【このテーマの目的・ねらい】
目的:
今の日本社会の後進性・停滞感から
早く脱却できないものかと考えます。
いつ頃それが可能になるかを考えてみます。
ねらい:
そうなることを期待しましょう。
これの続きは、「これからの日本をどうする!!」で述べます。
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検討の前提
人材の世代交代には30年かかります。
ビジネス従事者は20代から50代まで30年間活躍します。
若い時の成功者が、その成功体験を基に後半生で
支配力を持ちます。
したがって、
世代は、がらっと世代交代してしまうのではなく、
次の世代の半ばくらいまで影響力があります。
しかし、後半では当世代人が主流になります。
そういう目で、戦後の日本社会を見てみます。
1945-1960 戦後復興・成長期
15年で30年分の変革を成し遂げました。
15年で急速展開できたのは、旧世代人がいなかったからです。
消滅しかけた国が生き返りました。
需要主導型経済で 「作れば売れる」時代でした。
生活必需品がゼロスタートしているので、
需要が想定される対象に投資すれば報われました。
需要は生活需要なので想定は容易でした。
中心は農業、石炭産業、繊維産業(綿糸)、建設業、です。
1960-1990 高度成長期
この時代は、戦後復興・成長期の成功者が仕切っています。
付和雷同型・モノマネ時代で、自分の頭をあまり使っていません。
生きるための需要は一巡し、
生活を豊かにするための需要が勃興しました。
鉄鋼、化学、合繊、電機、自動車などの産業です。
旧松下電器は「マネシタ」と揶揄されました。
他社が良い製品を出すと、生産技術・生産力にものを言わせて、
市場を席巻しました。
他の企業も似たようなものです。
スーパーマーケットダイエーは1959年誕生、
ジャスコは1970年誕生、
セブンイレブンは1973年誕生、
ヤマト運輸の宅急便は1976年誕生です。
攻め型・積極派が勝ちの時代でした。
エズラ・ヴォーゲルによるJAPAN アズ ナンバー1は
1979年の著書です。
最後は不動産バブルです。
不動産担保融資では、融資者はこれまた頭を使っていないのです。
当時、商品先物業界の私の友人社長は、
「従業員数百人が汗水たらして稼いでいる利益よりも、
2-3人でやっている不動産事業の利益の方が大きい」
と嘆いていました。
我が社の親会社が購入して利用していた
7千万円の赤坂のマンションは3億5千万円で売れました。
そんな時代です。
1990-2020 停滞期 (よく言えば成熟期)
今現在です。
この時代の前半は、高度成長期の成功者が仕切っています。
全般的には、停滞ムードです。
1990年にバブル崩壊です。
前半はまだら模様で、IT産業などはまだ伸びていました。
ITバブル崩壊は2001年です。
次第に日本中が、
自信喪失・自信の持てない派、 閉じこもり型になり、
企業は積極的投資をせずに資金を貯め込みました。
バブル崩壊に懲りて、動けないでいるのです。
以下の図の出典は、財務省財務総合政策研究所の
「フィナンシャル・レビュー2017年10月号の
「日本企業の資金余剰とキャッシュフロー使途」です。
1996年からずっと企業は投資よりも貯蓄に資金を回しています。
右肩上がりの経験しかない「できない部長」が、
この時代の象徴的な存在です。
右肩上がりの時は、
「みんながやっていることをやっていればよかった」ので、
そうでなくなった時に「手も足もでない」状態となったのです。
社長も「できない社長」です。
この後ろ向き姿勢のほころびが出てきています。
「え――っ」というような不正事件が多発しているのです。
製造業の品質不正
東芝の不正会計 業績の糊塗
スルガ銀行の不正
官庁の不正
組織が変革・超競争社会に対応できずに、
単なる組織延命のために不正をしているのです。
「世も末」の状態です。
このダメ世代は、
世代計算からすると、2020年で主流から下ります。
こういう中でも、積極派は存在し後半で活躍しています。
日本電産の永守社長、
ソフトバンクの孫社長、
ユーグレナの2005年創業時の出雲充社長の企業家魂は
素晴らしいものです。
ZOZOTOWN、メルカリもユニークな新事業を展開しています。
ホリエモンは残念ながら挫折してしまいましたが。企業家でした。
その創業は1996年です。
次の世代は、こういう積極派が主流になるのです。
それを期待したいです。
2020-2050 IT大革命時代
ITが生活を変える、全てのビジネスを変える、
おそらく想像を絶する時代となります。
前半はIT暴走期で おそらく人類の破滅も予見されるようになります。
後半はその反省が起きることを期待したいものです。
人間がロボット(IT)と共存する時代となります。
至福到来でしょうか。
この時代は、
新ビジネス投資をしなければ、直ちに市場から見放されます。
いわゆるデジタルフォーメーション(DX)の動きは急速です。
日本企業は、DXで武装して世界規模で戦うか、
純ローカルで戦うか(人力依存サービス、マッサージ、理容・美容、
介護、など)の決断を迫られます。
日本人はゆでガエル民族ですから、
緩やかな変化には鈍いですが、急速な変化には素早く対応するはずです。
単なるノロマではないのです。
この変革期をリードするのは、
先見性があり、決断力のあるトップに率いられる企業群です。
合議制の会社はおいていかれます。
社員の甘えは許されません。
停滞期に誕生した前掲先進企業たちが日本を引っ張ってくれるでしょうか。
強いゆでガエルに期待したいです。
以上とは別の世代交代論もありますのでご紹介します。
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垂直磁気記録方式を発明された東北大学名誉教授の岩崎俊一氏は、
學士會会報2018-Ⅴ号の寄稿「豊かな社会のために」で
以下のような「技術革新の40年則」を唱えておられます。
例1
磁気記録方式は次の発展をしている。
1898年 デンマークのポールセンが磁気記録方式を発明
1935年頃 ドイツで磁気テープを用いる面状の記録方式発明
1977年 岩崎氏が垂直磁気記録方式を発明
例2
真空管 1906年
トランジスタ 1949年
超LSI 1980年代
例3
マルコーニの無線通信 1901年
マイクロ波通信 1940年代
光通信 1980年代
この事実は、
研究者の世代交代も重なる普遍的な経験則のように思う、
と考えておられます。
技術者の世代交代が40年だというのです。
さらにこうも述べておられます。
興味深いことに、「技術革新の40年則」の40年周期は、
近代日本の転機としてもしばしば表れている。
1867年の大政奉還
1905年の日本海海戦の勝利
1945年の太平洋戦争敗戦
1985年の技術・経済大国の実現
(上野意見、これは少しムリがありそうです。
85年にイベントがあったわけではありません)
日本の次の転機は2025年になるが、
それは第4次産業革命の情報技術が作る
新たな価値を持つ社会が確立する時期である。
科学・技術に携わる者は、「個人」を「社会」に広げた
Quality of Society(QoS)の視点に立つことが
必要だと考えている。
それは正に、IoT(Internet of Things)による
新たな「ものづくり」の時代であり、
古来「草木にも魂が宿る」とした日本人の自然観に近く、
日本人の特性を十分発揮できるような時代になると予想される。
(上野注、なるほど!!)
したがって、そのような日本の社会の在り方が、
世界の規範となることも夢ではないと思われる。
これは私たちの次の世代の人たちによる実現を期待したい。
日本人の個性を評価したたいへん良いことを言っておられます。
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