目的:
お役所仕事の不当な事例を知っていただく。
ねらい:
何とかこの道路計画はなしにしてほしい。
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6月7日土曜日18時半から20時半まで
「道路問題しながわ連絡会」第2回のつどい
という集会が開かれました。
私も参加してきました。
東京都は、「都道補助29号線」について、
国土交通省の工事認可をこの3月に受けました。
この道路は環六道路(山手通り)と環七道路を結ぶ
3.5キロの幅20メートル道路の計画です。
この図は、
2014年5月23日付の東京新聞1面トップの記事の
「品川・大田住民が認可取り消し請求」
「防災道路 地域を分断」
「幅20メートル助け合いの力弱まる」
からの転載です。
住民101人が
国土交通省に道路建設の認可取り消しを求める
不服申請を行ったことの報道です。
この道路建設は、細い道路の拡幅が中心で、
住まいを丸々突き抜ける部分もあります。
実は我が家もこの計画道路の範囲に入っています。
地元民は以前からこの道路の建設に反対で
陳情等を行っています。
この道路の必要性について
都から国交省への申請では
「本整備により、交通の円滑化が図られるとともに、
安全で快適な歩行空間が確保される。
また主要延焼遮断帯である同区間の整備により
地域の防災が向上する。」
としています。
この表は、道路建設目的に対する以下の反論の要約です。
行政の言う
29号線拡幅
工事の必要性
|
必要性
の評価
|
反論
|
別途対策
|
交通の
円滑化を
図る
|
―
不要
|
周辺幹線道路第2京浜国道の混雑度は1.0以下で渋滞はほとんどない。
今後の人口減少・クルマ離れ志向で混雑度が増すとは考えられない。
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特には不要。
引き続き警視庁および地元ボランティアによる交通事故撲滅活動を実施する。
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安全で
快適な
歩行空間
の確保
|
×
悪化
|
現状の通学時間帯の「通学道路」や「お買い物道路」の対応で十分。
20メートル道路ができれば、地域が分断され、現在の住民にとって快適な「向う3軒両隣」のコミュニティが破壊される。
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できれば、町内会活動等の補助をすることの方が、この目的に合う。
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地域の
防災の
向上
|
―
不要
|
1)大震災時の避難
品川区が努力して設置された多くの防災広場があり、遠くへ避難する必要がない。
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今後も可能な限り防災広場(公園)を設けることは、これからの日本を背負う子供たちに楽しい環境を提供する面からも好ましい。
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―
無関係
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2)耐震化
道路建設とは関係がない。
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大震災では圧死が多いので、この対策は重要。
道路を作るより家屋の耐震化補強工事の補助を強化してほしい。
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|
〇
必要
|
3)家屋の類焼防止
現在の住宅密集状態からすると、この面の必要性は高い。
|
地域消防団の補強、地下貯水槽の強化など消化力の補強、難燃性建築への建替え補助の方が住民ニーズに合う。
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まず第1に
「交通の円滑化が図られる」については、無意味です。
この補助29号線の区間は
西側すぐ近くに第2京浜があり、
東には第1京浜があります。
第2京浜は、
第1京浜と中原街道に挟まれていることもあり、
滅多に交通渋滞は起こりません。
現に第2京浜の測定されている混雑度は
環状6号との交差点付近で 0.74
環状7号との交差点付近で 0.67
でまったく混雑状態とは縁がありません。
混雑度というのは、こういうものだそうです。
基準は「1.0」が、
計画時の設計通りの交通量で利用されていることを表す。
- 混雑度の目安
- 1.00以下 :道路が混雑することなく、円滑に走行できる。
- 1.00-1.25:道路が混雑する可能性のある時間帯が
- 1~2時間あるものの、
- 何時間も混雑が連続する可能性は小さい。
- 1.25-1.75:ピーク時間帯はもとより、
- ピーク時間を中心として混雑する時間帯が
- 加速度的に増加する可能性が高い状態。
- 1.75-2.00:慢性的混雑状態。
- 昼間12時間のうち混雑する時間帯が
- 約50%に達する。
- 2.00以上 :慢性的混雑状態。
- 昼間12時間のうち混雑する時間帯が
- 約70%に達する。
第3次優先整備計画での道路整備方針では、
自動車交通円滑化の目安は
混雑度1.25以上の解消となっています。
まったく該当しません。
第2京浜自体が、
長い年月をかけて拡幅整備されています。
その結果の混雑状態緩和なのです。
今後とも、人口減少・若者の脱車生活の傾向もあり、
混雑度が高まることは考えられません。
したがって、「交通の円滑化が図られる」は空論です。
次いで、「安全で快適な歩行空間が確保される」
についてもまったくの空論です。
計画に入っている場所の細い道路
および碁盤目になっている近くの道路は、
商店街または住宅地内の道路です。
ほとんど車は通りません。
時間帯によっては、通学路で車進入禁止であったり、
お買物道路で車が入ってきません。
これ以上の「安全で快適」はありません。
幅の広い道路の歩道など、快適なわけがありません。
現在の道路で、車だってそんなに不自由はしていません。
地元住民は、
現在のコミュニティ「共助」の精神が失われる
ことを危惧しています。
現に我が家の近隣は、
道路幅が4メートルくらいですから、
「向う3軒両隣」を地でいっています。
お互いに珍しいものを分け合う、
資源ゴミ出しを協力し合うなど、
とても「快適」なコミュニティです。
3番目の「地域の防災」はどうでしょうか。
避難道路になるという点に関しては、
品川区が頑張って
至るところに防災広場公園を作っています。
今の道路で、今回の計画区間の場合は、
そこまで難なく避難できます。
防災と言えば、まずは大地震対策です。
阪神・淡路大震災時の死亡原因は以下のとおり、
窒息・圧死が圧倒的首位です。
窒息・圧死 77%
焼死・熱傷 9%
その他 14%
道路ができても残っている家の
耐震性が高まるわけではありません。
今も耐震化補強工事に対する補助制度がありますが、
この補助強化こそ「防災」に有効でしょう。
たとえば、
我が家は本格的な素焼き瓦で重量があります。
これを軽量の瓦に変えるだけで、
我が家は潰れることから免れるのではないか
と思われます。
最後は火災の類焼です。
これについては一理あります。
この近隣は都内有数の下町風住宅密集地ですから、
その必要性は高いのです。
しかし、この補助29号線を作るには
立ち退きの補償を含め約600億円位かかりそうだ、
ということのようです。
立ち退きの対象家屋は550軒だそうですから、
1戸当たりに1億円相当ということになります。
「600億円かかるのなら、
1軒に1億円出して耐火建築にした方が
皆ハッピーではないか」
という意見がありました。
どうせこの道路計画が完了するには
長年月がかかります。
その年月を使えば
耐火建築への建て替えだってできるでしょうに。
そんな大げさなことでなく、
現在の延長での消化対策の補強で
かなりいけるのではないでしょうか。
地域消防団の補強、地下貯水槽の強化など、
地元の消防力の強化です。
そもそも、
この道路計画は昭和21年に作成されたものですが、
当時と現在では大きく環境が変わっているのです。
この計画の実行で誰が得をするのでしょうか。
工事屋だと言いますが、
工事屋に入るお金は大したことはありません。
立ち退き料の方が大きいのです。
それで誰が得をするのでしょうか??
立てた計画をあくまで通そうという
お役所仕事はイヤですね。
税金は、
頭を使ってもっと有効なことに使ってほしいです!!
このブログは品川区長にも送ろうと思います。
1 件のコメント:
品川区の人口が約38万人。道路建設費を品川区民で負担すると仮定して一人当たり15万円強。うちは5人家族なので、80万円の負担。ちょっと重いなあ。
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