目的:
私の知人が日本一の文章術の先生になったことをご報告します。
その阿部紘久さんの本を読もうかなと思っていただきます。
ねらい:
よろしければ、勉強をなさってください。
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元帝人㈱社員の阿部紘久さんが9年前に出版した「文章力の基本」は、
46刷30万部の大ロングセラーになったそうです。
すごいことですね!!
私も帝人でしたので、多少のご縁があります。
阿部さんは2005年から10年間、
昭和女子大学で文章術の指導をされました。
十数年間、この道一筋に取り組んでこられた結果で、
今や日本一の文章術指導者です。
文章術の指導書は多いのですが、
阿部さんの著書は、
まずい文章とそれを添削した良い文章の事例が豊富なことで
たいへん分かりやすく説得力のあるものになっています。
大学教師の指導過程での成果が生きていると思われます。
この度、この7月に開かれた楽天エキスポでの講演の「テキスト」を
送っていただきました。
早速読ませていただきました。
素晴らしい内容で、文章術の簡潔なエッセンスになっています。
私もまだまだ学ぶべき点がありました。
以下に、その冒頭の数ページをご紹介しますので、
ご関心がありましたら
阿部さんご推薦の、「文章力を伸ばす」(日本実業出版社、2017)
をご研究ください。
以下の文章のレイアウトは私が行っています。
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2018年9月1日
「文章力UP 一口メモ」
阿部紘久
第1部 ウォーミングアップ
1 ある相談
「私は文章力に大きな課題があると自覚しています」と言って、
ある人が文章を添削(てんさく)して欲しいと送って来ました。
その中に次のような文がありました。(◆は原文、◇は改善案)
◆働くということは、ただ単に収入を得たり、
労働に対する対価を得るという
物理的な理由だけの目的で行うのではない。(54字)
物理的な理由だけの目的で行うのではない。(54字)
私が提案した改善案は、次のようにシンプルなものでした。
◇人は、お金のためだけに働く訳ではない。(19字)
これ以上のことを原文で述べていますか?
原文では、「収入を得る」と「対価を得る」、
「理由」と「目的」が重複しています。
「物理的」というような、ことさら難しい言葉も使われています。「理由」と「目的」が重複しています。
書くことに自信のない人ほど不必要な重複を重ね、
難しい言葉を使い、言葉を飾り、
長く複雑に書いてしまいがちです。
無駄な言葉を削り、言葉を飾らないようにするだけで、
あなたの文章はとても良くなります。
言いたいことが浮き彫りになるからです。
言いたいことが浮き彫りになるからです。
(拙著『文章力を伸ばす』)
2「いい文章」とは?
社会人や学生が書くことを求められる「いい文章」とは、「事実関係や自分の考えを簡潔・明瞭に伝えて、
読み手の理解と共感を得る」ことのできる文章だと思います。
それが書ければ、あなたの活躍の場は大きく広がります。
それ以外のこと、たとえば、
「モノを知らないと思われたくない」(教養の一端を示そう)
「考えが浅いと思われたくない」
(さまざまな点を考えていることを示そう)
「語彙が乏しいと思われたくない」
(難しい言葉も使えることを示そう)
などと無意識に考えて、
肝心の理解と共感の得にくい文章を書いている人が 沢山います。
ましてや、
「気が利いた、技巧的な、文学的な文章」を目指すと、
鼻持ちならない文章になりがちです。
近著の「おわりに」で、
私はいい文章を書くための原則を22点に要約しました。
それを読んで、
「こんな基本的なことだけでいいのですか?」と言う人がいます。
しかし、基本的な原則を知ったとしても、
実際にそれを踏まえて新しい文章を書くのは、
簡単ではありません。
多くの文例を吟味しながら、
原則を「使いこなす」稽古をしてください。
いい文章を書くために、それ以上に深遠な秘訣はありません。
3 文章を書く3つの喜び
文章を書くことには、少なくとも次の3つの喜びがあります。
「表現する喜び」「理解と共感を得る喜び」
「相手や組織や、時には自分自身にも変化をもたらす喜び」です。
書きながら自己理解が進むと、進むべき方向も見えて来るのです。
ですから明快な文章は、読む人に歓迎されるばかりでなく、書く人にとっても快いものなのです。
この3つの喜びを知っていただくための「一口メモ」を、
今回91話準備しました。
1つの話は、1分くらいで読めると思います。
毎朝1つずつに目を通し、
その日1日その点に注意を向けていただけると、
3ヵ月ほどで総合的な文章力を一通り身に付けることができます。
私は60歳まで国際ビジネスの世界にいました。
海外での生産・販売活動に20年以上関わり、
内10年間は、タイ、韓国、イタリアで合弁会社を経営しました。
最後は日本にある米国系企業の代表を務めました。
国際ビジネスで最も必要とされた力は、前項に書いた、
「事実関係や自分の考えを簡潔・明瞭に伝えて、
読み手の理解と共感を得る」力でした。
まずは最も得意な日本語で、その力を磨くことが求められました。
その後10年間、大学で文章指導に携わり、
社会人に対する添削指導は今も続けています。
その間に文章術の本を8冊著しました。
この「一口メモ」は、
最新刊の『文章力を伸ばす』のサワリの部分を紹介すると同時に、
『文章力の基本』(30万部)、『文章力の基本の基本』
(以上は日本実業出版社)、
『文章力の基本100題』(光文社)、『シンプルに書く!』(飛鳥新社)
などからも素材を拾い、最近の考察も加えてまとめてみました。
肩の凝るような難しい話は一切ありませんので、
気楽にお付き合いください。
4 文章力の7つの要素
「文章力」は、単に「言葉を巧みに操る力」ではありません。
次の7つの要素からなる、総合的な力です。
(1) よいテーマを見つける「着想力」
(2) テーマに関わるさまざまな事柄に連想を広げる「連想力」
(3) その中で書くべきことを見極める「優先順位の判断力」
(4) 書くべきことを「構造的に把握する力」
(因果関係などの論理的構造、
時間的・地理的関係などをつかむこと)
(5) そこに自分独自の考えを加える「創造性、独自性」時間的・地理的関係などをつかむこと)
(6) 読み手の立場、心情、知識レベルなどを理解する「人間理解力」
(7) 読み手に伝わる簡潔・明瞭な言葉で表現する「言語表現力」
頭を使って仕事をしている人にとっては、
この7つの要素は、
業務遂行能力とほとんど重なり合っていると思います。
最近は、
「爆速でたちまち10倍速く書ける!」などとうたった本が人気ですが、
本を1冊読んだら上の7つの要素がたちまち10倍速くなる
などということは、ちょっと考えにくいですね。
仕事のスピードは、
問題の本質、勘所をいかにつかむか
ということと大いに関係しています。
ということと大いに関係しています。
若いうちは時間をかけて、
上記の7つの要素を巡ってあれこれ試行錯誤しているうちに、
だんだんに迷路に迷い込む回数が減ってきます。
そして、
ある時思いがけないほど仕事のスピードが上がっていることに
気づくと思います。(『文章力の基本』他)
5「書く力」は「考える力」
文章の「内容を考えること」と「表現すること」は、
同時に行われています。
同時に行われています。
そもそも「考える」というのは、
自分の内にある思いとピッタリする言葉を探すこと
ではないでしょうか。
ではないでしょうか。
人間は、生まれて以来のさまざまな体験や見聞を通じて、
たくさんの思いを胸の内に秘めていますが、
その多くは潜在意識の中にあります。
ある日、その中のどれかにピッタリする言葉を見つけた時、
「あっ、そういうことなのだ!」と、考えがまとまるのです。
ですから文章の「内容」と「表現」とは、
まさに表裏一体の関係にあります。
そう考えると、書く力は、考える力そのものなのです。
昨今、教育改革の方向として、
「知識の量だけでなく、自分の頭で考えられるかどうかが問われる」
としきりに言われていますが、
私は母語の文章力を磨けば、
しっかり考え、それを的確に表現できるようになると思います。
(『文章力を伸ばす』)
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