2021年7月26日月曜日

「土偶を読む」土偶の謎が解けました!!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 縄文の土偶が何を表しているものかが解明されたことを
 知っていただきます。
 大発見の素晴らしさを実感していただきます。
ねらい:
 縄文時代のさらなる発見を期待いたしましょう。
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スゴイ大発見です。
人類学者・独立研究者である竹倉史人氏の著作「土偶を読む」が
2021年4月25日に刊行されました。

縄文時代の土偶がなんであるかが解明されたのです。
これまで土偶は
「豊穣の象徴である妊娠女性を表している」
「目に見えない精霊の姿を表現している」
「人体をデフォルメしている」
などと言われてきました。
これらの説には証拠がないのです。
ですから、誰が何と言おうと肯定も否定もできなかったのです。
「そうかもしれないな」で終わりでした。

竹倉氏は、このテーマに徹底的に取り組みました。
手がかりは、以下のとおりでした。
1)19世紀末のイギリスの人類学者が
 「世界中の地域で、古代から植物の栽培には
 その植物の精霊を祭祀する呪術的な儀礼が伴っている。
 植物の豊穣を祈ったのである」
 と主張しているが、日本ではその証拠が見つかっていない。
 
2)2017年の初秋に、長野県の山中で偶然見つけた木の実が
 オニグルミであった。
 これを割ってみるとハート形土偶の頭部にそっくりであった。
 その時に閃いた。これで植物の精霊祭祀の証拠が見つかった。
 その後、
 「ハート形土偶」とオニグルミの分布を調べて見ると
 ピッタリ一致していた。
 

3)土偶の出土状況を見ると縄文中期以降に増大している。
 縄文中期は、縄文人が狩猟採集漁労中心生活から転じて、
 栽培を開始した時期である。

 以下の表の出典は、当書ですが、
 「出土指数」は期間1年あたりの出土数について
 中期を1000とした指数です。
 「需要指数」は「出土指数」を推定人口で割った数値
 (人口1人年間当り出土数)で晩期を1000とした指数です。


最初の発見の後は、次から次と
土偶のタイプが何を模しているものかの解明に取り組まれました。
「中空土偶」はシバグリ

その結果は、植物だけでなく、貝類も対象であることが判明しました。
貝類の豊漁を祈ったのです。
縄文後期には、海進は逆転し内陸部は海に面さなくなっています。
それでも丸木舟を使い水路で海まで貝とりに出かけていたのです。
みみずく土偶とイタボガキ、椎塚土偶とハマグリ、

竹倉氏たちが解明した土偶は他にも以下のように多数あるのです。
星形土偶とオオツタノハ
縄文のビーナスとトチノミ
結髪土偶とイネ 以上は頭部が対象物で、それに手足を付けていますが。
これは変形です。イネは頭の上に置かれています。

刺突文土偶とヒエ これは全身がヒエを表しています。
身体中のボチボチがヒエです。



遮光器土偶とサトイモ これも全身がサトイモを表しています。
これだけの検証を2017年開始で実現されたのですから
スゴイことです。素晴らしい発想力・行動力です。
既存の学者様たちは頭が上がらないでしょうね。
なんと反論するのでしょうか。
楽しみです。

竹倉氏の経歴はこうなっています。「多様性」があります。
 武蔵野美術大学映像学科中退。
 東京大学文学部宗教学・宗教史学科卒業。
 東京工業大学大学院社会理工学研究科 価値システム専攻博士課程
  満期退学。
博士論文を提出されなかったので博士でないのですが、
この著書は十分以上の博士論文です。

この著書は347頁ですが、上掲の写真や図版も豊富で
出版社はよく1700円という定価を設定したものだと感心します。
是非、皆様もお読みください。
お子様の発想法とかの教材にもなると思います。

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