向き人間なので、
 不満のことに触れているのはこれ1編だけです。





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12月5日 向き不向きを知る
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人は、自分が何に向かないかを確実に知ったら立派なものだ。


自分はあれをやってもできるのではないか、
これをやってもできるのではないかと思っているうちに、
本当の力を集中すべきものがわからなくなったりする。


あらかじめ、あれだけはやりたくないという、
いわば”負”の分野が決まれば、努力目標がそれだけ明確になる。


自分の向き不向きを知ることは、
人生を成功に導く非常に重要な悟りとなる。
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 早くに自己診断をすべきですね。
 商用化されているサービスがあります。利用しましょう。





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12月17日 仕事を趣味に
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いかなる仕事をするときも趣味を持たなくてはいけない、
と渋沢栄一はいう。


この趣味とは、仕事の他に何か楽しみを持つという意味ではない。

心の底から自分の仕事を好きになり、
「この仕事はこうしてみたい」

「こうすればこうなるだろう」
というように、理想や欲望を加えていくことをいっている。


つまり、仕事でも勉強でも楽しむ境地にまで達すれば本物で、
これが趣味の極致なのだ。


仕事であれば、それを楽しむ境地に至れば、
一流の経営者となり得るだろう。
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 仕事と趣味の違い。
 どちらも継続して取り組むものですが、
 違いは、お金を稼ぐか稼がないか、です。
 
 その面では、仕事が趣味になってはいけません。
 私は家族から
 「あなたの仕事は仕事ではない、趣味だ」と言われています。






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12月29日 もっと高いところを
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私は実に多くの海外滞在を、
人々がまだあまり行かない頃から何度も経験してきた。


欧米諸国の良さも身にしみて感じた。

同時に日本の良さもよく見えたと思っている。

その私が今、痛切に感じているのは、はるか雲の上にあって、
現代日本人も気づかなくなった茜さす富士の雄姿である。


そこにこそ、私たちが忘れてはならない民族の夢と誇りがあり、
いま今私たちは、日本民族としての気位を高くして
見上げる目を持ちたいのである。


「ああ、あなたがたは目のつけどころが低い。
もっと上を見なさい。もっと高いところを」と。
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 茜さす富士の雄姿!!いいですね。






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12月30日 偉大な国のつくり方
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「ローマの人たちは、
ローマが偉大だったからローマを愛したのではない。
ローマ人が愛したから、ローマが偉大になったのだ」


ここでは二つのプロセスが前提にされています。

一つは偉大だから好きになるプロセス、
もう一つは好きだから立派にするというプロセスです。


そして、一つの国が偉大になるためには、
その国を愛する人々がいて、かつまた、
その人々が偉大にしようと努力することが必要だと
チェスタトンは言うのです。
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 そのとおりです。
 日本人はもっともっと自信を取り戻しましょう!





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12月31日 愛と誇りの日本史
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私は、まず自分の先祖を愛する立場、
先祖に誇りを持つ立場から日本史を見てみたい。


愛と誇りのないところに、
どうして自分の主体性を洞察できるだろうか。
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 熱烈な愛国者であられた渡部先生の信念です。
 あらためてご冥福をお祈りいたします。

 「MBA100の基本」


【このテーマの目的・ねらい】
 目的:
  MBA的な常識とはどういうものかを知っていただきます。
  標語のような短い言葉は受け止めやすい
              ということを再認識していただきます。
ねらい:
  こういうことに関心のある方は、
          この本をバイブルにするとよろしいのではないでしょうか。


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1992年の設立以来、
「経営に関する、ヒト、カネ、チエの生態系を
創り社会の創造と変革を行う」
ことをビジョンに掲げ、
各種事業を展開しているグロービス社が編集しているものです。


「MBA100の基本」の意味は、
MBA(経営学修士Master of Business Administration)
の基礎的事項という意味でしょう。

以下の11章に分かれています。
こういうガイドブックを作るということは、たいへんな力が必要です。
まず幅広く知っていなければなりません。
これはある程度経験を積めばできるかもしれません。

しかし、その知見の中から100を選ぶこと、
それが絶対ではなくてもそれにチャレンジすることは、
たいへんな見識です。
感服いたします。

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1.論理思考 説得力を高める

2. 問題解決 望ましい状況を手に入れる

3.経営戦略 よき戦略なくして長期的な繁栄はない

4.マーケティング 効果的にキャッシュを得る

5.リーダシップ 人が動いてくれなければ、どんな仕事も実現できない

6.組織 いい仕組みが競争力を向上させる

7.定量分析 数字を使って意思決定をし人を動かす

8.アカウンティング 会社の数字を正しく読みとる

9.ファイナンス 企業価値の最大化を図る

10.新事業創造 企業存続の道であり、経済成長の源

11.交渉・説得・会議
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この11章に100の名言が紹介されています。
この中から、私が「これは何だろう?」
と思ったものをご紹介します。


「空、雨、傘」
以下のように解説されています。
 
観察される事実や分析が自分や自社にどのような意味合いを持つのか
を考える必要があります。

特に、「何をすべきか」という行動への示唆を
仮説でもいいので考えることが、
ビジネスの大きな推進力となります。

「空が曇ってきた」
  ↓
「今日は雨が降りそうだ」
  ↓
「傘を持っていくべきだ」
でこの展開は「だから何?」「それで?」です。

「事実を眺めていても何も生まれない。意味合いを考える」
ということです。


「ファスト&スロー」

行動経済学の第一人者で
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは、
人間には二つの思考があると指摘しました。

一つは早い(ファストな)思考で、システム1と呼ばれます。
これは直感的な思考です。

好き嫌いといった思考もここに含まれています。

それに対してシステム2と呼ばれる、システム1の後にくる
遅い(スローな)合理的な思考は、
適切に行えばよりよい意思決定に結びつきますが
努力も必要なため、多くの人は避けがちです。

ポイントは多くの人間が頼りがちなシステム1の直感的思考は、
バイアス(思考の歪み)にきわめて弱いということです。
 
ハロー効果:
 ある目立つ要素によって全体の印象が歪められてしまうバイアス

フレーミング:
 見せ方によって異なる印象を受けてしまうというバイアス。
  例:10万円と言われると高く感じるが、
    1日300円と言われると安く感じる。

プライミング効果:
 初期に得た印象に引っ張られてしまうバイアス

「直観に気をつける」が結論です。



「クイック&ダーティ」

どれだけ仮説検証マインドを持っていたとしても、
あまり検証に時間をかけすぎていては、
スピードが成功のカギとなりやすいビジネスシーンでは
取り残されてしまいます。

100%のクオリティを追うよりも
7割から9割方検証されたと確信できたらどんどん先に進めるべき
という考え方(多少粗くてもいいから、素早く)です。

 「時間や経営資源を有効活用する」が結論です。



「ORではなくANDを目指せ」
―「大勝するにはあえてトレードオフを打破すべし」

 (以下、―の後ろに示すのが
 その項の副題として示されているものです)

「すぐれた経営が大企業を衰退させる要因である」
 ―「自社のビジネス脅かす真の競合は誰かを理解する」

「CSVこそが競争優位につながる」
 マイケル・ポーター教授は、近年、企業の社会への貢献が
 競争優位性を築く上で非常に重要になってきたと述べています。

かつてのCSR(企業の社会的責任)とは異なり、
より能動的なCreating Shared Value(共有価値の実現)
でなくてはならないというのです。
 
CSVの基本(上野抜粋)
 価値はコストと比較した経済的便益と社会的便益
 企業と地域社会が共同で価値を創出
 (上野注:地域社会というのは大賛成です)

「神は細部に宿る」
 ―「細かなディテールにも気を配ってこそ戦略は実を結ぶ」
 →(上野)「千丈の堤もありの一穴から」と言います。

「人は見るまでその商品をほしがらない」
 ―「製品コンセプトの調査には限界がある」

「人の行動はほとんどが習慣」
 ―「選択肢に入らない段階で負け」
「フィードバックに過剰はない」
 ―「フィードバック不足の落とし穴を避ける」

「見て、感じて、変化する」
 ―「視覚と心に訴えかけることが、人が行動を変える上での鍵」

「人間はインセンティブの奴隷」
 ―「人間はインセンティブに想像以上に過剰反応して行動する」

「ビジネス数字は人間学」
 ―「人間の感情や行動をイメージしながら数字を見る」

「眼で考えよ」
 ―「グラフ化して直感的に考えることが大事」

「きれいすぎるデータには裏がある」
 ―「悪意のある数字は注意を凝らすことで見破れることがある」

「PDCAはあらゆるフレームワークを包含する」
この意味は、PDCAが最も基本となるフレームワークである、
というものです。

何をしようともPをして,Dをし、
その結果を分析反省し次につなげないとダメ
ということで、最低限度のmustだというわけです。

システム企画研修社の目的達成手法では、
業務機能としては、PDCAではなくPADSCであり、
Aを充実強化しなさい、と言っています。

AとはArrangementの略で,
Dを実行するために必要な準備をする機能です。

Aの対象は、人、物。金。システムです。

この成果次第でDの生産性が大幅に違ってくるのです。

「卵は同じ籠に入れるな」
 ―「ポートフォリオを組むことでリスクを下げる」

「NoというなHowと聞け」
 ―「頭ごなしの否定はNG」

「寿司屋とは、寿司で客寄せして酒で儲ける飲食店である」
 -「どこで損を出してもよくて、どこでしっかり儲けるのか」

「オレンジの皮か中身か」
 ―「同じものに対しても感じる価値は異なる」

「感情、規範、利得」
 人を説得するレバー(梃子)となるのがこの三つです。

 規範には、ねばならぬの大義だけでなく、
 美意識も含むのだそうです。
 相手を見て使い分けるということです。

「返報性と一貫性に注意せよ」
当書の記述スタイルを実感していただくために
この解説を単純引用いたします。
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返報性と一貫性は、ロバート・チャルディーニが
『影響カの武器』の中で示した6つの影響力のうち、
交渉や説得の場面で特に意味を持つ影響力です。
 
これを武器として用いる人間が多いので気をつけるべし、
というのがこの言葉の趣旨です。

返報性とは、人に何か施しを受けたら、
お返しをしなくてはいけないと考える人間の性向を指します。
「借り」がある状態は気持ちが悪いので
なるべく解消したいと考える人間の性向ともいえます。

返報性の怖いところは、「借り」が実在しない
架空のケースでもそれを感じてしまうことです。

「いやあ、上司を説得するのにかなり骨が折れましたよ」
などといわれれば、多くの人は
相手に「借り」を作った感じを抱くものです。
 
一方、一貫性とは、一貫した立場をとる人間と
周りから見られたいという人間の性向です。

コロコロいうことを変える人間は、
周りから信頼されないということに起因します。

一貫性も非常に強く人間の行動に影響を与えます。
 
返報性と一貫性を利用した有名な交渉術や
説得のテクニックが以下に紹介するものです。

1. ドア・イン・ザ・フェイス

これは返報性を利用した超有名テクニックです。
ここではAとBの交渉を考えます。

最初にAがBに対して過大な要求をします。

たとえば、「50万円の寄付をお願いします」といった感じです。

Bとしてはとても受け入れることはできないので、
「さすがに無理ですよ」などと答えます。

それを受けてAは、「では10万円でいかがでしよう」
などと要求を下げます。

Bは、Aが要求を下げてくれたことに「借り」を感じ、
多少その要求はまだ高いと感じていたとしても、
その条件を飲んでしまうのです。

往々にして、その下げた方の条件が、
もともとAが狙っていた条件かもしれないのです。

2. フット・イン・ザ・ドア

これは一貫性を利用したテクニックです。

ここでもAとBの2人を想定します。

今度は、まずAが3000円の寄付をBに募ります。
Bとしては、「3000円ならまあいいか」ということで気軽に応じます。

そしてしばらくしてからAはBにこういいます。
「Bさんは○○に非常に高い関心を持たれていますね。

すでに一度寄付もしていただきました。つきましては、
あらためて1万円の寄付をお願いできないでしょうか。」

気が強い人間であれば断ることもできますが、
ちよっと気の弱い人間であったり、
その寄付行為が別の人に公開されている場合には、
一度自分がとった立場を変えることを逡巡し、
相手の要望を受け入れてしまうのです。

そして徐々にエスカレートする相手の要求を断れないまま、
気がついたら数万円の寄付をしてしまう、
ということになってしまうのです。

3.ローボール

これも一貫性を用いたテクニックです。

このテクニックでは、まず、気軽に協力してもらえるような
要求を飲んでもらいます。

たとえば、AがBに対して、
「ちょっとブレストをしたいから、15分時間貸して」
というイメージです。

この程度であれば、安請け合いするでしょう。
 
問題はここからです。

「ところで、そのブレスト、土曜の朝でもいい?」
とAがいったとします。

Bとしては、土曜日は休みたいので、本来は断りたいのですが、
一度引きうけた以上、断りづらくなるのです。

これは、周りに人がいる場合より顕著になります。

そしてAはさらに畳みかけます。
「ところで、こういう資料も用意してもらっていいかな?」

もし最初に
「土曜日の午前中にブレストをしたいので、
資料を準備の上、15分ほど参加して」
といわれていたら断っていたかもしれないのに、
徐々に小さな要求を受け入れてしまったため、
最終的に大きな要求を飲むことになってしまったのです。

これらのテクニツクは、まずはこうしたものがある
というのを知っておくことが大事です。
 
そして、「来た!」と感じたら、
多少心に気後れする感じがあったとしても断固として断る、
あるいは、相手に質問を返すことで、
相手の不当性をえぐり出すなどが効果的です。

「みんなの意見は案外正しい」
 普通は、この反対を言う場合が多いので、
どういうことだろうと読んでみました。

このフレーズは社会心理学者ジェームズ・スロウィッキーの著書のタイトルを
そのまま用いたものです。
  
趣旨は、あるテーマに関して、ある程度の意見を持った多様な人間が集まると、
そこで生まれてくる平均的な見解は、
1人のエキスパートの意見よりも的を射ていることが多いというものです。

そういう面もあるでしょうが、衆愚となる危険性も大きいと思います。

 著者もその点について危惧し、
この仮説が成り立つ前提条件を挙げています。

2017年6月26日月曜日

AIがベストセラーを当てる?「ベストセラーコード」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 AIでベストセラーになるかどうかを見分けられるということを
                           知っていただきます。
 どういう本が売れるのかを知っていただきます。


ねらい:
 又吉さんの新作がベストセラー条件を満たしているかどうか、
                どなたか試してみていただけませんか。
 (1作目は有名なお笑い芸人が書いたということで人気になったのですが、
 今度はそうはいかないでしょう。売れる作家の実力が評価されます)


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「ベストセラーコード」とは分かりにくい書名ですが、
AIでベストセラーを見分けるのです。
スゴイことです。


これは本当にAIらしいAIの活用法です。



著者のお二人であるジョディー・アーチャーとマシュー・ジョッカーズは
大学の教授ではありません。
スタンフォード大学中に知り合ったようです。

ベストセラーになった本とならなかった本、
5千冊をコンピューターに読ませて、その差異を発見したのです。
概ね80%の精度で見分けられるといいますから、
目利きのできる編集者等の能力をはるかに上回っています。

差異の領域を、
以下の4つに分けてベストセラー条件を見出しています。
 
  1.  テーマ
  2.  プロット
  3.  文体
  4.  キャラクター


それぞれ、結論をご紹介します。

1.テーマ

1)主テーマが三つか四つあり全体の30%を占める。

2)サブテーマもいくつかあるがウェートが低い。


3)受け入れられているテーマ
 もっとも受け入れられているのは親密な人間関係
 結婚、死、税金、
 テクノロジー(最新の技術で、かすかに不穏な空気を感じるものがいい)、
 葬儀、銃、医者、仕事、学校、社長、新聞、子ども、母親、メディア、など


4)受け入れられていないテーマ
 セックス、ドラッグ、ロックンロール、誘惑や肉体を表現する言葉
 (「肉体」は、犯罪行為の時や痛みをあらわすときは別)

 タバコ、アルコール、神、情熱的な愛などの激しい感情、


 絶望、苦悩、社会の大変革、政財界における駆け引き、
 逗留、ディナー・パーティ、カード遊び、
 ドレスアップした女性たち、ダンス


→ということは、
 冗談や軽薄な言動よりも小火器やFBI、
 人間の顔よりも株式市場を好むらしい。
 教会よりも実験室、宗教よりも精神性、
 パーティーよりも大学、猫よりも犬らしい。


5)場所
 町や街を好む。
 想像力を一所懸命働かせなければならない場所はダメ
 砂漠、海、ジャングル、牧場などがダメ


6)登場人物
 普通の人間がよい。
 小人、君主、戦士、女司祭、軍曹、公爵、魔法使いを
 登場させてはいけない。
 (唯一の例外はハリーポッター)


上野コメント
 ベストセラーは多くの人が受け入れるということですから、
 身近であって、少し非日常性を取り入れるということが
 いいのでしょう。


 このモデルが適合するのは、80%の確率なので
 「ハリーポッター」のような
 20%の特別なベストセラーがあるということです。

2.プロット

プロットとは、
ハッピーな状態、明るい状態などポジティブな感情状態と
暗い、追い詰められているネガティブな感情状態との
交互の展開のことを言っています。


過去のベストセラーの分析では、
以下の7パターンが見つかっています。
いずれも基本的な3幕構成のどれかをとっているのですって。


この7パターンは実際にベストセラーで存在するのですから
どんな展開なのか想像してみてください。
単純なハッピーエンドではないものが結構あるということです。


 
 
 
 
 
 
 


3.文体

こういうことなのだそうです。
事実だとして告げられると、
「なるほどそうなのか」と思います。



 do:ベストセラーはそうでない本に比べ2倍登場
 thing:6倍
 very:半分  安易すぎる。
 n’t:4倍   日常会話型
 ‐’d(例 I would):12倍  〃
 ‐’re(例 You are):5倍   〃
 ’m:5倍   〃
 okay:3倍  くだけた表現
 疑問符は多い 登場人物がよく質問する。
 感嘆符は少ない うっとうしい
 .(ピリオド):多い
 ;や: 少ない
 省略符号(・・・・・):多い  読者に想像させる。
 
【上野要約】 日本語に変換するとこうなるでしょう。
 行動を記述する
 「コト」を記述する
 日常会話を使う。
 疑問符、省略符号を使う。 →読者に考えさせる。
 感嘆符、強化副詞は使わない。 →うっとうしい。
 文章を切る。 

4.キャラクター

以下、この項の主たる部分をそのまま転載しご紹介します。
たいへんおもしろい結果ですね。

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わたしたちは、その小説のなかで使われている
キャラクターの名前と代名詞をコンピューターに探させて、
それからそれらといっしょに使われる動詞を調べるという手法を取った。
 
その結果、キャラクターの行為主体性を
かなりの程度までつかむことができることがわかった。
 
「ダニエラが立つ」「彼女が読む」といったデータにより、
小説のなかでキャラクターがどのように行動しているかを調べ、
それをもとにその小説が売れるかどうかを予測したところ、
72パ‐セントの確率で正しく予測することができたのである。
 
判定に使う動詞は基本的なものに限定したが、
そこから浮きぼりになったのは、ベストセラーのキャラクターは、
非ベストセラーのキャラクターがしないことをしている、ということだった。

日常的な動詞は重要な意味を持っていたのだ。
 
ベストセラーの主人公は男女問わず、かならず何かを必要(need)
としていてそれを表明している。
 
かならず何かをほしがって(want)いて、
読者は主人公が求めているものを知る。
 
needとwantは、ベストセラー小説には欠かせない動詞なのだ。

あまり売れていない小説の場合、needとwantが使われる回数は明らかに少なくなる。
 
ベストセラー小説の世界では、登場人物は自らの行為主体性を自覚し、
コントロールし、表現する。
使われる動詞は迷いがなく、自信が伴っている。

彼らはつかんで(grab)、実行し(do)、考えて(think)、訊いて(ask)、
見て(look)、離さない(hold)。そして、愛する(love)。
 
彼らは自分をよくわかっている。
自分自身を好きであるとは限らないが、自分をしっかりと持っている。
自分の人生を生きて、ことを起こす。
 
ベストセラーのキャラクターは男女問わず、
伝えて(tell)、好み(like)、見て(see)、聞いて(hear)、笑って(smile)、
達成する(reach)。
 
そこにはエネルギーがある。
引いて(pull)、押して(push)、何かをはじめ(start)、
働いて(work)、知り(know)、そして到達する(arrive)。
 
ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに載るキャラクターは、
目的と能力と自信を持ちあわせている。
 
一方、リストに載らなかった小説では、
これらの動詞が見られる回数は少なくなる。
 
自信を持って行動するキャラクターとは
対照的なキャラクターを見てみよう。
 
モデルが抽出した結果によれば、彼らはあまり何かを必要とせず、
求めず、行動せず、語らず、達成しない。
 
そのかわり、立ちどまり(halt)、あきらめる(drop)。
 
ところが読者は、
一方的に要求(demand)しながら、見かけだけではっきりせず(seem)、
じっと待って(wait)、邪魔をする(interrupt)
キャラクターにはつきあいたくはないと思っている。
 
読者は、
見かけだけではなくて、はっきりさせてほしいと思っている。
待つのではなく、行動してほしいと思っている。

要求して邪魔をするのではなく、自信と品格を持ってほしいと思っている。

 
魅力のないキャラクターは、男でも女でも、
声を張りあげて(shout)、放り投げ(fling)、
突然向きを変えて(whirl)、相手を押しのける(thrust)。
 
勘弁してほしいと思うだろう。
 
さらには、ぶつぶつと文句を言い(murmur)、
抗議して(protest)おきながら、ためらう(hesitate)。
読者はあきれるに違いない。

これらの動詞は物語の主人公というより、ぐずる子どものためのものだ。

「ためらう者は機会を逃す」というが、小説にもあてはまるようだ。
「ためらい」はページをめくらせない。
 
あなたが小説の登場人物で、立ちどまったり、あきらめたり、
ためらってばかりいるとしたら、それは空白のページを生みだしているに等しい。
 
データは、ベストセラー小説における
男女の役割には違いがあることを示している。
 
行動することはするのだが、その行動には違いがある。
 
何かを費やして(spend)、歩いて(walk)、祈る(pray)のは共通しているが、
男はキスをして(kiss)女は抱きしめる(hug)。
 
男は女よりも飛んで(fly)、運転して(drive)、殺す(kill)。
女は男よりもおしゃべりをして(talk)、読んで(read)、想像する(imagine)。

男は旅をして(travel)、女はとどまる(stay)。
(上野注:これは原始の狩猟時代の人間生活のパターンの名残りです)

男は仮定して(assume)女は決断する(decide)。

男は約束して(promise)、女は信じる(believe)。
どちらも愛する(love)が、どちらも憎む(hate)のは女。

どちらも眺める(see)が、見つめる(stare)のは男で、
見つめる先にはたいてい女がいる。
 
女は悲鳴をあげて(scream)、突き飛ばす(shove)。
男はくよくよと悩んで(worry)、殴る(punch)。
 
このようにベストセラーには伝統的な男女の役割を示すパターンがあるが、
もうひとつ男女に共通する注目ポイントがある。
 
 わたしたちが集めた小説すべてから精神や感情に関する動詞を
すべて抜きだしてみた結果、
実存的な経験はベストセラーのほうに多いということがわかった。
 
ベストセラーに顕著に見られる動詞は22あり(上野注:前掲)、
それ以外の小説では8つしかなかった。
 
ベストセラーのキャラクターが感情を表現するときに使う動詞の上位4つは、
必要とする(need)、ほしい(want)、寂しく思う(miss)、愛する(love)
だった。
 
これらを分析するだけで、古典の名作や大ヒット作を見分けることが
できるかもしれない。

ベストセラーのキャラクターは、非ベストセラーのキャラクターにくらべて、
平均して、needとwantを2倍、missとloveを1.5倍の頻度で使っている。
 
ヒットしない小説のキャラクターの感情は受動的に表現される傾向がある。
 
まわりの環境に受動的にかかわることを示す動詞が使われるため、
みずから世界をつくるのではなく、世界がそのキャラクターをつくる、
という印象を読者に与えてしまう。
 
閉鎖的で、ネガティブなキャラクターである。
 
彼らは、受けいれて(accept)、嫌悪し(dislike)、はっきりせず(seem)、
仮定して(suppose)、償う(recover)。
それから、願う(wish)。
 
needやdoが能動性を失ったらwishになるのではないだろうか。

非ベストセラーのキャラクターは、ベストセラーのキャラクターにくらべて、
平均してwishを1.3 倍、supposeを1.6倍、
dislikeにいたっては2倍使っている。

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そうやって、ベストセラーの条件が分かってくると、
コンピュータが小説を書けるようになるのか、という疑問が生じます。

最後の章で、
コンピュータに「書かせる」ことについての試みや事例等の紹介があります。
著者たちの結論は、感動を与えるような創造性のあるものは無理だろう、
ということでした。

なお、この本の解説者が、こういうことを言っていました。
「これはアメリカのことである。日本にそのままあてはまると思うな」
「今の社会状況を反映しているので、変わっていく可能性がある」

この本を読む人であればそのくらいの見識はお持ちでしょうに。