2013年8月23日金曜日

公共事業問題とソフト保守問題は同じだ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的
 公共事業の補修問題の重大性を知っていただく。
 ソフト保守業務は、
 公共事業と全く同じ問題を抱えていることを知っていただく。
 両者とも何とかしなければいけないなと思っていただく。

ねらい
 公共事業投資が適切な方向に運営されるように見守っていただく。  
 ソフト保守業務が改善されていくようにご尽力いただく。

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公共事業は大きな曲がり角に来ています。
目ぼしい新規事業がなくなってきているのに対して、
過去に建設された道路や橋が年限を経過して
大がかりな補修か建て替えが必要になっているのです。

図表 建設後50年以上を経過する施設の割合(推計)
出典:2010.1「立法と調査」誌掲載
「公共事業を巡る最近の動向と今後の課題」
国土交通委員会調査室 田中利幸氏









この問題は、当ブログでも2010年5月の
「公共事業に「隠れ負債」?システムは?」で取りあげました。

民主党政権で「コンクリートから人へ」というスローガンの下に
公共事業の削減が行われました。
(10年度の予算では公共事業費を2割減らすなどしました)

以下の図表は、
社会資本全体で必要な維持管理費と更新費の合計が
2015年くらいに新設費を上回り、
急速に新設の余裕がなくなることを示しています。
(出典:前掲)

 















しかし自民党政権になって、
その見直しがされています。
相変わらず、新規事業を期待する建設族がいる半面、
補修の必要性を訴える正当派もいて、
この問題が社会的関心事になっています。

現実に先般来の豪雨被害で、
補修や建て替えの遅れによって被害が大きくなった例
なども紹介されています。

この公共事業の補修問題は、
当社の現在の主力ビジネスであるソフト保守領域の問題と
まったく同じなのです。

その対比を以下の表にしました。


                両者の問題点の共通性

      項目  公共事業の問題点
ソフト保守業務
問題点
 新規工事の減少
目ぼしい新規事業がなくなってきている 既存事業では情報システムは行き亘っている
 
  巨大な補修の必要性
補修の必要性がある物件が莫大ある
過去に開発された多種多様の情報システムが、多くの保守の必要性を抱えている
   補修への予算投入
補修は目に見えず「票にならない」ので優先度が低い
 保守は後ろ向きの業務と思われていて投資がされない
  補修費用の大きさ
新設よりも費用が大きくなっている

(首都高速道路は年間9000億円の補修費がかかっている)
産業界平均で開発費に対して5割増し(全体の6割)ないし4倍(全体の8割)が保守費用である
補修の有効性
適切な補修をすれば、供用期間を延ばすことができる
保守方法が適切であればソフトの寿命を延ばすことができる
補修の目利きの難しさ
新設よりも補修の方が技術的に5倍難しい
新規開発よりも保守業務の改善は難しい
補修の専門家の不足
しかし補修の目利きのできる専門家が不足している
保守の改善の専門家はほとんどいない
ソフト保守業務とは以下のような理由で
既存のソフトウェアに手を入れたり
付け加えたりするものです。

 組織や制度が変更されることに対応する。
 商品・サービスの変更に対応する。
 業務の実施方法が変更されることに対応する。
 システム利用者の思考や習熟度の変更に対応する。
 
 ソフトウェアを動かす環境変化に対応する。
 プログラムのミスに対応する。

ソフト保守業務は開発業務よりも
はるかに大きくなってきています。

それでもソフト保守業務のあり方は、
旧態依然で近代武装化されていないのです。

最も根源的な問題は、投資のあり方です。
公共事業の補修は「票にならないから」と
不人気で後回しになることが
大きな問題を発生させています。

ソフト保守も経営者の認識が間違っているために、
なかなか保守業務の整備にお金が出なく、
いつまでも旧態依然の状態から抜け出すことができないで
結果的にお金がかかってしまっているのです。

世の中は変わっているのに、
相変わらずの価値判断が
大きなロスを招いているという事例です。

その次に大きな問題は、
補修は適切な診断に基づいた補修工事を行えば、
供用期間の延長にも補修工事費の削減にも貢献します。

ところが、適切な診断のできる技術者が少なく、
大きなロスを招いているのです。

ソフト保守でも
保守業務の改善のできる専門家がほとんどいなく、
非効率なまま保守業務が遂行され
時折社会を驚かせる障害を発生させています。

そこで、弊社と兄弟会社である㈱データ総研では
保守業務改善のプロフェッショナルを育成する
Sweeper養成講座を継続開催しています。

しかし、前掲の予算問題で、
この研修の集客は苦戦続きです。
問題意識を共有いただける企業にご参加いただいて
息をつないでいる状況です。

早く保守問題が経営者の関心事になり、
保守業務がどんどん改善されていく日を
鶴首している状態です。

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