2019年6月20日木曜日

「ゴーン帝国の20年 カリスマ失墜」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 カルロス・ゴーン氏事件についてあらためて考えてみます。
ねらい:
 「絶対権力は腐敗する」を肝に銘じましょう。
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この本は2019年5月に日経ビジネス社から出版されました。
日経BP社の取材陣が追いかけてきた記事を収録したもので、
以下のような章立てになっています。


1.混迷 カリスマの功罪 (要約的な章です)
2.降臨 フランスから来た男
3.破壊 大リストラと系列解体
4.再生 V字快復の光と影
5.栄光 飽くなき成長欲
6.君臨 世界制覇の野望
7.直撃 ゴーンショックからリーマンショックへ
8.中国 巨大市場に見出した活路
9.電撃 EVに大博打
10.膨張 スリーダイヤを飲み込む
11.不正 完成検査問題の闇
12.転落 容疑者になったカリスマ
おわりに 漂流する日産・ルノー・三菱連合


当書は「これが事実だ!」と売り出すような内容ではなく、
ほとんどはゴーン経営に関心のあった人であれば
知っていることです。
それを歴史的に集大成したという意義はあります。


私が新たに知ったり考えたりしたことは以下のとおりです。


1 当時の塙社長の功績
 ルノーに救済を求めて助っ人を呼び込んだのは
 その時の日産社長塙さんです。


 伝統もプライドもある日産社長が自分の立場を捨てて、
 単なる提携ではなく助けを求めたのはたいへんな決断だった
 と思われます。


 塙社長は自分では改革を進められなかったのですが、
 この決断は賞賛すべきだと思います。
 ゴーンショックを実現できたのは塙社長の貢献なのです。


 逆に言えば、そうしないといけないほど
 日産は追い詰められていたのかもしれません。


 私はある機会に塙社長に質問をしました。
 「ゴーンさんが経営の実権を握るようになったのは
 少しずつ状況が進展してそうなったのですね?」
 そうしましたら塙社長は、若干気色ばんで
 「そうではない。初めから決めていた」と言われました。


 失礼ながら、秀才社長の名決断でした。


2.日産の会社の社風
 日産コンツェルンの創始者鮎川義介氏の進取の気性が
 日産自動車にも根づいていました。
 戦後のダットサンは一世風靡の国産車でした。


 ところが、成功している会社はいつしか事無かれ主義に陥ります。
 日産もそのたぐいでした。
 その体質で強いリーダが現れると、
 すべてその人に従うということになってしまいます。
 
 その例は、
 労組の塩路一郎氏(経営にも強い発言権を持った)でした。
 その社風がゴーン社長に対しても効いたのではないか、
 と書かれていました。
 
3.ゴーン氏の失敗原因
 ゴーン氏の日産を立ち直らせた手法に関しては、
 本書でもしっかり認めています。


 当書のカバーにある「なぜ転落したのか」については、
 「絶対権力は徹底的に腐敗する」という格言に尽きるようです。
 それ以上の追求はしていませんで、新事実の発表はありません。


 私は、ゴーン氏が逮捕された直後の当ブログで
 ゴーン氏の生い立ち(レバノン出身のブラジル移民で生活の貧しさ)が
 倫理観欠如で私利私欲に走るということになったのではないか
 と想定しました。
 しかし本書のような公的な出版物では
 そのような推定に基づく中傷のような記述はしていません。


因みに当然のことですが、
ゴーン氏の功績については具体的詳細に紹介されています。
それはそれとして、ということです。

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