2022年10月26日水曜日

「目的思考」が人気になってきたのでしょうか!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 最近の出版を基に「目的思考」の研究をいたします。
 原理原則はほぼ皆同じということを確認いただきます。
ねらい:
 MIND-SAや価値目標思考を安心してご利用くださいませ。
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このブログは「目的」「ねらい」を掲げて、
目的思考ないし目的重視思考をアピールしています。
MIND-SAでは「目的・ねらい」という用語を使う「目的思考」は、
1985年くらいから始まっています。
その目的思考を表すシンボル的な「丸い三角形」はこれです。

お医者に行くのは、
頭痛を直してもらいたいからではないでしょう?
(他にも悪いところがるかもしれません)
風邪を治してもらいたいからではないでしょう?
(風邪でないかもしれません)
風邪薬をもらいに行くのではないでしょう?
(風邪でなければまったく意味がありません)
そういう言葉は使っていないでしょうが
「健康を回復する」ためですね。
ということを示しています。



目的思考の解説書である「上野則男著 価値目標思考のすすめ」は
2004年の出版です。

今年になって、「目的思考」をタイトルに入れた書籍が2冊出ました。
実は、目的思考がタイトルに入っている書籍は
「『目的思考』で学びが変わる」が2019年2月に出ていたのです。


































今年の2冊のうちの1冊は、
「突き抜けたオンリーワンを生み出す」と副題は付いていますが、
(自信を持って?)「目的思考」という言葉だけで
形容詞とかはついていません。
「目的思考」という言葉が一般に認知されてきたということでしょうか。

そこで、目的思考の元祖を自任する私として、
その内容がどうなっているのか研究してみました。

【目的ドリブンの思考法】の構成
第1章 まず「目的」から始めよ
第2章 「目的」をどう設定するか
第3章 目的から「目標」への落し方、そして実行へ
第4章 成果創出の「手段」と
    あらゆる仕事に通底する「5つの基本動作」
第5章 <認知>問題の見極め方
第6章 <判断>結論に最速でたどりつく判断の方法
第7章 <行動>アクションの導き方
第8章 <予測>先手を打つリスク予測法
第9章 <学習>学びのレバレッジ法
終章  新たな始まりに向かうための思考<問い>の地図

【目的思考】の構成
序章 いま、目的思考をもつ必要性
第1章 目的思考とは何か
第2章 目的思考をもつメリット
第3章 悪い目的と良い目的の典型パターン
第4章 目的の立て方
第5章 目的から実行へのつなげ方
第6章 目的思考力を磨く

【「目的思考」で学びが変わる】の構成
第1章 世の中まんざらでもない。結構大人って素敵だ!
第2章 行政まで変えた改革者の横顔
第3章 「自律」の力を身につけた生徒たち
第4章 保護者も、学校を変えられる

3著の内容の比較を表にまとめました。

目的思考の主張の比較

書名

長所

難点

目的ドリブンの思考法

2022,3,25

 

著者望月安迪氏は、デロイト トーマツ コンサルティングの現役コンサルタント。

1)全般的に記述が具体的である。

2)WHYWHATHOWの3階層で考える。

3)WHYWHATHOWの検討プロセスが示されている(この方法は、「問題点連関図手法」のアプローチと同じである)。

4)ガイドの実行法としてSTEPを明示している(目的設定についても)。

5)手段の実行(アクション)のあり方、その際のリスク対応にも触れている。

1)WHYWHATHOW を目的、目標、手段とし、WHATを一般的用語である「目標」としたこと。

(目標は、納期にも費用にありうる言葉である)

2)そのために説明に混乱が見られる。

(注)Whatは「課題」とする方がよい。課題は「目的達成のために解決すべきであり、解決可能な問題」である(MIND-SA)。

目的思考

(2022,2,17)

 

著者山梨広一氏は、マッキンゼーでの25年の後、イオンの専務,LIXILグループの社長をされた。

1) 「目的思考」を「課題思考」の上位概念として設定している。

2) 目的は目標を持つべきとしている。

3) 目的思考のメリットを示している。

4) 目的設定の留意事項を示している。

5) 解決策の検討方法を提示している。

6) 目的思考を個人が持つことの優位性を示している。

7) すべての解説で例示をしていて分かりやすい。

1)目的はアウトカム(成果)を示すべきとは言っているが、価値目標であるべきであるという明確な主張はない。

2)WHYWHATHOWの3階層概念は明示していない。

3)(これは難点ではない)それ以外では、基本的な主張で表現は異なっていてもMIND-SAと異なる点はない。(「目標の設定では、定性から定量へ」まで同じである)  

4)強いて言えば、対象をビジネス界に限定していて、個人生活の「目的思考」については触れていない。

「目的思考」で学びが変わる

(2019.2.28)

 

著者多田慎介氏は、独立ライターで、工藤勇一麹町中学校長の業績を紹介している。

1)中学校教育について、従来の「べし」を手段としてとらえ、教育の本来の目的に立ち返って教育を実施していることを報告している。

2)「学校教育は子どもが社会でより良く生きていくためにある」を本質的な教育の目的としている(工藤勇一)。

1)「目的思考とは何か」の解説がない。

2)なぜこういう書名にしたかの解説もない。

 


「目的思考で学びが変わる」は、目的思考の解説をしていませんので、
これを除外し他の2書の内容とMIND-SA手法の
目的思考のアプローチ法を比較しますと次の表になります。

目的思考アプローチの比較

対照項目

「目的思考」

「目的ドリブンの思考法」

MIND-SA

1)WHYWHATHOWの3階層モデル

2)目的、課題、解決策の用語

3)目的が価値を持つべきことの明示

4)目的思考のメリットの明示

5)目的設定方法の提示

6)解決策検討方法の提示

7)解決策の実行方法のガイド

8)目的思考力向上対策のガイド

9)具体例での説明


この表から、
「目的思考」または「案件の対策検討方法」のあるべき条件
が浮かび上がります。
以下にその解説をします。

1.WHY(目的)WHAT(課題)HOW(解決策)
 3階層で検討する。
 WHYWHATHOWは、
 一般にも使われている言葉になっています。
 これで理解することが、分かりやすいと思われます。
 その日本語としては、目的、課題、解決策、です。
 
 目標という言葉は、
 一般的な用法として何にでも使われるものです。
 目的実現のための納期にも費用にも
 目標がありますし、目的自身にも目標があります。
 MIND-SAでは課題における目標は、
 問題点に対する「改善目標」と称しています。

2.「目的」は、価値を持たなければならない。
 目的は実現しようとするゴールですから、
 価値がなければなりません。
 MIND-SAでは、目的が持つべき価値を
 「価値目標」と称し、その内訳を示しています
 (MRC、VQTHSFU)。

3.目的設定の検討プロセスを明示する。
 これがなければ、目的思考は念仏で終ります。
 MIND-SAでは、問題点連関図手法右方展開で、
 目的設定の方法を具体的に提示しています。
 他の両書では、具体的な検討手順というよりも
 留意事項となっています。これはこれで有効です。 
 問題点連関図での検討の際に
 利用すればよいと思われます。

4.解決策の検討プロセスを明示する。
 MIND-SAでは問題点連関図手法左方展開で、
 解決策検討の方法を具体的に提示しています。
 両書で示している解決策検討方法のエッセンスは、
 問題点連関図手法のものとほとんど同一です。
 トコトン検討していけば、行き着く先は同じなのですね。

5.目的思考力の向上対策が必要である。
 「目的思考」書で、以下3項を提示しているのは参考になります。
  「常に目的を意識する」
  「視野を広げ、深く掘り下げる」
  「リーダーシップを高める」
 MIND-SAでは
 実践的な教育・訓練で「目的思考」を身につけることを
 その対策としています。

6.具体例を示す。
 両書はコンサルタントの記述だけに、例示等が豊富で具体的です。
 MIND-SAのマニュアルでは、例示をあまりしていません。
 実践事例データは豊富にありますので、
 それを手法の解説の際に利用すべきでしょう。

(手前みそっぽくて申し訳ありませんが)
要約しますと、MIND-SA手法については、
この基準をほとんどクリアしているということになりました。
不足しているのは具体例の提示で、これは今後の課題です。

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