2020年1月30日木曜日

2030年ショック!!「純粋機械化経済」の到来

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 2030年ショックとは何かについて考えていただきます。
 とんでもない時代がやってきそうなことを再認識いたしましょう。
ねらい:
 先の長い方はよくよく考えないといけませんね。
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本テーマは、主として
井上智洋駒澤大学経済学部准教授著「純粋機械化経済」
20195月刊)の主張を受けています。


本書は日経新聞の書評で
「脱労働をAIとBIで展望」とありましたので、波頭亮氏の
「AIとBIはいかに人間を変えるのか」(当ブログ2018.4.23 http://uenorio.blogspot.com/2018/04/blog-post_61.html
に感服していた私としましては、
そのテーマにどんな切り口で迫るのだろう?
と関心をもち開いてみました。


そうしましたら、BIはAIと並ぶ主題ではありませんでした。
「なんだこれは、AI・BI語呂合わせの二番煎じじゃないか」
と思って放置していました。


そのため未処理本として机上にありましたので、
今回あらためて読みなおして見てビックリしました。


書評が悪く、積極的にBIを論じたのではなかったのです。


本書の帯に「経済学の俊英が解明する壮大な文明論」
とありますように、著者はたいへん博学で気鋭の研究者です。


これからやってくるAI革命、
著者の言われる「第4次産業革命」でたいへんな社会になる、
2030年からそう遠くないときに、
まともに職業に就いている人は1割くらいとなり、
BI制度を導入しないとどうにもならなくなる、というのです。


2030年頃にその時代が始まる、と同時に、
中国が世界一のGDP大国になることも記述されていました
(後者の影響は本書では掘り下げられていません)。


純粋機械化の意味は、
ほぼ完全に人間労働の機械化ができるということでしょう
(正式な定義は見当たりません)。


私は、この2大ショックを「2030年ショック」として
問題提起していくことにしました。


2030年ショックの概要は以下のとおりです。
断りのない部分は井上准教授の主張です。


 2030年ショックその1 中国ショック


世界の覇権は中国に回帰する。
 私は2年前まで、次のヘゲモニー国家の本命をアメリカとしていたが、
 今はそれを中国に置き換えている。
 次代の最もクリティカルな(決定的に重要な)機械である
 AIに対する政府および民間の取り組みが、
 大国の中で最も活発であるからだ。

 
 政府のネット鎖国施策等によって育ったBAT
 (バイドゥ、アリババ、テンセント)を中心とした巨大IT企業は、
 グーグルやアマゾン同様にAIに莫大な投資を行っている。

 
 2018年の中国のAI関連投資は4兆円程度であり、
 世界の4分の3を占めている。
 世界のAIベンチャーの資金調達額のうち、中国が48%を占め、
 アメリカは38%だ。
 日本は残り14%のさらにほんの一部を占めるにすぎない。

2018926 英銀HSBCホールディングスの見解
Bloombergニュース)

 同行が25日公表した75カ国対象の新たな分析結果によれば、
 中国は今後10年も世界経済の成長に最も大きく寄与する見通し。
  30年時点で中国の国内総生産(GDP)は26兆ドル(約2940兆円)と、
 現在の141000億ドルから大きく増加する一方、
 米GDPは252000億ドル(現在204000億ドル)
 と中国を下回る見込みだ。

2030年ショックその2 AIショック

前提:筆者による産業革命の定義

第1次産業革命

蒸気機関の発明による

1800年頃~

第2次

内燃機関、電気モーターの発明による

1900年頃~

第3次

IT革命(PCとインターネット)

1995年~

第4次

AI革命

2030年頃~










IT革命によって事務労働が減少




 この図は、アメリカの経済学者エリック・ブリニョルフソンと
アンドリュー・マカフィー著「機械との競争」を基に筆者が作成した。


アメリカでは今、もともと多かった事務労働の雇用量が、
AIを含むITによって急速に減らされている。
具体的にはコールセンターや旅行代理店のスタッフ、経理係などだ。


こうして技術的失業者となった彼らが、
知的労働の方に移動できれば所得が増大して望ましいのだが、
知的労働は高いスキルが要求されるうえに、
そもそも雇用量がそれほど膨大にあるわけでもない。
それゆえ、彼らはたいがい肉体労働の方に移動してしまう。

 

日本と同様にアメリカでも、
介護スタッフや清掃員といった肉体労働の需要は高い。

 

日本でもみずほ銀行が2017年11月に、
今後10年間で行員の3割に当たる1万9000人を減らす
計画を発表した。

 

上野注:2020年1月13日の日経新聞に、
 事業環境の変化に備え黒字リストラが拡大している
 との1面トップ記事が掲載されています。

 

街角の書店・小売店の廃業が相次いでいる。
アマゾンを含み通販の普及の影響である。

AI革命によってこの動きは加速される。

 

AI革命の実現
 2030年頃に汎用AIが出現するのであれば、
それ以降多くの人間の雇用が消滅に向かう可能性がある。
汎用AI(どんな仕事でもこなせるAI)のコストが
人間の賃金よりも低い場合、
あらゆる職業において人間の代わりに
汎用AIが雇われることになる。

汎用AIが普及すると
最終的には全人口の1割程度しかまともに仕事をしていなくなる。


それでも残る仕事
 次の3種である。
 こういった仕事では、

 自分の感性や感覚、欲望に基づいた判断を必要とする。


 クリエイティビティ系   創造性
  曲を作る、小説を書く、映画を撮る、発明する、
  新しい商品の企画を考える、
  研究をして論文を書く、といった仕事だ。


 マネジメント系  経営・管理
      工場・店舗・プロジェクトの管理、会社の経営など


 ホスピタリティ系  もてなし
  介護士、看護師、保育士、教員、ホテルマン、
  インストラクターなどの仕事だ。





AI時代の大分岐 
 2030年頃,AI先進国とそれ以外では大きな成長の差がでる。

 



大分岐のテイクオフに遅れるとどのような災難に見舞われるか

第3次産業革命に日本が乗り遅れた結果、
私たちの暮らしは、パソコンのOSはウィンドウズ、
検索エンジンはグーグル、
ネット上のショッピングはアマゾン、
スマホはアイフォン,
SNSはフェイスブックやツィッターインスタグラム
を使うような体たらくだ。


それらの製品・サービスで得られる収益は、
アメリカの各企業に持っていかれている。

 

第4次産業革命に日本が乗り遅れた場合、
自動車や家、ロボットなどのOSを提供する外国資本の企業が
日本でも莫大な収益を得るかもしれない。


そればかりか、日本人は、
ロボットが働く無人に近い工場や店舗を所有する
外国資本の企業から
商品やサービスを購入しなければならなくなる。
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まさに2030年ショックなのです!!
これから先は私の意見です。
それでは、システム関係で通常の企業で残る仕事は何かを考えてみました。


 パッケージ製品を提供している企業では、これ以外に
製品開発者なども生き残り対象でしょう。

だとすると、
これから10年以上システムの世界で仕事をしようとする方は、
「自分が要らなくならないためにはどの職種を選択すればよいのか」
を考える必要があります。

そこでこういう仕組みを考えました。
その人の基礎的な能力を評価し、
職種が要求する能力との適合度を判定するのです。

基礎的な能力項目は、
 資質・適性 15項目
 意識・思考法 12項目
 行動特性 11項目   以下表示省略しています。
 ヒューマンスキル 8項目
 コンセプチュアルスキル 14項目
 合計 60項目です。


因みに、このような基礎的な能力項目(=専門能力以外)を
公開している研究調査レポート、サービスは
少なくとも日本ではありません。
この体系は、
ある情報サービス企業のマネージャ数人とで
1年がかりで開発したものです。

今回、この60項目から、
「生き残る職種」が特に要求している能力項目を選定しました。

たとえば、マネージャについては、強靭性、決断力、説得能力などです。


比較の際の重みづけが同じになるように、
どの職種も15に絞って選んでいます。


資質・適性、意識・思考法の例を以下でご覧ください。






























その結果の判定は、以下のようにレーダチャートで表示されますので
自分の向き・不向きを判断できます。
この例の場合は,「AIコーディネータ」向きです。
次はだいぶ下がって「マネージャ」ということになります。
「間接業務」や「ソフト保守」はダメです。



 なお、この判定システムは、これまでもご提供している
 「コンピテンシ系能力評価システム」の応用版です。
 ご関心ある方は、上野宛お問い合わせください。









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