2024年3月12日火曜日

「思考の整理学」--思考法の整理をしてみました!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 東大・京大の学生が読んだと言われる「思考の整理学」
 をご紹介します。
 ついでに。「思考法」の整理をいたしました。
ねらい:
 何かお役に立つヒントがあるかもしれません。

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本項は、外山滋比古博士著「思考の整理学」に基づく解説です。
たまたま書店で平積みになっているのに
「思考」の文字が見えましたので買ってみました。

「刊行から40年、東大&京大で1番読まれた本」
と帯に紹介があります。
平たく言えば、卒論ガイドなのです。
卒論以外でも何かを書かなければならない人の参考書です。

学生が、「何を書いたら良いのでしょうか」と相談に来ると言われています。文系の学生ですね。
遊び呆けていても卒論は書かないと卒業できません。

そういうことですから、初歩的なガイドです。
初歩的なガイドは、ある面で当り前の内容なのですが、
誰も書かなかったのでベストセラーになったのだと思われます。

人文科学者の著作風で、あまり分析的ではありません。
章立ての名称がなく、
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、あとがき、となっています。
「あとがき」はありますが、「はじめに」はありません。

著者の言いたい主なことは以下のとおりです。
1.学校は「グライダー訓練所」である。
 グライダーは自分だけでは飛べない。
2.朝飯前
 考え事は朝が良い。空腹の方が頭が働く。
3.発酵
 考え事はしばらく寝かせておいた方がよい。
 へばりついて考えていても展開は得られない。
 (上野注:まったく同感です。実践しています)
4.カクテル
 いくつかの考えを取り入れた方がよい。
5.セレンディピティ
 違うものの類似性からヒントを得る。
6.情報の記録法
 スクラップ、ノート、カードなど。
 (上野注:今風ではない)
7.整理
 重要でないものは忘れる必要がある。
 忘れないと新たなことが記憶できない
 (上野注:この説には賛成できない。
 大事なことを考える方法を強化した方がよい)
8.気分転換
 連続して集中していても成果は出ない。
 違うことをした方がよい。
 「田舎の勉強、京の昼寝」という言葉がある。
9.とにかく書いてみる
 書いているうちに練れてくる。
 書いたものを声を出して読んでみるのもよい。
10.ロータリークラブ
 異質の世界からヒントが生まれる。
11.三上
 アイデアが出るのは、次のとき。
 いずれも、居場所が固定されていて他のことができずに
 集中できる状態です。
 中国の欧陽修の言葉だそうです。
 馬上
 枕上(寝床の中)
 厠上(しじょう。トイレの中)
 (上野注:まったく同感です。実践しています。
  ただし、昔の厠がのんびりできたのは不思議?)
12.三多
 文章上達の秘訣3か条
 (これも欧陽修の言葉だという)
 看多(多くの本を読むこと)
 做多(さた。多く文を作ること)
 商量多(多く工夫し、推敲すること)
13.三中
 (外山説)
 無我夢中、散歩中。入浴中
14.ことわざ
 ことわざがヒントになることがある。
15.第1次的現実把握の重要性
 テレビの情報は第2次的現実である。
 それが現実であると錯覚してはならない。
 自らの体験による第1次的現実の把握をしなくてはならない。
 ことわざは、第1次的現実の思考の結晶である。
16.知的活動の3種
 1)既知のことを再認する
  多くの学校教育。これで終っていては進歩がない。
 2)未知のことを理解する
 3)まったく新しい世界に挑戦する
   これは容易ではない。
   「読書百遍、意自ずから通ず」の努力が必要である。
17.拡散と収斂
 論を形成するには、拡散と収斂が必要である。
 拡散:情報収集段階
 修練:情報の分析整理段階

たいへん失礼ながら、この程度のことでも、
まったく勉強をしていない学生には、役に立ったのでしょう。
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私は、ブログを月間数点発行している「もの書き」ですが、
私の情報整理法はこうなっています。
1.新聞情報(日経新聞のみ)
 切り抜きしておき、定期的に分類ファイルに収容します。
 裏表がある場合は、コピーを取ります。
 分類ファイルは、
 20種類くらいの自分の情報整理用の分類になっています。
 「生成AI」など分類が追加されるときもあります。

2.雑誌(日経コンピュータ誌のみ)
 分類ファイルに該当する記事がある場合は、破って取り出します。
 定期的に分類ファイルに収容するのは、新聞記事と同じです。
 残りの雑誌は2年ほどそのまま保管しておきます。

 以前、雑誌を共有していた頃は、
 目次をコピーして保管しておき、インデクスとして利用しました。
 しかし、目次のタイトルと自分の分類が一致するとは限りませんので
 目次コピーの有効性には限界がありました。

3、書籍
 関心を持った書籍は必ず自分用に購入します。
 関心のある部分に付箋をつけます。
 意見を書き込む場合もあります。
 ブログへの記事を書いたら、
 一応の分類をしている書棚に保管します。
 
 図書館の書籍を利用する場合もたまにありますが、
 その場合は、コピーをとります。
 コピーをしたものは、新聞や雑誌記事と同じ扱いです。

共通して言えるのは、
情報源は自分用に所有する、ということです。
そうすれば、
その情報源を自由に物理的に加工保存することができるのです。
古本屋に売る時のことを考えて?
雑誌や書籍をきれいな状態で保存しようという考えは、
目的のはき違えだと思います。
自分の利用目的に合わせて使用を考える方が先です。

「情報の整理学」では、
カードやノートでメモを作ることが紹介されていますが、
研究者でもなければ、それだけの手間をかけることは長続きしません。
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以上のように、本書の内容はせいぜい思考の整理学であって、
思考法の整理にはなっていません。
そこでこの際ですので、思考法の整理をしてみました。
2023年10月に以下のブログを書きました。

ここでご紹介した「思考の方法学」では以下の記述がありました。
「思考」という言葉はとても一般的で広範な意味をもちますが、
今回、特に限定的に焦点を当てるのは、
 ある目的をもって物事に対処し、
 納得したり解決策を見つけたりするために考える
という営みです。
こうした思考を支える技術としての「モデル分析」に
さまざまな角度から焦点を当て、
それを上手く役立てるための方法を分かりやすく解説します

モデル(思考)の目的の類型がこのように示されています。

番号

目的

内容

類型1

経験的な事実の確認

現実を観察すると興味深い現象が起きている用に見える。それは本当に起きているのか、勘違いなのかをあきらかにしたい。

類型2

真理の解明

ある興味深い現象が起きていることが確かになった。そのメカニズムを明らかにしたい。

類型3

最適解の算出(注)

ある目的を達成するための最も良いやり方を見つけたい。

類型4

将来予測

このままだと将来どうなるかを、あらかじめ知っておきたい。

類型5

物事の評価

あることを実現するためにいくつかの方法が提案されている。それらを比較して順位をつけたい。

類型6

アルゴリズムの開発

ある問題の解を求めるための計算の手続きをつくり出したい。

類型7

存在証明

ある事柄が生じうるかどうかを明らかにしたい。


つまり、思考法全体ではなく、
「モデル分析」の方法の解説書でした。
私は、当ブログで
「当書は思考の方法学の書名はおこがましく、
せいぜいが問題解決の方法学である」と書きました。

では思考法の整理としてはどうなるのでしょうか。
思考法は以下の3種類に分かれます。
この分類法は、日本実業出版社の以下のシリーズ書籍の区分によります。
 3分でわかるロジカル・シンキング
 3分でわかるラテラル・シンキング
 3分でわかるクリティカル・シンキング

1.思考法の3分類

ロジカル・シンキング

何らかの筋道だった論理で思考する思考法をいう。 日本語で「論理思考」とも言われる。

MECE、ロジックツリー、演繹法、帰納法、起承転結、因果分析、目的思考、など。

ラテラル・シンキング

何らかの筋道だった論理で思考する「ロジカル・シンキン グ」に対して、不連続に飛躍して考える思考をいう。 「水平思考」とも言われる。

オズボーンのチェックリスト、コトラーの思考法、ブレーンストーミング、ゼロベース思考法、弁証法

クリティカル・シンキング

常識・前提・先入観・問題設定・問題構造・因果関係 などの当然と思われていることを疑ってみる思考。 これにより、新しい結論が得られる。

疑うものは、常識、先入観、因果関係、思考の深さ・幅、問題設定自体


この3種の思考法の利用方法はこうなります。














詳細は以下の「思考法解説」を参照してください。
これは、システム企画研修社の研修テキストです。

私どもが主張している「価値目標思考」は、
ロジカルシンキングであると同時に、
問題設定を疑う(「そもそもそれは何のために検討しているのか?」)
という点で、クリティカルシンキングでもあります。

以下に価値目標思考とは何かを示します。

価値目標思考とは何か

1.   何かの検討を行う際に、

実現したい「目的・ねらい」から検討を開始する。

「どうしようか?」の前に、「何のためにこれをするのか」と考える。

2.「目的・ねらい」を価値目標で考える。

  価値目標とは、それが実現すると嬉しいことである。

そのために何かをするのである。

3.「目的・ねらい」は、「目的」と「ねらい」に分けて考える。

  「目的」は何かをする中で実現する成果目標、

「ねらい」は、「目的」の実現結果で実現する成果目標。

「ねらい」を検討した結果で「目的」を設定する。

実施者にとって、両者は責任度合いが異なる。


「目的・ねらい」の例 
 ねらいによって目的が変わります。

検討テーマ

目的

ねらい

運動する

脱メタボ

健康寿命を延ばす

運動する

体をスリムにする

もてる

ダイエットする

肥満を解消する

美しくなる

業務改善する

決算納期を早める

会計基準に合うようになる

業務改善する

業務のミスを減らす

お客様の評価をいただく

行動改善する

挨拶がスムーズにできる

組織に溶け込める

行動改善する

規則正しい生活をする

生活満足度が向上する

DX

ビジネスのデジタル化を行う

事業競争力を強化する

生成AIの活用

業務を効率化する

事業収益が改善される

生成AIの活用

商品/サービスを強化する

お客様満足度が向上する


詳細は、以下の「目的達成手法コンパクトガイド」の
「目的・ねらいの達成手法」をご参照ください。
c23.pdf (newspt.co.jp)

問題解決の検討には、その前半で問題解決目的の設定があり、
その後半に解決策の検討があるのです。
多くの問題解決手法は後半部分しかないので、機能しない
というのが私どもの主張です。

花坂爺さんが金銀を掘り当てたのは、
ポチが「ここ掘れワンワン」と言ったからで(目的設定)、
爺さんが穴の掘り方(解決策検討)が上手だったからではないのです。

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