目的:
裁判の判決は裁判官の考え方・思考の広さで
まったく逆の結論が得られることを再認識していただく。
皆様はどちらと考えますか?
戦争絶対反対とか憲法9条は何が何でも守れとかの
狭い土俵での判断の限界を再確認していただきます。
今後の思考法の参考になるかしら?
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遺族補償年金の男女差規定は違憲かどうかで
争われています。
以下の文言は2015年6月20日付の日経新聞によります。
妻を亡くした公務員の夫が、
年齢を基準に(55歳以上の場合に支給)
遺族年金を支給しないのは(女性の場合は年齢制限なし)
法の下の平等に対する違憲である、支給せよ
と要求している訴えです。
一審では違憲、二審は合憲と反対の判決でした。
一審の判断はこうです。
法制定時の社会状況
正社員の夫と専業主婦からなる世帯が一般的で、
規定は合理的だった。
現在の社会状況
共働き世帯が一般的になり、
性別だけで受給権を分けることに合理性がない。
憲法判断と不支給決定
法の下の平等を定めた憲法に反して無効。
法定は違憲で取り消すべきだ。
二審の判断はこうです。
法制定時の社会状況
妻の就労が困難で、男女間の賃金格差も大きく、
規定は合理的だった。
現在の社会状況
妻が独力で生計を維持できなくなる可能性はなお高く、
規定が合理性を欠くとはいえない。
憲法判断と不支給決定
不当な差別的取り扱いではなく、憲法に反しない。
決定も違法ではない。
一審は単純かつ形式的に
「配偶者の性別で受給権の有無を分けるような差別的取り扱いは
合理性がなく違憲」としています。
これに対して二審の判断はこうです。
地方公務員災害補償法に基づく遺族補償年金について
「公務員の死亡により、
独力で生計を維持することが難しい遺族の生活の保護が目的」
と位置づけた。
その目的からすると、
女性を取り巻く社会情勢は、
非正規雇用の割合が男性の3倍近いことや、
賃金額が男性の約6割以下と低いことなどから、
「妻を亡くした夫が独力で生計を維持できなくなる可能性は、
夫を亡くした妻よりも著しく低い」ので
「現在の社会情勢でも、
夫のみに年齢の受給要件を設けることは
不合理な差別とは言えない
と結論づけた。
ということで、遺族補償年金の目的から論を進め、
かなり現実を重視した考えとなっています。
当年金の目的からすると不支給は合憲としているのです。
一審は現実を知らない浮世離れ人間の思考ですね。
戦争絶対反対とか憲法9条は何が何でも守れとかの議論も
より上位の目的を考えると結論は変わってきます。
戦争絶対反対の上位目的は、世界平和です。
世界平和の実現のためには、世界平和を乱す国に対して
説得が効かないのなら制裁を加えるべきでしょう。
憲法9条維持の上位目的は我が国の安全です。
国が滅びても
憲法9条も守る方がよいと考える人はいるのでしょうか?
日本人がもっと目的を重視する思考法になってほしい、
というのが私の生来の主張です。
(2005年「価値目標思考のすすめ」)
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