2024年3月18日月曜日

「まっすぐ考える」とどうなる?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「世界的ベストセラー」といわれる思考法のご紹介をします。
 分かるような分からないような内容です。
ねらい:
 ご関心ある方は、本書を研究してその成果を教えてください。
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この本の表紙に
「考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり」
とありました野に引かれまして、買ってみました。
ところが、この本の目次は以下のようになっていて、
どこを見ても、考えた瞬間に答えが出てくることの記述はありません。
むしろ、「いろいろ考えろ」という感じなのです。







よくよく読んでみて、「考えた瞬間」に答えが出るなどということは
日本の出版社が勝手につけた文言で、
著者はそういうことは言っていません。

しかしながら、目次をご覧いただいてわかりますように著者の主張も体系的ではありません。
あれこれ、言いたいことを述べている、という感じなのです。

そこで私が、著者の主張の整理をしてみました。
それが以下です。






1.著者の主張の基本

私はこの本で、プラグマティズムを基盤とした

「明晰思考」という思考法を提唱したい。

明晰思考で大切なのは、いつでも地に足を着けていることだ。

事実を見て、他者の意見を聞き、その上で現実的な結論を導き出す。

 2.そのためにどう考えるか

自分がコントロールできることを考える。

「中立」になる。

「事実」を見る。

「今」に集中する。

「わかりやすく」考える。

「時間」をかける。

「細部」に気を配る。

 3.そのために必要なこと

内省の時間をつくる

心に「静寂」を見つける。

 

肝心の「明晰思考」とはなんであるかは
事実を見て、他者の意見を聞き、その上で現実的な結論を導き出す。
とあるだけで、これ以上の定義はありません。
それ以上のことが分かりません。

著者が挙げている以下の典型的例をご覧ください。
一切、原文のままです。
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2014年、私は生まれ育ったオランダのレーワルデンを離れて
ロンドンに移り住んだ。
レーワルデンの人口は10万人だが、
ロンドンの人口は700万人にもなる。

環境の変化は予想していたよりも厳しかった。
特に大変だったのが、住む場所を見つけること。
自分で調べたり、新しい同僚たちに聞いたりしたところ、
どうやら短期間で部屋を見つけるには、
かなりぼったくられることを覚悟しなければならないらしい。

そこで私は、3か月という短期の賃貸を選んだ。
そのほうがずっとかんたんだったからだ。
職場まで公共の交通機関で1時間以内という条件を決め、
その条件の中でロンドンの様々な場所に住んでみることにした。
それが私の計画であり、幸いにもすべてはうまくいった。
少なくとも最初のうちは。

そして2か月後、サウスウエスト・ロンドンのアールズフィールドに
寝室が一つの手頃な部屋を見つけた。
計画は完璧だった。
最初に借りた部屋を解約し、新しい部屋を借りる契約を結ぶ。
両親と兄弟がわざわざオランダから車でやって来て、
引っ越しの手伝いをしてくれた。
荷物はそれほどなかったので、車で十分に運ぶことができる。
新居までは車でわずか10分の距離だ。

これで引っ越しはすべて終わるはずだった。
荷づくりをして、新しい部屋の鍵を受け取り、
今の部屋の鍵を大家にかえし、新しい部屋に移る。
あとはネットフリックスでも見ながらのんびりすごせばいい。
荷造りから移動まですべて同じ日に終えるつもりだった。

しかし、物事は計画通りには進まない。
引っ越しの直前になって新しい大家の気が変わり、
やはり貸さないと言い出したのだ。
それを言われたのは、引っ越し予定日の前日だった。
前の部屋はすでに引き払っている。
突然、私は済み場所を失い、
ただ荷物を詰めたSUVだけが残された。
その日の夜、
私は両親が泊まるホテルで盛大にパニックを起こした。

「どうしたらよいかわからない!荷物は全部車に積んである。
みんなにわざわざオランダから来てもらったのに、
僕はこんなところで途方にくれているだけだ」
その日、私は夜遅くまでずっと自分を責めていた。

あなたはもしかしたら、
「それぐらいのことで?」と驚いているかもしれない。
たしかに今思えば、私の態度は少し過剰反応だった。
いや、正直に言おう。私はすっかり悲劇の主人公になりきっていた。

今、私がこの出来事について話すのは、
思考の影響力を理解するのにぴったりだと思ったからだ。
私は自分の思考にばかりとらわれていて、
現実の状況が見えていなかった。
明晰な思考を失っていた。
しかもその原因は、世界を揺るがす大問題だというならまだわかるが、
実際はささいな問題だ。

その翌日、両親や兄弟からの励ましもあり、
自己憐憫にひたるのをやめて、
その代わりに解決策を探すことにした。
私は自分にこう言った。「Think straight」
頭の中の混乱を解消し、明晰思考に置き換える必要があった。
問題の核心までまっすぐにたどり着きたかった。
これをイラストにするとこうなる。













左:役に立たない思考が集まってごちゃごちゃになった状態
  (心配、ストレス、混乱、どうしたらいいのかわからない)
右:一つの(有効な)目標を持つ明晰思考
  (自分の精神をツールとして活用したい。
   この引っ越しという問題で、
   今すぐにでも解決策を見つける必要がある)

明晰思考で考えると、答えは意外と簡単に見つかった。
新しい部屋が見つかるまでAirbnbで部屋を借りればいい。
結局、Airbnbでの滞在は1週間になった。
借りるつもりだった部屋の大家の気がまた変わり、
やはり私に貸してくれることになったのだ。
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いかがでしょうか?
これで、明晰思考がどういうものか分かりますか?
「冷静になって考えろ」
という以外にどうやって考えればよいのか不明です。

「価値目標思考」の提唱者としての私なら、
このようにガイドします。
この問題も、問題解決問題です。
問題解決問題では「どうしようか?」が入り口です。
上掲の例で、著者が感じた心境です。
この問いに対して。「どうしようか」の前に
「どうなればいいのだろう?」と問題解決の目的を考えるのです。

価値目標思考では,目的を「目的」と「ねらい」に分けて考えます。
目的:この件で直接実現する成果の目標
   (どういう状態を作るのか)
ねらい:目的が達成できて実現したい成果の目標
   (それでどうなりたいのか)
ねらいは、著者の言うプラグマティズム的「役立つこと」です。

この例で言えば、
目的:まずは住む場所を見つける。
ねらい:長い期間に亘って安定した生活ができる。
(とりあえず、住む場所を見つけて、
そこで、安定した生活のできる住まいを見つける、
ということになります)

つまり、
「明晰思考」は「目的・ねらいを考えろ!」ということなのです。

前掲の私のまとめの「2.そのためにどう考えるか」は、
『目的・ねらい』を的確に捉えるためのハウツーなのです。
この中には「時間をかける」ということも含んでいて、
「考えた瞬間」というイメージには合わないものも含んでいますが、
それでいいのです。

この中にある「自分がコントロールできることを考える」は、
目的を考える場合の、「当事者責任」を言っていて、
「価値目標思考」と共通です。

そして「3.そのために必要なこと」は、
明晰思考実現の環境条件を示していて、
アイデア出しの環境条件である「三上」(枕上、鞍上、厠上)
に通ずるものがあります。

思考法の原理は、万国共通です。

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