2013年6月30日日曜日

日本は居眠り大国?

【このテーマの目的・ねらい】
目的 
  睡眠や居眠りについて考えていただく。
  睡眠の実態は、
   あまり研究されていない領域であることを知っていただく。

ねらい 
  睡眠について研究して見ようかと考えていただく。

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面白いテーマの本が出ましたので
読んでみました。

「世界が認めたニッポンの居眠り}です。
ケンブリッジ大学のブリギッテ・シテーガさんという
文化人類学者が書いた本です。

日本人はよく居眠りをすることで
世界的に有名なのだそうです。

これは、出版社の発言のようで、
著者は多くの国を歩いて日本が特別だ
とは言っていますが、世界が認めたなどとは言っていません。

この本の日本人の居眠りに関する主張は、
以下につきます。

  日本人はよく居眠りをする。
  電車の中でも、受講中でも、国会でも、----
  欧米ではお居眠りはほとんど見かけない。

人文科学系ですから
事実を多数聞き取りや自らの在日見聞で集めています。
残念ながら
私好みの明確な分析や統計的な検証はあまりありません。

この本は英語で書かれた初めから「INEMURI」という
タイトルが付いていたようですが、
内容からすると「日本の睡眠、世界の睡眠」とすべきものです。

睡眠という生命維持にとって極めて重要な機能の実態について
着眼したのは感心します。

源氏物語や枕草子などの古典を当っても
睡眠のコトは明確に書かれていない、
などの調査までおこなっています。

居眠りの記述は本書の一部でしかありません。

居眠りの定義は、
本来の寝場所でないところに「居て」「眠っている」こと
としています。

当たり前のようですが、なるほどです。

そこに居ることに第1義があり、
したがって眠ってもかまわないという解釈です。

電車に乗っている時は、目的地に着くことが目的で
眠っていても着くのです。

受講中の居眠りは出席することが第1目的、
国会議員は
出席して決をとるときに意思表示をすることが第1目的
だということで、これは納得がいきます。

しかしこういう記述もあります。
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第3の睡眠タイプ多相睡眠は、
(注:第1の睡眠タイプは単相睡眠で1日1度寝る。
第2の睡眠タイプは二相睡眠で1日2回寝る)
好きな時間に勝手に昼寝するというもので、
確かに日本人の間で広まっているが、
日本でだけ一般的というわけではない。

個性的な多相睡眠文化は、
シェスタ(二相睡眠)文化圏同様、
世界中に広まっている。

特定の寄稿条件や社会形態の地域だけに
好まれているわけでもなく
特定の時代に限定されているわけでもない。
うたた寝はヨーロッパでも意外なほど広まっている。
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日本人だけが居眠りをするのではないのです!!
「世界が認めたニッポンの居眠り」は、
出版社の歪曲です。

本書はそんなセンセーショナルな内容ではなく、
地道に居眠りを含めた睡眠について研究しているものです!!

なぜ日本人が居眠りをするのかについて
原因探求の紹介もしています。

勤勉で夜も仕事をしていて睡眠時間が短い。
武士は、
いつでも敵の襲来に備えるために夜も熟睡していなかった。
(動物の睡眠は常時その状態なのだそうです)
日本は安全なので、公衆の面前でも寝られる。

などですが、どうも説得力に欠けます。

定量的なデータという点では、
睡眠時間の長さについての統計データが紹介されています。
NHKが1995年に作成とありますが、
調査方法等の詳細は不明です。

NHKが睡眠に関する調査をしているのは、
有効な放送時間を決めるためなのだそうです。

大人の1日の睡眠時間
             女性     男性
日本       7.20    7.47
カナダ      8.14    8.03
アメリカ      8.23    8.07
イギリス     8.30    8.32
オランダ     8.03    7.42
デンマーク   8.17    8.06
フィンランド   8.22     8.10
欧米の平均  8.18     8.07

これによれば、たしかに日本人の睡眠時間は最短です。
ですからそれを補うために居眠りをしているのではないか、
という推論を誘導しますが、
著者はそういう主張はしていません。
証明できませんものね。

これとは別に,ヨーロッパの委員会が調査したデータも
紹介されています。
これによるとフランスが、女性8時間55分、男性8時間45分で、
男女とも最長です。

これについて著者は
「フランス人の性生活が濃厚だということか」
とジョークを言っています。

いずれの調査でも性生活の時間は独立の区分がなく、
睡眠の定義が以下の内容であることからすると、
睡眠に含まれていることを示唆したものです。

 昼夜の睡眠および、病気でベッドに横になっている時間、
 あるいは就寝して眠りを待っている時間


結局、肝心のこと、つまり日本人だけが居眠りをよくするのか、
なぜそうなのか、についてはよく分からずじまいでした。

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そこで少し考えてみました。
自分達が実施している研修の中での居眠りは
どうなっているのか、と。

当社の研修は、
出席すれば単位が取れるというようなことはありません。
ごく少数の場合に自分は受講したくないけれと
上司の指示で参加しているという場合があります。
この場合は第1義が出席ですから、「居眠り」はありえます。

それ以外の場合は、眠ってはいけません。
「居る」目的が達成できませんから。

受講生は学ぶ目的で参加しているのですから
眠るのは研修の内容に問題があります。
演習中に眠る人は滅多にいません。
徹夜明けで参加したというようなごくごく少数の場合です。

居眠りが起きるのは解説中です。
講師の説明内容が関心を惹かない、
あるいは説明が冗長である、単調である、という場合です。

「単調である」のは、大学の先生には多かったですが、
テキスト読み上げ調、抑揚・メリハリがない、
の場合です。

抑揚は迫力にも通じます。

受講生側の意欲も居眠り発生に関係する要因でしょう。

私自身の場合、多くの場合は講師ですが、
ときに受講生になることもあります。
私は関心のあるテーマを選んで参加しているのですから、
意欲は十分です。

それでもいつの間にか、
そうですね、どんなに頑張っても長くて1時間もすると
一旦睡眠状態になってしまいます。

ですから、研修中の居眠りは受講生側の責任ではなく、
講師側の責任だと思っています。

単調を避け、眠らせない最も有効な対策は、
ときどき質問を行いながら進めることです。
こうなると受講生は眠っていたり、
ボウッとしているわけにいきません。

結果として研修の習得度が高まります。

こうして考えてみると、居眠りには2種類あって
居ることが第1義の居眠りは、何も問題がなく、
大いに実践すべきでしょう。
短い時間で眠りに入れることは一つの才能です。

これに対して、居ることが第1義ではなく
そこに参加しなければならない場合の居眠りは
しない対策を断固とるべきでしょう。

会議なら、
居眠りしかけている人に議長が発言を求めるなどです。
「みんな仲良くしよう」などという指導原理は
これからのビジネス社会では通用しないでしょう。

どこかの会社の社長が、
「役員会で2回続けて発言しなかった役員は下ろす」
と言ったそうですが、そういうプレッシャを与えるべきです。

電車の中やプライベートな時間での居眠りと
目的を持って集まっている場合の居眠りとを
いっしょくたにして考えてはいけないのです。

これが、当書を読んでの収穫でした。

ぼやき:人文科学系の本は疲れます。

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