政府は、来年度予算の概算要求基準として
一般的な政策経費の一律1割削減を設定しようとしています。
(7月17日時点)
各大臣からは、以下のように不満続出状態となっています。
国交省は、「国交省管轄の経費削減目標を達成しているのに
上乗せでの一律削減は飲めない」
文科省は、「成長の原動力である知的基盤を破壊する」
各省も、マニフェスト等を盾にとって反対表明をしています。
私は、前著「目的達成の教科書」で
以下のように一律経費削減の非を説いています。
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一律経費削減
何のために経費削減をするのか、
その目的に照らしてメリハリ付けるべき。
会社の業績が悪くなってくると、必ず実施されるのが経費削減です。
多くの場合、
一律10%カットとかの基準で実行されることが多いようです。
一律である根拠として、
個別事情を考慮するとなるとそれぞれに尤もな理由があり、
それを議論している時間がない、今は緊急事態である、
というようなことが言われるのです。
はたしてそうでしょうか?
この場合も、何のために経費削減を行うのか、
を検討する必要があります。
多くの場合は利益を確保するために経費の削減を行うのでしょう。
だとすれば、利益の確保に繋がる程度に応じて
削減率を変えたらよいのです。
営業成果に直接つながるような経費
(例えば、営業手数料、ある業界の広告費、イベント費用、営業の交通費)
は削減0、
営業成果に間接的につながるような経費
(例えば、交際費、営業の人件費)は10%削減、
それ以外は20%削減、
とかにすればよいのです。
何らかの理由で経費の絶対額を減らさなければならないのなら、
額の大きな費目で減らすのが、
手間暇がかからなくてよいことになります。
一律削減は、
それを実施する事務方の無能さを表わしているといる
ということになりそうです。
個人の出費削減なら一律にはしないでしょう?
削減の影響や効果が判断できるからです。
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一律削減は、
無能な管理担当が持ち出す便法だということです。
では、今回の国家予算の場合はどう考えたらよいのでしょうか。
「何のための予算削減か」が検討の鍵です。
支出を抑えることが最終目的ではありません。
何年かの計画で、財政の収支をバランスさせることが
最終目的のはずです。
そうであるなら、収入増(税収増)に繋がる可能性のある支出は
絞ってはいけません。
税収減は、さらなる支出減を要求して
デフレスパイラルに入ってしまいます。
したがって、以下のような基準を設けるべきでしょう。
将来の税収増に繋がる支出は 削減なし
または、増枠
マニフェストで公約した支出のうち、
優先度の高いもの 削減なし
同じく、優先度の中程度のもの 5%削減
同じく、優先度の低いもの 10%削減
その他の支出 15%削減
(優先度は、将来の税収増に繋がるかどうかで判断すべきです)
などとすればよいのです。
民主党のその後の動向では、
ほぼそのような動きになりつつあるようです。
一律1割削減の財務省方針は、
敢えて議論を呼びそうな方針を持ち出して
議論を早く進めようとした作戦だったのかもしれません。
もしそうだとすると、
財務省のお役人はやはり大変優秀ですね。
(以上は7月27日寄稿)
と思っていましたら、
7月27日開いた臨時閣議で、
当初予定どおり
社会保障などを除く政策経費は「全省庁一律1割減」
と決定されました。
1兆円の特別枠で個別事情に対応しようというのが
せめてもの進歩でしょうが、
1兆円では、とても足りそうにありません。
途中経過は今回も結局迷走だったことになります。
司令塔不足の状況が続いているようです。
(以上7月28日)
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