2022年11月6日日曜日

エマニュエル・トッド氏「中国は世界の覇者になりえない!」

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 中国の将来発展予測を研究しましょう。
ねらい:
 中ロの覇権国家が強くなってほしくないですね!!
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11月6日のフジテレビ日曜報道 THE PRIMEに出演した
エマニュエル・トッド氏は
「中国は世界の覇者になりえない!」と発言しました。

その根拠は、先進国中最低の出生率
(国連統計によれば、2021年1.16)で、
こういう状況では社会経済が発展しないというのです。

出生率の低下は、最近は解除されましたが、
長く続いた(1979年から2014年まで)一人っ子政策の結果です。
多くの国民にとって生活が楽でないことも影響しているでしょう。

氏はフランスの社会学者で「知の巨人」と言われ、
ソ連崩壊、アラブの春到来、(2008年の)世界金融危機発生、
トランプ大統領実現などの予言を的中させたことで有名です。
今回も当たってほしいですね。

私は、もう一つ、中国の発展を阻害する要因があると思います。
それは、習近平が掲げている「共同富裕」のスローガンです。
「競争よりも平等を、出世よりも勤勉さ」を勧めています。
国民の独裁政治に対する不満をそらすために、
大多数を占める低所得者向けのアピールなのでしょう。
その方針が徹底されれば、ぬるま湯社会となり、
ブレークスルーや発展は起きなくなってしまいます。
米国のシリコンバレーとはまったく逆の状態となるのです。

日経新聞2022年10月30日の
「『自我革命』共同富裕へ内から変える」にはこういう記事がありました。

すでに受験戦争の現場で競争意識を薄めようとの動きがある。
「成績に関係なく進学校に入れるのはむしろ不公平ではないか」
上海市で小学4年生を育てる張佳さん(仮名)は
子どもの将来に不安を抱く。
というのも、上海市が2022年から高校受験の制度を改め、
入学試験の成績順で決まる合格枠を減らしたからだ。
地元の区や中学校への割り当てを増やし、
教育の公平性を高めるという。
一人っ子が多い都市部で教育熱が過剰となり、
若い世代が出産をためらうほど教育費も高騰した。
教育面でも広がった富裕層と貧困層の格差是正を狙っている。

中国を脅威と感じる国々にとっては、
「共同富裕」はたいへん都合のよい政策です。

米国がよほどのドジをしない限り、米中の逆転はないのです。
期待しましょう!!

因みに、トッド氏は、日本は人口減対策として
計画的に移民を受け入れろとアドバイスしていました。

移民受け入れは、
別項の「(人類の繁栄)と格差の起源」のガロー教授の説からしても
日本の発展にとって必須の条件です。

2 件のコメント:

上野 則男 さんのコメント...

M氏からのメールです。

トッドさんの見方のうち人口問題は別様な考えもあるでしょう。また日本の人口減少
についても移民を推奨されていますがこれも運用をよく考えてやらないと角を矯めて
牛を殺すことになりかねません。
共同富裕は体制維持に力点が置かれた政策でこれはこれでいいと割り切っているので
しょう。
どういう形が国の形として大事かを考える必要があります。
経済大国、GDP大国になることが人々の幸せになるとは思いません。
中国が経済力の成長、軍事大国としての存在から離れて格差解消、覇権国家から離脱
せざるを得ない選択をするしかないように追い込まれるのを願っています。
そうなれば独裁強権国家とは別の道をたどることになることを期待したい。

上野 則男 さんのコメント...

Mさん
ご意見ありがとうございます。

今さら経済大国を目指すことはできませんが、
若い人たちが、国の将来に絶望や悲観をしない国になってほしいと思います。

移民については、タブー視をやめて、真剣に検討する必要があると思います。
いろいろな研究や実績が、
これからの人間社会の発展は「多様性」にあるとなっています。
そのとおりでしょう。
純粋培養は諦めるべきだと、強く感じ出しています。