2020年1月28日火曜日

コンビニはアマゾン攻勢でどうなるのか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 コンビニは飽和状態でこれから衰退するのかを検討します。
ねらい:
 コンビニはこれからも便利な存在であり続けることを期待しましょう。
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コンビニは、
日本では1974年にセブンイレブンの1号店が生まれて以来
小売業界の中で大きな成長を遂げてきました。
百貨店はとうの昔に追い越し、停滞のスーパーを超える勢いです。
出典:FOODS CHANNEL「小売業界の再編まとめと今後の見通し」(2018.12)


コンビニの店舗数の伸びはこうなっています。


 出典:2004年以降は日本フランチャイズチェーン協会のデータを使用。
それ以前はそのデータがないのでセブンイレブンのデータを基に上野が作成。

これによれば、一本調子の拡大が2010年ころの中だるみを経て
現在は頭打ち状態です。

コンビニの売上高の推移はこうです。
前掲のデータと少し違っているようです。
こちらのデータは、
日本フランチャイズチェーン協会のデータをそのまま使用しています。





この図によれば、コンビニの総売上高の増加は、
2011年以降逓減状態(右肩下り)となっていることが分かります。

このように、コンビニは店舗数・売上高とも頭打ちで
飽和説・限界説が言われています。
これは、2019年11月24日の日経新聞です。
この記事では、もうほとんどの地域でコンビニは出店済みで、
適正密度?と言われる1店舗当たり人口が3千人を
下回っている地域が9割だと述べています。


かたや小売業界では、
アマゾンをはじめとするECが急拡大しています。


この下の図の出典は、
ebisumartMEDIA「2019年版国内EC市場のEC化率」ですが、
EC市場の約18兆円は
すでにコンビニの売上規模を上回っていることが分かります。


以下は、コンビニはEC拡大の中で衰退するのか生き残るのか、
を上野なりに検討してみたものです。

まず、利用者から見たコンビニとECの比較をしてみます。


コンビニで入手できるものであれば、コンビニ有利。
何か新しい物を見つけるのであれば、コンビニ有利。
コンビニのeatスポットが好きな人は、コンビニ有利。
コンビニの諸サービスを利用する人は、
「ついで」でコンビニ有利。


それ以外は,EC有利。


これで分かることは、
コンビニはまさにコンビニエント(便利)なお店として
機能しているのです。


通勤・通学経路で立ち寄るか、
自宅付近・勤務地付近でちょっと行って弁当などを買うのです。
車社会のアメリカではガソリンスタンド併設が基本型で、
やはり「ついで」型です。



コンビニが有利な代表的な商品は以下のとおりで
ECがとって代われるものではありません。
 弁当・おにぎり・サンドイッチ
 ベーカリー、デザート、アイスクリーム、生鮮食品
 ファストフード(唐揚げ、焼き鳥、おでん、など)
 (今飲む)飲料(含むアルコール飲料)
 淹れたてコーヒー
 たばこ


結論は、コンビニはECとのすみ分けにより生き残るということです。

今後期待したい便利な機能というのは何かあるでしょうか。
過去のサービス追加の歴史はセブンイレブンの例だとこういうことで、
最近はあまりめぼしい新機能は出てきていません。



1974年1号店豊洲に開業
1982年POSシステム開始
1987年東京電力料金収納業務開始
1988年東京ガス料金収納業務開始
1989年NHK受信料継続振込取り扱い開始、プリペイドカード取扱開始
1990年ファミリーバイク自賠責保険取扱開始
1991年NTT料金収納業務取扱開始
1994年割賦販売代金収納業務取扱開始
1995年通信販売代金収納業務取扱開始
1996年カラーコピー機導入開始、ゲームソフト販売開始
1998年音楽CD販売開始、雑誌定期購読予約サービス開始
1999年栄養ドリンク剤販売開始、インターネット代金収納業務開始
2000年お食事配達サービス開始
2001年銀行ATM設置開始
2002年チケットサービス取り扱い開始、複合機サービス開始
2007年「お取り寄せ便」開始、電子マネーnanaco導入開始
2008年QUICPayの利用開始、サテライト店舗開始
2009年電子マネーEdy開始
2010年クレジットカード利用開始
2011年移動販売車開始
2013年鉄道各社運営の駅売店をセブンイレブンに転換の開始
2020年 




「ちょっと立ち寄り」
という条件で提供できるサービスは
もうなかなかなさそうです。


それでは、アマゾンがコンビニ業界に進出して、
アマゾン流ビジネスモデルを実践すると
コンビニのビジネスモデルは変わるでしょうか。


ありうるのはこういう変化でしょう。
日本のコンビニ店の運営方式はかなりよく練り上げられていて、
アマゾンが参入してもこれ以上の進展はないでしょう。


それに対して、顧客の囲い込みに関しては変化が起きます。
現在のコンビニは、
自社カードを発行して顧客の把握をしていますが、
把握したデータを基にした積極的な顧客の囲い込みは不十分です。
ファミリマートは比較的この点に力を入れていますが、
アマゾン流に比較すろと大人と子どもの差でしょう。


アマゾン流だとこういうことを徹底的にするようになります。


 顧客の購買動向を分析して、
 顧客特性に応じた特典付与などのサービス提供、
 競合店の利用をさせないようにするための
 (アマゾンPrime会員サービスのような)
 継続利用に対するきめ細かな勧誘・特典付与


こうすることで、コンビニ業界の中でシェアを取っていきます。


アマゾンはいつコンビニ業界に進出するのでしょうか。
これまでの新規事業進出の「手口」からすると、
どこか中堅のコンビニを傘下に置いて始めるのでしょうが、
この業界は、中堅がないのでどうなるでしょうか???







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