目的:
ケネディ暗殺の「真相」を知っていただく。
米国社会・国際政治の裏に思いを巡らせていただく。
(日本は大丈夫と信じたいです)
どういう前提でものごとを見るかによって
結論が大きく変わる実例を知っていただく。
したがって、調査前提の仮説が
極めて重要であることを再認識していただく。
ねらい:
調査や検討に際して、前提とする仮説を明確にしていただく。
モノゴトのウラを考えるようにしていただく??
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前稿2013年11月の
「50年目で分かりつつあるケネディ暗殺の真相は?」では、
「ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言」
の概要をご紹介しただけで、
詳細は後日ということにしていました。
ところが、
この書は大作ですのでなかなか制覇できませんでした。
ようやく読み終わりました。
この書は
「フィリップ・シノン」という元ニューヨークタイムズ記者が
5年の歳月をかけて、
暗殺の真相に迫ろうとしたものです。
ウォーレン委員会の膨大な資料の解読だけでなく、
今やほとんど故人なってしまっている証人の何人かに
会って直接確認することなども行っています。
その内容は以下のものです。
第1部 1963年11月22日~29日
1.解剖医は血染めのメモを焼却した
2.ロバートケネディの推理
3.ジョンソンとフーヴァーの奇妙な友情
4.誇大妄想狂の母親
5.ジョンソン、ウォーレンを説得
第2部 調査
6.~43.
第3部 ウォーレン報告
44.~54.
第4部 報告書発表以降
55.~57.
58.ケネディ暗殺は防ぐことができた
しかし、基本的にはウォーレン報告を前提に、
基本的にはその内容を追認することに終始してしまいました。
当書のウォーレン報告に対する追加情報は以下の3点です。
1)米国政府は、共産国家元首の暗殺を企てていた。
その責任者はロバートケネディだった。
2)ケネディ大統領の護衛・身辺警備はずさんで
(CIA,FBA)、
必要な予兆や直前の危険性を見落としていた。
3)ネディ暗殺の究明過程で、
それらのことがあからさまになるとまずいので
ウォーレン委員会は真相解明に深入りしなかった。
また具合の悪い証拠を隠ぺいした。
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ところが真相はそんなものではなかったのです。
いろいろな陰謀説が流れましたが、
なんと一番の真相は日本のジャーナリスト落合信彦氏が
解明されたのです。
落合氏は、まず1977年に「2039j年の真実」で
その真相を公開しました。
今回それの増補をして
「ケネディ暗殺の真実 20世紀最大の謀略」
を出されました。
この「真実」は
本当に恐ろしいことです。
米国の暗部をえぐり出しています。
これによると、
ケネディ大統領の革新的な施策は
以下の人たちの存在を否定するものでした。
1)CIA
CIAが敵国として認識し
諜報活動や場合によって暗殺活動の対象としているソ連と、
こともあろうに、
ケネディはフルシチョフを通じて雪解けを企図していて
実績も出始めていた。
(このことは,CIAの存在価値を損なうものであった)
ケネディはキューバとも和解の道を探りだしている。
(CIAが企画したキューバ侵攻「ピッグズ湾作戦」に対して
ケネディが支援しなかったので
この作戦はCIAにとって惨めな失敗となった。
CIAはこのことを恨みに思っていた)
2)FBI
ケネディ大統領はFBIが大きな権力を握っていることを
快く思っていなく権限縮小を図っていた。
3)マフィア、地下組織
ロバートケネディ司法長官を先頭に立てて
撲滅対策を積極的に展開して彼らの存立を脅かせた。
その黒幕の一人であるサム・ジアンカーナは
ケネディの大統領選でたいへんな協力をした。
その恩を仇で返すということで恨みを買った、
という説もある。
4)「軍産複合体」
軍と軍需産業の癒着をこう言っているらしい。
軍は戦争がなければ存在価値が減殺される。
軍需産業は平和になれば売上が下がる。
どちらにとってもケネディの平和追求は敵であった。
5)ニクソン氏
大統領選挙でケネディに敗戦し、、
その後のカリフォルニア知事選でも
ケネディの推す候補者に敗れた。
このままいくとケネディは再選され
自分が大統領になる目はなくなる。
「にっくきケネディ」であった。
CIA、マフィア、軍産複合体とも
単独で大統領暗殺の大陰謀作戦を
成功させる知恵はなかった。
殺すことはできても、
その黒幕を知られないですむ筋書きは
描けなかったのである。
彼らを結びつける役割を果たしたのがニクソンだった。
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オズワルドはまったくの囮で
ケネディを撃ってはいない。
全体の計画は何も知らずに消されてしまった。
オズワルド単独犯説を補強するために、
「オズワルドが逃走途中に現職の警察官を殺害した」
という筋書きのために
無実の警察官がひとり犠牲になっている。
ルービーは
たまたまの正義感でオズワルドをやったのではなく、
マフィア組織の一員としての計画的行動であった。
ケネディ暗殺の実行犯は数人の殺し屋で、
決め手となった3発目のケネディの脳を後ろに吹き飛ばした
下手人は、
パレードの前方の草藪から撃っている。
オズワルドが撃ったというビルからだと
横なので脳は後ろに飛ばない。
そんな明白な事実・証拠も隠ぺいされてしまっている。
この陰謀に関わったのは、
CIA、FBIと暗黒組織の上層部であり、
下じもは現場の警察官を含めて何も知らされていない。
陰謀を知っている上層部が
調査や証言の対象になろうとすると
その直前に殺されている。
下手人は暗黒組織である。
4年間で16人の重要証人が不審死をしている。
その他事実を探求しようとしたジャーナリスト10人近く、
FBI・CIAの幹部、ダラス警察の巡査も何人か消されている。
実際の犯行の下手人(ガンマン)は7人だが、
1人5万ドル、
合計35万ドル(1億2600万円)の報酬が支払われた。
その後、彼らも殺されている。
このことは、1992年に出版された「ダブルクロス」
という本に出ている。
この本は、
暗殺事件の主役の一人サム・ジアンカーナの身内が
書いたもので、
落合氏が翻訳している(邦題「アメリカを葬った男」)。
実はこの「ダブルクロス」の内容は、
落合氏の1977年著「2039j年の真実」
とほとんど同じなのだという。
ニクソンは殺し屋のキーマンであるハワード・ハントに
100万ドルを支払っている(脅迫されていたのだ)。
ニクソンは、
盗聴事件であるウォーターゲート事件で失脚したが、
盗聴や資料奪取の対象には
ケネディ暗殺事件の真相に関わるものも
含まれていたようだ。
凄い話ですね。
フィリップ・シノンの報告とあまりにも違いすぎます。
シノンは、オズワルドの単独犯行説を前提に
ウォーレン委員会報告の隙間・不備を洗うという
スタンスです。
どうもおかしいとは思いながら
まったく真相に迫れていません。
それに対して落合氏は、
ウォーレン報告書を読んだ時から、
単独犯行説はおかしい、という直感から
真相追求を始めています。
誰がケネディの死を望むのだろうか、
という点から問題を解き始めています。
そうすると次から次へと疑問と仮説が生じ、
その仮説を検証していく、というプロセスで
とうとう全体像を作り上げたのです。
凄い推理力と執念です。
しかし、
真相を知っている人あるいはそれを探ろうとする人が
次々と殺されていく中で
落合氏はよく生き延びましたね。
「ケネディ暗殺の真実 20世紀最大の謀略」の中に
こういう記述がありました。
「ダブルクロス」の著者との電話の内容です。
O(落合氏):彼らの説得は効き目があるからね。
(説得=脅迫のこと)
S(サム・ジアンカーナJr):彼らの説得を聞き入れないのは
死んだ人間だけだ。(笑)
O:私も、かつてダラスで取材していた時、
車の排気筒にダイナマイトが突っ込まれていたり、
ブレーキを壊されたりした経験があった。
正直言ってぶるったね。
S:いつ頃だった?
O:60年代の終りから70年代の初めにかけてだった。
なにしろダラスには90回以上行ったからね。
S:大したもんだ。
あの頃は暗殺に関係ある証人が次々と消されていた頃だ。
今あなたが生きているのは奇跡だよ。
あの頃だったら我々も「ダブルクロス」を出せなかったね。
落合さんが日本人だったので、
甘く見られて「お目こぼし」されたのでしょう。
「ダブルクロス」には、
ケネディ暗殺直前のダラスでの謀議には
ジョンソン副大統領(当時)も出席していたとあります。
アンチケネディ総がかりでの陰謀だったのです。
この落合さんの命をかけたレポートは、
ピューリッツアー賞のようなものに相当すると思われます。
この賞はアメリカ人が書いたものでないと対象外なので
受賞はムリですが、日本には、
このようなノンフィクション書に対する賞は
ないのでしょうかね。
あったとしても、入賞は難しいのかもしれません。
内容が真実かどうかの検証ができません。
勝手な妄想で書いているものと区別がつきません。
私はこの内容は真実であろうと確信しました。
落合氏は丁寧に推定を事実で検証しています。
内幕暴露本の「ダブルクロス」と同じ内容だった
ということも強みです。
それと、この内容はあまりにもショッキングです。
米国との関係を考えた時に
その影響を心配してしまうということもあるでしょう。
命がけで真実を探求した落合氏を尊敬します。
本来なら、
大ベストセラーになっておかしくない内容だったのです。
しかし、大々的な宣伝はされなかったような気がします。
落合氏も
「今は本書がアメリカ政府や議会を動かすような
(力になることは諦めた)」
とあとがきに書いておられます。
ほんとうにご苦労様でした。
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「この際」ということで、
もう1冊ケネディ本を読んでみました。
「ケネディ暗殺50年目の真実」です。
ビル・オライリーという
テレビ番組の名キャスターが書いたものです。
これはどんな真相に迫るのか、
前掲2書とどう違うのかと興味津々で読みました。
そうしましたら、暗殺の原因に迫る「真実」ではなく
ケネディ一が死に至るまでを物語風に追いかける
ドキュメンタリーレポートなのです。
これはこれで興味深い内容でした。
原題はKILLING KENNEDYでケネディ殺人
またはケネディの死という感じです。
そのタイトルでこの内容なら腑に落ちます。
ところが日本の題は何ですか!!
暗殺の原因に迫る風に読めますね。
現に私はそう思って買いました。
「売らんかな」が見え見えです。
この出版社は講談社なのですよ。
3流夕刊紙の見出しと同じではないですか!
これでは、日本の出版界もダメですね。
こうして研究してみると
あらためてケネディ大統領は
凄い人だったことが分かります。
ソ連と和解して核戦争を終結の方向に持っていく。
キューバとも和解する。
ベトナム戦争は止める。
軍備拡大をやめる。
マフィア組織を撲滅する。
これができていたら今の世界は変わっていたでしょうに。
本当に惜しまれます。
米国の地位は決して下がっていないで
今よりも国際世論をリードできていたでしょう。
ところで、
オズワルド囮説はそうだと思いますが、
疑問も残ります。
オズワルドは
早くからCIAのスパイとして行動していたようですが
謀略一派は、
いつからオズワルドをケネディ殺人犯の囮にすると
考えだしたのでしょうか?
落合氏著のオズワルドの「犯行」前の行動から推定すると、
1963年4月からのようです。
その頃から謀議が始まっていたのでしょうか。
謀議が始まったのはもっと後だというのであれば、
CIAは常時このような替え玉になる要員を
育成していたことになります。
これまた恐ろしいことです。
替え玉は殺される運命なのですから。
いずれにしても、とても恐ろしいことです。
「組織は自分の組織の拡大・延命を図るものである」
「目的のためには手段を選ばない」
という単純な原理の実例ですが、
あまりにも凄すぎます。
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