2012年12月23日日曜日

阿川佐和子さんの「聞く力」はどのくらいあるの?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 阿川佐和子さんの「聞く力」に興味・関心を持っていただく。
 当社の研修のことも少し知っていただく。

 
ねらい
 
 阿川佐和子さんの「聞く力」を読んでいただく。
 当社の研修に少しでも関心を持っていただく。

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阿川佐和子さんの「聞く力」を読んでみました。
私はお恥ずかしながら阿川弘之さんは知っていましたが、
阿川佐和子さんのことは全く知りませんでした。

なぜこの本を買ったかというと、
この本がたいへんなベストセラーになっているらしいと知って、
当社のヒアリングの研修の参考になるかもしれない
と思ったからです。

読んでみて、とにかく楽しい本でした。

「私はそんな本を書くなんてとてもできない」
と編集者に断った「謙遜さ」から始まって、
次から次と出てくる話が、豊富な経験に基づいていて、
軽妙洒脱な語り口でとても面白いのです。

阿川さんの「聞く力」はたいへんなものです。

「ためになる」なんてことは忘れてしまいます。
提供される題材に笑ったり泣いたりすることができます。
作家としても素晴らしい方です。

阿川さんは間もなく60歳ですが、
文章を読んでいるととても若くて魅力的です。
まだ結婚願望もあるようです。

是非楽しい読み物としての一読をお勧めします。

本書の構成はこうなっています。
章立て
 Ⅰ聞き上手とは    11項目
 Ⅱ聞く醍醐味       9項目
 Ⅲ話しやすい聞き方 15項目

たくさんのエピソードの中から一つ選んでみました。
「知ったかぶりをしない」の中の一節です。

これが一番感激的というわけではありません。
一番短く完結しているからです。

12月28日追記
本日、松井選手が引退表明をしました。
ここで12月23日に
松井選手の例を取りあげたのは単なる偶然です。

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巨人軍の若手だった頃の松井秀喜選手へのインタビューも
同じ不安を抱えたまま、立ち向かいました。
野球、よくわからないんだけどなあ。
でもそんなに怖そうな人じゃないし、私よりずっと若いし、なんとかなるかな。

例によって、細かい試合の経緯や技術的な話はそこそこに、
松井選手の子供時代や高校球児時代の話を順を追って伺っていきました。
そのとき、何かの拍子につき合っていた女の子の話になりました。

「どんな出会いだったんですか」
「彼女の幼ななじみが、星陵のライバルだった金沢高校のエースで……」
「それはバッターで?」

そこらへんで、あたりの空気がどうも怪しくなっていることに気づきました。
私側のインタビューチームが、なにやらオタオタし始めた。

あれ? なんかおかしなこと、私、聞いた? 
異変に気付いた私が、あたりをキョロキョロすると、
松井選手が「……ピッチャーです、エースって(笑)」
「あ、いや、ハハハハ。そうか、エースってピッチャーのことだけを言うのか」

私はてっきり、「エース」と言えば、
そのチームのスター選手のことを総じて呼ぶのだとばかり思っていたのです。
「優秀なバッターは、エースって呼ばれないの?」

その瞬間、
それまでなんとかごまかしながら続けていた数々の野球に関する質問が、
どれも浅知恵だったことがバレてしまいました。

でも、松井選手は、それは優しい心の持ち主らしく、
そんなインタビュアーに腹を立てることもなく、
苦笑いをしながらじっと耐えてくださったのです。

今でも、大リーグで活躍する松井選手の姿を見るたびに、
「エース」という言葉が頭に蘇り、胸がチクチク痛みます。

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阿川さんはかなりのスポーツレディなのですが、
観戦は嫌いで野球のこともほとんど知らなかったのです。

松井秀喜選手以外に登場する主な有名人は
以下のとおりで、いずれもたいへん興味深いものです。

(順不同、敬称略)
北野武、橋下龍太郎夫人、井上ひさし、
野村克也監督夫妻、若乃花・貴乃花兄弟・花田憲子、
室伏広治、鶴瓶、柳谷小さん
デーモン閣下、西村雅彦、渡部篤郎、


阿川さんのインタビュは、
もちろんそれぞれのインタビュでの当初目的はありますが、
結果的に有意義な(読者・視聴者が喜ぶ)結果が
得られればよいのです。

ところが、私たちの仕事でのインタビュは、
必ず当初目的を達成しなければなりません。

その意味でインタビュの目的が少し異なりますが、
阿川さんの言われる35項目を多少読みかえれば
私たちの仕事のインタビュへのガイドとなります。

特に有効そうな10項目を選んでみました。

 面白そうに聞く
 「あれ?」と思ったことを聞く
 素朴な質問を大切に
 観察を生かす
 相づちの極意
 上っ面な受け答えをしない
 知ったかぶりをしない
 聞きにくい話を突っ込むには
 先入観にとらわれない
 最後まで諦めない

この10項目は、当社の研修の
「ヒアリングの達人を目指す価値目標訓練」の
「ヒアリングの達人10か条」の補足版として使う予定です。

ヒアリングの達人がインタビュする時も、
知らない業務だったら事前に勉強します。
間違えてもベーシックな単語は「それは何ですか」
と聞いてはなりません。その覚悟で勉強します。

それでも知らない言葉が出てきたら
「知ったかぶりをしない」で素直に聞きましょう、
というようにガイドしています。

なお、この研修を含む「達人シリーズ」全体については、
別項「達人シリーズ」の研修が開発されました!!」
  http://uenorio.blogspot.jp/2012/12/blog-post_1.html
をご参照ください。
 

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