2013年4月1日月曜日

物価上昇率2%は日銀の責任なのか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的
 日銀に責任を押し付けすぎだという主張を知っていただく。
 政府の主張やマスコミ報道に疑問を持っていただく。

ねらい
 今後とも、
 政府の主張やマスコミ報道に疑問を持っていただく。
 

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最近の世上の話題の中で、私の最大の疑問点がこれです。

安倍総理になって日本が少しは明るくなってきたのは
たいへん嬉しいことです。
株価も年度で見て23%上昇で3年ぶりの上げ幅だそうですし、
賃金も上げるところが出てきていますし。

シロウト政治からクロウト政治に代わって、
シロウト政治の当事者達以外は
本当にホッとしていますね。

安倍総理の経済政策は、
誰かが勝手に名付けてアベノミクスと言われています。

ご承知のように、
安倍総理のエコノミクスだということでの合成語ですが、
私は複合的な経済政策をミックスさせるということにも
かけていると思っています。

安倍内閣の複合策は
 ・  大胆な金融政策
・    機動的な財政政策
・  民間投資を喚起する成長戦略
です。

これもご承知のように「ミクス」の元祖はレーガノミクスです。、
レーガノミクスの複合軸は、
減税、歳出配分転換、規制緩和、インフレ退治でした。

元祖とはインフレ退治とデフレ退治の面は逆です。

アベノミクスの中の目玉的なものの一つが
「日銀が物価上昇率2%に責任を持つ」
というものです。

デフレの象徴が物価ですから
物価上昇率でデフレ状態を測定しようということは
目標の「見える化」で悪いことではありません。

ですが、そのことを日銀の責任にするというのは
おかしくありませんか?
それに異をを唱えていた白川日銀総裁は退任され、
黒田新日銀総裁は
積極的にこの目標実現にまい進するというのです。

経済のイロハですが、
物価は、需要と供給のバランスで決まるのです。
金融政策は需要と供給に
間接的な影響しか与えることができません。

供給能力は
設備過剰・店舗過剰、失業が多い状態も含め
明らかに過剰状態です。
ここに金融政策が影響を与えることはできないでしょう。

需要の主体は財政支出、民間の投資、国民の支出です。
これが少なくてデフレになっているのです。
アベノミクスの財政政策、成長戦略の責任です。

成長戦略の実現のために資金が必要で
成長分野に必要な資金が潤沢に流れるようにする
ということは必要です。

ですが今は、
「やりたいことがあるけれど、
資金がないためにできていない」
ということがどれだけあるのでしょうか?

また、
「資金があるから投資をしよう」という発想も出てこないでしょう。
そういう発想はファンド会社くらいでしょう。
企業は見通しのないことに投資はしません。

投資を優遇するとか規制を緩和するとかの政策の方が
重要です。

市場に資金が溢れていると金利が下がりますので
企業の負担は下がりますが、
だから投資をしようとなるでしょうか。

金利減分だけ利益が少し増えると
ひょっとすると配当が少しだけ増えて
その分、家計の消費需要が増えるかもしれません。

いずれにしても物価を決める需要と供給に対しては、
金融政策は間接的な貢献しかできません。

それなのに、
複合的な活動の最終成果である物価に対して
責任を持つというのはどういうことでしょうか。

見識のある黒田新総裁が、
それを積極的に引き受けるというのは納得できません。

例で言えば、
マラソン選手に複数の監督・トレーナがいるとします。
優勝を目指す場合に、
食物指導担当に優勝の責任を負わせるようなものです。
上質で強い筋肉を作る上で栄養管理は重要ではありますが、
それで勝負が決まるわけではありません。
練習のあり方の方が重要です。

3大政策では最後の成長戦略が最も重要なのです。

日銀に責任を転嫁するように取られるのは
安倍総理はその気はないでしょうから
まずいことです。

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