2018年11月26日月曜日

健康長寿の秘訣

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 健康長寿の対策を確認いただきます。
 楽に健康長寿ができる方法はないようです。
 最後は生きがいが最も重要ということです。
ねらい:
 できるところから始めましょう。
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本項は、學士會会報2018-Ⅵ号掲載の
筑波大学大学院人間総合科学研究科久野請也教授の講演記録
のご紹介です。


どうすれば、先生の言われる「ぴんぴん、ちょっと寝て、ころり」
が実現できるかを説いておられます。


「ちょっと寝て」が入るのは、
「ぴんぴんころり」だと、家族や友達に別れを告げられないので、
2-3か月は逝くまでの時間がほしいということです。


1.健康長寿に立ちはだかる二つの年齢の壁
1)一つは「60代の壁」
 60代で脳卒中や心筋梗塞が増える。
 ほとんど助かるが、障害が残る。
 日本人の寝たきり要因の第1位は脳卒中。


 中年期にメタボを放置したことが原因(だそうですよ!!)。


2)二つ目は「70代の壁」
 認知症、転倒骨折、虚弱が増える。
 60歳を超えると男女とも転び始める。


 転倒の確率に男女差はないが、
 女性の方が骨折の可能性が高い。
 女性は閉経後、ホルモン代謝が変わり骨が弱くなるから。
 骨粗しょう症の87%は女性。


 サルコペニア(筋肉の減少)を放置したことが原因


2.世界の死因ワースト
 2009年にWHOが発表した世界の死因ワースト20の高位は
 1位 高血圧、2位 たばこ、3位 高血糖(糖尿病)、
 4位 運動不足、5位 肥満
 (上野注:この死因は直接的なものと間接的なものが混在しています。
 たばこや運動不足で死ぬわけではありません。肺がんが死因です)


 先生によると、運動不足を解消すると、
 この5つのうち4つが解消される、のだそうです。


3.健康長寿に必要な3要素
 よく言われる運動(有酸素運動)、食事、に加えて筋トレが必要。
 1)食事(のコントロール)のみ
 2)食事とウォーキング
 3)食事とウォーキングと筋トレ
 いずれも3か月続けると体重は平均3.5キロ減る。


 しかし1)や2)の場合、筋たんぱくの分解が進むので
 脂肪だけでなく筋肉も落ち、転びやすい体になってしまう。
 3)がお勧め。


4.ウォーキング(有酸素運動)の有効性
 一般にウォーキングの重要性が説かれているが、
 今は「まとめて歩いても、細切れに歩いても、
 合計歩数が同じなら同じ効果がある」ということになっている。


 10万人のデータによると、以下のように
 1日の歩数と年間医療費の関係には相関関係がある。
 ただし、75歳では55歳に比較して有効性は低くなっている。
 歩くだけではダメ、ということ。


 


5.ウォーキング等に対する先生のアドバイス
 「必ずひとつ前の駅で降りて歩く」とか
 「階段は絶対に登る」などと生まじめに決めないこと。
 そうすると続かなくなる。
 その日の天気、体調、荷物の多寡に合わせて
 できる時に多めに歩くようにするのがよい。
 
 (上野意見、ありがたいご託宣です。
 そのようにできることが理想でしょうが、
 何らかの縛りをかけないとゼロになってしまうのが
 人間の弱さではないでしょうか)


6.75歳以上が維持すべき「移動能力」ー筋肉対策の必要性
 60代までは生活習慣病(動脈硬化、メタボ、脳卒中)
 の対策が重要だが、
 70代以降は筋肉対策が重要。
 
 「移動能力」とは次の3つ。
 1)立ち座り能力
 2)転倒予防能力
 3)歩行能力
 これらを支えるのは筋肉である。


7.筋肉量の維持方法
 筋肉強化には筋トレが必要。
 ジョギング・ウォーキングなどの有酸素運動は、
 脳卒中・動脈硬化の予防や内臓脂肪を減らすには有効だが、
 筋肉量の強化はできない。


8.筋トレの実施方法
 下肢の筋肉を鍛えるにはスクワットが1番。
 以下の図の6種目のうち4種目以上を10回1セットとして
 1日1-2セットずつ10週間続ける。
 慣れてきたら負荷を増やす。
 
 


 (上野注:結構大変ですね。やりますか?
 健康長寿を目指すならそのくらいのことはしなければダメ
 ということですね)


9.筋トレで大事なこと
 1)筋肉は寝ている時に増える
 2)筋肉は食事で摂取したタンパク質から作られる。
  そこで、動物性たんぱく質を採る。
  特に豚肉が長寿の秘訣、週に最低2日は食べるようにする。
  アルブミンというタンパク質が高齢者の栄養不良を防ぐ。


 3)筋トレの効果は貯金できない。
  やめたらすぐに筋肉は落ちる。
  その代わり、何歳から始めても効果はある。
  98歳から始めた人でも効果があった。


10.社会とのかかわりを持つことが健康に有効
 「人と人との関係が健康に影響を与える」
 「コミュニティがある地域に住む人ほど健康度が高い」
 「週3日以上外出する人の健康度は高い」
 ということはデータでも証明されてきている。


11.健康長寿の十分条件は生きがいを持つこと
 以上の食事、有酸素運動、筋トレ、社会とのつながりは
 健康の必要条件でしかない。
 最後の決め手は生きがいを持つこと、
 楽しい人生を送ることである。
 (これが先生の結論です。そのとおりですね)  

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