2023年12月21日木曜日

日大アメフト部廃部を批判する!!

[このテーマの目的・ねらい】
目的:
 日大アメフト部の廃部に至る経緯を整理いたしました。
 全体的に日本の体質が現れていることを確認いただきます。
ねらい:
 常に、本質・真実を見る目を失いたくないですね。
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日大アメフト部の一連の騒動について
当ブログでも23年8月に取りあげています。

今回、廃部決定を機にその全貌が明らかになりましたので、
その状況を整理いたしました。
その材料は二つです。
一つは日経新聞12月16日の記事


もう一つは、12月9日の日経新聞への安田秀一氏の寄稿です。
安田氏は、92年に法政大卒後、三菱商事に入社。
96年に退社し、ドーム創業。
法大時代は、アメフト部主将として常勝の日大に勝利し、
大学全日本選抜チームの主将に就いた、かたです











日大アメフト部事件の顛末(上野まとめ)

1.日大アメフト部を廃部にした処分は不当である。
2.その理由は、薬物事件を起こした寮にいた部員は
  総勢120人中僅か27人である。
3.連帯責任を追及すると言っても多くのまったくの無関係者を
  巻き込むのは埠頭である。
4.なぜそのような理不尽な対応になったのかというと、
  大学生しかも名門運動部での薬物事件ということで、
  マスコミ(世間)が騒ぎ立てた。
5、林理事長の速やかなコメント発表もなかった。
6.後手に回った大学側は焦って
  文科省に廃部の方針を伝えてしまった。
7.一部世間や部員の廃部反対もあって、
  執行部は一時ためらったが、文科省に約束した手前もあり
  廃部を強行した。
8.理事会は、新たな部の再建を検討する、としているので
  実体は、廃部と存続の両建ての日本的ごまかし折衷案である。 

A.日経新聞12月16日の記事
日本大学は、12月15日に臨時理事会を開いて
違法薬物事件が起こしたアメリカンフットボール部の廃部を決めた
と発表しました。

その経緯はこうなっています。
10月 第3者委員会が公表した報告書は、
 「執行部はアメフト部での
 大麻使用の情報や大麻の可能性が高い植物片を発見した際、
 理事会などへの報告義務を果たさずガバナンスが機能不全だった」
 と指摘した。
11月28日の学内会議で廃部方針を決定した。
 これに対して部員らが撤回を求める署名を大学側に提出。
11月末に文部科学省に提出した改善計画に廃部を明記した。
12月1日の理事会では継続審議となった。
12月4日、日大スポーツ科学部長益子俊志氏は記者会見で、
 以下のコメント。
 「集団的、常習的な犯罪と疑われ、
  学生の安全を担保できないと結論付けた」
そして、12月15日の理事会の廃部決定、に至っている。

日大執行部の責任としては、
副学長が年内に辞任、学長が年度末に辞任、
理事長が6か月減給50%、の処分を発表している。

B.12月9日の日経新聞への安田秀一氏の寄稿

「法の支配」の精神どこへ?
 旧体制からの脱却急務  安田秀一
主要な論点は以下のとおりです。
日本大学アメリカンフットボール部が廃部になるという
ニュースに唖然としています。
同時に,ことの本質や事実そのものを見極めようとせず、
感情に任せて「これだけ問題を起こしたのだから廃部は当然」
などという世論があることに対して、
なんともいえない失望感を覚えます。
(上野;そのとおりです!!)

このコラムでもことあるごとに指摘してきましたが、
個人の犯罪は個人のものでそれ以上でも以下でもありません。
「罪のない学生はかわいそうだが仕方がない」
という意見も聞きますが、
そんな理不尽なことのないように「法の支配」という知恵を
近代社会は手に入れたはずです。

また、連盟から今季すべての公式戦出場停止、
大学からは活動停止という処分によって、
罪のない多くの学生が連帯責任を負い、
4年生は1試合も出場することなく最後のシーズンを終えています。
この事実だけをとらえても、僕は胸が苦しくなります。
(上野:「心情察して余りある」ということですね!!)

日大が文部科学省に提出した「報告書」には
「理事長、学長、副学長に責任の所在がある」
「アメフト部の監督の責任は、ないとは言えない」
廃部に関しては「アメリカンフットボール部の今後」という項目で、
わずか9行、何の脈絡もなしに唐突に述べられていて、
廃部とする理由には触れられてもいません。

責任を取るべきは違法行為をした学生と、
不適切な対応に終始した日大執行部、
という結論しか見出すことができません。

また、報道によると、アメフト部員は120人強で、
問題が起こった寮で生活をしていたのは27人でした。
大半の部員は寮に入ったことも近づいたこともないとのことです。

寮の隔離性と相まって
「チームメートなのに気が付かなかったのか?」と詰問するのは
まったくの見当違いで、
寮に住んでいなかった他の部員に責任を負わせるのは
不条理といえます。

報告書を読むに、問題の本質は「正しいガバナンスの欠如」であり、
ここには「旧体制からの脱却」という強いメッセージがあります。

ここからは要約になります。
問題の起源は50数年前の「日大紛争」に遡る。
日大紛争は、大学や教授たちの不正に対して
学生が怒って紛争になったものである。
その際、体育会相撲部が「体を張って」大学側を守った。
その相撲部のボスはその後、大学の理事になった。

その後も大学は強い体育会を学生獲得のPRに利用してきた。
体育会は大学のPRにつながるスポーツ推薦入学などの権利を持ち
大学と持ちつ持たれつの腐れ縁ができている。

そのことが、
今回大学側が「強い」アメフト部に厳しい対応ができなかった
要因となっている。
林理事長は、この旧体制を認識しガバナンスを確立すべきであった。
ところが、その旧体制はブラックボックスで
明確に把握できている第3者はいなかったので実現できなかった。

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