2016年8月22日月曜日

高齢者における低栄養が問題なのですって!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 高齢者は健康維持のためにきちんと食事をすることが
 非常に重要であることを確認いただきます。

ねらい:
 健康寿命を延ばしましょう。

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今回の検討テーマは、こういうことです。

若年層の場合には高栄養・肥満が健康障害として
問題になりますが、
高齢者の場合には、逆に低栄養(栄養欠乏)が問題となるのです。

「ようやく痩せ出した!」と喜んではいけないということです。

學士會会報2014-Ⅲ号 葛谷雅文名古屋大学教授の寄稿
「高齢者における低栄養とその対策」に基づき、
システム企画研修㈱が提供している「丸い三角形」のフレームで
整理をしました。

1.低栄養改善の目的・ねらい
 
 1)本人にとって、「生活の質」を維持する。
   高齢者においては,BMI値25kg/㎡以上の肥満に比較しても
   BMI値18.5kg/㎡の痩せの方が生命予後のリスクが高い。


 2)社会にとって、要介護者を減らし国民の経済負担を減らす。
   国民医療費の削減は日本経済の最大の課題といってよい。


2.低栄養状態とは

(1)低栄養状態とはどういうことか
 ・(明確な定義はないようで)
  一般的には全体的な摂取カロリー不足、
  またはある種の栄養素の摂取不足により、
  健康上何らかの支障がある状態を低栄養といい、
  栄養不良、栄養失調と同義である。
 ( → なーんだ!!)


(2)低栄養状態の症状
 ・低栄養状態は、虚弱状態(フレイル)を引き起こす。
  フレイルは、以下の5項目のうち3項目以上当てはまる場合をいう。
  1) 体重の減少
  2) 身体機能の低下(歩行速度の低下)
  3) 筋力の低下(握力の低下)
  4) 主観的疲労感
  5) 生活活動度
 
 (注)私の場合は2項目に当てはまり、
    その場合はプレフレイル(予備軍)というようです。


 ・免疫機能の低下を伴い、感染症を引き起こしやすくなる。
  主要疾患の治癒を遅らせ、合併症を容易に引き起こす。
 
 ・それ以外にも次のような病的な症状に至る。

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 高齢者栄養障害に伴う病態

 1. 免疫異常(感染症)
 2. 褥瘡
 3. 創傷治癒の遅延(手術後の回復遅延)
 4. 貧血
 5. 骨粗鬆症
 6. 薬剤代謝の変動
 7. 筋萎縮(sarcopenia)
 8. 転倒
 9. 骨折
 10. 呼吸機能の低下
 11. 疲労感
 12. 浮腫

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 (注)転倒には気をつける必要がありますね。
    私の周りにも転倒が原因で命を落とした人がたくさんいます。 
  
3.低栄養状態発生の原因  

 以下は転載です。

(1)社会的な要因

 独居高齢者はそれだけで栄養障害のリスクとなる。
 日常生活動作(activeities of daily living: ADL)
 の障害がなくても、一人暮らしのため十分な食事量を
 摂取していなかったり、食事内容が偏ったりする場会がある。

 ADL障害がある高齢者は十分な介護力、
 適切な介護がなければ、摂取量は確実に減少する。

 経済的な問題があり満足に食事を取れない場合も
 低栄養の要因になるのは言うまでもない。


(2)精神心理的要因

 認知機能障害により、食事をするのを忘れたり、
 空腹感を感じなかったりすることはまれではない。
 認知症が進行すると味覚、嗅覚の低下が進むことも、
 食事摂取量が減少する一つの原因である。

 「うつ」は「消化管の問題」、「悪性腫瘍」にならぶ
 高齢者の食欲不振・体重減少の原因として頻度が高い。

 明らかな食欲不振・体重減少の原因がない場合は
 「うつ」の存在を疑う必要がある。

 嚥下障害がある場合、誤囃を恐れるため本人、
 介護者が食事摂取量を制限している場合がある。


(3)加齢による影響

 加齢自体によっても食欲は一般に低下しやすいと言われている。
 味覚、嗅覚は食欲に重要な役割を果たすが、
 高齢者では味覚機能が低下し
 (六五歳以上では約四〇%に味覚障害があるとの報告もある)、
 特に苦味に関する感覚が低下する。

 また嗅覚の低下も一般的に認められる。
 味覚の低下の原因は単に加齢の影響のみならず、
 亜鉛欠乏、鉄欠乏、日腔内カンジダ症、
 うつなどが起因となっているケースもまれではない。

 さらに種々の薬剤によつても
 味覚異常を引き起こす可能性がある。

 また、高齢者では体重を保つため働く食欲の調節機構が
 若年者と異なることが知られている
 (急激な体重減少に反応して若年者では
 体重をもどすため食欲増加が起こるが、
 高齢者ではその調節が起こらない)。

(4)疾病要因

 悪性腫瘍ならびに感染症、慢性炎症性疾患の存在、
 さらには心不全、呼吸不全、肝、腎不全などは
 食欲低下の大きな誘引になる。

 さらにこれらの疾患は代謝性ストレスに直結し、
 必要エネルギー量は増大し、
 食欲低下と相まって低栄養につながる。

 腰痛、頭痛、膝関節痛などの疼痛は食欲低下の誘因になる。

 歯の問題は咀嚼機能の低下を合め栄養障害を
 引き起こす重要な因子である。

 特に義歯の不調、口腔ケア不足による歯槽膿漏などは
 低栄養の誘因として重要である。

 薬剤が高齢者の食欲低下、体重減少に関わっている
 ケースは想像以上に多く、高齢者の食思不振の
 二五%は医原病によるとの報告もある。

 咀嚼・嚥下障害があれば、当然十分な経口摂取は
 期待できず、放置すれば短期間で低栄養に陥る。

(5)その他

 高齢者では咀嚼、嚥下障害を抱えるケースが多いが、
 それに対応した食形態が提供されていない場会がある。

 不適切な食形態の提供により、十分な食事が
 摂取できないばかりか、誤嚥の要因にもなっている。

 若い頃の過栄養に対する食事指導を体重減少が
 既に現れている高齢者になっても
 引きずっている場合がある。

 また医療者も後期高齢者を対象に若年者と
 同様の食事指導を行っている場合がある。


4.低栄養状態の対策

 (肝心なことですが明確な提言はありません)
 サルコペニア(加齢に伴う筋力の低下、または老化に伴う筋肉量の減少)
 はフレイルや転倒との強い関連が指摘されている。
 
 低栄養もその要因の一つになっている。
 たんぱく質摂取並びに運動介入によりサルコペニアが改善する
 との報告が蓄積されつつある。


 (注)なーんだ!
 最後は(低栄養になる要因に留意して)
 「低栄養にならないようにきちんと食べなさい、肉も」
 ということなのですね。

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