2023年1月10日火曜日

紅白歌合戦はどうなる?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 2022年の紅白歌合戦を総括してみました。
 今後の方向性を検討してみましょう。
ねらい:
 NHKは英断するのでしょうか?
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1年前に、私は当ブログ
紅白歌合戦の低落傾向を見て、「このままではダメだ、
1部は若者向け、2部は中高年向けと分けたら良いのではないか」
と提言しました。
ですが、今回は意見が変わりました。

前年の視聴率(関東の平均)は、
過去最低で40%切れの34.3%でしたが、
今回は35.3%と多少持ち直しました。
しかし、以下のグラフでご覧いただくように、低落傾向は否めません。











まずは、今年の人気ランキングです。

順位

歌手/曲名

視聴率 区分

1

福山雅治/桜坂

39.5 ソロ

2

MISIA/希望のうた

37.7 ソロ

3

桑田佳祐feat,佐野元春,世良公則,Char,野口五郎/時代遅れのRocknRoll Band

37.3   group

4

KinKi Kids/25th Anniversary Medley

36.7 group

5

安全地帯/I Love Youからはじめよう

36.3  group

6

松任谷由実with荒井由実/Call me back

36.1 ソロ

7

純烈(ダチョウ俱楽部・有吉弘行)/プロポーズ~白い雲のように

36.0 group

8

石川さゆり/天城越え

35.8 ソロ

9

ゆず/夏色

35.4 duet

9

乃木坂46/裸足でSummer

35.4 group

9

back number/アイラブユー

35.4 group

  合計 group6組、duet1組、ソロ4組


グループの曲が多いことが確認できます。
昨年に引き続きランクインしているのは、
福山雅治,MISIA、石川さゆり、ゆず、さんです。
まともな歌謡曲は、石川さゆりさんだけです。
なぜか、グループは1組も再選されていません。
グループのファンは浮気っぽいのでしょうか?

以下に、今回の状況の分析と対策の検討をしてみました。
1.視聴率低下の要因
(1)(若者側の要因)若者がテレビ離れをしている。
今の若者は、スマホでゲームや  Youtubeに夢中になっています。
NHKではせっかく若者向けの番組編成にしているのに
見てくれないのです。

おそらく、今の若者世代は、
家族と「紅白」を見るということはしないでしょう。
今年のデータは得られませんでしたが、昨年のデータを以下に再掲します。

 (スポニチのコメント)
 個人視聴率のデータを見ると、
 20年と比べて特に数字が落ちたのは若年層だ。
 紅白の第2部では、
 男女4~12歳は21・2%(20年)→13・5%(昨年)で7・7ポイント減、
 M1層(男20~34歳)が19・5%→12・9%で6・6ポイント減、
 F1層(女20~34歳)は25・0%→20・0%で5・0ポイント減と、
 それぞれ大幅に下落した。
 ほかの年代も数字を下げているが、
 M3層(男50歳以上)は4・4ポイント減、
 F3層(女50歳以上)は3・8ポイント減と、
 若年層に比べれば幅は小さかった。

【読売新聞オンライン】
「紅白歌合戦は『付録の豪華さで買わせる雑誌』になった」
ではこう言っています。
低迷の背景には、
録画機器とネットの普及でタイムシフト視聴・録画視聴が一般化し、
さらにユーチューブなどの個人発信の動画視聴も
人気を集めるようになったことで、
民放も含め、放送番組の見られ方が一変していることも挙げられる。

つまり、テレビ自体がこれまでにないほどの大きな岐路に
立たされているというわけだ。
ところが、NHKがこうした現実に十分対応できず、
紅白を含めた番組全体が、
民放以上に”金属疲労”を来しているとみる声もある。

民放での番組制作経験のある
影山貴彦・同志社女子大教授(メディア研究)は、
NHKの番組について
「古くなった鉄橋のサビを取らずにペンキを塗っているようなもので、
焦って若者に迎合しようとして結果が出せない状態に陥っている」
と分析。
「NHKの制作者は、いろんなしがらみを気にしすぎて、
自由に番組を作れていないのではないか。
作り手が面白いと思っていない番組を、
視聴者が面白がってくれるわけがない」と話している。
これは放送界全体への問いかけかもしれない。

(2)(中高年側の要因)
「紅白歌合戦」に期待する中高年向けの「歌謡曲」のヒット曲がない。
今や歌謡曲のトップスター石川さゆりさんが歌うのは、
往年のヒット曲「津軽海峡冬景色」と「天城越え」だけ。
天童よしみさんが歌った「ソーラン祭り節」は2012年のヒット曲、
坂本冬美さんは、美空ひばりの「お祭りマンボ」を歌わされました。
歌謡曲女性後継歌手の水森かおりさんと三山ひろしさんは新曲でしたが
中高年の支持は獲得できていないでしょう。

(3)(共通要因)そもそも歌番組が人気凋落している。
(3.1)歌を聞くという習慣がなくなっている
以下に1963年の紅組出演者を示します。
素晴らしい顔ぶれですね。
その頃の視聴者は紅白放送時点で
ほとんどすべて聞いたことのある曲であったと思います。
それで、1年を振り返るということができたのです。 

























今は、歌謡曲ファンを育てる以下のような歌謡曲番組もありません。 

番組名称

放送局

実施年

開催サイクル

紅白歌合戦

NHK

1951

毎年1231

思い出のメロディー

NHK

19692019

毎夏(「夏の紅白」)

輝く!日本レコード大賞

TBS

1959

毎年1231

2006年から1230

高橋圭三

輝け!!日本歌謡大賞

TBS以外の民放

19701993

年末各曲独自

ザ・ヒットパレード

フジテレビ

19591970

毎週(曜日は変遷)

夜のヒットスタジオ

フジテレビ

19681990

毎週月曜、後水曜

芳村真理、古館伊知郎

NTV紅白歌のベストテン

NTV

19691981

毎週月曜

堺正章

ザ・トップテン

NTV

19811986

毎週月曜

ザ・ベストテン

TBS

19781989

毎週木曜、黒柳徹子



(3.2)お笑いタレントが活躍するバラエティ番組が多い。
どのチャンネルを見ても、お笑いタレントが仕切っている番組をやっています。
もはや、茶の間の友は歌手ではなくお笑いタレントなのです。
今回の紅白でもバラエティ要素のある「企画」モノが
全54件中11件もありました。

2.2022年紅白歌合戦の総括
こういう傾向の中で視聴率の低下傾向を止められたのは、
企画モノの工夫をしたなどの番組企画上の成果と言えます。
しかし、企画や運営が若者重視思考になっていて、
ベテランに対する配慮が足りないというクレームも出されています。

YAHOOニュース
年配視聴者の「紅白歌合戦」離れは今後確実に進むーーー
大先輩を雑に扱ったNHKにダメ出し!(桧山珠美)
 年末の紅白を見て、長年言われるがまま受信料を支払い続け、
 NHKを支えてきたお年寄りへの思いやりがみじんも感じられず、
 悲しくなった。
 中略
 最も問題なのは、
 審査員の黒柳徹子(89)と、加山雄三(85)の雑な扱いだ。
 4組が歌い終わったところで注目ポイントを聞かれた徹子。
 なかなか声が聞こえないと思ったら
 ペンライトとマイクを間違えてしゃべっていたようで、
 これに気づいたお隣の羽生結弦がマイクを渡して事なきを得た。
 
 加山も、これを最後にステージから引退すると宣言していたのに、
 さらりとこれまでを振り返る紹介のみ。
 「海、その愛」を渾身の力で歌っていたが、
 2番に入るとステージをウロウロし出した。
 おかげで歌詞も間違えるありさま。
 おそらく2番は歌いながらステージを歩く演出だったのかも。
 それを忘れて中央で歌う加山に
 「歩いて」というカンペが出たのかもしれない。
 ヨタヨタ歩く若大将の姿は見たくなかった。

 徹子といい、加山と言い、大先輩に対するリスペクトがなさ過ぎだ。

いずれにしても、旧来型の紅白歌合戦は終わりを告げ
新時代へ移行が始まっているのです。

3.今後の方向性
では、今後の紅白歌番組はどうしたらよいのでしょうか。
今回の紅白は全部で54ショットがありました。
以下の構成です。
 企画モノ   11件
 グループ歌手 19件
 2人歌手    2件
 1人歌手   22件
 (1人歌手のうち、歌謡曲(演歌)歌手は7人、
  中間的な歌手(MISIAm福山雅治など)が4人?
  POP系が11人です

今年の実態を見て
昨年、提案したような、1部・2部制は無理だと分かりました。
2部を構成できるだけの歌手がいないのです。

上掲のYAHOOニュース
年配視聴者の「紅白歌合戦」離れは今後確実に進むーーー
ではこう言っています。
今回で懲りて、お年寄りの「紅白」離れは確実に進むに違いない。
2部制なのだから、1部は若者、2部は中高年と
ターゲットを分けた方がスッキリする。
人数も10組ほど減らして、その分じっくり聴かせる紅白を切望する。
これは昨年の上野案そのものなのですが、
私は取り下げます。

そこで今後の方向性として2案が考えられます。

案1.穏便案 
穏便な案は、今回の延長で企画の要素を高めていく方向です。
その中で歌謡曲(演歌)は、数少なくなっているのですから、
本人の歌をまともに歌って欲しいと思います。

読売新聞オンラインのコメント
紅白歌合戦は「付録の豪華さで買わせる雑誌」になった....
「次から次へと多人数グループ、歌より踊り..「老人軽視だ」

1951年にラジオ番組として始まった紅白は、
テレビ放送が始まった53年からは、
テレビでも放送されるようになった。
ビデオリサーチ社が調査を始めた翌年の63年には(前掲)
関東地区で視聴率81.4%を記録。
大みそかの国民的行事としてお茶の間の支持を得てきた。

だが、80年代以降、音楽が多様化したほか、
レンタルビデオやカラオケボックスなど大みそかの過ごし方が変化。
さらにインターネット社会、SNSの進展で
娯楽の選択肢が一気に広がり、視聴率はあおりを受けている。
中略
今回の試みを踏まえて桧山さん(前掲)は改めて
「その年にヒットした歌や聴きたい曲を大みそかにゆっくり楽しむ
感覚こそが、普通の音楽番組と違う紅白ならではの価値」と訴える。

「多くの世代が楽しめるのが紅白のはず。
だから将来の視聴者を取り込みたいというような
よこしまな発想で出場者を選ぶのでなく、
視聴者投票を導入するなど透明化すべきだ。
その上でAI(人工知能)を使って
亡くなった歌手に出演してもらってもいい。
誰のために紅白を続けるのか考える時期に来ている。
出場歌手を厳選し、
1人あたりにもっと時間をかけて歌わせてあげてほしいし(上野賛成)、
歌手の人たちが心から「出場するのが夢でした」といえるような
紅白であり続けてほしいです」

このご意見で、
石川さゆりさんが歌い終わって何か不満げな顔をしていたのを
思い出しました。
企画モノと企画モノに挟まれ短い時間で歌わされて
浮いているような感じもしました。
 
いずれにしても年寄りはだんだんに紅白を諦めて、
7チャンネルを見るか、何か他の番組を見るようになるでしょう。

案2 抜本策
歌番組をやめてお笑い番組にします。
年の暮れは歌番組でなくてはならないということはないのです。
昔は、その年を思い出すのに歌謡曲が適していただけのことです。

前述のように、
今は多くの人がお笑い番組でいろいろな芸人を見て楽しんでいます。
であれば、その芸人たちに登場してもらえばいいのでないでしょうか。
笑って年の暮れを迎えるのはよいことです。
一案として、東西対抗お笑い合戦を考えました。

【東西対抗お笑い合戦の構想】
・お笑い芸人に登場いただくコンテストをする。
 (ダウンタウンやサンドウィッチマン、くりぃむしちゅー
 などにも出てもらいます)
・お笑い芸人は関西系も多いので、紅白ではなく東西の対抗とする。
・各チームの評価(得点)は視聴者の投票とする。
・東西の大将に仕切ってもらう(東はビートたけし、西は明石家さんま、か?)
・東西の勝ち負けと優秀者表彰を行う。

おそらく視聴率は2倍近くになるでしょう。
こうすると、新旧のお笑い芸人が切磋琢磨するのではないでしょうか。
みものです。

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