【このテーマの目的・ねらい】
目的:
「コンテキストの時代」って何かを知っていただく。
5つの新技術が世の中を変えつつあることを感じていただく。
どんな例があるのかを知っていただく。
ねらい:
コンテキスト分析アプローチあるいは5つの新技術を使って
何ができそうかを考えていただく。
何か思いつけば、大事業になるかもしれませんよ!!
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「コンテキストの時代」このわけのわからない書名の著者たちは
ロバート・スコープルとシェル・イスラエルという
「ブログスフィア」という書でブログ時代の到来を予想した二人です
(私は知りませんでした)。
今度は、新しい技術の波が押し寄せてきて、
世の中を変えてしまうぞ!というご託宣なのです。
新しい技術は以下の5つです。
これを「5つのフォース」と言っています。
1.モバイル
2.ソーシャルメディア
3.ビッグデータ
4.センサー
5.位置情報
これらの技術のいくつかを組み合わせて
知りたい対象の情報を作りだし提供するのが
コンテキストの時代だというのです。
その例が多数紹介されています。
そのいくつかをご紹介します。
コンテキスト型医療
錠剤に載せられたセンサーで薬の飲み忘れをなくす。
砂粒ほどの小さいシリコンチップを作った。
このチップは完全に消化されるようになっている。
このチップが胃酸に触れると
体内電気によってプロセッサーが駆動され、
データを皮膚に付けたパッチに送信する。
そのパッチがBluetooth経由でモバイルアプリにデータを送り、
さらにデータベースに転送されると検査技師によって
患者が薬を服用したかどうかが確認される。
これは壮大な話につながる。
2012年、処方された薬を飲まなかった人による
救急外来、入院、診療の費用は米国で2580億ドルに上った。
さらに、毎年平均13万人のアメリカ人が、
処方計画に従わなかったために死亡している。
(上野)日本では、医療費削減の検討がいろいろ行われています。
その中で、処方された薬を飲まないで捨てた金額が
400億円あるのだそうです。
医療費全体は8兆円ということからすると、もっとありそうです。
センサー錠剤はこういう利用も研究されている。、
心拍数や身体活動を測定して指示を守るよう促進するとともに、
重要なデータを医療機関に報告する。
結核、メンタルヘルス、心不全、高血圧、糖尿病の追跡について
試験中だ。
2015年か2016年には米国ではセンサー錠剤が市場に出る。
大腸内視鏡検査や前立腺の検査などを実施するために
体内に摂取できる超小型デバイスを開発中の会社もある。
フィットネス用ウェアラブルツール
既に米国で数100万台売れている。
加速度計を内蔵し、運動、カロリー、睡眠サイクルなどを測定し
知らせてくれる。
5つのセンサーを使って測定されるデータを蓄積して
運動、食事、睡眠と健康状態の関連を見つけ出したりもできる
システムも提供されている。
高齢者のためのウェアラブルもある。
こういう例も紹介されています。
車の修理工場で現地のメカニックと本部の専門家の連携
専用のヘッドマウント・ディスプレイを着用し、
リアルタイム・双方向のビデオチャットによって
故障の原因を突き止める。
メカニックが車体の下に潜り込んであちこちつつき回す映像を
専門家がリアルタイムで共有し、 説明を聞き、
必要なら質問や指示を出す。
この方式なら、多くの故障はその場で対処できる。
それと同じようなことが、
辺境の地の医師と専門医の間の連携で可能である。
痴漢を防ぐ下着(どんなものか想像してください)
ガンを検知するブラ
大気の状況を知るスマートマスク(中国)
ティーン少女向けペンダント(音声認識機能でiPhoneに連動する)
グーグルグラス
2013年からテスト版が市販されていましたが、
今年1月に発売中止となりました。
市場の読み違えでしたね。
これについても限界点を含め丁寧に紹介されています。
(本書は2013年から14年にかけて書かれたものです)
そもそも本書で言うところのコンテキストとは
何であるかについて訳者あとがき(滑川海彦さん)では
以下のように書かれています。
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コンテキストという単語は、「文脈」と訳されることが多いが、
英語では「前後の事情、背景」を広く意味する。
コンテキストとはもともと「織られた糸のように密接にからみあったもの」
の意味で、文章をテキストというのも、布地をテキスタイルというのも、
「絡み合って織り上げられたもの」という共通の語源から発している。
コンテキスト・コンピューティングでは
システムがユーザーのおかれた状況や背景を知り、
それに基づいて
ユーザーが最も必要とするサービスを的確、即時に提供する。
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本書の例からすると、
対象となる「ユーザー」は個人が主対象のようです。
しかし、前掲の車の修理工場の場合は、
対象は人ではなく物です。
また、前掲の「痴漢を防ぐ下着」は
ブラに触れるとビビッと電気を発するとか
警察に緊急連絡がいくとかの機能ですから、
コンテキスト要素はありません。
(これは「5つのフォース』の技術を使った例ということです。
そういう点からすると、読者は本のタイトルに疑問を持ちます)
コンテキストとなるには、
「ここら辺は気をつけましょう」とか
「帰りが遅くなるから今日はこの辺で飲むのをやめときなさい」
とか言ってくれないとダメですね。
しかしながら、これら新技術の膨大な可能性に対して
ビジネス面での利用実績ということでは非常に限られています。
ということは、
これから多くのビジネスチャンスが見つけられるということになります。
さらに、対象は個人に限らず、
法人のコンテキストだって有効な情報になりえるのではないでしょうか、
と思ったのですが。
法人の企業特性・企業風土は変化が少ないですが、
担当が変われば、部長が変われば、あるいは社長が変われば
方針が変わるということが多いにありますから、
「コンテキスト」分析はあまり役に立たないかもしれません。
五つのフォースを個人を対象に限定せずに、
コンテキスト分析に活用するという視点で検討すれば、
多数の応用領域があるのではないでしょうか。
本書でなるほどと思われる
コンテキストアプローチの留意点が述べられていました。
それは、リッツカールトン・ホテルの例ですが、
データ活用を企画推進するIT部門が、
ダイニング、フロント、ゴルフ、会議室で分かれていて
相互に情報連携していない、
連携すればもっともっと顧客サービスの向上に繋がるのに!
ということでした。
情報を織り上げるには
範囲が広いほどいいものができるのですから、ね。
留意すべきことです。
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