2015年4月27日月曜日

「報道の脳死」と仰いますが!!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 (このテーマはたいへん大きなテーマです)
 報道・マスコミの「瀕死」の問題点を知りましょう。
 (上野のマスコミ批判も総括しています)
 報道の使命とは何なのかを改めて考えてみましょう。

 ついでに、週刊誌がどうなっているかを研究しましょう。
 

ねらい:
 「報道」の将来を見守りましょう。


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「報道の脳死」という書名を見て、
日頃、当ブログでもマスコミのいい加減さにクレームしている
私としては大いに期待しました。



この著者烏賀陽弘道さんは、
朝日新聞など20数年マスコミ記者をされていました。

実は、当項では、
烏賀陽さんの言いたいことを十分ご紹介してはいません。
このテーマにご関心ある方は、ぜひ原著をお読みください。

著者の言う「脳死」状態は、こういうことでした。

1.新聞の記事が陳腐である。

以下のような記事が陳腐の典型で
しかも各紙がほぼ同じテーマを取りあげている。

えくぼ記事
 微笑ましい、温かい気持ちにさせる記事
 岩手県の「奇跡の一本松」など。

カレンダー記事
 被災1周年、いまどうしている、などの記事

セレモニー記事
 イベント・セレモニーの報道記事

「パクリ、横並び、問題意識ゼロ」である、と
当書の帯にも書かれています。

,記者クラブでニュースを独占していることも、
報道の怠慢を招いている、と指摘しています。

2.ニュースピークを行っている。

ニュースピークというのは、
具合が悪いことを誤魔化したりぼかしたりする表現を言うようです。

 爆発→爆発的事象
 死の灰→放射性降下物
 計画的避難区域(危なくないけれど念のため避難させる区域)

こういう政策側が意図した用語を用いることは、
権力に対する迎合であるとして、ニュースピークというようです。
 
3.断片的な報道が多く全体像がつかめない。

例として挙げられたのは、福島で被爆した原子炉建屋の掃除に
米国製のロボットを使ったという記事です。
 
なぜ、日本のロボットが使えないのか、
という疑問に答えていないというのです。

実は国が30億円の金をかけて作業用ロボットを開発したのに
東電が要らないと言ったために
日本のロボットはオクラ入りしていたのです。

こういうことを伝えないから、読者の疑問が解消されないのだ、
と言っています。

4.権力に対する監視役をはたしていない。

前掲のニュースピークに乗っているのもその例です。
「権力に対する監視役」という役割を、
著者はかなり重視しているようです。

記者クラブでの取材、そこで質問で突っ込む、
たしかにそれは監視になるでしょう。
ワンマン社長も株主総会が怖いのと同じです。
しかし監視だけに意味があるのではないでしょう!

著者は、
2001年に「ジャーナリズムの原則」という共著を出した
米国のベテラン記者ビル・コヴァッチにも面会して、
その10か条の「原則」を紹介しています。

その第1原則は、
「ジャーナリズムは第1に真実に対する責務を負う」
その第3原則は、
「真実かどうかを検証する職責がジャーナリズムの本質である」
となっています。

しかし著者は、その第2原則
「ジャーナリズムが第1に忠誠を誓うべきはCitizenに対してである」
を権力から市民の自由を守ることという解釈をして
「権力に対する監視役」を前面に出しておられます。

これは朝日新聞に在籍されたことの影響ではないかと
推察します。

このように現在の「報道」が脳死状態になっている原因を、
著者は以下のように見ています。

a.マスメディアが大企業化している

分業が進んで全体感がない
セクショナリズム。縄張り根性がある。

b.経費削減で余裕がなくなった

専門家を育成したり、遊軍を抱えることができない。

c.記者がサラリーマン化して記者魂のある人が少なくなっている

優秀大学出の優等生が記者になっている。
問題意識が希薄である。

d.夕刊があるために、常時締め切りに追われる

朝刊・夕刊は日本独特の方式なのだそうです。
落ち着いて掘り下げができないので、どうしても記事が皮相的になる。

これらの表層的原因によって、より本質的な原因が発生しているとして、
筆者は「クエスチョニング」の欠如をあげておられます。

「クエスチョニング」は欧米型のジャーナリズムでは、
記者の仕事の根幹をなす、最も重要は作業である。
が、それに該当する概念と作業が、
日本の既存メディアの文化にはない。
よって日本語にもない。

これは日本と西欧型報道の最大の文化差でもある。

私は、このことを
「価値目標思考の概要」(2004年刊)でこう述べています。

日本では「農耕文化」と「他国からの孤立」という状況から、
すべてが既知で、過去の延長で判断できた。
そのため、「それはなぜか」と問う思考回路がない。

日本人の会話で「それはなぜですか」と問うことは
もの知らずか失礼ということで、嫌われた。

英語の会話で「Why?」が当たり前なのに対して
顕著な差である。

いみじくも筆者も同じ結論を得ておられます。

筆者は、インターネットによる情報伝達がますます発達して、
マスメディアが回復する可能性は低いとみています。

自ら積極的にネットを使って情報発信を行って、
そこから収入を得る方法も試行しておられます。

その活動自体はスゴイこと、偉いことだと思います。

「新聞社はテレビ局はコンテンツの優秀さによって
マスメディアの支配者だったのではなく、
インフラの独占によって支配者だった」

大手新聞社は、記者を育成するという役割を果たしてきた。
これが崩壊すると、誰がその役割を果たすのか?

新聞の黄金時代の報道界のリーダは、敗戦を知っている。
敗戦によってそれまでの価値観が否定された。
そういうことを知っている世代は、疑うという姿勢を持っていた。
今の世代は「疑う」ことを身につけていない。

など、優れた分析もされています。

しかし、私は筆者の議論に不足点を感じます。
それは、
報道の重要な役割を「権力に対する監視」だとしている点です。
それは一面的すぎるでしょう!

重要な使命は前掲コヴァッチも言うように
「市民が知りたい真実を伝えること」だと思います。
特に、市民の生活や幸福に影響するテーマについて
真実を伝えることが重要なのです。

現に、筆者は
大震災被災地に出向いて独自取材したものをネットに流しています。
これは、権力に対する監視とは関係がありません。

権力が隠しているものを暴くというのなら、
権力に対する監視かもしれませんが
被災地の現状報道ではそういう面はないでしょう。

ここから私の反論
私が、マスコミが真実を伝えていないと思う代表例は
以下のとおりです。

福島原発の大事故原因
  この原因を、一般には大地震の津波が来たからだとしているが、
  そうではなく、原子炉が停止した際の冷却機能が動かなかったからで
  これはその備えをしなかった電力会社の不備なのです。
  
  そのことは、早くから私が指摘していましたが、
    2011年5月18日「福島原発の事故およびその被害拡大原因」
  http://uenorio.blogspot.jp/2011/05/blog-post_18.html

  その後、原子核工学科卒の大前研一さんが
  「原発再稼働 最後の条件」(2012年7月)で述べました。

  地震や津波のせいにしたために、
  巨大な防潮堤を作ることになったり、
  地震を呼ぶ断層があるところの原発は危険で稼働ができないなどの
  たいへんな国家的損失を生むことになりました。
  
  私は、なぜそのようなバカげた判断を許しているのか
  不思議でなりません。

低線量放射線はむしろ身体にいい
  現在の安全基準年間1ミリシーベルト以下というのは、
  ナンセンスです。
  100ミリシーベルトまではむしろ健康によいのです。

  そのことの是非につきましては、私のブログでも論じました。
  2011年5月14日「低放射線量は有益である」という証明」
    http://uenorio.blogspot.jp/2011/05/blog-post_14.html
  
  この誤解のためにどれだけが世界中で損をしているか、
  計りしれません。
  世界中という意味は、「放射線の有害基準」は
  国際放射線防護委員会が定めたものだからです。
  
南京大虐殺のウソ
韓国慰安婦問題のウソ
  どちらも客観的事実に基づいて否定されていることです。
  なぜもっと堂々と反論しないのか、
  これも不思議でなりません。

これらの真実を伝えるために特別な研究をする必要はありません。
一部のメディアで発表されていることなのですから、
検索すればすぐ出てきます。
素人の私でも知っていることです。


さらに言えば、
私がこのブログでもやめてほしいと言っている
無責任な報道は以下のとおりです。

1)相撲で八百長が行われたという報道
 (日本の国技に傷がつくようなことを大々的に報道しないでほしい)

2)世論調査結果の無責任な報道
  例:特定秘密保護法案に対する反対意見
  (調査の回答者がこの法案の意義・内容を理解しているとは思えません。
  マスコミがこの法案を疑問視する報道をしている結果が
  こうなっているのだと思われます。

  失礼ながら無知に基づく回答を「国民は反対している」
  と反対派が利用して
  ますます反対の方にあおるという悪循環を生んでいます)

  2014.1.31「どうも日本の世論は偏りがちですね」
  http://uenorio.blogspot.jp/2014/01/blog-post_31.html

3)定見のない報道
  前回都知事選において、細川候補が「原発即0」という意見である
  という点をマスコミは取りあげていました。
  日経新聞のコラムに、なぜ都知事選で原発問題を取りあげるのか、
  という批判意見が載りました。
  そのとおりです。
  
  分かりやすいということと、筋があるかどうかは別でしょうに。
  2014,1,31「東京都知事選の正論は?」
  http://uenorio.blogspot.jp/2014/01/blog-post_4878.html

4)断片的無責任な報道
  前掲筆者も挙げていましたが、最近もこういう記事がありました。
  豊島区の公園で「高い放射線量が検出された」
  という報道です。
  1時間最大で480マイクロシーベルトというのですが、
  これが「高い」ものなのかどうかの記述はありません。
  現在の政府基準年間20ミリシーベルトで考えると、
  どうなのかを示すべきです。


報道の使命を、お得意の「目的・ねらい」を使って
以下のように整理してみました。

「権力の監視」も「真実の報道」もその言葉だけでは、
何ら具体的な指針にならないことが分かります。

ねらいを意識しなければならないのです。
ねらいは、人(層)によって異なるので、この議論は決着しません。

ただ、筆者の言うように何も考えない横並びの報道機関は、
何らの目的も達成しませんから
その生命終わりですね。

報道の使命

ねらい
国民が望む方向に国の進路を向ける
国民の幸福(生活に対する満足度の向上)を実現する


国家の衰退防止・発展に寄与する
国民とは誰のことか、によって望む進路は異なる。多数の国民の意向を重視するのが民主主義である。
しかし、どの層を重視するかによって報道姿勢が変わってくる。
国家が衰退してよいという国民は国民ではない。
目的
読者・視聴者に真実を伝える

権力が暴走しないように監視する
真実なら何でも伝えてよいというものではない。ねらいを意識しなければならない。
「暴走」は、国民が望まない方向に進むことを指す。
実現
方法
クエスチョニング
真実の究明
客観的取材 等々



とにもかくにも、
国民が知りたい真実を伝えるという点では、
今の日本では、
週刊誌がその役割を果たしているのではないでしょうか。

そこで、週刊誌4誌のトップ記事を調べてみました。
以下の表でブランクの部分は
たまたま調査した図書館にその号がなかったものです。

因みに、私は「週刊読売」がないことに、この時気がつきました。
発行部数減になり、2000年4月にYomiuri Weekly
(05年に読売ウイークリーに変更)と誌名変更しましたが、
08年末で休刊となってしまいました。

他の伝統週刊誌2誌も危ないのかもしれませんね。

これを見ますと、
週刊朝日やサンデー毎日は固いテーマが主流ですが、
売れている週刊文春(トップです)や週刊新潮は、
気楽なテーマも織り交ぜています。
このバランスが受けているのでしょう。

いすれにしても、
国民の「知りたい願望」を満たしていることが分かります。

週刊誌のトップ記事
発行部数は日本雑誌協会発表2014年10月~12月実績
伝統週刊誌
週刊朝日
サンデー毎日
1号当り平均発行部数
 169千冊
 116千冊
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何でもランキング24連発
  第2週
自然エネルギーは最強戦略 安倍政権の選挙大勝後、次々進む原発回帰
最強参謀菅義偉官房長官が語り尽くす 安倍官邸の守護神は何を考えているのか
  第3週
列島壊滅に備えよ 2019年までに富士山大噴火!?

  第4週
知事選3連敗 官邸ピンチ
安倍のアメとムチに地方の乱

2月第1週
後藤健二さんが拘束直前本誌記者に送ったメール 安倍外交慢心と誤算
「アベノミクス」もはや風前の灯! 「今は嵐の前の静けさだ」
  第2週
名古屋大19歳少女の”サイコ度“ 「殺してみたかった」77歳殺害容疑
イスラム国の卑劣を侮った「安倍外交の誤算」 「日本人殺害脅迫」不都合な真実
  第3週
後藤さんの死 便乗する人たち 安倍政権がぶち上げた人質奪還の自衛隊出動、、識者が驚く政治家たちの素人理論
後藤健二さん[安否]の壮絶情報戦
  第4週
反骨の人菅原文太

「年金」残酷時代がやって来た
4月からマクロ経済スライド初適用
3月第1週

報酬減額は終の住処「特養」狙い撃ち 介護難民が続出する!
  第2週

120年ぶりの「民法」大改正 庶民の暮らしはこう変わる!
  第3週
大学合格者高校ランキング
逮捕酷薄モンスター「非道の足跡」専門家に聞く「わが子を極悪集団から守る」
  第4週

最後の砦「国民健康保険」は守れるのか
4月第1週


  第2週


  第3週


  第4週


5月第1週
原子力村vs反原発弁護団の闘い
自衛隊の「リアル」 「集団的自衛権」行使容認の深層

  
中堅週刊誌
週刊文春
週刊新潮
1号当り平均発行部数
 694千冊
 (週刊誌第1位)
 551千冊
 (週刊誌第2位)
1月第1週

当誌はほとんどの号で2本立て
日本経済の「先行き不安」説に答える!
  第2週
初荷スクープワイド20連発
めでたくもあり めでたくもなし(17の話題)
  第3週
フランス銃撃テロ9つの禁忌(タブー)
背骨のない八方美人「細野豪志」の取扱説明書
  第4週
ジャニーズ女帝怒りの独白5時間
ワイド特集 男の顔は履歴書 女の顔は請求書
2月第1週
後藤健二さん書かれざる数奇な人生
「イスラム国」大全
残虐映像にすくんだ平和「日本」
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日本に宣戦布告「イスラム国」狂気の残響
心に魔物を育てた老女殺害「名大女子学生」19歳の履歴書
  第3週
イスラム国いまだ残る8つの謎
風雪の大和なでしこ(21人)
「和歌山児童惨殺」引き籠りの殺人者を生んだ“家族の風景”
  第4週
大型ワイド19本 日めくりスキャンダル

3月第1週

「菅直人」の議員特権
坂東三津五郎が脇役だった「梨園略奪婚」の悪玉女優
  第2週


  第3週


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NHK「クローズアップ現代」やらせ報道を告発する

4月第1週


  第2週


  第3週


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「名医」を疑え! 神の手慈恵医大血管外科教授が手術中にゴルフ練習
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「佳子さま」過熱に「雅子妃」「高円宮妃」のさざ波





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