2013年6月18日火曜日

悪法「個人情報保護法」を早く改正せよ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 餓死事件などの悲惨死には個人情報保護法が
 原因のひとつとなっていることを知っていただく。
 個人情報保護法の問題点を知っていただく。
 その改正上野案を知っていただく。

ねらい:
 個人情報保護法の早期の改正を実現したい。

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既報の大阪母子「餓死」事件は未だに謎が解けていません。

その後、母親は昨年12月まで2月ほど北新地の飲食店で働いていて
月収30-40万円稼いでいた。
12月には無断欠勤していた。
その12月分の給与は1月に取りに来なかった。
解剖で胃の中は空だったが、腸には残留物があったので、
餓死ではなさそう。
飲食店の仲間の話では「ボーイフレンドができたと言っていた」

などが判明しているようですが、
ますます謎が深まるばかりで決定的なことは何もわかっていません。

この事件には関心がある人が多いようで
「大阪母子餓死」でGoogle検索すると
10万件が該当すると出てきました。

その中に私のブログの
「大阪で母子が餓死 そんなことがあっていいのか!!」は
55番目位に出てきました。

何か分かったことがあるのか、と探求する中で
あることが分かりました。

それは、
「『日本』で餓死が頻発 調べて分かった意外な事実」という
NAVERさんの記事です。

NHKの調べでは平成12年以降餓死者は712人(年間60人前後)
という前置きの後で、以下の事実が挙げられています。
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2012年2月 埼玉の親子3人が死亡した事件
 
 最後に訪れた水道の検針員が使用料が倍のため
 漏水の疑いがあるとしてアパートの管理会社に連絡したが、
 個人情報を理由に電話番号などを教えてもらえなかった、という。

日本政府は餓死者を出さないよう、
料金滞納でガスや電気を止める場合は事業者と自治体が連携し、
生活保護の需給を勧めるなどの対応を取るよう通知しているが、
個人情報を理由に事業者が情報提供を拒んでいる。
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昨今の風潮は個人情報は「錦の御旗」で、
何にもまして絶対に尊重しなければならないものであるかのように
扱われています。

「学級名簿・卒業アルバムが作れない」
「医療機関への個人情報の提供を拒む」
「鉄道事故が起きたのに鉄道会社が家族の安否確認に応じてくれない」
などの例が国民生活センターに報告されている。
(Wikipedia「プライバシー」の項)

私は、「上野則男のブログ」の前身である弊社の情報誌
MIND-REPORT 2006年4月号で
「個人情報保護への適切な対応はこうだ!!
ーー「過剰反応」をやめて「有用性の認識強化」へーー
という主張をしています。
  http://www.newspt.co.jp/data/info/mr/mr73/mr7308.pdf
  

  http://www.newspt.co.jp/data/info/mr/mr72/mr7203.pdf

この時は同法施行1年時点ですが、
すでにかなりの弊害が発生しているのを受けて
書いたものでした。

その後も同じ傾向が続き、
すでに人の命に関わるところまで来てしまったということです。

個人情報は尊重されるべきものです。
本来、個人情報はプライバシーの保護の観点から
保護されるべきものですが、
プライバシー保護法のような法律がないため
一般人が誤って、
個人情報保護に過大な期待をしてしまっているのです。

そもそも、個人情報保護法は以下の目的で制定されたものです。
第1条
 前略 個人情報の適正な取り扱いに関し、
 基本理念および政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する
 施策の基本となる事項を定め、
 国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、
 個人情報を取り扱う事業者の順守すべき義務等を定めることにより
 個人情報の有益性に配慮しつつ
 個人の権利利益を保護することを目的とする。

個人情報を取り扱う事業者順守すべき義務」を定めていますので、
それ以外の事業者や個人の義務を定めているものではありません。

法の対象としている事業者は
「5000人以上の個人情報を保有する企業」です。

それ以外の事業者や個人は
個人情報を尊重する精神は共有してよいのですが、
事業者や個人の具体的行為が法に縛られるわけではありません。

さらに、「個人情報とは何か」ですが、

第2条 生存する個人に関する情報であって、
当該情報に含まれる氏名、生年月日、
その他の記述により特定の個人を識別できるもの
(他の情報と容易に照合することができ、
それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)
をいう。

とありますのですべての個人に関する情報が対象となります。

前掲の寄稿の前段で経済産業省の担当課長補佐に確認したところ、
氏名だけでも個人情報であるという見解でした。

個人情報に対する事業者の義務は何かですが、要約すると以下の3点です。
 正確性の確保(誤った情報を保持しないようにする)
 安全管理措置(漏えいしないようにする)
 
 第3者提供の制限(本人の同意なしに第3者に提供しない)

 
このほか、保有する個人データについての規制もあります。
(省略)
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以上前置きが長くなりましたが、
本稿で問題とするのは以下の点です。

餓死事件でも問題になったのは
第3者提供の制限です。

この制限があるために関係者が機動的に動くことができずに、
みすみす本人達を死に追いやった一因となっている
ということです。

これは、個人情報保護法の目的である
「個人の権利利益を保護する」とある一番基本的な権利利益である
生存を損なってしまったということなのです。

どこかおかしいではありませんか!!

小中学校の連絡網も作れず
災害の時にもお互いの安否確認に支障をきたす
などおかしいですね。

一部の父母が「個人情報だから」と
あたかも個人情報保護法で保護されているような言い方をするのに
学校側が適切な対応ができていないのです。

先ほど述べましたように、
この法は限定した事業者の責任を規定したものにすぎないのであって、
個人の権利を定義したものではありません。

それでも、このような拡大解釈・誤解が流布されますので、
この悪法を以下のように改正すべきであることを主張いたします。
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「個人の情報ではなく個人の利益を保護せよ!」

法の「目的」は個人情報の保護ですが、
その「ねらい」は個人の権利利益の保護です。

今のように形式的目的優先で、個人情報を保護すると
事件のように本人の利益にならないことが発生します。

個人情報の保護を目的にして、
個人の利益が損なわれることがあっては
本末転倒ではないですか!!
本人の利益を優先して考えるべきです。

そこでまず1点目の改正点は、
 保護すべき個人情報の範囲の変更で、
 氏名・住所・電話番号のみの場合は保護の対象から外す
 のです。

こうすれば、連絡網の名簿は作成できます。
前掲の事件の場合も問題なく情報入手できるようになります。

この範囲の情報が他人に伝わると、
本人の不利益になるのは、通常はDMや勧誘が来ることです。
DMは無視(廃棄)をすればよいのですが、
電話の勧誘は迷惑です。

それにj対しては、
勧誘用の情報を収集して販売する業者を取り締まる法
を制定すればよいのです。
漏えいしないように規制するより
この方が即効性があるでしょう。

ストーカーなどの被害が発生することも想定されます。
ストーカーは犯罪行為で軽犯罪法で取り締まれます。

その被害の可能性よりも、
連絡網がないことの不便さ・不具合の解消、
今回の事件のようなことが起きないことの方が
価値があるのではないでしょうか。

2点目の改正点は、
規制対象を原則禁止規定から限定禁止規定にすることです。

現在の法は形式的な原則禁止規定です。
前述の事業者の3責任
 正確性の確保
 安全管理措置
 
 第3者提供の制限
に関して遺漏があると、
結果が対象個人の不利益になるかどうかに関わりなく糾弾されます。

漏えいが発生したら指導処罰を受けるのではなく、
そのことによって本人の不利益になることが発生した場合にのみ、
指導処罰を受けるようにするのです。

そうすれば、事業者の裁量の余地が広がって無駄な投資や
かたくなな対応をしないでよくなります。

いずれも、現行法が
「個人の権利利益を保護する」としながら、
形式的な規制に終始してしまっている状況に対して、
本来の法の「ねらい」である「個人の権利利益の保護」
を第1義にしようということです。

当然のことではないでしょうか。

実は、2点目の改正を行えば、
1点目はそれに包含されるとも言えます。

しかし、現在のように無理解の人が問題を広げますので
単純に
「住所氏名電話番号は保護される個人情報ではない」
とした方が分かりやすいでしょうから、
あえて第1の改正点として残します。

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現時点の個人情報保護が形式主義であるという例ですが、
先日ある人から私が注意を受けました。

本人の事前許可なしに私がある人Aさんを
私が知っている人Bさんに紹介するために
Aさんへの「Bさんをよろしくお願いします」というメールに
Bさんにccを入れたのです。
結果的にAさんのメールアドレスが
Bさんに知られることになります。

そのことをAさんの会社のCさんが知って
Aさん本人ではなく、
Cさんが、その行為は個人情報の保護上問題ではないか
と言ってきたのです。

この場合,
AさんのメールアドレスがBさんに知られることになることが、
Aさんにとって利益があることかどうかが重要であって
個人情報の一部であるメールアドレスを本人の許可なく
第3者に知らせたことに目くじらを立てることではないでしょう。
そう思いませんか?
現行法はこういう形式主義を助長しているのです。
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そもそも、こんなに個人情報保護法が前面に出ているのは、
「プライバシー保護法」がないからなのです。
個人情報を保護したい最大の目的はプライバシーの保護でしょう?

個人情報の保護は、形式論で先進国事例も見習い、
比較的容易に立法化ができました。

ところが、プライバシー保護は、未だに法制化ができないのです。
プライバシーとは何かの定義がなかなかできないからでしょう。
プライバシーに関しては日本の法律での規定はなく
判例が規定をしているのみなのです。

「宴のあと」事件の判例では、

「個人の私生活に関する事柄やそれが他から隠されており
干渉されない状態を要求する権利をいう」
より具体的に言えば
「私生活上の事実または事実らしく受け取られるおそれのあること」
「一般人の感受性を基準にして
当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうとみとめられること」
「一般の人々に未だ知られていない事柄であることを必要とし、
このような公開によって当該私人が実際に不快不安の念を覚えたこと」

をプライバシー権に関わることとしてあげているようです。

これを一般化して実効性ある法律にするのは至難ででしょうね。

とにかく、早く個人情報保護法を改正して欲しいものです。

論点が一部錯綜していますので
いずれ再寄稿いたします。

3 件のコメント:

  1. 再寄稿を期待します。
    確かに困った課題ですね。
    個人が何か不利益を被ったと思ったら即審判してくれる機能が有ったらいいですね。

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  2. 精神障害になった家族がいます。症状がひどく他害の可能性があるので、今まで通っていた病院に相談に行ったところ、個人情報保護法を盾に通院しているかどうかすらも教えてもらえませんでした。
    犠牲者が出るまで何もできないようです。こんな悪法を早く改正してもらわないと困ります。

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  3. とんでもないことです。
    この場合は、現在の個人情報保護法の範囲内で対応可能な問題です。
    つまり、現在でも本人の要求・同意があれば個人情報は開示可能なのです。
    この病院が間違った判断をしているのです。
    ぜひ正当な要求であることをアピールしてください。  上野 則男

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