2015年9月26日土曜日

「道端の経営学」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 成功する事業戦略はどういうものかを知っていただきます。
 こんな楽しく有益な経営実務書があるのだ
                 ということを知っていただきます。
 
ねらい:
 ぜひ「道端の経営学」をお読みください。

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「道端の経営学」は、
アメリカの大学の3人の教授たちが書いた素晴らしい本です。

3人は
MBAの事業戦略クラスを受け持つビジネススクールの教授です。、

なぜか共通するのは離婚していること、
その3人が語り合って全米のユニークな事業で成功している
小さな店や企業(スモールビジネス)45事業所を
レンタカーで訪問して取材したレポートです。

一つ一つがとても興味深い事実・物語です。
決して経営「学」の本ではありません。

事業戦略がテーマです。
どのような事業戦略が成功するのだろうか、
という関心が持たれそうですが、著者たちの結論はこうです。

(著者の一人である)マイクの法則

 すべての戦略的課題の答えは「場合によりけり」である。

 結論1
  答えを見つけ出す秘訣は、それが「何によりけり」かを知ることだ。

 結論2
  課題の答えが「何かによりけり」でなければ、
  それは戦略的課題ではない。

その解説を原文のままご紹介します。

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具体的な例をあげよう。

新規参入を目指すスモールビジネスは、競合他社と比べて
高品質か低品質か、そのどちらの商品で市場に参入すべきか? 

つい「質の高い商品のほうが有利だ」と答えてしまいそうだが、
高品質な商品を扱っている企業のほうが必ずしも
業績がいいとは限らない。

例えば、ウォルマートは品質では勝負していない。
安さを前面に打ち出し、
価格に敏感なマス・マーケツトを対象にしている。
その対極に位置するのがアップルだろう。

アップルの製品は間違っても低価格ではない。

彼らは圧倒的に高品質なユーザー体験を提供することで、
世界で最も価値の高い企業へと成長したのだ。

となると、スモールビジネスの経営者が目指すべきは
ミニ・ウォルマートか、それともミニ・アップルか? 

マイクの法則によれば、
答えは「それぞれの企業が抱える課題や、
それぞれの市場状況によりけり」となる。

本書では、旅で出会った興味深い戦略をたくさん紹介するが、
成功例をそのまま真似ることはお勧めしない。

成功例を知るだけでは充分ではない。
なぜ成功したのか、その理由をしっかりと
理解する必要があるからだ。

理由を理解して初めて、「場合によりけり」の意味がわかり、
自分の店や企業にも応用できるかどうかを
見極められるからだ。

難しそうに思えるかもしれないが、
実際、なかなか面倒である。

だが、私たちが話を聞いた経営者のなかで、
自分が直面している問題を簡単だと考えていた者は
ひとりもいなかった。

そしてあなた自身がその難しさに直面した時でも、
本書で扱うフレームワークを用いれば、
うまく考えを組み立ててより良い意思決定を行えるはずだ。

最後にひと言。高校か大学で経済学を習ったが、
少しも面白くなかったというあなた・・・・心配はいらない。

マイクの助言に従って、本書では数式を省いておいた

(もちろんグラフもない!)。
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なるほど、そうですね!!!

具体的な事例をご紹介しましょう。すべてこんな感じなのです。

JR’s TBA(タイヤとブレーキの調整工場)の事例
JRはオーナの名前です。

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JRは、最初に雇った整備士に一部、歩合給制を採用した。
「月々、ちゃんとカネが受け取れるようにしました。
固定給を決めて、あとは彼がやった仕事の売上から
一律の歩合を渡したんですよ。

働けば働くほど、カネがもらえる。
俺に仕事がある限り、ヤツにも報酬が入る。
そうやって順調にいき、
ついに整備士を6人雇うまでになりました」

(中略)

「この仕事で重要な点は、クルマの修理中に、
整備士が新たな修理箇所を見つけ出す可能性である」

JRがこう説明する。

「客にオイル交換を頼まれれば、オイルを換えますよね。
客からカネを搾り取ろうなんて考えちゃいない。
だけど、
整備士は作業のために車をリフトに乗せて持ち上げます。

そしたら、何が見えます?
オイルを交換するが、ブレーキも点検する。
無料でタイヤの空気圧を確かめてるうちに、
緩んでる部品も見つかる。
客のニーズが見つかるかもしれない。

それを指摘して、客が注文してくれりゃ、
こっちの儲けになるわけです。
だけど、そのためには整備士にそう教えなくちゃなりません。

ヤツらは
『なぜ、そんなことをするんです?
そんなことに構わなければ、さっさと修理を済ませられるのに』
と思うでしようから。

だけど俺としちゃあ、仕事は徹底的にやってほしいんですよ。
客のニーズを見つけてほしいんです。
そうすりゃ俺は客にこう言えますから。

『タイロッドが緩んでますよ』すると調整を頼まれ、
タイヤ交換もできるかもしれない。

俺が見ていない時でもそこまでやるように叩き込んでおけば、
安心して仕事を任せられます」

となると、
整備士が顧客のニーズを見つけることで会社の収益が増え、
それに応じて歩合を支払うことで、
JRは自分と整備士の利益を一致させられたと思うだろう。

ところが、そうはうまくいかなかった。
整備士は顧客のニーズを探すことに力を入れ過ぎて、
強引に修理を勧め、
さらには必要のない修理まで押し売りし始めたからだ。

その結果、顧客は機嫌を損ね、
長い目で見て損失になったとJRは考えている。

この歩合給制は失敗だった。
整備士は目先の利益にとらわれ、
顧客との間で、継続的で価値のある関係を結ぼうという
考えにまで至らなかったのだ。

この例は、成果主義の重要な問題点を指摘している。
すなわち、
間違った評価基準で成果を測ると、
時間給を採用したり、従業員を直接監督したりするよりも、
もっと悪い結果を招きかねない。

JRの場合、
彼が望んでいた顧客のニーズを整備士は見つけ出した。
だがそれが行き過ぎて、
顧客が望まない、不必要な修理まで勧めてしまった。

ある評価基準を用いる時、プラスもマイナスも含めて、
それが従業員のどんな行動を引き起こすのかを、
前もって充分に考えておく必要がある。

間違った評価基準によって
利益よりも損失が生じた場合には、
別の評価基準を見つけ出すか、
そもそも成果主義を採用しないことだ。

JRは現在、トップの整備士にのみ出来高払い制を採用して、
他の整備士には時間給制で支払っている。

スピードを重視するがゆえに、
作業の質が疎かになることを恐れたからだ。

「それで、このビデオカメラは何のためです?」とポール。

JRのデスクの背後には、作業場の監視カメラに接続した
監視モニターが並んでいたのだ。

「彼らに盗みをさせないためです。
もちろん部品泥棒は問題だけど、
それについちゃ、俺もヤツらを信用してます。

だけど、時間泥棒っていうのもありますよね。
俺がいない間に、怠けてもらいたくはないんでね」

整備士の働きを生産高で測ることには限界があるため、
JRは整備士の仕事ぶりを直接、モニターで監視しているのだ。

成果主義のインセンティブ制が「アメ」の効果を持つのに対して、
監視は、繰り返し不正を働く従業員に罰を与えるか
解雇を言い渡す「ムチ」の働きを持つ。

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小さな事業所なので
オーナの見える範囲で試行錯誤をすれば、
それなりに良い結果を得ることができたのです。

中内功さんの成功だってそうでした。
ところが、
大きくなりすぎて目が行き届かなくなって経営が行き詰りました。

行き詰まり原因は
基本的には、「消費者は安いだけを求めているのではない」
ということに気がつくのが遅かったからですが、
もし中内さんが店長でやっておられたら、
早くにそのことに気がついたと思われます。

成果給は、
一時日本の大企業がこぞって導入しましたが、
揃って失敗し撤回しました。
富士通の例が有名です。

私が見るところでは、失敗原因はこうです。
成果をどうやって評価するかの技術論に走り、
何のために成果給を導入するのか
という本質論をなおざりにしたことです。

大企業は、JRの事例のように小回りが利かないのです。
大企業では、考える人と実行する人が別ですからね。

これからの激変の世の中で、
大企業は臨機応変ができないので
生き残りはたいへんですね。

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