2014年3月31日月曜日

またまた英語の早期教育是非論をしている!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 英語教育論の全貌を知っていただく。
 早期英語教育の是非について考えていただく。

ねらい:
 英語教育について正しい見識を持っていただく。

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日本の愛国主義者として尊敬申しあげている
渡部昇一先生の著書を題材にした議論です。

書名は
「英語の早期教育・社内公用語は百害あって一利なし」
ですが、内容はそのようなものではありません。


先生は、
英語の早期教育も社内公用語化も百害あって一利なし
とは言っておられません。
またも出版社の売らんかな戦略です。
先生もその書名を認めたのですから、同罪です。

そもそもの今回の英語教育論の発端は、
文科省の方針で2011年から
小学校5年生からの英語教育が行われていることです。
2020年には小学校3年からに引き下げようという
計画もあるようです。

実は英語教育論は、本書での紹介によれば、
1974年に大論争があったのです。

一方は参議院議員(科学技術庁長官も経験)平泉渉氏
もう一方は渡部昇一上智大学教授でした。

双方の意見を本書からの転載でご紹介します。
英語教育論の課題が網羅されていると思われます。


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当時の平泉渉氏の意見


① 日本の青少年の全部に近い数の者が中・高六年間に
  わたって、毎週数時間の英語の授 業を受けながら、
  その成果はまったく上がっていない。

② その理由の第一は、英語ができなくても日本社会で
  困ることはないし、受験のための必要悪に
  すぎないため、学習意欲に欠けること。

  第二は、受験英語のレベルが高すぎるので、
  学習意欲を失わせること。

  第三は、教授法がまったくなっていないこと。

③ そもそも英語は、社会科や理科のような国民生活に
  必要な「知識」でもないし、数学のような基本的な
  思考法を訓練する「知的訓練」でもなく、
  それは膨大な時間をかけて習得される「暗記の記号体系」
  である.したがって、義務教育の対象とすることは本来
  ムリなのである。

④ したがって、義務教育では現在の中学一年修了
  程度までの英語授業にとどめる(この程度の
  知識すら高校卒業生の大部分は身につけるに
  いたっていない)かたわら、高校では厳格に
  志望者にのみ英語を教えることとし、
  大学入試から英語という科目をなくす

  ちなみに、高校で英語を選択した者には、
  毎日数時間以上の訓練と毎年一か月の完全
  集中訓練を行うことによって、国民の
  約五パーセントが英語の実用能力を
  もつようにする。

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 平泉渉氏の意見に対する渡部先生の解説


 平泉先生の提案は、「英語の授業の成果はまったく
上がっていない。

それゆえ、中学一年修了程度までの英語授業に
とどめる。そして、大学の入試科目からも外す」と
要約することができます。

  現在の「小学生からの早期英語教育」という
議論とは、一見、正反対のように見えますが、
しかし、その"根っこ"はまったく同じです。
なぜならば、両者ともに――

①日本の英語教育がなっていないため、大半の
 日本人は英語が話せないではないか、という
 前提に立っている。

②したがって、日本人に英語力をつけさせる
 ことが急務である。

③そのためには・・・という方法論のところで
 両者はいったん分かれ、平泉先生は
 「一部のエリート教育」という捉唱を行い、
 他方、現在の文科省は小学生からの
 「早期英語教育」を実践しようとしている。

④つぎに、両社がふたたび合流するのは、
 グローバル時代であるから「役立つ英語」
 「話せる英語」「実用英語」でなければならない、
 という観点です。
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渡部昇一先生の当時の説


①英語の勉強は「知力」を鍛えるという、
  じつに重大な意昧を有している。

②したがって、「使える英語」という視点だけから
  英語教育を論じるのは売全なる誤りである。

③よって、大学入試から英語を外すことも間違っている。
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先生の主張をもう少し敷衍すると
以下の4点になります。
単純な早期教育論の是非ではありません。

1.英語の重要性は世界の共通語である、ことと
  英語の文献・書籍・資料が多数あることである。

2.英語の習得目標を日常会話ではなく、
  ディスカッションをする、論文を書くなどの
  コミュニケーションをとるということであるとすると
  文法が大事である。

  この文法がマスタできていれば、
  会話は必要になったときに練習すれば
  すぐにできるようになる。

3.英作文、英語翻訳をする過程で、日本語の理解が進むし
  知力・思考力がつく。

4.使い物になる英語力を身につけるには、
  語彙も重要である。


私は、「なるほどそうか」と納得がいきました。

ネイティブのように英語になじむのが目標だとすると、
小学校3年からでは遅く、
幼稚園児から取り組まないとダメでしょう。

「日本人の脳」で大発見を発表された
角田忠信先生の研究によると
日本語で育った人の脳は
言語だけでなく虫の声や自然界の音も左脳で聞く、
他の人は右脳でそれらを雑音として聞く
というのです。
ご存じでしたか?

何歳までが「日本語で育った」分岐点かというと
概ね10歳だということでした。
言語処理は重要な大脳の働きですから、
同じことでしょう。
10歳までに終了していないとダメだということです。

こういう重要なテーマの方向を決める際には
科学的な根拠に基づくべきですね。

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