目的:
業務の改善はすればこんなに成果が上がるものなのだ、
ということを知っていただきます。
改善成果が上がる条件を整理してみます。
ねらい:
改善にチャレンジしましょう。
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3月に当社主催の二つの研修の実践報告会がありました。
実践報告会というのは、研修で習得したことを
担当業務の中で実践をしてその結果を報告するものです。
この二つの研修の実践期間は約2か月でした。
まず、二つの研修とはこういうものです。
いずれも対象者は、
ソフトウェアの変更管理(保守、エンハンス)業務の担当者です。
1.身の回りの業務改善実践
個人個人が自分の業務の改善を行います。
この研修では
「他の人のことは放っておきなさい。
自分が楽になることだけ考えて改善しなさい」
を基本スタンスとしています。
人との調整をしているとなかなか進みませんし、
とん挫する可能性もあります。
それを避けて即効ねらいでいくのです。
それは、
業務改善者上野則男のビジネスライフ終盤での哲学です。
大げさな改善でなくてよいので、
原則として自分ひとりでできる改善を対象とします。
改善の体感ができたら、
次のステップでより大きな改善にチャレンジします。
改善のための業務分析・問題分析する手法は伝授します。
3回に分けて改善の検討を行いますが、
自分で考えることが基本ですが、講師も少しアドバイスします。
このことによって、以下の悪循環から脱却することを狙います。
2.積極的提案力強化実践
お客様から変更依頼の要請があった際に、
言われたことだけをするのではなく、
その実施目的を確認して的確な対応ができるようにする
アプローチ法を伝授する研修です。
そこで使用するワークシートは以下のような
「隠れたニーズを引き出すワークシート」です。
このA、B、Cの順番で確認を進めます。
この研修での実践成果を2例ずつご紹介します。 2研修の改善成果
研修名
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改善テーマ
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改善状況と成果
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身の回りの業務改善
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1.商品マスタ処理作業改善
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・これまでずっと手作業で実施してきた処理に対して、SQLやコマンドを自動実行するバッチ処理を開発した。これで月2人日分の業務削減ができた。
・今回の経験を踏まえ、「改善⇒新領域へのチャレンジ⇒改善」というプラスのスパイラルを回していきたい、という感想が得られた。
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2.IT資産管理システムの改善
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・当初、5人日程度の資産管理システムの入力改善を目指したが、「改善をするなら」という上司の指導で広範囲な業務再構築の検討に発展した。
・これが実現すると、10年間放置されてきた28人月/年の大規模改善となる。
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積極的提案力強化
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3.衣料品販売企業間連携システムの取組み提案
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・お得意先であるアパレルメーカA社から「商品マスタにB百貨店の商品を登録したい」という要求を追求した結果,B百貨店のアウトレット事業をA社が代行運用するビジネスの提案につながった。
・これが成功すれば、お客様への積極的提案の先行事例となる。
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4.RPA適用提案
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・ある業務のRPA化要望を受けて検討した結果、その方式を多くの他の業務に拡大適用できることが判明した。
・RPA化のモデルとすることができた。
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1番めの事例は、身の回りの業務改善が対象とする
典型的な小改善です。
これで味を締めて次々と改善を進めていただくことになります。
2番めの事例は、これも典型的な小改善を実施するつもりが、
上司の指導で、それを含んだ広範な改善を実施することになりました。
この研修での実践のキッカケがなければ、
この改善は浮上しなかったのです。
3番めの事例は、転変激しい小売りの世界で、
変更要望に対して「それは何のためにするのですか?」という質問から
企業関連系での新ビジネスモデル開発を実現する提案になったものです。
受講生の所属する情報サービス業では画期的な提案事例です。
4番めの事例は、今脚光を浴びているRPAの事例です。
一つを実現することで、
その手法が適用できる多くの業務が見つかったのです。
なぜこのような成果が実現するのでしょうか。
その理由として考えられるのはこういうことだと思われます。
1.あらゆる業務には改善すべきネタが存在している。
業務実施方法にはこれで完璧というゴールはあり得ません。
峰を越えても越えてもその次の峰が控えているのです。
通常は、今のやり方の中で過ごしているだけなのです。
2.改善のチャンスがあれば改善される。
したがって、改善のチャンスを与えれば改善ができるのです。
改善は、改善しようとするかどうか次第なのです。
導火線に火を点ければよいのです。
3.改善の場づくりが必要である。
「改善しよう」という気にならなければ改善は動きだしません。
場づくりとしては、以下があります。
1)改善のヒントや着眼の提示
「こうやってみれば?」
というヒントがあるとすぐに検討が開始できます。
「積極的提案力強化」では「隠れたニーズを引き出すワークシート」が
「身の回り」では「身近で手こずっていることを取りあげなさい」が
これに該当します。
2)改善の場づくり
「いずれやろう」ではいつまで経っても着手されません。
「いついつまでにしなければならない」ということになれば、
忙しい業務の中でやり繰りして改善の検討を行います。
それぞれこの研修に参加したことが「場づくり」です。
3)改善の動機づけ
改善の成果が何らかの形で他者から評価されるということや、
自分は改善のリーダになろう、とかがあれば
取り組みが本気になります。
この研修では、実践報告の場が用意されています。
「そこで恥をかきたくない」「評価されたい」
という気が起きているはずです。
以前、日本の多くの企業で実施されていた「QCサークル」は
この条件を満たしています。
ですから小改善が次から次へと行われたのです。
ゴールはありませんでした。
マンネリがありダメになりましたけれど。
いかがでしょうか。
皆様も改善にチャレンジしてみませんか。
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