2019年3月18日月曜日

「海と陸をつなぐ進化論」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 地球上の生物の進化がどうなっているかを研究いただきます。
 クジラは植物プランクトンが大発生したおかげで
  あそこまで大きくなれたという関係を考えていただきます。
ねらい:
 進化は環境適応であることを再認識いただきます。
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このタイトルは、須藤斎(いつき)さんという筑波大学で博士号をとり
現在は名古屋大学環境学研究科地球環境科学専攻准教授
の書かれた書名です(講談社ブルーバックス1000円)。
ものすごい研究成果です。


ある機会に、植物プランクトンの研究に関心を持ち、
その後、この世界に没頭し次々新発見をされます。
その過程は、
研究においていかに仮説を立てることが重要であるか
を示しています。
ご本人は「地道な努力と幸運だ」と言っておられますが。


本書に以下の記述があります。
ふだんは顕微鏡で珪藻を観察していることが多かったのですが、
(バイク事故で骨折して謹慎していたので)仕方なく
他の分野の論文を読みあさっていたところ、
珪藻類が増大している時にクジラ類もまた大繁栄を遂げていた
という可能性に気づきました。
何かこの両者に関係があるのではないか?


その発見過程を含め分かりやすく説明している努力は
大称賛に値しワクワクする内容なのですが、
若干ポイントがぼけてしまっています。
私が嫌いな人文科学調になっているのです。


そこで僭越ながら、
私がそのストーリを以下のようにまとめてみました。
このテーマに関心のある方は是非直接当書をお読みください。




1.水中での生命体の食物連鎖はこうなっている。

【この図の説明です】
陸上と同じく、
水中においても独自の生態系が成立していて、
植物プランクトンが生産したエネルギーは、
「食う/食われる」関係の中で伝達されていきます。


たとえば、海の中ではまず、
珪藻、円石藻・渦鞭毛藻などの植物プランクトンが
太陽の光によって光合成を行い、
その体内にタンパク質や炭水化物を蓄えます(生産者)。


それをミジンコやカイアシなどの動物プランクトンが
食べ(一次消費者)、さらにその動物プランクトンを
ニシンやサバの幼魚やイワシなどの小魚が
食べて育ちます(二次消費者)。


これらの小魚は、カツオやマグロなどの大型の魚類や
クジラ類、さらには陸上にすむペンギンやオツトセイの
仲間などのエサになります(三次消費者)。


これらの生物もまた、
シャチやホツキョクグマといつた生態ピラミツド
の頂点に位置する生物によって食べられます。


そして、これらの生物の死骸や排出されたふんなどは、
海底付近で暮らす微生物やカニなどのエサとなり、
さらに細菌などによって無機物へと還つていきます
(分解者)。


日本人がよく食べる魚類も海洋生態系の一部ですから、
このような海洋生態系は私たちの生活にも密接に
関わっています。


その中には、
日本人にもゆかりの深い超大型生物・クジラ類も
含まれています。
日本近海は世界最大の海洋生物の多様性をもつ海であり、
全海洋生物種数の14 ・6%が分布している
といわれています。


2.最下層の植物プランクトンが増えると連鎖で上が増える。


3.植物プランクトンはこうしている。
  海洋面(せいぜい水深200メートル)で光合成をしている。
  炭素、窒素、リン、鉄を含む栄養塩を摂取している。


4.植物プランクトンが必要とする栄養塩は海底に存在し、
  以下の理由で「湧昇」が起きないと、海洋面ではこれが得られない。
  
5.過去4000万年の間に湧昇が活発だった時期が以下の3度ある。
(著者の発見と命名)
  1)ACE 3390万年前
    植物プランクトンの種の増加と量の増加が発生。
    この時期に地球の大陸配置や海洋構造の変化が起きている。
  2)PACE1 850万年前
    植物プランクトンのの量の増加のみ発生
  3)PACE2 250万年前
    植物プランクトンのの量の増加のみ発生


6.その時期に以下のように海生動物たちも躍進している。
  
これはペンギンの例ですが、
 縦に網のかかっているACE、PACE1、PACE2の時期に
 分岐が多いことが分かります。
  
 クジラの例がもっと分かりやすいのですが
 図が複雑なので掲載していません。
 他に、アシカ・オットセイ・アザラシ・セイウチなど、海牛類、ラッコ、
 鮭類、蟹類も同様に示されています。
 (こういう図を作るのはたいへんですね!!)


7、クジラは現時点で地球上最大の生物だが、
  ここまで大きくなったのは
  元はと言えば植物プランクトンのおかげである。
  
因みにクジラに関して以下の記述があります。
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クジラ類の祖先は、

現在のアフリカに生息しているカバと共通である
と考えられています。


インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突し、
ヒマラヤ山脈が隆起するまで、
その地域には「テチス海」と呼ばれる浅い海が
広がっていました。


そのテチス海にクジラ類の祖先である
「原クジラ」が暮らしていたのです。
始原的な種は、
頑丈な四肢を持つ完全な陸生動物であり、
約5400万年前に陸から水中へと進出して(帰って)
いったらしいこともわかってぃます。


インド亜大陸に生息していた原クジラ類は、
漸新世に入ってそれまで暮らしていた
河畔から海洋へと生活の場を移し、
以降の数百万年程度と、
地質学的にはきわめて短い期間内に、
二つの種類へと分かれていきました。


イルカやマッコウクジラのように
歯をもつ現代型の「ハクジラ」類と、
ミンククジラやシロナガスクジラのように
ヒゲ板でプランクトンを濾し取って食べる
「ヒゲクジラ」類です。
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へ―ー、そうなんですね。
門外漢には新しいことばかりです。
たいへん勉強になりました。

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